はじめてのマンドリン

ある日突然、マンドリンの音色に恋をした
初めて手にした時から、ささかやかな感動を綴っています

本「悼む人」

2009-11-21 08:52:07 | 本・映画・ドラマ
天童荒太さんの「悼む人」を読みました。

ぐいぐい読めてしまうくらい、惹かれて読んだし、おもしろかったのですが、
正直、とても重い感じが残りました。
嫌な感じというわけではないのだけれど。
どう受け止めればいいのか、図りかねているという感覚なのかもしれない。

全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける静人。彼の周りで、夫を殺した女、人間不信の雑誌記者、末期癌の母らの物語が展開する。

静人は何のために、旅を続けるのか?
たぶん頭で考え、理解しようとしても、理解できないのかもしれない。
生い立ちを含め、彼の周りで起こった“死”をどう受け入れていいのか
わからないままに、その感情に押しつぶされそうになった彼は、
そうすることでしか平静を取り戻せなかったのかもしれない。

読んでいて、そんな風に感じた。

どうすることもできない“死”の世界の絶対性みたいなものに対し、
自分の無力さを感じてしまうと、果てしなく無力感に襲われるような
気もする。

静人の気持ちに思いを馳せることで、周りの人たちは、心が浄化(という表現が
いいのかどうかはわからないけれど)されていく。

静人の行動を“偽善”だとしか思えない人は、人のことを信じることができない
人なのかなぁ?なんて感じつつ読んでいた。

読んでいる途中は、何度か涙しつつ、
静人は、お母さんの死に目に会えているといいんだけど・・・と願いつつ、
静かな気持ちで本を読み終えることができました^^。

私自身、25才の時に、兄を突然亡くしたという経験があるので、
その当時のことを思い出したりしつつ読んだので、
心の中に、自然に物語が入ってきたのかもしれないけれど、
私には、“重いけれど、死と愛について考えさせてくれるいい本”でした。


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