
6月、怒濤のロボット映画大戦争のトリを飾る、『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破』を観てきました。
とにかくビックリ!
コレはアニメ史に残る最高傑作の登場ではないでしょうか?!
凄いです、最高です、カッコ良いです、そして…切なくて泣けました。
もう何をどう書いても、本作を語る時はネタバレになるので、コレ以降の感想は激しくネタバレ、映画をこれから観る人は絶対に読まないでください。
(注意:ネタバレ覚醒!!)
前作の『序』がTVシリーズでいう第1クールの新解釈だったのなら、この『破』は第2クール以降、下手すれば劇場版2部作の新解釈とも言えます。
逆の言い方をすれば、我々が知っている『エヴァ』とは全く違う、完全に“似て否なるもの”として『ヱヴァ』の新たな物語が展開します。
前作が比較的アップ・テンポな作りだったのに対し、本作は「群像劇」として実に重厚なドラマ作りと、スーパー・ロボットもの豪快なカッコ良さと、日本の怪獣映画的要素とマニアックなSF映画的描写を加えたと言う印象が強い。
冒頭、いきなり第3使徒と仮設エヴァ5号機との激突からスタート。
本作の目玉である新キャラ、真希波・マリ・イラストリアスが早速登場、鼻歌混じりに5号機を操縦し、第3使徒撃破に出動します。

舞台はユーロ圏(北極?ロシア?)が舞台で、マリと加持の会話は日本語ながら、他は全て英語と言う洋画テイスト(笑)。
急建造の5号機は使徒に苦戦しつつも、自爆し使徒と共にあっさり消滅(マリは負傷しつつ脱出)。
ドリルによる大活躍を期待しただけに、可哀想な5号機(合掌)。
このオープニングだけで、本作が従来のTV・コミック・映画版とは全く異なる事が良く判ります。
空から華麗に登場し、あっさりと第7使徒を撃退してみせるアスカとエヴァ2号機。
本作では、式波・アスカ・ラングレーと名前が変わったアスカ。
2号機の強さ、そしてパイロットとしてアスカがいかに優秀かが判る秀逸さ。

登場シーンでこそ綾波を「依怙贔屓」、シンジ君を「(親の)七光り」と見下した態度を取り、言動も高飛車でワガママである。
しかし、基本的には他人との接触を嫌がり(独りで携帯ゲームをしている)、エヴァ・チームで第8使徒を撃退した時も何も出来なかった自分の虚無感と孤独をシンジ君に救いを求め、それが何時しか恋心に変わる可憐な少女になっています。
それ故に、海洋研究所(死海と化した海の再生と生物の保護が目的の施設)見学以降、互いに急速に距離を縮めるシンジ君と綾波に激しい嫉妬心を抱きます。
キャラの変化は綾波も同様。
ヤシマ作戦以降、先の海洋研究所にてシンジの手作りのお味噌汁の美味しさに感動し、シンジや周りの人間に対して急激に態度が変わり、より人間らしくなっていくのが判ります。

シンジ達に喜んでもらおうと、自分の手作り料理で皆をもてなそうと、密かに料理の特訓に励む姿は可愛いです(笑)。
そんな確かに芽生えだした人とのつながる事の喜びも幸福への予感も、エヴァ4号機の消滅、そしてネルフ本部に輸送される3号機によって儚く壊れていきます。
綾波主催のお食事会の目的が、実はシンジとゲンドウの親子の仲直りである事を知ったアスカは、3号機の起動実験のパイロットに志願します(ミサトに「気に入ったら赤く塗って」と言うシーンがアスカらしい)。
それを知った綾波は、アスカに「ありがとう」と不器用ながらもお礼を伝えます。
そして起動実験前のミサトとアスカの会話、アスカも素直に誰かに心を開き、笑える自分に驚きます。
しかし、コレが悲劇の幕開けとなります。
既に3号機は第9使徒に浸食されており、アスカも3号機に吸収されてしまいます。
何も知らず撃退に向かったシンジは、アスカを吸収した3号機との戦いを拒否します。
でも、ゲンドウの命令によってダミー・システムが発動、エヴァ初号機は3号機を残虐に撃退します。
初号機対3号機の時に流れる「今日の日はさよなら」は、体液や内臓をぶちまける凄惨極まる残酷・グロ描写によって、より虚しく悲しく鳴り響き印象的です。

