給与や年金からさっぴかれる各種の税額について、ぼくはほとんど考えることもなくすごしてきた。サラリーマン時代などは、ほとんど見もしなかった。残った手取り額がいくらあるかが、関心のすべてであったのだ。年金生活に入っては、差し引かれる「税額」について思うことさへなかったのだ。これでも生活はできたのだからありがたい身分でもあったのだ。しかし、ここ数年、どんどん税額が大きくなってきて、神経をいらだたせている。とくにスタッフの給与支給を計算しだして、足掛け10年目を迎え、スタッフの税額の負担は、どうも気になりだした。
こんな背景の中で、事件が起きた。消費税10パーセントの増額衆議院法案可決だ。この増税に政治生命をかけるという野田総理の記者会見などを聞くたびに、税と社会保障の一体改革の道筋が、なんの疑問も困難もなく、消費税増額をもって堂々と可能でもあるかのような首相の美辞麗句の話を聞くたびに、言葉に酔っ払っている、床屋政談のおっさんの話を聞かされるような気分になってしまうのである。
税額を調べてみようと思い立ったのは、こんな政治状況にいらだってきだしたからである。また折りしも、ぼくの住民税が、去年とくらべて毎月3000円も増加した。この異様な増加に仰天して、さすがに市にその理由を問い合わせたことから、住民税の計算法を、調べることが始まった。そして、税や保険税などの計算の仕組みを、やっと知る体験を持つにに至ったのである。
給与から控除される税額は、所得税、これは毎年、確定申告をくりかえすので、だれしも自分で申告する限り馴染み深いものであろう。そのほかに、もっと恐るべきは県民税と市民税がある。そしてさらに、目に付かぬようにして、控えているのに社会保険料というのがる。これも税の一つと考えたほうがいい。なにしろ給与から天引きされるからである。社会保険料は健康保険と厚生年金と雇用保険であり、自営業なら国民年金保険である。
ただちに分ることは、税も社会保険料も毎年上がってきていることである。所得から控除額を差し引いて、一定の率をかける所得税も、乗じる率が今年は変わる。それよりも控除の種目を減らすことによっても所得税は増額する。これが、社会保険料となると雇用保険の率は変わらぬか、6パーセントから5パーセントに今年は下がったが、厚生年金も健康保険も毎年保険料率がひきあげられていく。前者については平成16年までの13.58パーセントから毎年0.345パーセントづつひきあげられ平成29年の18.3パーセントまでとなる。健康保険は、自治体が前年度支払った医療費の増減によって率が決まってくる。これは、毎年一律というわけではない。このようなことで、わがスタッフの一例をあげると、彼女の21年度の社会保険料(健康保険、厚生年金)は毎月の支払いが21年の27214円から24年33566円と、この5年間で毎月の保険料が6352円増額となっている。おそらくこの値上がり分について、彼女も他のスタッフたちも、給与明細を調べて、増額を正確に把握していないようでもある。値上げが年に一回であると、ほとんど気がつかないのかもしれない。まさに知らぬが仏であるともいえる。
県民税と住民税は、所得金額の市が6パーセントを取り、県が4パーセントを取る。県と市で所得の10パーセントを取られているのである。これがおおまかな税額となる。所得から控除とかのややこしい、説明読んでも理解不可能のわけのわからぬ計算も入っているが、おおよそ10パーセントがさっぴかれるのだ。恥ずかしながらぼくはこれを今度初めて知ったのだ!!ここで所得とは、これも金額ことに計算があるが、ようするに総収入から必要経費をさしひいた残額のことである。この必要経費というのは、具体的というより抽象的で、いっぱんには収入を4で割って、その額に応じて2.8とかなんとか係数を掛けた金額が必要経費ということになっている。
これらの計算法を当たっていくうちに分ることは、税額の計算とは、一般常識ではかんがえられない、概念、もしくは法律からわりだされたものであるということである。ある率を給与収入、営業収入に掛けながら、計算して所得を割り出し、そこから扶養控除とか障害者控除、学生控除、配偶者控除、基本控除などなどを差し引いていく。すべて数値があたえられていて、総収入250万円からも650万円からも機械的にわりだされていくのである。
そこで、想像してみれば、ただちにわかることであるが、税額が収入の21パーセント(だいたい21パーセントくらいが控除金額になる)を250万円からひかれるのと、650万円から引かれるのとは、その衝撃の大きさはまったく違うということである。650万円の収入は、地方公務員の平均給与であろうが、これだけの収入であれば、社会保険料の毎年0.345パーセントの増額などは、たいしたことはないはずである。250万円であるなら、生活のどこかを削らねばならなくなるということである。たとえば、食費を減らす。娯楽費を減らす。こどもの教育費、家賃支払い生命保険、がん保険、損害保険、自動車保険などと、生活のライフラインにも影響をあたえだす。この恐ろしさが、実は税額の割り出しには、反映されないのだ。
