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師弟共戦の旅を永遠に

2021年04月29日 | 妙法

〈随筆「人間革命」光あれ〉池田大作 師弟共戦の旅を永遠に2021年4月29日

目の覚めるような緑のイチョウ並木。みずみずしい生命が青空へ勇んで伸びていく(池田先生撮影。今月、都内で)
目の覚めるような緑のイチョウ並木。みずみずしい生命が青空へ勇んで伸びていく(池田先生撮影。今月、都内で)

 わが師・戸田城聖先生が宝とし、誇りとされていたものがある。
 それは、創価の母たち・女性たちの「福運ある笑顔」であり、「清々しい慈愛の声」である。
 意地悪な表情や陰険な悪口が渦巻く世相にあって、学会の女性たちのこの笑顔を見給え、この声を聞き給えと、先生は胸を張られた。
 一九五一年(昭和二十六年)五月三日、会長に就任されるや、結成されたのが、婦人部と女子部である。
 以来七十星霜、時は満ち、「女性部」が新出発する。
 混迷の時代の闇が深いからこそ、「平等大慧」の妙法の光を赫々と放ちながら、「桜梅桃李」という多彩にして伸びやかな微笑みと励ましの花園を、いっそう明るく楽しく広げていってもらいたい。

女性の幸の連帯

 日蓮大聖人は、女性の門下たちが支え合い、励まし合って信仰を貫いている姿を、心から讃えられた。
 佐渡の地では、千日尼と国府尼が「二人して」師を求め、麗しい「同心」で多宝の生命を輝かせていた。
 女性門下の娘と思われる「ひめ御前」の健やかな成長と幸福を深く願われているお手紙もある。
 御書の随所に、「必ず幸せに!」と女性たちを包みゆかれる御本仏の慈愛が拝されてならない。
 今、小さなグループを大切にして御書根本に学び合い、仲良く快活に前進する創価の女性のスクラムは、大聖人のお心に連なる、「異体同心」の模範である。この尊き草の根の絆から、地域に「希望の太陽」「幸福の太陽」「平和の太陽」が昇りゆくのだ。

人に灯を点せば

 大聖人が法難の中、書き送られた「佐渡御書」には、富木常忍四条金吾らとともに、さじきの尼御前の名前を挙げられている。
 さじきの尼御前は、あの「冬は必ず春となる」(御書一二五三ページ)の御文を頂いた妙一尼御前と同一人物とも考えられる。
 どんな迫害の冬に直面しようとも、この方々が健在であれば正義は負けないと、大聖人が深く信頼される団結の要の一人であったことは間違いあるまい。
 仏教史を顧みれば、釈尊の時代から、多くの女性の弟子たちが誕生し、その集いが生まれていた。
 女性たちは、師から“善き友だちに親しめ”と励まされ、「友と交るのを楽しむ者となれ」をモットーとしていた。同志との幅広い交流・触発を大事にし、精進していったのだ。
 二十一世紀の世界広宣流布も、「仏の如く互に敬うべし」(御書一三八三ページ)との仰せ通りの、女性の大行進とともに、無限の興隆発展を勝ち開いていくのである。
 今秋、待望の『日蓮大聖人御書全集 新版』が発刊の運びとなった。
 新収録の御書は三十二編に上る。また他にも、これまでの御書に、新たに御文を加えたものもある。
 その中に、女性門下に送られた「衣食御書」の後ろに、今回、合して収められた味わい深い一節がある。
 「人のためによる(夜)火をとも(点)せば、人のあか(明)るきのみならず、我が身もあか(明)し。されば、人のいろ(色)をま(増)せば我がいろ(色)ま(増)し、人の力をま(増)せば我がちから(力)まさ(勝)り、人のいのち(命)をの(延)ぶれば我がいのち(命)のの(延)ぶなり」
 人びとの前を照らす、地域の光明となる。人を励まし、元気づけていく。そうすれば、同時に、わが前も明るくなる。自分も励まされ、力づけられ、元気になると示されているのだ。
 まさに学会活動であり、創価の女性が「水のごとく」不退の信心で日々、実践している姿そのものである。

ツツジの花が真っ赤に燃え咲く。創価の女性たちのように、朗らかに、自分らしく輝いて(池田先生撮影。今月、都内で)
ツツジの花が真っ赤に燃え咲く。創価の女性たちのように、朗らかに、自分らしく輝いて(池田先生撮影。今月、都内で)
不退の心で開く

 ドイツ語版「御書」(第一巻)の監修を務めてくださったグリンツァー博士は、大聖人が「不退の決意を強く持った人」であったことに鋭く着目しておられる。
 さらに、大聖人は皆も不退になれるよう、「時代の危機を察知する」「誤った教えに惑わされない」等を指南した、といわれていた。
 そして今、人類の平和と繁栄が脅かされる「危機の時代」にあって、大聖人が示された「楽観主義」「希望を持つこと」「仏性の顕現によって宿命を転換しうるという考え方」は、現代人の人生の助けとなり、新たな視野を開いてくれる――。
 博士は、そう明晰に論じられているのだ。
 仏性という自他共に具わる無限の可能性を信じ抜くがゆえに、いかなる状況にあっても、希望の未来を信じ、決して疑わない。価値創造の道を断じて諦めない。
 「創価」の哲学と行動は、ますます希求されている。我らの地道な実践が、地球社会の人道と共生の明日を開いているとの誇りと確信をゆめゆめ忘れまい。

