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魔法の5行エッセイ

2015年06月01日 | 文化

英語がペラペラになる「魔法の5行エッセイ」 ハーバード流「非ネイティブ」の英語勉強法

あなたの発言を待たれています。2人の笑顔が曇らないよう、きちんと話せますか?(写真:Taka / PIXTA)© 東洋経済オンライン あなたの発言を待たれています。2人の笑顔が曇らないよう、きちんと話せます…

 ビジネスシーン、学校など、今やどこでも「英語を話す」ことが求められているが、英語を話すための近道は「英語を書く力」を鍛えることにあるらしい。これは意外に感じられるが、ハーバード大学をはじめとする世界に冠たる教育機関では、標準的な学習法だとのこと。グローバル時代を生き抜くための ハーバード式英語学習法(秀和システム)の著者であり、自身も外資系企業勤務後にハーバード大学でMBAを取得し、現在はビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)経営学部で教授を務める青野仲達氏に話を聞いた。


 書けない英語は話せない

 

© 東洋経済オンライン 提供 ハーバードの非ネイティブが実践する「英語学習」メソッドを、本邦初公… ――「英語を話す」ためのいちばんの近道が「英語を書く」ことだというのは、意外ですよね。

 今、英語学習法というと、とにかく「英語を話す」ということからスタートすると思うのですが、実は英語を話す前に書く力を鍛えるほうが、はるかに効率がいいのです。

 というのも、英語を話すことより、英語を書くことのほうが、ハードルが低いのですね。書くときは、しっかりと時間に余裕を持って自分の考えを整理することができます。一方、話すとなると相手が目の前にいるので、ゆっくりと考えている暇もありません。

 逆に言えば、そもそも書けない英語は、どんなに頑張っても話すことができないのです。ですから、英語を話したいのであれば、まずは書くことから始めるほうが入りやすいですし、何より簡単なので、挫折しにくいのです。

 ――ハーバードといった世界的に有名な教育期間でも、「書く」からスタートしているのでしょうか?

 はい。ハーバードのビジネススクールには、英語を母国語としない「非ネーティブ」の学生を対象に、「英語で生き抜く技術」を教えるプログラムがあります。その最重要項目が「エッセイの書き方」なんですね。

 ここで言う「エッセイ(essay)」は、日本語の「随筆」ではありません。気ままに思いついたことを書きつづったものではなく、相手に伝えることを前提に「自分の考えを整理して書いたもの」です。

 エッセイの書き方を習得すると、それまでは自信なげにうついむいていた人も、理路整然と話すようになっていくのです。欧州出身者も、中南米出身者も、アジア人も同じです。

 ――話す前に、自分の考えを整理する必要があるのですね。ただ、エッセイと聞くと、少し難しく感じられますが。


 たった5行で書けるエッセイ

 そうですね。本格的なエッセイとなると難しいのですが、エッセイの基本的な部分はたったの5行で書くことができます。たとえば、「私は夏が好きだ」ということが言いたいのであれば、こんなエッセイが書けます。

 I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

 The days are longer.(日が長い)

 We can dress down.(楽な服装ができる)

 I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)

 My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

 特に難しい単語や文法を知らなくても、こうして自分の考えを伝えることができます。

 ――なるほど、これならすぐに実践できそうですね。何かコツのようなものはあるのでしょうか?

 5行のエッセイを書くのは、とても簡単です。次の3つのルールに沿って書いていくだけです。

 ルール1 結論を書く

 「要は何が言いたいか」を書きます。「私は◯◯が好きだ」「◯◯はこうあるべきだ」という表現を使うと、うまく結論を導くことができます。たとえば、「夏が好きだ」と言いたいのであれば、シンプルに次のように書けばOKです。

 I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

 ルール2 理由を3つ挙げる

 結論を述べたら、理由を3つ挙げます。結論の後に理由を挙げるのは、それが自然な流れだからです。理由を3つにするのは、「それくらいがちょうどいいから」です。ひとつや2つだと頼りないけれど、「3つあると安心」という心理が人間にはあるからです。

 夏が好きな理由は人によってさまざまだと思いますが、あまり難しく考えず、思いつくままに書いていきましょう。たとえば、こんな簡単なものでOKです。

 The days are longer.(日が長い)

 We can dress down.(楽な服装ができる)

 I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)

  ルール3 結論を繰り返す

 結論を述べ、理由を3つ挙げたら、最後にまた結論を繰り返します。結論を繰り返す方法は2つあります。ひとつ目は「反復」です。これは、単純に結論とまったく同じことを書きます。この場合だと、単純に次のように書けばいいわけです。