救出されたものの、かろうじて「人」の形は留めているだけで、使徒による精神汚染によって隔離されるアスカ(この時のリツコの「貴重なサンプルだから」と言う台詞は非常に冷酷に聞こえます)。
この事件がキッカケとなり、シンジ君は心に癒せぬ大きな傷を負ってしまいます。
彼の内面描写によって、シンジが何故あのヘッドフォン・ステレオをいつもしていたかも判明(涙)。
本作でのシンジ君は、実に生き生きとした表情を見せます。
ミサトやアスカ、そして綾波の為に食事を用意したり、トウジ(初登場の可愛い妹さんへの溺愛ぶりが微笑ましい)や相田といった友人達との何気無い日常のシーンを通して、「彼」という弱くも優しいフィルターを通して、人々が確実につながっていくのが良く判ります。
個人的には、シンジにとって良き兄貴の存在である加持とのやりとりは印象的。
ちょっとホモっぽく「デートをしよう」と言って誘い、自らの趣味だと言う畑仕事を手伝わせるシーンは爆笑。
ここでの少々説教臭い加持とのやりとりが、実は後に重要になってきます。
そんなシンジ君は、ゲンドウ(「大人になれ!」と引き止める)やミサト(ネルフ志願の動機を加持から聞き「僕と同じだ」と共感する)との説得を振り切って、自分の居場所を捨てようとします。

この時の「もう、僕は誰とも笑いません」という台詞は、彼の開いた心が再び硬く閉ざされ、やり場のない痛みにさらされているのが判ります。
加持がよく口にする台詞に「子ども達に大人の都合を押しつけている」があります、ミサトもそれを充分に理解しながらも、生きていく為にはそれも仕方ないと割り切れない苦悩が見えます。
それに対して、「自分たちの目的の為に大人を利用するのは抵抗がある」と言ったのは新キャラのマリです。
彼女は何らかの明確な目的で動いている様ですが、現時点では今一つ明確にはされません。
そんな時、遂に最強の第10使徒が襲来します。
あっと言う間に壊滅状況に陥る新東京、ネルフ本部。
先にも言いましたが本作は重厚なドラマと、笑いとアクションとのメリハリが前作以上に効いており、終盤に向けて劇的な盛り上がりを見せます。
序盤の明るく和やかな雰囲気から、一転して中盤からは悲壮感漂うダークでブルータルな物語へとシフト・チェンジします。
ネルフの許可無く、バチカン条約(一国で保有するエヴァは3体まで)により封印されていたエヴァ2号機に搭乗するマリ。
第10使徒対エヴァ2号機の決闘は、今までのロボット・アニメ以上に凄まじいアクション描写の連続です。

