中国はとんでもなく野蛮で不誠実で好戦的で21世紀のナチスだということは、知的な日本人にとって常識である。ただし、テレビに出る自称識者には中国崇拝者が多く、日中友好を唱えるが、そのわけは、彼ら彼女らは、そもそも知的ではないし、日本人ですらない場合も多いからだ。
欧米人にとっては、中国は金儲けのために仲良くしたい国であり、いずれそのうち民主化されて、まともな国になるはずだという認識が主流だった。
その流れは変化しつつあるようで、最近は中国に対して厳しい見方が増えてきたように思う。
以下の論説は、欧米の中国への認識がようやく我が日本国民のレベルに追い付いてきたことを示す一例だろう。
Can China Fall Peacefully?
中国は平和的に没落できるか?
Andy Morimoto (stopchina 訳)
November 19, 2014
http://nationalinterest.org/feature/can-china-fall-peacefully-11703
「今後のアジアの平和への展望は明るくない。中国が勃興するか没落するかにかかわらず、全く避けられないわけではないにせよ、戦争があるだろうとの予測が最も論理的である。」
中国は平和的に勃興できないという見解は、ある種の国際公理のようになっているが、その筋書きは以下のように単純である:中国の経済成長に伴って軍事力が増強され、他の列強が外交政策の目標達成のために武力を行使したのと同様に、中国もそうするだろう、というものである。
けれども、中国の台頭に伴う安全保障上の意味について多くの議論がなされたが、急激で長引く景気の失速による潜在的影響についての検証はあまり多くない。
この傾向は今後変化しそうだ。
最近のウォールストリート・ジャーナルによると、中国の成長率は今後10年で、2013年の7.7%から2020~2025年には3.3%に、急激に低下すると予想される。
一部のアナリストはもっと悲観的で、将来の成長率は1.6から1.7%まで低下すると予想している。(全体的に見ると、中国は1980~2011年の間は年率平均10.2%で成長した。)
これらの傾向から、 National Interest紙は、中国が崩壊に向かっており、さらには中国の経済的勃興の終わり ( 遅れではない ) に近づいているかもしれないと主張するようになった。
中国経済が没落するとすれば、中国と、その近隣諸国やアメリカへの地政学的な影響はどのようなものであろうか?
中国は想定される衝突軌道から外れるのか、それとも、相変わらず戦争が不可避なままなのか?
最初にちょっとした前提を示しておこう:我々は将来の出来事に関する実証的証拠を持っていないから、したがって、上記の質問に答えるには理論を必要とする。それについては、特に役立つかもしれない2つの理論がある。
最初の理論は、中国共産党のリーダーシップは景気の失速によって内向きにならざるを得ず、太平洋の隣人(まして、合衆国)との戦いに時間とエネルギーを割く余裕が無くなり、中国指導部は内政に専念して国内の秩序を維持しようとするだろう、との考え方である。
残念ながら、中国の現在の国際紛争のスケールと範囲を考えると、この話は通りそうにない。
中国は少なくとも5つの未解決の領土紛争を抱えているのを思い出していただきたい:
ベトナムとはパラセル群島の領有権について;
ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾およびベトナムとは南沙群島について;
日本とは尖閣諸島について;
ブルネイ(訳註:ブータンの間違い)とインドとは国境の確定について;
台湾とは独立問題について。
これら沸騰寸前の論争が中国経済の弱体化によって冷やされると想像するのは難しい。
第二の理論は、現実に起きるだろうと私が信じているものだ。
この理論は、中国の景気の失速が中国共産党の正統性を危機に陥れ、国内での正統性を強めるために外部からの脅威に転嫁するだろうとの仮定に立脚している。言い換えると、中国の指導者は、ナショナリズムを切り札にして、おそらく前記の発火点の一つ以上で国際的な紛争を仕掛けるだろうということだ。
私達はかってこのような映画を見たことがある。第二次世界大戦後の中国経済は混乱状態にあったが、それでも、中国の指導者は国内ではなく、むしろ朝鮮半島に侵攻したし、同様に、文化大革命での経済破局の期間には、ベトナムに侵攻した。
章立凡(中国の歴史家)は「歴史的に、国内に多くの深刻な紛争がある期間にはいつも、排外感情の高まりがあった。」と説明したが、その事情は今日でも変わりない。
今年だけでも、人民日報は、中国の国内問題を外国勢力のせいにして非難する42本の記事を発表した。
今月のAPEC会議(外交的な誠意を見せて友好への熱意に装う絶好の機会)の最中にさえ、習近平は公然と国家主義的で外国嫌いで有名な一人の若いブロッガーを褒め称えた。中国の指導者がナショナリストの怒りを静めるのは容易ではないだろう。
そして、中国の経済が本当に停滞するなら、ナショナリズムのさらなる高まりを予想しなければならない。残念なことに、ナショナリズムの熱情が中国全土を席捲し、拡大と誤算と偶発的な紛争に至るシナリオを描くのは容易である。
そのような危機の発生を最小にするために、アメリカはアジアでのリバランスに焦点を絞り、国境紛争を沈静化し、アジア太平洋での同盟国の安全保障を確約しなければならない。
それに加えて、中国とその近隣諸国は、潜在的危機が本格的な軍事紛争に拡大する可能性を減少させるために、より開かれた通信手段(すなわちホットライン)を受け入れるべきだ。
アジアにおける平和の見通しは暗い。中国が勃興するか没落するかにかかわらず、全く避けられないわけではないにせよ、戦争があるだろうとの予測が最も論理的である。
しかし、John Mearsheimerシカゴ大学教授が、国際関係の理論はまだ「粗雑な手段」であり、そして、「過去を説明して、将来を予測するには、最高の理論でさえ限界がある」と述べている。
彼が正しいことを望みたい。
欧米人にとっては、中国は金儲けのために仲良くしたい国であり、いずれそのうち民主化されて、まともな国になるはずだという認識が主流だった。
その流れは変化しつつあるようで、最近は中国に対して厳しい見方が増えてきたように思う。
以下の論説は、欧米の中国への認識がようやく我が日本国民のレベルに追い付いてきたことを示す一例だろう。
Can China Fall Peacefully?
