だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

正倉院

2007-11-12 13:41:00 | 生活

思いつかれたので,「正倉院展」に行ってきました.正倉院といえば,奈良東大寺の近くにある校倉作りの建築物で,ササン朝ペルシア等の影響を強く受ける文物が非常によい保存状態を保っているということで有名で,中学受験から大学受験まで日本史では多少なりとも出てくる建物です.知らなかったんですが「正倉院」というのはもともと固有名詞ではなくて,官庁や寺に設けられた重要物品を納める倉のことを一般に「正倉」といい,この正倉が集まった一角を「正倉院」というんだそうですな.で,いつのまにか各地の正倉院がなくなってしまい,奈良に残っている正倉院のことを指して固有名詞として使われるようになったんだそうで.ふーん.

正倉院展というのは毎年秋に2週間ほど開かれるイベントらしいんですが,今回の主な出展宝物は墨絵弾弓とか紫檀金鈿柄香炉とかなんだそうです.聖武天皇といいますから8世紀頃の天皇家や東大寺に関係するお宝ということで,あの時代にどうやってこんなに細かい細工をしたのであろうか,いまなら鋭いナイフとかあるものを,ということで,これらはこれらで興味深いですし,また四分律のような達筆が虫食いもなく保存されているのは素晴らしいんですが,個人的に非常に気になったのは,行政文書(?)の数々です.奈良時代なので戸籍に基づいて租庸調が徴収されていたわけですが,この戸籍が残っています.それぞれの世帯主から世帯員・の名前まできちんと揃って整然と書かれていました.また,一種の生活保護のようなもの,子どもを亡くした高齢者や寡婦に対する支給の記録もありました.これにも受け取るべき人の名前,年齢が細かく書かれていて,実質的にどうであったにしても,制度ができていて対応する記録をとろうとしていて一部はそれが行われていたらしい,というのは,いまさらながらに驚きです.当時の通信技術でちゃんと執行していたのかどうかはそれはそれで興味深いですけど.ついついじろじろ見てしまいました.

奈良まで行ったので,ついでに特別公開されていた興福寺の阿修羅像をはじめとする乾漆八部衆立像を見に行きました.思ったより小さかったですが,さすがにきれいでした.阿修羅像の腕って意外と細いんですね.それから,北円堂にある無著・世親像も見てきました.運慶らの代表作で,日本を代表する彫刻のひとつなんだそうですが,高僧らしい威厳が……ではないな,菩薩だったんですねこのひとたち.日本史の教科書とか資料集でしか見たことないのが見られる,ってのは素晴らしいですねえ.