わずかな出費が、税として差し引かれるとどうなるのか。この現実については、つぎの比ゆで、想像してもらえないだろうか。ぼくは、15年ほどまえに北海道を20日ばかり1人旅したことがあったが、そのとき、興味本位で、1000円刻みでホテルの宿泊を試してみたことがあった。確か旭川市で、北海道で一番安いと宣伝チラシでみたホテルに宿泊してみた。たしか素泊まり2900円であった。玄関をくぐると、すぐに10畳ほどの部屋があり、すでに蒲団が5組ほど敷いてあった。相部屋はどうもとごねると、曲がりくねった廊下の突き当たりの部屋に連れ行かれた。窓もない部屋で、異臭が立ちこもり、押入れを空けると湿り髪の毛がついた敷布団があった。引き出すと、汚れたパンツが残されていた。ドアを開け放し、異臭を追い出し、外出してこようと、受付に行くと、初老の男が何かをしており、鍵をこちらの顔もみすに、目の前の机に放り出した。
これより1000円高いホテルでは、さすがに受付があり、部屋も窓があったが、部屋の下はラーメン屋で、その匂いでむせ返っていた。風呂はやはり共同であった。4000円代になると、寝具も古いものではあるが、取り替えられた気配もあり、バストイレもあった。ここまでになると、最低の基準はあった。ここから1100円さがると、宿泊客を客どころか人間とはみてない、なんというか、ただで泊まらしてやるといわんばかりの扱いを平然とやられるという状態に落とし込められるのである。わすか1100円の差である。この余裕がなくなれば、他人のパンツがまるめこまれ、髪の毛が付着している蒲団にくるまって寝ざるをえなくなるのである。
これは極端な例ではあるが、0.135パーセントという税率の上昇であっても、低所得者層にとっては、1000円でも2000円でも、避けられない出費は、打撃を与えるのだ。それが毎年毎年の増加となると、だんだんボディブローのように効いてくるのである。このぎりぎりの増額のダメージについて、国民全員一人一人が等しく分かち合って苦難をともにしていこうではありませんか。消費税の増加だけでなく、子ども手当ても年金などのライフ手当ても医療費も、景気の浮上も、将来の財政再建もずべてやるのであります・・などと言葉を連ねる、消費税増加の賛歌はあまりにも現実無視の視点である。
この宮崎市での平均所得は250万円くらいの中小企業の社員、自営業者それもほとんどが飲食などの小売業、そういう低所得層の家庭に増税のボディブローを与え続けてきているのを、あらためて浮かび上がらしてくれた。このような税率の基本的な改革がまず必要であろうと、素人のぼくでさへ思わずに入れない。脳天気で増税を説いている講談師もどきの政治の言説を、受け入れている場合ではないと思えだした。
こんな背景の中で、事件が起きた。消費税10パーセントの増額衆議院法案可決だ。この増税に政治生命をかけるという野田総理の記者会見などを聞くたびに、税と社会保障の一体改革の道筋が、なんの疑問も困難もなく、消費税増額をもって堂々と可能でもあるかのような首相の美辞麗句の話を聞くたびに、言葉に酔っ払っている、床屋政談のおっさんの話を聞かされるような気分になってしまうのである。
税額を調べてみようと思い立ったのは、こんな政治状況にいらだってきだしたからである。また折りしも、ぼくの住民税が、去年とくらべて毎月3000円も増加した。この異様な増加に仰天して、さすがに市にその理由を問い合わせたことから、住民税の計算法を、調べることが始まった。そして、税や保険税などの計算の仕組みを、やっと知る体験を持つにに至ったのである。
給与から控除される税額は、所得税、これは毎年、確定申告をくりかえすので、だれしも自分で申告する限り馴染み深いものであろう。そのほかに、もっと恐るべきは県民税と市民税がある。そしてさらに、目に付かぬようにして、控えているのに社会保険料というのがる。これも税の一つと考えたほうがいい。なにしろ給与から天引きされるからである。社会保険料は健康保険と厚生年金と雇用保険であり、自営業なら国民年金保険である。
ただちに分ることは、税も社会保険料も毎年上がってきていることである。所得から控除額を差し引いて、一定の率をかける所得税も、乗じる率が今年は変わる。それよりも控除の種目を減らすことによっても所得税は増額する。これが、社会保険料となると雇用保険の率は変わらぬか、6パーセントから5パーセントに今年は下がったが、厚生年金も健康保険も毎年保険料率がひきあげられていく。前者については平成16年までの13.58パーセントから毎年0.345パーセントづつひきあげられ平成29年の18.3パーセントまでとなる。健康保険は、自治体が前年度支払った医療費の増減によって率が決まってくる。これは、毎年一律というわけではない。このようなことで、わがスタッフの一例をあげると、彼女の21年度の社会保険料(健康保険、厚生年金)は毎月の支払いが21年の27214円から24年33566円と、この5年間で毎月の保険料が6352円増額となっている。おそらくこの値上がり分について、彼女も他のスタッフたちも、給与明細を調べて、増額を正確に把握していないようでもある。値上げが年に一回であると、ほとんど気がつかないのかもしれない。まさに知らぬが仏であるともいえる。