中国は平和的に没落できるか?
Andy Morimoto (stopchina 訳)
November 19, 2014
http://nationalinterest.org/feature/can-china-fall-peacefully-11703
「今後のアジアの平和への展望は明るくない。中国が勃興するか没落するかにかかわらず、全く避けられないわけではないにせよ、戦争があるだろうとの予測が最も論理的である。」
中国は平和的に勃興できないという見解は、ある種の国際公理のようになっているが、その筋書きは以下のように単純である:中国の経済成長に伴って軍事力が増強され、他の列強が外交政策の目標達成のために武力を行使したのと同様に、中国もそうするだろう、というものである。
けれども、中国の台頭に伴う安全保障上の意味について多くの議論がなされたが、急激で長引く景気の失速による潜在的影響についての検証はあまり多くない。
この傾向は今後変化しそうだ。
最近のウォールストリート・ジャーナルによると、中国の成長率は今後10年で、2013年の7.7%から2020~2025年には3.3%に、急激に低下すると予想される。
一部のアナリストはもっと悲観的で、将来の成長率は1.6から1.7%まで低下すると予想している。(全体的に見ると、中国は1980~2011年の間は年率平均10.2%で成長した。)
これらの傾向から、 National Interest紙は、中国が崩壊に向かっており、さらには中国の経済的勃興の終わり ( 遅れではない ) に近づいているかもしれないと主張するようになった。
中国経済が没落するとすれば、中国と、その近隣諸国やアメリカへの地政学的な影響はどのようなものであろうか?
中国は想定される衝突軌道から外れるのか、それとも、相変わらず戦争が不可避なままなのか?
最初にちょっとした前提を示しておこう:我々は将来の出来事に関する実証的証拠を持っていないから、したがって、上記の質問に答えるには理論を必要とする。それについては、特に役立つかもしれない2つの理論がある。
最初の理論は、中国共産党のリーダーシップは景気の失速によって内向きにならざるを得ず、太平洋の隣人(まして、合衆国)との戦いに時間とエネルギーを割く余裕が無くなり、中国指導部は内政に専念して国内の秩序を維持しようとするだろう、との考え方である。
残念ながら、中国の現在の国際紛争のスケールと範囲を考えると、この話は通りそうにない。
中国は少なくとも5つの未解決の領土紛争を抱えているのを思い出していただきたい:
ベトナムとはパラセル群島の領有権について;
ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾およびベトナムとは南沙群島について;
日本とは尖閣諸島について;
ブルネイ(訳註:ブータンの間違い)とインドとは国境の確定について;
台湾とは独立問題について。
これら沸騰寸前の論争が中国経済の弱体化によって冷やされると想像するのは難しい。
第二の理論は、現実に起きるだろうと私が信じているものだ。
この理論は、中国の景気の失速が中国共産党の正統性を危機に陥れ、国内での正統性を強めるために外部からの脅威に転嫁するだろうとの仮定に立脚している。言い換えると、中国の指導者は、ナショナリズムを切り札にして、おそらく前記の発火点の一つ以上で国際的な紛争を仕掛けるだろうということだ。
私達はかってこのような映画を見たことがある。第二次世界大戦後の中国経済は混乱状態にあったが、それでも、中国の指導者は国内ではなく、むしろ朝鮮半島に侵攻したし、同様に、文化大革命での経済破局の期間には、ベトナムに侵攻した。
章立凡(中国の歴史家)は「歴史的に、国内に多くの深刻な紛争がある期間にはいつも、排外感情の高まりがあった。」と説明したが、その事情は今日でも変わりない。
今年だけでも、人民日報は、中国の国内問題を外国勢力のせいにして非難する42本の記事を発表した。
今月のAPEC会議(外交的な誠意を見せて友好への熱意に装う絶好の機会)の最中にさえ、習近平は公然と国家主義的で外国嫌いで有名な一人の若いブロッガーを褒め称えた。中国の指導者がナショナリストの怒りを静めるのは容易ではないだろう。
そして、中国の経済が本当に停滞するなら、ナショナリズムのさらなる高まりを予想しなければならない。残念なことに、ナショナリズムの熱情が中国全土を席捲し、拡大と誤算と偶発的な紛争に至るシナリオを描くのは容易である。
そのような危機の発生を最小にするために、アメリカはアジアでのリバランスに焦点を絞り、国境紛争を沈静化し、アジア太平洋での同盟国の安全保障を確約しなければならない。
それに加えて、中国とその近隣諸国は、潜在的危機が本格的な軍事紛争に拡大する可能性を減少させるために、より開かれた通信手段(すなわちホットライン)を受け入れるべきだ。
アジアにおける平和の見通しは暗い。中国が勃興するか没落するかにかかわらず、全く避けられないわけではないにせよ、戦争があるだろうとの予測が最も論理的である。
しかし、John Mearsheimerシカゴ大学教授が、国際関係の理論はまだ「粗雑な手段」であり、そして、「過去を説明して、将来を予測するには、最高の理論でさえ限界がある」と述べている。
彼が正しいことを望みたい。