だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

Yellowknife (3)

2008-12-31 23:39:00 | Canada

3日目のオプショナルツアーについては,最初は「先住民の文化に触れるかんじきツアー」を考えていたのですが,New Years Eveでもありお休みということで,犬ぞり体験+操縦というコンビネーションにしました.オーロラ鑑賞と同じバスで同じ場所に移動します.鑑賞地は湖の入り江沿いにあり,寒さをよけていたティーピーの向かい側の岸に犬たちが飼われています.犬ぞり体験自体はそれほど時間のかかるものではないので,そのあたりで焚き火を囲んでマシュマロを焼いてみたり,そこらへんに無造作に突き刺してあるかんじきを履いてそこらへんを歩き回ったりして極北の雪を満喫しませうてなものです.

左の写真は,暇つぶし用に(?)設置されている滑り台の上から撮ったものです.空気中の水蒸気が樹々の枝で結氷して蔵王の樹氷のようになった白い林が一面に広がっています.この滑り台,けっこうな人気者らしくて凍ってしまっておりまして,壁に当たると怪我をするのでちゃんと丸まって滑ってくださいね,ということだったので,ちゃんと丸くなって大きなタイヤ状のものに乗っかって滑ったのですが,おしりを深く入れすぎてしまい,途中で強かに打ってしまいました.うー.

犬ぞりを引っ張る犬種には,シベリアンハスキーとかアラスカンハスキーとか,あと1種類くらいいるらしいです.写真撮ろうと思ったらカメラが凍ってて断念しました.残念.犬ぞりが帰ってくるたびにわんわん言っているのですが,寒くないんでしょか,などと思っていたら順番が回ってきました.この犬ぞりツアー,体験ツアーでは操縦するマッシャーを含めて5人乗せたそりを10頭立てで引いて,操縦体験では操縦補助のスタッフさん(こちらがほんとは指示を出しているですが)を含めて2人乗りを10頭で,1周15分くらいの森の中の周回コースを走ります.ぼくらの順番が回ってきたころには,10組近く走らせたところで御犬様たちもさすがにお疲れのようでした.そんなお疲れの御犬様にお願いして操縦体験からです.操縦体験と言っても,そりの後ろに立って乗って,前に座っている本職のマッシャーさんに言われるままにブレーキをかけたり,カーブに合わせて重心を動かしたりするだけです.だけなんですが,10頭の犬が前をとことこ引っ張っていくのを十分堪能できる,なかなか素敵な体験です.お疲れの御犬様たちは,さすがに「今回のマッシャーはアマチュアやな」と思っているわけではないと思うのですが(『動物のお医者さん』白熱の犬ぞりレース編の読みすぎ),しょっちゅう後ろを振り向いたりよそ見をしたりしておりまして,なんていうか,こんなもんなんかいな,てなものなのですが,それでもとことこと1周走ってくれまして,マイナス40度近いところを走るので尋常でなく寒いながらも楽しい体験でした.目線が高い位置にあるので,犬たちのうごきがよく見え,また白い森の中を駆ける爽快感もあり,レジャーとして体験するにはすばらしいです.これで移動したりしようとはあまり思わないですけど(寒いというか冷たいし).終わってしばらく経ったら,今度はふつうの体験ツアーです.こちらは,そりの中に縦列で座っていくというもので,先頭に座らないと犬の姿はあまり見えないのですが,それでも雪の中のジェットコースターみたいな感じでおもしろいです……なのですが,このそり,ときどき軽くジャンプして,それが滑り台で打ったおしりに響いて,えーと,大変でした.尾てい骨にひびでも入ってたんじゃないかと危惧しております.そのあとしばらく坐骨神経痛みたいですし.うう.

それやこれやでオプショナルツアーを楽しんで,宿に戻るバスを待っているあいだは毎日放送の「冬は秘境だ!」チュートリアルの2人がオーロラを見に行っているのの録画を見たり,しておりました.しかしなんですね,テレビに出ている建物のなかでその番組を見るってのは妙な気分ですね.宿に戻って一休みしてから,またオーロラ鑑賞に出かけます.やること自体はぜんぜん変わらず,オーロラが出ていれば外に出てぼんやり見上げ,出ていなければ内に入ってココアを飲み,バッファローのスープなどいただいておりました.