県民税と住民税は、所得金額の市が6パーセントを取り、県が4パーセントを取る。県と市で所得の10パーセントを取られているのである。これがおおまかな税額となる。所得から控除とかのややこしい、説明読んでも理解不可能のわけのわからぬ計算も入っているが、おおよそ10パーセントがさっぴかれるのだ。恥ずかしながらぼくはこれを今度初めて知ったのだ!!ここで所得とは、これも金額ことに計算があるが、ようするに総収入から必要経費をさしひいた残額のことである。この必要経費というのは、具体的というより抽象的で、いっぱんには収入を4で割って、その額に応じて2.8とかなんとか係数を掛けた金額が必要経費ということになっている。
これらの計算法を当たっていくうちに分ることは、税額の計算とは、一般常識ではかんがえられない、概念、もしくは法律からわりだされたものであるということである。ある率を給与収入、営業収入に掛けながら、計算して所得を割り出し、そこから扶養控除とか障害者控除、学生控除、配偶者控除、基本控除などなどを差し引いていく。すべて数値があたえられていて、総収入250万円からも650万円からも機械的にわりだされていくのである。
そこで、想像してみれば、ただちにわかることであるが、税額が収入の21パーセント(だいたい21パーセントくらいが控除金額になる)を250万円からひかれるのと、650万円から引かれるのとは、その衝撃の大きさはまったく違うということである。650万円の収入は、地方公務員の平均給与であろうが、これだけの収入であれば、社会保険料の毎年0.345パーセントの増額などは、たいしたことはないはずである。250万円であるなら、生活のどこかを削らねばならなくなるということである。たとえば、食費を減らす。娯楽費を減らす。こどもの教育費、家賃支払い生命保険、がん保険、損害保険、自動車保険などと、生活のライフラインにも影響をあたえだす。この恐ろしさが、実は税額の割り出しには、反映されないのだ。
わずかな出費が、税として差し引かれるとどうなるのか。この現実については、つぎの比ゆで、想像してもらえないだろうか。ぼくは、15年ほどまえに北海道を20日ばかり1人旅したことがあったが、そのとき、興味本位で、1000円刻みでホテルの宿泊を試してみたことがあった。確か旭川市で、北海道で一番安いと宣伝チラシでみたホテルに宿泊してみた。たしか素泊まり2900円であった。玄関をくぐると、すぐに10畳ほどの部屋があり、すでに蒲団が5組ほど敷いてあった。相部屋はどうもとごねると、曲がりくねった廊下の突き当たりの部屋に連れ行かれた。窓もない部屋で、異臭が立ちこもり、押入れを空けると湿り髪の毛がついた敷布団があった。引き出すと、汚れたパンツが残されていた。ドアを開け放し、異臭を追い出し、外出してこようと、受付に行くと、初老の男が何かをしており、鍵をこちらの顔もみすに、目の前の机に放り出した。
これより1000円高いホテルでは、さすがに受付があり、部屋も窓があったが、部屋の下はラーメン屋で、その匂いでむせ返っていた。風呂はやはり共同であった。4000円代になると、寝具も古いものではあるが、取り替えられた気配もあり、バストイレもあった。ここまでになると、最低の基準はあった。ここから1100円さがると、宿泊客を客どころか人間とはみてない、なんというか、ただで泊まらしてやるといわんばかりの扱いを平然とやられるという状態に落とし込められるのである。わすか1100円の差である。この余裕がなくなれば、他人のパンツがまるめこまれ、髪の毛が付着している蒲団にくるまって寝ざるをえなくなるのである。
これは極端な例ではあるが、0.135パーセントという税率の上昇であっても、低所得者層にとっては、1000円でも2000円でも、避けられない出費は、打撃を与えるのだ。それが毎年毎年の増加となると、だんだんボディブローのように効いてくるのである。このぎりぎりの増額のダメージについて、国民全員一人一人が等しく分かち合って苦難をともにしていこうではありませんか。消費税の増加だけでなく、子ども手当ても年金などのライフ手当ても医療費も、景気の浮上も、将来の財政再建もずべてやるのであります・・などと言葉を連ねる、消費税増加の賛歌はあまりにも現実無視の視点である。
この宮崎市での平均所得は250万円くらいの中小企業の社員、自営業者それもほとんどが飲食などの小売業、そういう低所得層の家庭に増税のボディブローを与え続けてきているのを、あらためて浮かび上がらしてくれた。このような税率の基本的な改革がまず必要であろうと、素人のぼくでさへ思わずに入れない。脳天気で増税を説いている講談師もどきの政治の言説を、受け入れている場合ではないと思えだした。