しかし、そんなマリと2号機すら、最強の第10使徒の前では全く歯が立たず窮地に追い込まれます。
そこにN2ミサイルを抱えた、零号機に搭乗した綾波がシンジの捨てたヘッドフォン・ステレオを足に付けて出撃。
この時、綾波が「もう碇君がエヴァに乗らなくても良い様に!」と言います。
前作から続き、「何故エヴァに乗るのか?」と言うテーマが再び持ち上がります。
エヴァに乗る事が苦痛なシンジ、名誉と自分の為に乗るアスカ、それしかないと言う綾波、エヴァに乗る事を楽しむマリ…「エヴァ」という究極の兵器を操るのが子どもと言う過酷過ぎる現実。
マリはエヴァの事を知り尽くしているのか、意図的にエヴァを暴走させる「裏コード、ザ・ビースト」を発動させます。
自ら拘束具を解除して、醜悪で、まるで怪獣の様な姿に変貌するエヴァ2号機。
もう、この辺りの描写はまんま怪獣映画であります。
N2ミサイルの直撃とA.Tフィールドにも全く寄せ付けない第10使徒。
2号機を庇った事により、何と零号機は綾波と共に使徒に食われてしまいます。
吹き飛ばされた2号機により、その惨状を目撃したシンジ。
この時、初めてシンジの中でエヴァに乗る明確な理由が生まれます。
ダミー・プラグを拒絶し続けてきた初号機に乗り込むシンジ、彼の自分の大切なものを守る為に壮絶な戦い身を投じます。
その姿が何とも痛ましく、観る者の心を締め付けます。
本作では、前作以上にCGIにより使徒の姿がより非生物的かつ、禍々しい凶悪な姿にモデル・チェンジしています。
初号機でも第10使徒の前に苦戦を強いられますが、「綾波だけは守る!」と言うシンジの思いが初号機の“覚醒”を促します。
遂に本当の姿を現した初号機(光る左腕の復元は傑作『ガメラ3:邪神(イリス)覚醒』を彷彿とさせる)。
それは神に等しい存在であり、無敵を誇った第10使徒も覚醒した初号機を前にしてあっさりと消滅します。
この時のシンジ君の絶叫、神々しくも邪悪なまでに無敵な初号機、バックに流れる「翼をください」…何と感動的なシーンなんでしょう。
もはやヒトすら凌駕した存在であり、翼を持つエヴァの姿を見て、ミサトは戦慄します。
南極での、忌まわしき過去の思い出が蘇ります。
覚醒し、神の領域に踏み込んだエヴァによってサード・インパクトが誘発され、人類が滅ぶ…とリツコは言います。
そう誰もが思った瞬間、月面よりカヲル君が乗った「真のエヴァンゲリオン」と呼ばれる6号機が飛来する…で映画が終わります。
あと劇場で、泣いている人(自分を含む:自嘲)が多かったのに驚きました。
それはラストにおける、シンジと綾波の魂の交流があったからでしょうか?!
大切なものを失いたくないと言う悲痛な絶叫、硬く閉ざされていたシンジと綾波の心が文字通り結ばれたのが感動的に描かれていたからでしょう。
「私は死んでも代わりがいるから」という綾波、それを「代わりなんて居ない!来い!!」と叫ぶシンジ。
シンジが、守るべきものの為にエヴァに乗り、戦う明確な理由が生まれました…逃げる事なく彼はそれを受け入れます。
そこに絡む宇多田ヒカルの主題歌、その歌詞もあって更に泣けます。
本作はまだ謎を多く孕んだままです。
月の巨人が改造され、「真のエヴァンゲリオン」という6号機とカヲル君の目的は?!
加持がユーロより持ち出して、ネルフ本部に届けた「ネブカドネザルの鍵」とは?!
シンジと綾波により、初号機は覚醒すると知っていたゲンドウの本当の狙いとは?!
「死海文書・外伝」に掛かれている、新たな契約とゼーレの「人類補完計画」の意味とは?!
謎が謎を呼んだまま、物語が完結する『Q(“急”ではなくなった)』を待つしかない様です。
ここまで広げた謎と伏線の大風呂敷、以前のように途中で逃げ出す事なくしっかり完結して欲しいです。
「…シンジ君、今度こそ君を幸せにしてあげるよ。」
とにかくビックリ!
コレはアニメ史に残る最高傑作の登場ではないでしょうか?!
凄いです、最高です、カッコ良いです、そして…切なくて泣けました。
もう何をどう書いても、本作を語る時はネタバレになるので、コレ以降の感想は激しくネタバレ、映画をこれから観る人は絶対に読まないでください。
(注意:ネタバレ覚醒!!)
前作の『序』がTVシリーズでいう第1クールの新解釈だったのなら、この『破』は第2クール以降、下手すれば劇場版2部作の新解釈とも言えます。
逆の言い方をすれば、我々が知っている『エヴァ』とは全く違う、完全に“似て否なるもの”として『ヱヴァ』の新たな物語が展開します。
前作が比較的アップ・テンポな作りだったのに対し、本作は「群像劇」として実に重厚なドラマ作りと、スーパー・ロボットもの豪快なカッコ良さと、日本の怪獣映画的要素とマニアックなSF映画的描写を加えたと言う印象が強い。
冒頭、いきなり第3使徒と仮設エヴァ5号機との激突からスタート。
本作の目玉である新キャラ、真希波・マリ・イラストリアスが早速登場、鼻歌混じりに5号機を操縦し、第3使徒撃破に出動します。

舞台はユーロ圏(北極?ロシア?)が舞台で、マリと加持の会話は日本語ながら、他は全て英語と言う洋画テイスト(笑)。
急建造の5号機は使徒に苦戦しつつも、自爆し使徒と共にあっさり消滅(マリは負傷しつつ脱出)。
ドリルによる大活躍を期待しただけに、可哀想な5号機(合掌)。
このオープニングだけで、本作が従来のTV・コミック・映画版とは全く異なる事が良く判ります。
空から華麗に登場し、あっさりと第7使徒を撃退してみせるアスカとエヴァ2号機。
本作では、式波・アスカ・ラングレーと名前が変わったアスカ。
2号機の強さ、そしてパイロットとしてアスカがいかに優秀かが判る秀逸さ。

