財政学や公共経済学の講義をしていて最近の実例を挙げる,ということになるとやっぱりどこかで一度は登場するのが北海道夕張市じゃないかと思います.Migrationの実証に使えるとか,会計操作の実例として興味深いとか,そういうこともあるんですが,地方における医療崩壊とあいまってえらいことになりそうだというのもポイントではないかと思います.で,旧夕張市民病院について,購読者が増えることで収入が入るというメールマガジンが発行されていますのでご紹介.受け取るだけで助けになるらしいので,ついでになかなかおもしろいので,ぜひぜひどうぞ↓
家計の構成員の労働供給行動も個別に分析する必要があるね,というところで,Alex Gelberの2007年の論文が引用されてるんですが,Gelberってだれだ?とおもって検索してみたら,Harvardの院生さんでした.そういえばアメリカの院生さんたちはいまが就職活動まっさかりということで,日本人の方々も大活躍であるなあ,というのをネット上で再確認して,省みてがっかりし,また時間をつかっちゃったことにがっかりし,ついでにこんなの書いてしまってそのことでがっかりし,というまあそういうはなし.共同研究のお相手の先生がこれまたよく働くのでがんばらないと.はー.
Feldstein, Martin S. 2008. Effects of Taxes on Economic Behavior. NBER Working Paper 13745.
医師に訴訟リスクが大きくなると検査が多くなったりするという現象があって,ひっくるめて防衛医療defensive medicineと呼ばれます.アメリカについては実証分析もあって,現在の日本でも無視できない効果があるんじゃないかと思うんですけど(実証はなかなか難しいかもしれませんが),どうもそのつながりらしい現象が起きているそうで↓.
治療の副作用や合併症に関する医学論文の数が昨年後半から急激に減少したことが、東京大医科学研究所の上(かみ)昌広客員准教授(医療ガバナンス論)らのグループの調査で分かった。このうち、診療中に起きた個別の事例を取り上げた「症例報告」はゼロに近づいた。グループは、厚生労働省が検討する医療事故調査委員会の発足後、行政処分や刑事責任の追及につながることを医師が恐れて萎縮(いしゅく)し、発表を控えたためと推測している。
元論文が見つからなかったのですが,そういうものなんでしょうか.個別症例を取り上げると関係者が同定されてしまうってことなんでしょうけど.事故調査委員会みたいな制度が本格的に必要なんでしょうねえ.よくわかんないけど.
名古屋にある大学で財政外部性のミニコンファレンスがあるので出席しました.しかし都会の私学の校舎はおおむねきれいで掃除が行き届いていてうらやましいです.どこの大学がどうだということではないのですけれども.今日は発表が5本.4番目に発表することになっていたので,3番目あたりからやや緊張気味です.
2本目のM先生の発表はおおよそ聞いたことがあるようなないような話で,それはそれで興味深いのですが,自分の発表内容に近いという点では1本目と3本目がなかなかに興味深かったです.いずれもいわゆる空間計量経済学の手法を用いて,地方政府の支出水準の「相互作用」の存在や大きさを検討するものでした.日本での実証研究はまだそれほど多くはないのでstylized factsを見つけるという段階にあるのかもしれません.さて,地域政府の支出水準が「隣接した」地方政府の支出水準と相関をもつとき,その原因はいろいろあります.支出の効果が越境して効果を持つ(技術的スピルオーバーの効果)や地理的な原因かもしれませんし,地方政府が結託もしくは協力しているのかもしれません.あるいは,上位政府からの指示に従っているので相関があるように見えるだけかもしれません.これらの要因はたがいに識別することはなかなか困難ではあるのですが,それでも制度的特性を考慮してある程度その原因を特定化する,あるいは「この影響は排除する」ってなことを考える必要があります.そのあたりをいかに工夫するかというのが最近の研究では配慮されているのであるよねえ,というのが僕の理解なのですが,なかなか現段階では難しいみたいです.
