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クーデンホーフ=カレルギー

2022年10月16日 | 妙法

【ヒーローズ 逆境を勝ち越えた英雄たち】第24回 クーデンホーフ=カレルギー2022年10月16日

3年ぶりの再会を果たしたクーデンホーフ=カレルギー伯爵㊨と池田先生が会見。「アジアとヨーロッパ」「国連の役割」「指導者論」「青年への期待」などがテーマとなった語らいは、対談集『文明・西と東』として発刊された(1970年10月7日、東京・信濃町の創価文化会館〈当時〉で)
3年ぶりの再会を果たしたクーデンホーフ=カレルギー伯爵㊨と池田先生が会見。「アジアとヨーロッパ」「国連の役割」「指導者論」「青年への期待」などがテーマとなった語らいは、対談集『文明・西と東』として発刊された(1970年10月7日、東京・信濃町の創価文化会館〈当時〉で)
〈クーデンホーフ=カレルギー〉
正しいことのために戦うことは
幸福を意味している。人生は、
いつまでも闘争であるべきである。

 55年前の10月、池田大作先生は世界の識者や指導者と本格的な文明間・宗教間対話を開始した。その最初の相手となったのは「欧州統合の父」と仰がれるリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー伯爵である。
 
 伯爵が“欧州を一つにまとめることが、平和につながる”とする「パン・ヨーロッパ運動」に立ち上がったきっかけは、第1次世界大戦だった。オーストリアの皇太子がサラエボの青年に暗殺された事件が端緒となり、全欧州を戦場に1914年から4年以上も続いた、人類最初の世界戦争である。
 
 戦後、多くの小国に分裂した欧州は、新たな火種が生まれ、第2次世界大戦がいつ起きてもおかしくない状況下にあった。
 
 欧州統合の理念自体は古くから存在していた。だが分断や対立が激化する社会で、その実現はどこか夢物語にすぎなかった。
 
 大学を卒業し、20代後半で中部ヨーロッパの有力な思想家として認められるようになっていた伯爵は、今から100年前の1922年、パン・ヨーロッパ運動に関する論文を発表する。
 
 翌年、28歳の時に『パン・ヨーロッパ』を出版し、大きな反響を呼んだ。さらには「パン・ヨーロッパ連合」を結成し、各国に「パン・ヨーロッパ協会」を設立。“欧州は一つ”の理想へ、各地を精力的に駆け巡った。運動に「全て」を意味する「パン(汎)」を掲げたのは、主権国家同士の共同体を築くとの決意からであった。
 
 しかしその夢は、ナチス・ドイツの台頭で一度は挫折する。海外への亡命を余儀なくされ、ウィーンにある本部を占拠したナチスにパン・ヨーロッパ関連の文書を破棄されてしまう。39年には、恐れていた第2次大戦が勃発した。
 
 それでも伯爵は諦めず、アメリカに渡ってパン・ヨーロッパ思想への支持を拡大。45年の終戦後に欧州へ戻り、統合実現に向けて再び動き出す。49年に欧州評議会が発足すると、続いて57年に欧州経済共同体(EEC)、67年に欧州共同体(EC)が誕生し、夢は現実となった。
 
 伯爵の信念の言葉にこうある。
 
 「平和の領域は一歩一歩づつしか占拠できないものであって、現実に一歩前進することは空想で何千歩進むより以上の価値がある」
 
 「正しいことのために戦うことは幸福を意味している」
 
 「人生は闘争であり、また、いつまでも闘争であるべきである」

クーデンホーフ=カレルギー伯爵の両親 ©Alamy/アフロ
クーデンホーフ=カレルギー伯爵の両親 ©Alamy/アフロ

 
 1894年11月17日、クーデンホーフ=カレルギー伯爵は、7人きょうだいの次男として日本で生まれた。日本名は「エイジロウ」である。
 
 父・ハインリヒはオーストリア=ハンガリー帝国の有力貴族で、母・光子は日本の商家の娘。2人は、外交官だった父が代理公使として日本に赴任していた時に出会い、結婚した。一家は伯爵が生後1年を経たころ、父の帰国とともにオーストリアへ移住する。
 
 オランダ、ドイツ、ロシア、ポーランド、ギリシャの血を引いていた父は18カ国語に通じ、アラビア、インドをはじめ東洋に深い関心を寄せていた。自宅には海外から多くの来客が訪れ、少年時代の伯爵は父の“国際人”としての仕事を目の当たりにしながら成長した。書斎には哲学者の像や多くの書籍が並び、父が地球儀を回しながら世界について語ってくれることもあったという。
 
 母は移住後、周囲からの偏見と向き合いながら、伯爵夫人としてふさわしい女性になるため、言語や教養を身に付けつつ、7人の子育てに奮闘した。
 
 円満だった一家に試練が襲ったのは、移住から10年がたった1906年。父が心筋梗塞のため急逝したのである。周囲は、日本人の光子が財産を相続することに反対したが、彼女は批判の声にも屈さず、一家の家長として子どもたちを立派に育て上げていった。
 
