ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
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江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

2009-01-11 22:07:03 | 映画
昨年末、輸入盤として注文していた『Horrors Of Malformed Men』のDVDが届いた。

洋題だといかにも一昔前のB級ホラー映画っぽいが、コレこそ日本の映画史に燦然と輝く最凶の問題作にして、カルト映画の最高傑作である『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』なのであります。



本作について語るのは今更野暮かもしれないが、初めて劇場で本作を観た時のあまりの衝撃に震えた者としては、こうして“正規”のソフトとして自分の映画コレクションに加わる事には、もう言葉に出来ない位の感慨と喜びを抱いてしまう。

自分が本作を初めて観たのは、まだ石井輝男監督が現役でバリバリ映画を撮っていた10数年前だった。
ある劇場の企画として、石井輝男作品の特集がレイト・ショウで組まれ、自分は初めてこの作品と遭遇する事になった。



僕の映画好きとその趣向を知っていた知人より、「今度こんな企画があるから是非観ておくべきだ!」と強く勧められたのもある。
既に当時より、本作が「諸般の事情」により絶対にソフト化されない事は知っていたし、そして作品がどれだけ狂っていてヤバいかも知っていた。

しかし、この類のカルト映画にはありがちだが、妙に先入観と作品の「神格化」のギャップにより、実際に観た時に「何だこの程度か」と落胆するケースも少なくはない。

だが本作は違った。

ハッキリ言って自分が予想した以上の衝撃があり、あまりの狂った異常な内容に「何か観てはいけない映画」を観てしまった様な気分になった。



そんな戦慄を感じながらも、同時にラストであまりの常軌を逸した伝説的な結末に大爆笑したのも事実だ。

この映画は一体何だろう?!

今まで沢山の映画を観てきたが、個人的にはここまで狂った異常な映画は観た事がないと言える。

何か凄い映画を観たら、どうしてもその作品について誰かに語りたくなるものだ。
僕もずっと自分の体感した、この異常な映画について語り、誰かとその思いを共有したいと思っていた。

それが、このブログを通して果たされる、これほど嬉しい事はない!

本作は石井監督が当時手掛けていた異常性愛路線の究極の一本であり、「東映=見せ物小屋」という図式を最も具体化した作品だと言えるだろう。

本作は異常であり、明らかに狂っている。



でも同時に、やり場のない悲哀と切なさに満ちている。

それは今や伝説と化した、“人間花火”が登場するあのラストを観れば一目瞭然である。

もう何度も言うが本作は異常で狂っている、しかし映画としては決して物語的に破綻していないのも大きなポイントでもある。

出てくる人間は誰も異常で狂っていたり、今も観ても充分に衝撃的なアブナい描写が連続すれど、物語は意外なまでにストレートな正統派な推理モノであり、終盤の鮮やかな謎解きには誰もが唖然となるだろう。

ここに単にエロ・グロな“見せ物小屋”感覚だけでない、故・石井輝男監督の見事な手腕が発揮されている。

多分、今後日本で本作がソフト化される事は絶対に無いだろう。

今、輸入盤でリージョン・オールで手に入る間(既にリージョン1に切り替わりつつあるらしい)に、多くの人々に本作の持つ衝撃を体感して欲しい。

邦画の封印作品として、東宝の『ノストラダムスの大予言』と言う傑作がある。

ファンとしては、今回の『奇形人間』と同じようにソフト化される事を期待するが…無理だろうか?!


「お母さ~ん!!」





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