朗らかに仏縁を

 今回、新たに収録される一編「河合殿御返事」は、お手紙の末尾が残った御書である。その中にこう仰せだ。
 「人にたまたまあ(会)わせ給うならば、む(向)かいくさ(臭)きことなりとも、向かわせ給うべし。え(笑)まれぬことなりとも、えませ給え」
 たまたま会ったという人の中には、苦手だなと思うような人もいる。しかし、そういう人をも大きく賢く包容していくように教えてくださっている。からっと笑って向き合っていけばいいんだよ、と。
 大聖人御自身、猶多怨嫉の濁世で、誰よりも多くの人に会ってきたと言われている。ゆえに、弟子たちの苦労を全て見通され、いろいろ大変だろうけれども、にこやかに朗らかに仏縁を結んでいくよう励まされていると拝される。
 誠に深く、大らかな、人間学の真髄がここにある。
 悪世末法にあって、現実に一人ひとりの衆生を救うには、法華経に説かれる「柔和忍辱の心」で誠実に忍耐強く、信念の対話を重ねていくしかない。

「百万一心」とは

 今や全地球に広がった、創価の世界市民の聡明な笑顔が日々、躍動しているのが、我らの聖教新聞だ。
 創刊七十周年を晴れ晴れと飾り、戸田先生のお喜びはいかばかりであろうか。読者の皆様方をはじめ、支えてくださっている全ての方々に感謝は尽きない。 
 なかんずく、尊き配達の使命を果たしてくださっている「無冠の友」の皆様の健康長寿と絶対無事故を、さらに、さらに強盛に祈る日々である。
 作家の山岡荘八先生が、聖教新聞に小説『高杉晋作』を連載してくださったことも、懐かしい。
 山岡先生には、戦乱の時代に中国地方を一つにまとめ上げた戦国の雄・毛利元就を描いた作品もある。
 本年、没後四百五十年となる元就は、三人の子に託した「三本の矢」をはじめ、多くの逸話が存在する。
 広島県安芸高田市にある吉田郡山城跡には、毛利家ゆかりの「百万一心」の石碑が厳として立っている。
 石碑の「百万一心」との文字は、「百」の字の一画を省いて「一日」、「万」の字は書き崩して「一力」と、「一日 一力 一心」と読めるように刻まれている。
 すなわち、皆が日を一にし、力を一にし、心を一にし――時と力と心を一つに集中して挑めば、何事も成し得る、との訓言である。
 山岡先生の小説で、毛利元就はこう語っている。
 「百万一心は横の団結じゃ。しかし、横の団結だけでは決して目的は達せられぬ。これに、もう一つ、百代一心という、永い時間をいとわぬ縦の団結が加わらねば、大事は成就せぬものとわかったのだ」と。

前へ! 「立正安世界」の未来へ
我らは師子王の心 柔和忍辱の心で勝つ
栄光の「5・3」から船出しよう、希望の大航海へ! 九州・大分の友が制作した帆船(模型)の前で(1996年5月3日、創価大学で)
栄光の「5・3」から船出しよう、希望の大航海へ! 九州・大分の友が制作した帆船(模型)の前で(1996年5月3日、創価大学で)

 我ら創価学会には、「異体同心」という横の団結とともに、大聖人に直結して三代を貫く「師弟不二」の大誓願がある。
 まさに末法万年尽未来際への「永い時間をいとわぬ縦の団結」といってよい。
 だからこそ、強いのだ。
 あの晴れわたる七十年前の五月三日、戸田先生はご自身の写真を撮られ、後日、その一枚を私にくださった。裏には、先生の直筆の和歌が認められていた。
     
 現在も
  未来も共に 
    苦楽をば
  分けあう縁 
   不思議なるかな
    
 この「古の奇しき縁」の師弟の道を突き進む生命は、無窮の力を涌現できる。
 広宣流布の途上で亡くなられていった草創の父母たちの功労も、心も抱きかかえて、我らは征くのだ。
 そして今、世界中で、「新・人間革命」世代の男女青年部が、ヤング白ゆり世代の友が、また全世代にわたる地涌の勇者が、新たな広布の勝利の歴史を綴らんと、価値創造の理想に燃えて、新生の師弟共戦の旅を開始してくれている。
 この時を選んで躍り出てくれた「正義の走者」たる未来部の成長も目を瞠る。

魂燃やし新出発

 大聖人は師子吼された。
 「願くは我が弟子等は師子王の子となりて群狐に笑わるる事なかれ」(御書一五八九ページ)
 師子は強い。
 師子は負けない。
 そして師子は必ず勝つ!
 さあ、創価の師弟の魂を燃やす五月三日! 
 師子王の心を共に光らせ、未来へ出発しよう!
 立正安国、立正安世界へ、永遠の師弟の旅路を、三世の縁で結ばれた世界の宝友と共々に、誇らかに進んでいこうではないか!
 「前へ! 前へ!」と。
(随時、掲載いたします)

  
<引用文献>釈尊の女性門下の話は中村元訳『尼僧の告白』(岩波書店)、毛利元就の小説は『山岡荘八全集23 毛利元就』(講談社)、「百万一心」の話は石碑の由来文や『ガイドブック毛利元就』(安芸高田市観光協会刊)など。

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