そのあたりに対処しようと思って今回の論文は書いているつもりだったんですが,どうだったでしょうか.S大学のN先生には「被説明変数の選択にあんなにこだわるのは素晴らしい」ほめられたので,そこはうれしかったですけど.
土曜日から名古屋で研究会なので夕方から新幹線で移動.可児にいる友人と名駅近辺で飲むことにしていたからです.この可児にいる友人というのは大学からの友で,いたく尊敬している人物のひとりです.弁護士というとM&Aでぼろもうけ,というイメージもありそうなところ,この友人は弁護士ゼロワン地域に近いところへ派遣されていて,なんだかもうかりそうもない(?)仕事をしているようです.「貧乏暇なし」と申しておりましたが.
夕方に無事名駅で合流できたので,ちかくの山ちゃんに行ってみます.この友人と「山ちゃん」という単語には浅からぬ縁がありそうなものですが,ここはそんな話はほとんどしないで,名古屋における手羽先の勢力分布について話を聞きます.ではあるのですが,山ちゃんは大人気らしく,近くはどこも空いていないとのことなので,適当にそのあたりの飲み屋に入ってビールと焼酎をしこたま飲み,手作り風な煮物やかきふりゃいを堪能しました.
佐賀地検のキャラクタが脱力してしまうとか,ちーばくんも負けてはいないのではないかとか,水曜どうでしょうとサクサクの同値性とか,弁護士は権力の手先になっちゃうという話があるとか,どうでもいいようなどうでもよくないような話をぐだぐだとたくさんしました.司法制度改革で法曹人口を増やすということでその一方で質が下がるから良くないよねってなことが法務大臣あたりには気になることのようですが,弁護士が少なすぎる地域も厳然と存在するわけだし,「権力の手先」とか言ってる場合じゃないよなあとおもいます.国選弁護士っていうのはやっぱりちょっと切ないですね.
後日知ったのですが,千葉地検のキャラクタもいかがなものかという気が.
Podcastingというのは便利なもので,落語が聞けたりカナダのニュースが聞けたりするわけですが,日本経済新聞社では「長谷部瞳は日経一年生」というコンテンツを配信していて,長谷部瞳が経済のことに興味を持っているのはなんだかうれしいんですが(日経新聞はともかくとして,と言ってはいけないのでしょうが),ぼけーっと聞いてると,ブランチリポーターとかやってる長谷部瞳が「そういえば株が年初来安値をつけたって……」とか言ってて,いやいやだから「ねんしょらいやすね」って.日経1年生なんでしょうが.JOMOのおねえさんはそういうこと言わないと思うな,と思ったり.……この感覚,何かに似ているなあと思ったら,「『英語でしゃべらナイト』をしばらくぶりにみたら英語が妙にうまくなってた釈由美子にびっくり」と似ていると思いました.わかんないひとはわかんないでいいです.
マクロ経済学の授業とかで長谷部瞳が来て西川さんと対談してくれたらすげー勉強しちゃうよなあきっと.と思ったんですが,そういう企画は実現しないんですかね大学の経済学部というところでは?
NHKスペシャルというのはときどきえらく影響力を持つ特集をしていて,ワーキングプアとか激流中国とかがそれに当てはまるんじゃないかと思うんですけど,新型インフルエンザの脅威を特集したこれ↓もなかなかに興味深い.感染研のO先生の研究結果が出るかなあと思ってみていたらやっぱり出たんですが,他の情報と組み合わせるとなかなかおっかないですね.おっかなさばかり強調してるんじゃないかとか批判はありうべしでしょうが.
データとしては総務省の「市町村税の税率等に関する調」というのがあるらしくて,TKC全国会が住民税についてはデータベース化してるみたいですが,えーと元資料はどこで入手可能なのやら? 総務省図書館なのかしらん.ぐぐってみると,集計結果はちょいちょいみつかるんですけどねえ.
ということで,締め切りに追われる学術論文(←ほとんど語義矛盾ですが)も,本文を書き始めるとひっかかる点が続出.だから文章は早く書き始めないといけないし,文章を書く訓練をしないといけないんだけどなあ.ああ.