 後年、伯爵は述懐している。
 
 「母は、子どもの教育については、夫である私どもの父の精神を、そのまま受け継いでおりました。(中略)私は、こうした母がいなかったとしたら、決してパン・ヨーロッパ運動を始めることはなかっただろうと考えています」
 
 後に欧州連合(EU)へと発展する、欧州統合の出発点は“世界市民”である伯爵の両親だったともいえよう。

パン・ヨーロッパ連合の代表としてあいさつする若き日の伯爵(1929年、ドイツで) ©Keystone-France/Gamma-Keystone/Getty Images
パン・ヨーロッパ連合の代表としてあいさつする若き日の伯爵(1929年、ドイツで) ©Keystone-France/Gamma-Keystone/Getty Images
〈クーデンホーフ=カレルギー〉
他人や環境を変えようとする
前に、まず自分自身を変える
努力をすべきである。

 さらに、こうも語っている。
 
 「一人の人間の周りに、家族、友人、社会、国家などがあります。人間は自分自身に対して、第一の義務を負っているわけですから、他人や環境を変えようとする前に、まず自分自身を変える努力をすべきだと思います」
 
 「真に世界平和を保証する唯一の道は結局、宗教以外にはない」
 
 伯爵がこの真情を伝えた相手こそ、池田先生であった。

クーデンホーフ=カレルギー伯爵夫妻を歓迎する池田先生。変わらぬ友情に笑顔があふれる(1970年10月7日、東京・信濃町の創価文化会館〈当時〉で)
クーデンホーフ=カレルギー伯爵夫妻を歓迎する池田先生。変わらぬ友情に笑顔があふれる(1970年10月7日、東京・信濃町の創価文化会館〈当時〉で)

 EUの前身であるECが発足した1967年、クーデンホーフ=カレルギー伯爵は71年ぶりに日本の土を踏んだ。72歳の時である。
 
 創価学会を「世界最初の友愛運動である仏教のよみがえり」と評価していた伯爵。訪日に当たって会見を希望した1人が、池田先生だった。
 
 10月30日、初の出会いが実現。「私は直ちに池田の人物に強く感銘した。やっと39歳の、この男から発出している動力性に打たれたのである」――そう振り返った会談は「東京滞在中のもっとも楽しい時間の一つ」になったという。
 
 伯爵と先生が再会したのは3年後の70年10月。再来日の折に4度会い、のべ十数時間に及ぶ会見を行った。語らいは対談集『文明・西と東』として結実。先生が海外の識者と編んだ対談集の第1号となった。発刊から2カ月後の72年7月、伯爵は77歳の生涯を閉じた。

〈クーデンホーフ=カレルギー伯爵を語る池田先生〉
青年が勇気をなくしたら、
もはや、青年ではない。
人々に「気持ちがいいな!」
「素敵だな!」と思わせる、
勇気の声を響かせていくのだ。

 自らも若き指導者であった伯爵は「青年」に期待を寄せていた。その心を知る先生は、伯爵の言葉を通し、こう呼びかけている。
 
 「博士が、青年への信頼を込めて語っていたことが忘れられない。
 
 『人類の未来は、明敏な頭脳が主導権をにぎる世界となるだろうと思います。したがって、現在の学生たちが明日の世界を決定づける指導者となるのであって、彼ら自身は、その自覚に立って、未来に向かって自己形成し、準備をするべきだと思います』
 
 青年は、自己形成を怠ってはならないと博士は遺言されたのである。頭脳も心も人格も鍛えなければならない。知識だけで『人間』が置き去りにされれば、社会は、どんどん誤った方向へ進むであろう。人格形成を根本に均衡のとれた人間形成が必要なのである」(95年5月21日、常勝関西第1回青年部記念総会でのスピーチ)
 
 「(伯爵は)語っておられた。
 
 『青年のみが熱意と、意志と、希望と、信念と、力を持っている』『青年は炎を持っており、その炎がなかったら、いかなる理念も光を発しないし、また勝利を占めることが出来ない』と。
 
 創価学会も、青年で勝ってきた。青年が炎となって戦ったから、勝ってきたのである。(中略)
 
 青年が勇気をなくしたら、もはや、青年ではない。青年は『勇気の皇帝』である。『平和の皇帝』である。若いというだけで、すでに、無限の財産と希望を持つ皇帝なのである。ゆえに若き皆さんは、『あの青年は気持ちいいな!』『あの青年は素敵だな!』――周囲の人々にこう思わせる、凛々とした勇気の声を響かせていっていただきたい」(2001年9月23日、第1回千葉青年部総会でのスピーチ)
 
 両者の初会見から55年。創価の青年スクラムは今、日本、欧州、世界に大きく広がっている。

“欧州は一つ”の理想がここに! 仏法の平和の哲理を学び合った欧州青年教学研修会。30カ国から500人の友が参加した(2019年8月、イタリア・ミラノ郊外で)
“欧州は一つ”の理想がここに! 仏法の平和の哲理を学び合った欧州青年教学研修会。30カ国から500人の友が参加した(2019年8月、イタリア・ミラノ郊外で)