この日もきれいなオーロラをみることができました.うすい緑色のオーロラが帯のように空を横切っているのは,地上からのレーザーのようにも見えますが,もっとぼんやりふらふらしています.星もよく見えるのですが,2等星くらいなら濃くないオーロラだったら透けて見えるくらいなものです.今回は帯状のものが幾筋も全天にかかったかんじのことが多かったです.さて,31日ということで,新年カウントダウンがあったり,10分ほどの花火があったりしました.真っ暗ななかでみるオーロラと花火の組み合わせは美しいものでした.スタッフさんもたいへんだなあ.ということで写真を拝借.

1231_1_2 1231_2_2 1231_3_2

ま,しかし,カウントダウンとはいっても,イエローナイフは日本時間より16時間遅いので,「おしりが痛い」といいながら犬ぞりに乗っていたころには日本ではすでに年が明けていて,「朝まで生テレビ」もやってたか終わってたかな時刻だったと思うと,なんだか変な気分です.ま,「朝まで生テレビ」なんて見ないんですけど.


Yellowknife (2)

2008-12-30 23:11:00 | Canada

オーロラ鑑賞は夜のイベントなので,昼間は基本的にやることがないうえに日照時間が短いのですけども,ここはどどーんとオプショナルツアーに参加してきました.2日目は市内観光です.夜が遅いイベントが続く関係上,昼のツアーの始まりも午後からです.目的地はおもに4つです.議事堂,博物館,氷の道,オールドタウンです.

第1の目的地は,準州の議事堂.準州に首相(premier)っているんだっけか,と思いつつ見物しました.年の瀬も押し迫って12月の30日だというのに管理人のおじさんがいました(クリスマス休暇中だろうに,というほうが正しいですか).ノースウェスト準州自体が新しい準州であることもあって,この議事堂も93年竣工だそうです.議員数は20弱,10を超える公用語が認められている準州では,これらの公用語を同時通訳できるシステムが作られていて,議席の周りにはブースがいくつもありました.連邦議会でも英仏語が使われているわけですが,いやしかし.文化多元主義(でしたっけ)もたいへんです.あと,議長さんが使うとか言う権威の象徴の杖もりっぱなものでした.ふむ.

第2の目的地はすぐちかくにある博物館.イギリスの皇太子(ということは,カナダの皇太子でもあるわけ?ですが)がいらした際に正式開館ということで,Prince of Wales Northern Heritage Centreというのが正式名称です.ノースウェスト準州出身の芸術家の作品や,先住民の暮らしぶり,極北の動物たちの剥製などが展示してあってかなりおもしろかったです.毛皮さわり比べコーナーとか.鯨とか野牛とかどうやって食べてたかとか,どんなもの着ていたかとか,個人的には興味しんしんで見ていたのですが,ま,時間も限られているということで.ちょと残念.あ,あと,現代芸術が分かりにくいのは場所を問わないんですかね.

第3の目的地は氷の道です.これは湖が凍っている間はその上を車で通行してもよいというもので,湖の対岸にあるダイヤモンド鉱山や先住民にとっては冬季の非常に大切な道なんだそうです.制限速度は40km.空が碧くて,湖が白くて,寒くて,素敵な風景でした.

第4の目的地はオールドタウンです.現在の市街地からみて北東の方向にある旧市街です.イエローナイフは凍土に覆われている町なので,その昔は家を建てるのも一苦労だったようです.土台を打って家を建てても,凍土が緩んでまた凍ってというのを繰り返しているうちにだんだん傾いてくるものもあったようです.現在は地中奥深くまで杭を打つことによって高層のホテルも建てられていますけれども.しかし昔の木造の家というのは隙間風が寒そうでしたが,ああいうところで生活していたんでしょうか.ゴールドラッシュで1つ荒稼ぎというのも大変です.あと,そのような状況で陸地にある建物に高い税金がかかったことから,湖に浮かべる家というのも登場しました(イエローナイフは湖畔の町です).いまでは金持ちの別荘らしいですが,かつては節税対策の一環だったそうです.えらく派手な色使いが印象的でした.もちろん冬季は湖が凍結してしまうので,家は動いていませんでした.ついでにちなみに,極寒の地で木も細いために,建築資材はすべて南から移送しなくてはならないそうで,おかげで住宅価格はカナダにしてはえらく高いそうです.さらについでに,生鮮食料品もほとんどが南からの輸送なので,生活するのには全般的にお金がかかるそうです.金鉱やダイヤモンド鉱山でけっこうな給料を払っているために,それを目的として若い人たちがお金を稼ぎに来ているというパターンが多いらしく,イエローナイフ市の平均年齢はかなり低い(30代じゃなかったかと)そうです.

