だからちがうんだってば.

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混合診療

2007-11-23 17:26:00 | 医療
ちょっと前になりますが,東京地裁が「混合診療禁止は法的根拠がない」という判決を出した(たとえばここ)そうで,それに対して厚生労働省が控訴したという話がありました.それに乗ったのかどうなのか,規制改革会議が混合診療の解禁を答申に明記するといっているらしく(たとえばここ),日本経済新聞でも3日にわたって混合診療のあり方を問う,というのが「経済教室」に出てました.大雑把に言うと,最初の2日(松井証券の松井社長,医科歯科の川渕先生)は混合診療解禁派,最後の1日(学習院の遠藤先生)は解禁慎重派,ということのようです.1日目では,混合診療を禁止する理由がよく分からんという話,2日目は混合診療を禁止したために発生しうる弊害(治験など)の話,3日目は混合診療解禁に伴って患者への請求が野放図になる危険性があるよという話,が気になりました.

ぼくはなんとなく,「特定療養費制度(いまは保険外併用療養費制度になったらしい)によって認められる範囲が広がるのだったら,あるいは保険収載の広さが十分に広ければ,混合診療を認めなくてもよいのではないか」と思っていて,かといってとくに混合診療禁止を強く支持するわけでもないです.治験のネックになるかもしれないけど,治験の費用って薬会社がもつのではないの?と思ったり.混合診療がネックになるのはたいがいは先進医療にかかわることで,高額な費用がかかるケースなので,「混合診療を解禁すると金持ちに有利」というのは直観的にもよく分かりません(松井社長の論点の一つ).まあかといって,「どんな治療を受けるかは患者の自由なんだから保険収載されているものは払ってあげればいいじゃん」というのも,こと先進医療が適用されるようなケースで「患者の自由」ってそんなにあるのか?という疑問があったりします.と,つらつら考えてみると,「危険が大きい先進医療の費用をだれが払うか」という話と,それに付随する「医療分野における特殊平等主義をどこまで認めるか」という話になるような気がします.後者については特殊平等主義が認められてそうな気がするのでおいておくと,前者についても,保険収載前の診療行為については自己負担なわけですから,その治療から得られる知見がもたらす外部性を考えると,補助金出してもいいぐらいなような気がします.おや?

混合診療を禁止するとトクをするひとがどこかにいるってことなのか?誰だ?