〈SDGs行動の10年 共に未来をつくる〉 女優 柴田理恵さん2021年6月17日
- 家庭で始めるSDGs
テレビや舞台の第一線で活躍する女優の柴田理恵さんは、富山市の特別副市長として国連のSDGs(持続可能な開発目標)推進に関わっている。その柴田さんと女性平和委員会の澤登かおり副委員長、女性平和文化会議の山崎美緒副総合議長の3人が、「家庭で始めるSDGs」をテーマに語り合った。
澤登かおり女性平和委員会副委員長 実は今回初めて、柴田さんが富山市の「特別副市長」を務めておられることを知りました。
柴田理恵さん そんなに立派な人間ではないんですけど(笑い)。肩書は特別副市長ですが、いわゆる観光大使のような役割です。富山市は、持続可能な街づくりに積極的に取り組んでいるんですよ。生まれ育った富山の魅力を発信して少しでも郷土に貢献できればと思い、“私で良ければ”と、お受けしたんです。
山崎美緒女性平和文化会議副総合議長 富山市は、どんなことに力を入れているのですか。
柴田 一番重要なのが「コンパクトシティー」ですね。社会の高齢化がどんどん進む今、都市機能を集約し、“歩いて暮らせる街”をつくろうという試みです。特に、市民の皆さんの足になっている路面電車が有名ですね。これに乗れば、市役所や病院、美術館、大型商業施設などへの移動に便利なんです! 自動車の排出ガスを減らすことにもつながりますしね。
昔ながらのチンチン電車のような古い車両と、最先端の路面電車(LRT=ライト・レール・トランジット)が走っていて、これに乗って観光するのも楽しいですよ。
澤登 SDGsを学ぶ中で気付いたことはありますか。
柴田 正直、SDGsの17の目標を見ても、分かりそうでピンとこないものもあったんです。「貧困をなくそう」とか「海の豊かさを守ろう」とか、確かにその通りだけど、“じゃあ私たちは何をしたらいいの?”って。それなら“自分に何ができるか”を考えようと――。自分が継続できることって毎日の生活の中にしかないですもんね。
山崎 具体的に取り組まれていることは?
柴田 まず「地産地消」です。その土地でつくられたものは新鮮でおいしいし、遠くから運搬する際の排出ガスを抑えられますよね。
食品ロスも意識していますよ。例えばお豆腐1丁を買うにしても、今日か明日に食べきるのが分かっているなら、消費期限に近いものを取るようにしています。昔は棚の奥のほうから取っていたんですけど(笑い)。
澤登 私は「マイボトル」をいつも持ち歩いています。
柴田 大切なことですね! 私はなるべく自動販売機を使わないように、稽古場に行く時などは自宅から水筒を持っていきます。丈夫なペットボトルがあれば、洗って水筒の代わりにしています。ケチかもしれないけど(笑い)。以前、ワンガリ・マータイさん(ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境運動家)が池田大作先生と語り合いましたよね。あの方が言う「もったいない」の精神は、本当に大事だなと今更ながら感じています。
澤登 柴田さんは“ケチ”って言われましたけど、芸能界で活躍される柴田さんがそのように頑張られていることが、とても励みになります。“私たちと同じだ”って。
柴田 もちろんですよ! 唐突かもしれないけれど、SDGsは学会精神にも通じると思うんです。「広宣流布」って大きく言われても、「私にそんな力はない」って、何をしていいか分からなくなるけど(笑い)。
でも違いますよね。まず自分が輝いて幸せになる。そして自分の周りの人を少しずつ幸せにしていく。さらにその周りの人の幸せを願っていく――その広がりが広宣流布なのだと、私たちは教えてもらっていますよね。身近なところから連帯と行動を広げていくSDGsの精神も、似ていると思うんです。
澤登 なるほど! 私も学会の同志の皆さんからいつも触発を受けています。
山梨の女性平和委員会のあるメンバーは、地域でSDGsや環境問題に取り組むグループをつくっています。彼女が町の環境課にゴミ処理について聞いたところ、生ゴミをよく絞れば、数千万から数億円も、1年間の処理費を削減できることを知ったそうです。実は何もしないと生ゴミの約80%は水分で、この水分を減らせば燃やすための燃料を減らせるというのです。
そこで彼女は分かりやすく“片手で絞って1億円、両手で絞って3億円”という標語をつくって、ゴミ処理費の削減を訴えたところ、地域に共感が広がっていきました。私もそれを聞いてから、両手で絞るように心掛けています。
柴田 台所の三角コーナーにある生ゴミをですか?
澤登 はい。水切りネットをぎゅーっと。
柴田 ぎゅーっと絞るだけで3億円! 私もやります!
澤登 使う燃料が少なく済めば、二酸化炭素の排出削減にもつながりますね。
山崎 まさに、生活に根差した女性らしい気付きや視点ですよね。私も自分のできることから取り組んでいます。着なくなった洋服は、古着を回収している大手衣料品販売店があるので、そこに持って行くようにしています。中古品を扱うフリマアプリも活用していますよ。
柴田 へーっ、そうなんですか! 若い女性ならではの工夫ですね。そうそう、コロナ禍で文化芸術の分野も打撃を受けたじゃないですか。国の支援を実現させたのも、“女性の力”が原動力となったんです。いろんな人が支援策を求めようと願っていたんですが、考え方の違いなどで折り合いがつかず、なかなか前に進まなかったんです。
そこで立ち上がったのが女優の渡辺えりさんです。“立場の違いは置いておいて、まとまろうよ”との思いで、えりさんが声を上げ、文化芸術の関係者が一つにまとまったんです。私もえりさんから聞いて、久本(雅美)さんにも相談したりして――。共感力と口コミで、どんどん仲間を広げられるのが女性の強みですよね。
日々の暮らしについても、「これが便利よ」とか、「これってSDGsにつながるんだって」とか、あっという間に広がりますもんね。
山崎 女性の口コミにはすごい力がありますよね。誰かに話す中で別の発想が生まれ、どんどんオシャレに“バージョンアップ”していく。それが、社会全体の変革をも生み出せるんだと思います。
澤登 話は尽きませんが、そろそろ時間です(笑い)。柴田さん、今日は本当にありがとうございました。
私たち女性平和委員会は昨年11月から今年の4月まで、オンラインアンケート「子どもの笑顔を広げよう!」を実施しました。約2万人の皆さんから声をいただく中で私が改めて感じたのは、“子どもの声を聞く大切さ”です。子どもの気付き、発想って素晴らしいものがあるじゃないですか。希望ある未来を築くためにも、青年や子どもたちと一緒にSDGsについてさらに学び、実行していきたいと決意を新たにしました。
柴田 大切なのは、やっぱり、小さな行動でもそれに踏み出すことだと思うんです。1人が気付けば2人が続いて、10人、100人とスクラムが広がっていきますよね。将来を見た時、コロナ禍の中から、いよいよ新しい時代を開くことができるか、今が大きな分岐点になると感じています。SDGsを一時の流行にするのではなく、より良い未来をつくるために、私も皆さんと一緒に“実行”していきたいと思います!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます