ときどき、ドキドキ。ときどき、ふとどき。

曽田修司の備忘録&日々の発見報告集

水を飲んでみよう

2008-07-19 22:07:22 | 大学
自分で特に意識していたわけではないが、跡見女子大学の今学期の授業では、授業で扱った事柄がきっかけとなって、実際にアートの現場を見に行くように促すことがいつもよりも少し多かったように思う。

「現代の舞台芸術ビジネス」では、ブルーマングループ東京公演のプロデューサー新井勝久さんに来ていただいて舞台制作のノウハウを直接話していただくことができた。

ブルーマングループの公演を見に行ってその上で与えられたテーマについてのレポートを提出せよという課題も出したので、ある程度の人数の学生が実際に舞台を見に行ってきたようだ。

その「現代の舞台芸術ビジネス」に限らず、私は授業後に学生たちにコメントカードを書いて提出してもらうことにしているのだが、それを見ると、「レ・ミゼラブル」を観に行きたい、とか、歌舞伎座に行ってほんものの歌舞伎を見てみたい、と書いてあるものが結構あった。

「アーツ・マネジメント/アーツ・マネジメントA」という授業では、横浜トリエンナーレのことを題材に取り上げて現代アートの特徴を説明するという内容の回もあった。そうすると、何人かの学生は、この9月13日から行われる横浜トリエンナーレ2008にぜひ行ってみたい、とコメントカードに書いてきたし、実際に横浜トリエンナーレ2008の本展ボランティアに登録した学生もいる。

学生にアーツ・マネジメントを教えるのに、当の学生たちがアートに触れた経験がないというのでは、およそ伝えたいことがまるで伝わらないことを覚悟しなければならない。
車の運転免許を与えるのに、路上で運転をしないことが前提では困るのと同じだ。

教員(この場合、私)が何をアートととらえ、それについてどのように思っているのかを自分たちのアート観と比較して考える。そのことを授業を通して行えれば、きっとアートに関する考えが広がり、深まるだろう。

英語のことわざで、馬を水飲み場まで連れて行くことはできるが、馬に水を飲ませることはできないというものがある(もとはどこの国のことわざなのだろうか)。

アート関連の授業では、水飲み場まで連れていくことにもっと気をつかっていい。これからも、もっと意識してそのことをやってみようと思う。




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