登場シーンでこそ綾波を「依怙贔屓」、シンジ君を「(親の)七光り」と見下した態度を取り、言動も高飛車でワガママである。
しかし、基本的には他人との接触を嫌がり(独りで携帯ゲームをしている)、エヴァ・チームで第8使徒を撃退した時も何も出来なかった自分の虚無感と孤独をシンジ君に救いを求め、それが何時しか恋心に変わる可憐な少女になっています。
それ故に、海洋研究所(死海と化した海の再生と生物の保護が目的の施設)見学以降、互いに急速に距離を縮めるシンジ君と綾波に激しい嫉妬心を抱きます。
キャラの変化は綾波も同様。
ヤシマ作戦以降、先の海洋研究所にてシンジの手作りのお味噌汁の美味しさに感動し、シンジや周りの人間に対して急激に態度が変わり、より人間らしくなっていくのが判ります。

シンジ達に喜んでもらおうと、自分の手作り料理で皆をもてなそうと、密かに料理の特訓に励む姿は可愛いです(笑)。
そんな確かに芽生えだした人とのつながる事の喜びも幸福への予感も、エヴァ4号機の消滅、そしてネルフ本部に輸送される3号機によって儚く壊れていきます。
綾波主催のお食事会の目的が、実はシンジとゲンドウの親子の仲直りである事を知ったアスカは、3号機の起動実験のパイロットに志願します(ミサトに「気に入ったら赤く塗って」と言うシーンがアスカらしい)。
それを知った綾波は、アスカに「ありがとう」と不器用ながらもお礼を伝えます。
そして起動実験前のミサトとアスカの会話、アスカも素直に誰かに心を開き、笑える自分に驚きます。
しかし、コレが悲劇の幕開けとなります。
既に3号機は第9使徒に浸食されており、アスカも3号機に吸収されてしまいます。
何も知らず撃退に向かったシンジは、アスカを吸収した3号機との戦いを拒否します。
でも、ゲンドウの命令によってダミー・システムが発動、エヴァ初号機は3号機を残虐に撃退します。
初号機対3号機の時に流れる「今日の日はさよなら」は、体液や内臓をぶちまける凄惨極まる残酷・グロ描写によって、より虚しく悲しく鳴り響き印象的です。

救出されたものの、かろうじて「人」の形は留めているだけで、使徒による精神汚染によって隔離されるアスカ(この時のリツコの「貴重なサンプルだから」と言う台詞は非常に冷酷に聞こえます)。
この事件がキッカケとなり、シンジ君は心に癒せぬ大きな傷を負ってしまいます。
彼の内面描写によって、シンジが何故あのヘッドフォン・ステレオをいつもしていたかも判明(涙)。
本作でのシンジ君は、実に生き生きとした表情を見せます。
ミサトやアスカ、そして綾波の為に食事を用意したり、トウジ(初登場の可愛い妹さんへの溺愛ぶりが微笑ましい)や相田といった友人達との何気無い日常のシーンを通して、「彼」という弱くも優しいフィルターを通して、人々が確実につながっていくのが良く判ります。
個人的には、シンジにとって良き兄貴の存在である加持とのやりとりは印象的。
ちょっとホモっぽく「デートをしよう」と言って誘い、自らの趣味だと言う畑仕事を手伝わせるシーンは爆笑。
ここでの少々説教臭い加持とのやりとりが、実は後に重要になってきます。
そんなシンジ君は、ゲンドウ(「大人になれ!」と引き止める)やミサト(ネルフ志願の動機を加持から聞き「僕と同じだ」と共感する)との説得を振り切って、自分の居場所を捨てようとします。

この時の「もう、僕は誰とも笑いません」という台詞は、彼の開いた心が再び硬く閉ざされ、やり場のない痛みにさらされているのが判ります。
加持がよく口にする台詞に「子ども達に大人の都合を押しつけている」があります、ミサトもそれを充分に理解しながらも、生きていく為にはそれも仕方ないと割り切れない苦悩が見えます。
それに対して、「自分たちの目的の為に大人を利用するのは抵抗がある」と言ったのは新キャラのマリです。
彼女は何らかの明確な目的で動いている様ですが、現時点では今一つ明確にはされません。
そんな時、遂に最強の第10使徒が襲来します。
あっと言う間に壊滅状況に陥る新東京、ネルフ本部。
先にも言いましたが本作は重厚なドラマと、笑いとアクションとのメリハリが前作以上に効いており、終盤に向けて劇的な盛り上がりを見せます。
序盤の明るく和やかな雰囲気から、一転して中盤からは悲壮感漂うダークでブルータルな物語へとシフト・チェンジします。
ネルフの許可無く、バチカン条約(一国で保有するエヴァは3体まで)により封印されていたエヴァ2号機に搭乗するマリ。
第10使徒対エヴァ2号機の決闘は、今までのロボット・アニメ以上に凄まじいアクション描写の連続です。