【引用・参考】『クーデンホーフ・カレルギー全集』全9巻・鹿島守之助ほか訳(鹿島研究所出版会)、『講演集 大陸日本』香川徹ほか訳(潮出版社)、『文明・西と東』(『池田大作全集』第102巻所収)ほか

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創価学園「情熱の日」記念の集いへの池田先生のメッセージ

2022年10月07日 | 妙法

創価学園「情熱の日」記念の集いへの池田先生のメッセージ2022年10月7日

  • 苦労して学び抜く努力が未来を照らす勝利の力に
松下幸之助氏が池田先生と共に創価女子学園(現・関西創価学園)を訪問。真心こもる生徒の歓迎に感謝を(1975年10月)
松下幸之助氏が池田先生と共に創価女子学園(現・関西創価学園)を訪問。真心こもる生徒の歓迎に感謝を(1975年10月)

 みんな、ご苦労さま! 元気いっぱいの運動会や競技大会、麗しい友情の学園祭を、私はうれしく見守っておりました。
 
 今週は、国連の「世界宇宙週間」であり、人類が大宇宙への探究を共に深め、平和の心を高めていく機会です。
 
 先月は、若い星たちが鮮烈な勢いで生まれ、成長を続けている星雲の画像が新たに公開され、世界中に大きな感動を広げました〈アメリカ航空宇宙局(NASA)などの提供〉。
 
 この大宇宙に漲る「生まれ出ずる力」「育ち伸びゆく力」を、今まさに若き生命に体現して成長しゆく希望の星こそ、わが学園生の皆さんなのです。
 
 日本を代表する大実業家の松下幸之助先生も、草創期の学園に来校し、一人一人の情熱あふれる姿から「若さのエネルギーをいただきました」と、満面の笑みを湛えておられました。
 
 松下先生は、困難を打開しようという情熱から、素晴らしい知恵が生まれ、才能が発揮されると、青年を励まされています。
 
 青春は、誰しも行き詰まりとの戦いです。失敗することも、うまくいかない時もある。
 
 しかし、焦ることはありません。星たちも、気の遠くなるような時間をかけて成長するのです。  
 
 悩み苦しみながらも、負けじ魂を燃やして挑戦する皆さんの情熱が、全てを、明るく大きく輝きわたる生命の星の光に変えます。
 
 どうか、今、苦労して学び抜く一つ一つの努力が、星のごとく遙か未来の世界まで照らす勝利のエネルギーとなることを確信して、良き学友と励まし合い、地球も、さらに宇宙をも晴らしゆくような、創価の人材の大星雲を創り光らせてください。
 
 これから寒くなり、朝夕の通学時間も暗くなるので、絶対無事故で風邪をひかないよう、真剣に祈っています。(大拍手)

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誓いの青年よ!

2022年10月02日 | 妙法

誓いの青年よ! 世界平和を 池田大作先生の写真と言葉「四季の励まし」2022年10月2日

 【写真説明】青空のカンバスに描かれた、巧まざる白雲の軌跡。1991年(平成3年)6月、池田大作先生が英国ロンドン郊外のタプロー・コート総合文化センターで撮影した。
 この訪英で先生は、同国首脳と会見する一方、天文学者のホイル、ウィックラマシンゲ両博士と宇宙論を語らい、青年部、未来部の友に真心の励ましを送った。
 きょうは「世界平和の日」。60年(昭和35年)10月2日、「君は世界に征くんだ!」との恩師の遺言を胸に、池田先生は世界平和への第一歩をしるした。後継の青年を先頭に、人間革命の哲学を掲げて、混迷の闇を払う挑戦へ、決意新たに出発しよう。
 

池田先生の言葉

 我々の目的は何か。
 広宣流布である。
 自他共の
 絶対的幸福の実現である。
 平和と希望の大哲学を
 全世界に広めゆくことだ。
  
 新しき時代の新しき扉。
 それを開けるのはつねに、
 燃えさかる
 青春の情熱である。
 妥協なく、
 理想に生きる
 青年の行動である。
  
 平和を論ずるなら
 行動しなくてはならない。
 困難があっても、
 どのように
 友好と平和をもたらすか。
 困難を克服するために
 努力することが
 人間にとっての
 根本条件である。
  
 広宣流布の千里の道も、
 一人の
 勇気の声から始まる。
 世界平和への道も、
 誠実な対話が
 第一歩である。
 快活に、
 わが信念を語り抜こう!
 心晴れ晴れと、
 わが真情を伝え抜こう!
  
 “誓いの青年”よ!
 私の一番の喜び、
 それは、君たちの勝利だ。
 私の最高の勝利、
 それは、
 あなた方の幸福だ。
 今いる場所で、
 立正安国
 祈り戦う同志よ!
 私の最大の願い、
 それは、一番苦しんだ
 地域の方々が、
 尊い地涌の生命を輝かせ、
 幸光る共生の楽土を
 築くことだ。
  
 遠慮はいらない。
 積極果敢に学び、
 自由闊達に語るのだ。
 みずみずしい生命に
 みなぎる熱意と誠実には、
 何ものもかなわない。
 若人の勇気の対話、
 探究の対話、
 友情の対話が
 快活に交わされるところ、
 必ず、新しき未来が
 輝き始める。

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