ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

アートの媒介力

2005-09-26 22:45:57 | アーツマネジメント
先日のブログ記事で紹介した、横浜市長期ビジョン 市民提案チーム「創造都市研究会」の主催による「第1回公開意見交換会」が、25日(日)14時から、「ZA-IM」ビル(旧労働基準局ビル、中区役所となり)にて行われた。

この「意見交換会」の開催には、社団法人横浜青年会議所(横浜JC)のメンバーが中心となって関わっている。市民からの意見の提案を地元の若手経済人が中心となって推進していこうという前向きの姿勢がうかがわれて心強い。

実は、以前にも、横浜JCが主催して今月初めに開催された「横浜経済人会議」(2005年9月2・3日)の様子をこのブログで紹介したことがある。同会議において、横浜JCは、初めて「マニフェスト」(政策提言)を作成し全来場者に配布していた。
その「マニフェスト」には、6つの政策が掲げられているが、そのうち3つが文化芸術に関わる政策であり、今後の実際の取り組みが注目されるところである。

→ 横浜青年会議所のマニフェスト (2005/09/04)

さて、今回の「意見交換会」では、私を含めて5人のスピーカーが、普段の活動を踏まえて横浜市の長期ビジョンをどう考えるかについてそれぞれ意見を述べた。
私からは、アートNPOとまちづくりをつなぐ「事業促進型市民ファンド」の創設を提案してみた。この内容については、改めて別項で紹介してみたいと思っている。

そのあと、参加者が5つのテーブルに分かれて、「文化芸術創造都市」の観点から見た20年後の横浜について、フリー・ディスカッションを行った。私のテーブルに同席した参加者からは、今後、アートの社会性を高めること、アートの事業性を高めることの2つが大切になる、との指摘があった。また、ひとびとの価値観やライフスタイルが多様化する中で、政策目標のイメージとしてのアウトプット、アウトカムも多様性のあるかたちで構想されなければならないこと。それには、アーティストだけではなく、プロデューサーやコーディネーターの役割が重要だとの認識も示された。

一方では、団塊の世代がリタイアする時期を迎えてますます社会の中で大きな割合を占めるようになるシニア世代の人たちが「健康、いきがい・趣味(友達)、少しのお金」に興味を持つことになるので、それを踏まえたライフ・サイエンス(これは、ライフ・デザイン・サイエンスとかライフ・スタイル・サイエンスという意味だろうか)の展開が重要、という指摘もあった。
他方、子どもたちへの教育の中にアートを取り入れることの重要性も多くの人が指摘した。

この日は結局、各テーブルで一時間ほどフリートークを行ったところで時間切れとなった。この続きは、10月23日の「第2回市民意見交換会」に引き継がれ、11月3日に、「創造都市研究会」がとりまとめて市民提案として市の有識者委員会(横浜国際港都建設審議会)に提案するという流れになっている。

→ 横浜市 長期ビジョンの策定

フリートークの中で、さまざまな意見が出されたが、私があらためて感じたのは、「アートの媒介力」ということだ。
アートは、アートとして独立して存在していているだけのものではない。教育にも福祉にも、もちろんまちづくりにも、力を発揮する。

未来、市民(主体)、共生、多様性というようなキーワードを挙げていくと、この「アートの媒介力」というものが、これからの社会でいかに大切なものか、かなりはっきりと浮き彫りになってくるように思う。



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