だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

Tree model

2007-11-07 23:58:00 | 生活

セミナーで介護保険の給付決定のはなしを伺いました.それはそれで非常に興味深いところで,介護者の時間を測って給付額を決めてるだなんて,学部生のころに習ったテイラーシステムをほうふつとさせる(というか,そのまんまじゃないかという気も)ものがあって,おもしろかったです.給付額なんてそうでもしないと決まらないのかもしれないですが,タイマー片手に2日間付きっきりでそれぞれの介護サービスの時間を計測し,それを何千人にも対して行うってのは,なんていうか,行動科学も金がかかるんだねえと(そこが問題なのか?).自己申告なら「国民生活基礎調査」が似たようなことをやってますが,やっぱりサービスの強度を考えるとやらないといけないんだろうなあ.

で,そうやって集められたデータをどう分析するかなんですが,安易に「回帰分析かな?」と思ってはみたものの,何を何に回帰するのか見当もつかず,ううむ,と思っていたら,資料の片隅に「樹形モデル」の文字が.なんじゃこりゃ?と思ってインターネットで検索してみたところ,一種のノンパラメトリック回帰のようです(下のリンク参照).考え方自体はそんなに難しくはないのですけれども,変数の順序に依存するんじゃないかな?と思ったりします.なかなかに興味深い手法で,推定値は探索的に見つかるみたいなので,推定手法自体も(考え方は)難しくなさそうです.どこらへんに問題があるかよく分からん,というのは分かってない証拠ですけど.何かに使えそうな,使えなさそうな.ちなみに,Stataには組み込まれていません(←こういうことをチェックするのはどうなんだ)

あとは主成分分析など多用していたように思うのですが,主成分分析もよく分かってないので(直交基底への分解になるんだったとは思うんですが)違うかもしれません.ううむ.世の中知らないことがいっぱいですね.

リンク: 動物行動学者のための樹形モデル.


地方幹部

2007-11-05 22:16:00 | 生活

NHKスペシャルの「激流中国」というのはなかなか興味深くて,ここ数年は中国と関係のないこともないワタクシとしてはついつい見てしまうのですが,今回は「密着 共産党地方幹部」ということで,地方財政も専門のひとつになりつつある(?)こちらとしてはこりゃ見ずばなるまい,てなものです.取り上げられたのは広東省中山市小欖鎮の書記さんと,東北部の鎮(名前忘れた)の幹部さんでした.かたや珠江デルタ中部に位置し,広州から約60km南という好立地条件(下記リンク参照)のもとで,企業誘致に成功している地方,かたやかつての重工業の繁栄はどこへやら,失業者が多く工場誘致もままならないという地方,という絵に描いたような好対照をなしています.どっちもたいへんなのねえ,ってなものですし,この書記さんたちは誰に任命されてどこからやってきたのかよく分からないのですが,それでもこの2人にはやはり「共産党の地方幹部」という共通した行動様式があるようで,それが日本の自治体職員の行動様式とはえらくちがうんじゃないかなあと思ったりします.小欖鎮の書記さんを訪問したフランスの企業の人は「彼は誰よりも資本主義者だ」とは言っていますが,資本主義者であるかもしれないけれども民主的ではないわなあ,というところです.豊かな地方の幹部は労働者のためにバスの時間を変えさせ,貧しい地方の幹部は立ち退きの補償金を集めるために寄付を呼びかけるのではありますが,いずれも政府内(党内)ヒエラルキーの下のもの,あるいは住民自身に対して,暗黙の強制力を使っているように見えます.もちろん,工場誘致や都市形成なんてものには,たとえ資本主義・自由主義の経済であっても政府による計画が必要な分野ではあるのですが,しかしそれにしても彼ら幹部の発想が計画経済から抜けきっていないという違和感を与えます.あるいは関税の変更に対して,鎮の幹部が「ノートだって電子機器がつけばハイテクなんだ」みたいな話をしますが,いやいやだから租税法律主義ってのはないのか,という話.

