つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

冬牡丹

2012-12-18 00:32:49 | ジャズ

 中国北部原産のキンポウゲ科の落葉低木。牡丹は初夏と初冬の二季に咲く性質をもっている。

 牡丹の開花は通常、四、五月であるが、冬季に開花するものを冬牡丹、寒牡丹という。
 花は小形で色は白、紅、紫などがある。藁囲いなどをして寒さを防ぎ、江戸時代から観賞用に栽培された。

 「大和本草」に「冬牡丹あり。八月より葉出で、十月より花咲き、らふ寒の時も花あり」とある。

 歌舞伎十八番の「暫」では、「久しぶりでの寒顔見せ、雪にかじけぬ寒牡丹、真先がけの手初めに」と、市川家の替紋である牡丹に
 ちなんで語られている。
 また漢詩にも詠まれ、石川丈山に「雪中見牡丹」がある。

 ”残紅を落とし尽くして、始めて芳(はな)を吐く、佳名、喚(よ)びて百花の王と作す、競い誇る、天下無双の艶、独り占む、
  人間(じんかん)第一の香り”と唐の皮日休がうたった牡丹は、中国では百花の王と讃えられている。

 色彩とぼしい万物の枯れたなかに咲く冬牡丹には、東洋的風趣がある。


 ”見ておりぬ いのちしづかに 寒牡丹 ”(角川 春樹)・・・


  今日聴いたジャズ・・・


  WILLEM HELLBREKER・・・「HEART OF THE MATTER」


  本作は、ボブ・ブルックマイヤーとの共演歴があるオランダ人新進テナー・サックス奏者、ウィリアム・ヘルブレッカーのリーダー・
  アルバム。ワンホーン・カルテット作品。
  同じオランダの名ピアニスト、ベルツ・ヴァン・デン・ブリングを迎えて、味わい深い曲々が並ぶ好盤に仕上がっている。

  艶やかで伸びのあるテナーの音色。落ち着いたプレイ・スタイルは彼の真面目さと、ジャズに対する愛情をも窺わせる。
  バリバリ吹いて熱いブローを聴かせるタイプとは違ったスマートさを感じる。
  そういう点では、先日書いたデヴィッド・シルズに似ているかも知れない。


  全11曲中、6曲(3、4、6、8、10、11)がウィリアムのオリジナル、他の5曲はスタンダードで構成されている。
  スタンダードの解釈も申し分なくいいし、オリジナルが巧い人だなぁと思う。
  ピアノのベルツ・ヴァン・デン・ブリングの参加がアルバム全体をクオリティの高いものにしている、と言っても過言ではない。

1・OLD FOLKS・・・2・あなたと夜と音楽と・・・3・AUTUMN AVENUE・・・4・HEART OF THE MATTER・・・5・THE TOUCH OF 
  YOUR LIPS・・・6・JAZZCLUB・・・7・IN YOUR OWN SWEET WAY・・・8・TABULA RASA・・・9・I SHOULD CARE・・・
10・THE WIZARD・・・11・STRINGS AND WOOD・・・


  全体的にスローテンポで演奏されていて、なごみの一枚としても重宝している。
  ラストの”STRINGS AND WOOD”はテナーとピアノのデュオで、静謐感あふれる抒情味のある曲・・秀逸。。


   WILLEM HELLBREKER(ts)
   BERT VAN DEN BRINK(p)
   GREET ROELOFTS(ds)
   WIRO MAHIEU(b)


   2004年2月19日録音・・・