 I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

 もうひとつは「換言」です。1行目の結論と同じことを、言い方を換えて書いてみます。「夏がいちばん好きだ」は、「好きな季節は夏だ」と同じ意味ですので、最初の結論は次のように言い換えることができます。

 My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

 「最初に結論を述べる」「理由を3つ挙げる」「最後に結論を繰り返す」。たった3つのルールですが、自分の考えを伝えるための次のようなエッセイが完成します。

 I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

 The days are longer.(日が長い)

 We can dress down.(楽な服装ができる)

 I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)

 My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)


 5行エッセイで作る「自分の意見」

 

――とてもシンプルな方法ですね。これは英語学習だけでなく、「自分の意見や考えを整理する」のにも役立ちそうですね。

 そうですね。英語が話せない人の特徴として、そもそも「話すことがない」というものがあります。日本では空気を読んだり、あいまいさを理解する気遣いがよしとされます。

 しかし実際に世界へ出ていくと、つねに自分の意見が求められますし、意見は明確な理由がないと通りません。つまり、ロジカルであることが要求されるのですね。そうした意味で、さまざまなトピックについてこの5行エッセイを書いておくと、「自分の意見」が持てるようになるはずです。


 文法や単語の勉強は「最重要」ではない?

 

――5行エッセイを書いていれば、「文法」や「単語」、「発音法」の勉強はしなくてもよいのでしょうか?

 しなくてよいというわけではないのですが、文法や単語の勉強というのは、個別にやるべきものではありません。

 5行エッセイを書くうえで、これは英語で何と言うのだろうと立ち止まることが必ずあると思います。その際は、ネットなどを使って、単語や文章を調べることができます。

 たとえば、「サッカーが好きだ」と書きたいのであれば、「サッカー 好き 英語」と調べれば、Web辞書の例文を調べることができます。そうして5行エッセイを書くうえで、つまり自分の考えを伝えるうえで、必要な単語や文法を調べるだけで十分です。

 むやみに単語を2000個覚えたり、英文法をすべて暗記するのは時間がかかるうえに、それを使う機会が訪れないので、頭に残りません。

 5行エッセイであれば、それは自分の考えや意見ですし、何より自分で書いたものなので、使った単語や文法はしっかりと頭に残ります。おまけに海外では自分の意見が求められることが頻繁にありますので、使いながら覚えていくこともできます。


 5行エッセイを会話やスピーチで使う

 

青野 仲達(あおの ちゅうたつ)ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授。早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、外資系企業勤務を経てハーバード大学経営大学院にてMBAを取得。2004年に株式会社GABA(Gabaマンツーマン英会話)を設立、代表取締役社長として2006年に東証マザーズ上場。現在は大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)で英語カリキュラムの設計に携わる。  ――5行エッセイを書いていれば、「文法」や「単語」、「発音法」の勉強はしなくてもよいのでしょうか?    しなくてよいというわけではないのですが、文法や単語の勉強というのは、個別にやるべきものではありません。    5行エッセイを書くうえで、これは英語で何と言うのだろうと立ち止まることが必ずあると思います。その際は、ネットなどを使って、単語や文章を調べることができます。    たとえば、「サッカーが好きだ」と書きたいのであれば、「サッカー 好き 英語」と調べれば、Web辞書の例文を調べることができます。そうして5行エッセイを書くうえで、つまり自分の考えを伝えるうえで、必要な単語や文法を調べるだけで十分です。    むやみに単語を2000個覚えたり、英文法をすべて暗記するのは時間がかかるうえに、それを使© 東洋経済オンライン 提供 青野 仲達(あおの ちゅうたつ)ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教… ――実際に、この5行エッセイを会話やスピーチに応用することは可能なのでしょうか?

 もちろんです。書いた5行エッセイは何度も音読・暗誦してください。そうすることで、一つひとつの英文が頭の中に残っていきます。たとえば、「コーヒーが好きだ」ということについて、次のような5行エッセイを書いていたとします。

 I like coffee.(私はコーヒーが好きだ)

 It tastes and smells good.(味や香りがいい)

 It keeps me awake.(眠気が覚める)

 It is good for health.(健康にいい)

 Coffee is my favorite drink.(私のお気に入りの飲み物はコーヒーだ)

 食後に会話がコーヒーの話題になったときに、書いておいた5行エッセイの中から「It tastes and smells good.(味や香りがいい)」と言ってみるだけでも、会話がつながっていきます。

 大切なのは、普段からさまざまなトピックについて、5行エッセイを書き、自分の意見を整理しておくことです。そうしてしっかりと準備をしておくことで、世界中のどこへ行っても通じる形で、英語が話せるようになるはずです。

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