しかし、そんなマリと2号機すら、最強の第10使徒の前では全く歯が立たず窮地に追い込まれます。
そこにN2ミサイルを抱えた、零号機に搭乗した綾波がシンジの捨てたヘッドフォン・ステレオを足に付けて出撃。
この時、綾波が「もう碇君がエヴァに乗らなくても良い様に!」と言います。
前作から続き、「何故エヴァに乗るのか?」と言うテーマが再び持ち上がります。
エヴァに乗る事が苦痛なシンジ、名誉と自分の為に乗るアスカ、それしかないと言う綾波、エヴァに乗る事を楽しむマリ…「エヴァ」という究極の兵器を操るのが子どもと言う過酷過ぎる現実。
マリはエヴァの事を知り尽くしているのか、意図的にエヴァを暴走させる「裏コード、ザ・ビースト」を発動させます。
自ら拘束具を解除して、醜悪で、まるで怪獣の様な姿に変貌するエヴァ2号機。
もう、この辺りの描写はまんま怪獣映画であります。
N2ミサイルの直撃とA.Tフィールドにも全く寄せ付けない第10使徒。
2号機を庇った事により、何と零号機は綾波と共に使徒に食われてしまいます。
吹き飛ばされた2号機により、その惨状を目撃したシンジ。
この時、初めてシンジの中でエヴァに乗る明確な理由が生まれます。
ダミー・プラグを拒絶し続けてきた初号機に乗り込むシンジ、彼の自分の大切なものを守る為に壮絶な戦い身を投じます。
その姿が何とも痛ましく、観る者の心を締め付けます。
本作では、前作以上にCGIにより使徒の姿がより非生物的かつ、禍々しい凶悪な姿にモデル・チェンジしています。
初号機でも第10使徒の前に苦戦を強いられますが、「綾波だけは守る!」と言うシンジの思いが初号機の“覚醒”を促します。
遂に本当の姿を現した初号機(光る左腕の復元は傑作『ガメラ3:邪神(イリス)覚醒』を彷彿とさせる)。
それは神に等しい存在であり、無敵を誇った第10使徒も覚醒した初号機を前にしてあっさりと消滅します。
この時のシンジ君の絶叫、神々しくも邪悪なまでに無敵な初号機、バックに流れる「翼をください」…何と感動的なシーンなんでしょう。
もはやヒトすら凌駕した存在であり、翼を持つエヴァの姿を見て、ミサトは戦慄します。
南極での、忌まわしき過去の思い出が蘇ります。
覚醒し、神の領域に踏み込んだエヴァによってサード・インパクトが誘発され、人類が滅ぶ…とリツコは言います。
そう誰もが思った瞬間、月面よりカヲル君が乗った「真のエヴァンゲリオン」と呼ばれる6号機が飛来する…で映画が終わります。
あと劇場で、泣いている人(自分を含む:自嘲)が多かったのに驚きました。
それはラストにおける、シンジと綾波の魂の交流があったからでしょうか?!
大切なものを失いたくないと言う悲痛な絶叫、硬く閉ざされていたシンジと綾波の心が文字通り結ばれたのが感動的に描かれていたからでしょう。
「私は死んでも代わりがいるから」という綾波、それを「代わりなんて居ない!来い!!」と叫ぶシンジ。
シンジが、守るべきものの為にエヴァに乗り、戦う明確な理由が生まれました…逃げる事なく彼はそれを受け入れます。
そこに絡む宇多田ヒカルの主題歌、その歌詞もあって更に泣けます。
本作はまだ謎を多く孕んだままです。
月の巨人が改造され、「真のエヴァンゲリオン」という6号機とカヲル君の目的は?!
加持がユーロより持ち出して、ネルフ本部に届けた「ネブカドネザルの鍵」とは?!
シンジと綾波により、初号機は覚醒すると知っていたゲンドウの本当の狙いとは?!
「死海文書・外伝」に掛かれている、新たな契約とゼーレの「人類補完計画」の意味とは?!
謎が謎を呼んだまま、物語が完結する『Q(“急”ではなくなった)』を待つしかない様です。
ここまで広げた謎と伏線の大風呂敷、以前のように途中で逃げ出す事なくしっかり完結して欲しいです。
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