ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

SYSTEMATIC CHAOS

2007-06-09 22:43:16 | 音楽
元祖変態プログレ・メタル・バンド DREAM THEATERの新作『Systematic Chaos』を聴いた。
かのオリコンのアルバム・デイリー・チャートで3位にランクインし、かつてない勢いで売れまくっている本作。
アルバムの内容に関してファンの間では、案の定賛否両論の嵐となっている。

近年のDREAM THEATERの場合、良くも悪くも新作をリリースする毎に様々な物議を呼んでいる。
前作『Octavarium』の時には「らしくない」や「キャッチー過ぎる」と不評を買い、前々作『Train Of Thought』の時には「無闇にヘヴィ過ぎる」や「らしくない」と言われた。

結局DREAM THEATERと言うバンドを語る時、かつての傑作『Image And Words』や『Awake』からの呪縛から解放されていない事。
更には自ら切り拓いた“プログレ・メタル”と言うジャンルにあって、次々と登場する若いハイクォリティーなフォロアー・バンドの脅威に常に晒されているのも大きいのかもしれない。
メンバーから(特にマイク・ポートノイ)の一時期「脱メタル」的なニュアンスの発言もあっただけに、バンドの音楽性・方向性は流動的であるとも言えるのかもしれない。
世界的なメタルの復権に伴い、今のDREAM THEATERが新作でどんな方向性を打ち出すか興味深かった。

さて、個人的な『Systematic Chaos』を聴いた感想だが、そんなにファンが悪く言うような内容だとは全く思わない、それどころか相変わらずの高品質で完成度の高さに圧倒される。
でも、本作を「傑作」とも言えない、何とも言えない微妙な内容である。
音楽的には前作『Octavarium』のキャッチーさやメロディアスさ、前々作『Train Of Thought』のテクニカルにしてヘヴィかつダークな雰囲気の、ちょうどその「中間」と言う印象が強い。
B!のアルバム評にもあったが、ここ2作の“美味しい処”だけを抽出した感があり、音楽的な新境地を見つける事は残念ながら出来ない。
ただ先にも言ったが、さすがはDREAM THEATER! 他のバンドとは桁違いの完成度を誇るのは事実であり、バンドが提示する音楽性は相変わらずハイレベルだ。

2曲合わせて30分もの壮大な“In Presence Of Enemies”が出来るのもこのバンドならではだし、意外な様式美臭が漂う“Forsaken”は本当に良い曲であり、今にも石川さゆりがスモークの中から出て来そうなド演歌チックの“The Ministry Of Lost Souls”は強烈なインパクトを誇る。
さらに、本作でもジョン・ペルトーシ(G)のツボを押さえた素晴らしいギターは一聴の価値がある。

だが、幾つかの問題も明確になった。

まずはバンドのリーダーであるマイク・ポートノイ、この人の形振り構わぬ音楽的な姿勢。
この新作を聴くと明らかに“元ネタ”が露骨に判る事があり、オリジナリティと言う面で大いに疑問。
オマケに派手にVOまで取る姿勢には「でしゃばり過ぎ」と言う印象を持ってしまう、正にメタル・ドラマーにおけるイングヴェイだ。
あと、VOのジェイムズ・ラブリエの「限界」。
本作でもメロウな曲ではエモーショナルで素晴らしい歌を披露しているが、ヘヴィな曲にはあってはその線の細さが露骨になっているのが辛い。
ポートノイが野太い声でそれをフォローしているが、それでも明らかに限界が来ているのは明確。
DREAM THEATERが今後もヘヴィな側面を追求すれば、ラブリエのVOが足を引っ張る現象が起きている。
VOとして素晴らしい存在だが、バンドのヘヴィ・サイドと明らかに合わなくなっている…今後それをどう解消するのか大きな課題だと言える。

文句を色々言いましたが、僕個人としてはやや散漫な内容だった前作よりも、この『Systematic Chaos』の方が焦点が絞ってありカッコ良くて大好きではあります(笑)。
アルバムとしてクオリティーは凄く高く、今までDREAM THEATERを敬遠していた人でも聴きやすいのでは?!
しばらく聴き込めば、また大きく印象が変わる可能性もあるのがDREAM THEATERの不思議な魅力でもある(笑)。

時空を彷徨い
その肉体から離れ
心からも離れていく
この衝動を抑える事なんて出来ない
俺は突き進んだ!


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