うん,なんだかうまく書けませんが,なかなかに面白かったねえということで.「共産党地方幹部の行動様式にはまだ計画経済的な側面が残っている」と一行でまとめられるっちゃ,まあそうなんですけどね.

リンク: 小欖工業区.


ガソリンの値上げ

2007-11-02 12:48:44 | 経済学
原油価格が上がっている(via 日経)そうで,ガソリン価格も上げってるんだそうです.レギュラーでリットル当たり150円を超えるところもあるそうで,ハイオクとなるともっと高いんだろうなあと予想されます.朝のテレビを見ていたら,「そうなると庶民は大変ですよね」と高給取りのアナウンサーがコメントしてて,それはそれで間違っちゃいないと思うんですが,ガソリン価格が上がって石油消費量が減ればCO2削減に寄与するだろうし,チーム6%とかいうわりに目標は達成されそうにないわけだし,そこらへんのことはどうして言わないのかなあと思ったり.CO2削減とか環境税とかってそういうことなんでしょ? ……と思っていたら,「東京都の環境税検討、環境相「提案に共感」」(日経)ですって.環境大臣は原油価格の高騰の影響についてはコメントしないんですかね.ううむ.

ガソリンの値上げといえば,石油価格の高騰が肥満を減らす,という研究があるんだそうです(Improbable Researchより).ワシントン大学セントルイス校の院生さんの博士論文なんですが,石油価格が上がると車に乗ったりしなくなるからやせる,という話で,なんだかネタ論文扱いですが,ちらっとみてみると(PDF)ちゃんとマイクロデータを使って,州間のガソリン価格差を使った実証分析で,REStatに投稿中,という正しくも愉快な応用ミクロ経済学・医療経済学の実証分析だったりします.このセーネン,health economicsがご専門ということで,労働時間やたばこ価格の肥満に対する影響について論文を書いてますね.おもしろいですよねこういうの.

ということで,現下の原油価格の高騰に鑑みれば,数年後には日本のメタボ問題も解決の兆しが見えるようになるんじゃないかと,思います.そんなわけないって.


東十条病院

2007-11-01 23:42:00 | 生活

東京都北区の東十条病院が経営悪化や医師不足などを理由に11月からの全科休診を決めました(東京新聞).どこかで見たなあ,と思ったら,この病院のすぐそばのてんぷら屋さんがなかなかおいしいのでした.昔住んでたところにも近いし.さて,この東十条病院の休診なんですが,理由は医局による医師の引き上げと診療報酬改定に伴う経営悪化,ということらしく,北区内の災害拠点病院にもなっている中規模病院の休診は地域的には問題なんだろうなあと推測されます.東京都のはしっことはいえ都会の病院なのに.病院の倒産件数も増えている昨今ですが(←だれか実証分析しろって),そのなかにあって財務省は来年度の診療報酬引き下げを狙っているようです(時事).いわく,「医師の給与は依然高く、業務の合理化余地はある」なんだそうで,これまたお医者さんグループに反発食らうだろうなあという話.ま,全体を引き下げてなかの配分を変えることで「効率化」できればそれでいいんでしょうが,ほんとにそんなにうまくいくのかしらん,とは疑問に思います.病院の倒産が多いのも,多すぎる病床数を下げられてよかった,てなものなんでしょうし.病床数が多いのは確かかもしれないんですが,医師は不足しているのはよく言われることなので,そこで給料下げちゃいかんだろ,とは誰も言わなかったんでしょうか.お医者さんは給料のために働いているわけではないとは言いますけど.

ところで,診療報酬を変えてどこそこの分野に重点配分ってな言い方をすると医療提供者のインセンティブにはなるんですが,同時にその分野を受診する患者にとっては自己負担額の増大になるわけで,所得再分配的な影響をもちます.ひょっとすると受診行動が変化するかもしれません.なんでそういう話は出ないんでしょか.みんな高額療養費制度の対象になるからかな?