ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

RODAN

2007-06-13 18:15:26 | 映画
『空の大怪獣ラドン』を観た。
理由は勿論、先日読んだ『BUGS-捕食者たちの夏-』に触発されたから(笑)。
“総天然色”と言う言葉の響きが何とも懐かしいが、本作は邦画初のカラーによる怪獣映画であります。
DVD化される時には、既存のフィルムに修正・調整等を施しただけあり、その画質の素晴らしいさは邦画ソフトの最高峰だろう。
この『ラドン』を観ていると怪獣映画云々は抜きにして、一本の映画として実に丁寧かつ緻密に練り上げられた事が判る。

物語は北九州・阿蘇山の炭坑にて、謎の連続殺人事件が発生する。
当初は炭坑夫同士の争いが原因かと思われたが、何と炭坑には古代に絶滅した筈の巨大なトンボの“ヤゴ”メガヌロンが潜んでいた。
警官のピストルや、自衛隊の機関銃の銃弾すら弾き返し、次々と残忍に人々を襲うメガヌロン。
だがメガヌロンの出現は、これから始まる新たな“恐怖”の始まりでしかなかった…。

本作のタイトルであり、真の主人公であるラドンは何と中盤まで全く姿を見せません。
序盤は巨大なメガヌロンが、日常生活に乱入する恐怖(突如民家を襲撃するシーンは怖い!)と、その何をしても倒せない無敵ぶりが印象的。
でも、コレは実に巧妙な“ネタフリ”。
落盤により地中の空洞に落ちた主人公は、そこで大量のメガヌロンと更に巨大な卵を発見。
そこから羽化したラドンは、早速周りに大量にいるメガヌロンをエサにする。
人類にとってあれだけ無敵を誇ったメガヌロンも、更に巨大なラドンの前では単なる虫でしかないと言う展開に唖然となります。
こんな巨大な物が地上に出たら一体どうなる?!って思います。
ラドンはすぐに成獣に成長、地上に出ると超音速で地球規模で飛び回り、世界中に甚大な被害をもたらします。

ラドンは火を吐いたり、光線を出したりする特殊能力はありません。
確かに人や家畜を襲ったというセリフもありますが、基本的にあの巨体が飛び回るだけで、どれだけ凄まじい破壊力があるかって点が妙にリアルで、ラドン最大の怖さと魅力だとも言えます。

後半からの航空自衛隊との息詰まる空中戦、そしてラドンのソニック・ウェーブにより、飛び散る瓦の一枚一枚まで描いた九州方面の都市破壊描写は圧巻!

先のゴジラが最終的に、ゴジラに匹敵する大量破壊生物兵器により退治されたのに対し、ラドンは自衛隊の火器による阿蘇山の大噴火を誘発する事により、それに巻き込まれて退治されてしまいます。
そこには何のカタルシスも無く、実に悲壮感が漂う中エンディングを迎えるのが胸に突き刺さります。

とにかく、この『ラドン』には「怖い」と言う印象を持っています。
東宝怪獣としては珍しい「殺戮」(他はガイラ)型のメガヌロンの恐怖、超音速で飛翔するラドンの脅威、それらは観る者に鮮烈な恐怖を与えてくれます。
今こそリメイクしたら面白いのでは?
現代都市に発生するメガヌロンの大群、ラドンと自衛隊の最新鋭の兵器&戦闘機による超音速バトル…面白い要素がゴロゴロしていると思うが?!
でも、今の邦画の流れを考えると、妙にヒューマンな感じになって、「ラドンを保護しろ!」って新解釈が加わり、あまり面白くなるなるか…(苦笑)。
何はともあれ、本作は傑作です。
もう50年(!)も前の映画とは思えない、その素晴らしいヴィジュアル・ショックを是非体感してみてください!!