はじめてのマンドリン

ある日突然、マンドリンの音色に恋をした
初めて手にした時から、ささかやかな感動を綴っています

本「奈落」

2020-02-23 17:18:04 | 本・映画・ドラマ
古市憲寿さんの「奈落」を読みました。
感想など綴ってみたいと思います。

最近、コメンテーターとして、よくテレビでお見かけする、社会学者の古市憲寿さん。
スパっと切れ味のよいコメントをされたかと思うと、
時々、もごもごとかわいらしい(?)一面も垣間見える。
そんな古市さんが、小説を書かれていると知り、どんなのを書かれるのかしら~と
興味を持って読むことにしたのでした。

歌姫は、17年間たったひとり――。
人気絶頂の瞬間、ステージから転落してはじまった悲劇。
孤独な歌姫と、最も醜い家族の物語。

17年前の夏、人気絶頂の歌手・香織はステージから落ち、すべてを失った。
残ったのはどこも動かない身体と鮮明な意識、そして大嫌いな家族だけ−−。
彼女を生かすのは、やり場のない怒りか、光のような記憶か、生まれ出る音楽か。
孤独の底から見上げる景色を描き切った飛翔作。

これ以上怖ろしいことが、この世にあるだろうか。


物語は、淡々と、、進んでいく。
全く身体が動かないけれど、意識は鮮明な、香織視点で語られるのが大半を占める
のだけれど、時には母親視点で、姉視点で、父視点で、元恋人視点で・・・。
在宅介護を選択した家族は、おそらくは、献身的に介護をする仲の良い
家族のように見えるだろう。
けれど、実際はそうではないところが、ぞくりと恐ろしさを感じさせる。

鍼治療をしてくれる人が登場して、少しずつ、、顔が動いたり、指が動いたり
し始めた時には、もしや、回復して、、安らぎを手に入れることができるのかしら?と
少し希望の光が見えたのだけれど・・・。

病気で意識がないように見える人も、耳は聞こえていて意識がある、、と
言われていたりすることを思い出したりしながら、、
意思を表明することができない人は、、ほんとにつらい。。
悪意に満ちた人が、、周囲に居る環境なら、なおさら。

自分や、、近しい人が、もし、そんな状態に陥ったら・・・?
なんて考えると、いろんなことを考えさせられた。

読後感は、決して明るくはない。
けれど、インパクトの強い本でした。
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