で最後にGallery of the Midnight Sunというギャラリーと土産物屋さんのあいのこみたいなところに寄ってツアーは終了です.このギャラリーで,いろいろな毛皮を売っていました.動物からはぎとって乾かしただけ(?)のものなので,使い道はよく分からないですし,そのままではマフラーにはしにくいシロモノなのですが,肌触りが柔らかなことこの上ないのでかなり迷いまし た.

晩ごはんは,Yellowknife Innと同じ建物にあるレストランで軽く食べたあと,Sushi Northでおすしを買ってみました.カナダに来て以来,あまり日本食には近づかないようにしていたのですが,北極いわな(Arctic Char)が気になったもので.サーモンに近い感じで(あたりまえか),なかなか美味でした.

さて,昨日に続いて午後8時過ぎにお迎えのスクールバスに乗り込み,昨日と同じところに出かけました.この日はバスで移動中にすでにオーロラが見えかけているという素敵な展開でした.寒いのは相変わらずで,ちょいちょいティーピーに籠もっておりました.ティーピーのなかには薪ストーブがあって,スタッフのおじさんがときどき薪を足しに来るので,ソファの毛皮について聞いてみました.怪しい英語で会話したところによると,この毛皮はバッファローのもので,ここの人が撃ったものなんだそうです.でもおじさん本人は狩りはしないんだそうで.ついでに,薪の木の種類について聞いてみましたが,こちらはよく分かりませんでした.薪になりそうな木の種類の単語なんてpineくらいしかしらんのですが,この薪も南から運んできているようです.えらいこっちゃ.薪ストーブでお湯をたいているとはいえ,基本的に非常に乾燥しているので,この薪がびっくりするくらいよく燃えます.むかし祖父のうちで薪でお湯を沸かしていたときにはなかなか火がつかなくてうなっていたものですが,ここでは腕の太さほどの薪があっというまに着火してくれます.

30日のオーロラはなんだかすごかったです.ティーピーのなかでココアを飲んでいたら「きゃー」という声が聞こえたので出てみたら,カーテン状にふらふらしているオーロラが見えました.昨晩のオーロラは緑色だったのですが,今回はちらほらと赤や黄色が出たり,カーテンがゆれるように動いたりしていました.左の写真は,手持ちのデジカメ(IXY digital 20iS)をマニュアルモードにしていろいろいじって撮った写真です.なんにも準備していかなかったわりにはがんばったのではないかと.

容易に想像されるとおりに,オーロラビレッジさんでは写真撮影サービスも提供しています.まあこれがけっこうなお値段で,CDに焼くと別料金ってなものなのですが,これはさすがに撮ったほうがよかろうとおもって撮っちゃいました.この写真撮影,カメラの設定はよく分からないのでおいておくとして,シャッター時間が30秒ほどです.で,この間にいちど,撮影される人たちをライトで照らしますというと,オーロラと人物がきれいに写ると,こういうことになっています.つまり露光はオーロラについては30秒ですが,照らした人物については一瞬ということになるわけです.で,この撮影風景を見ていてふとおもいだしたのが,あのデイリーポータルZでやっていたオーヤマメソッドの応用編「アナログ合成写真」です.暗闇でシャッターを開いているあいだに,違う場所で2回強い光を当てれば1枚の写真に2回写ることができるという話なんです(詳細は記事参照)が,オーロラの撮影風景も原理は同じ.ということは!! シャッターが開いているあいだに違う場所で2回照らしてもらえば,オーロラを背景に僕が2人いるという幻想的な写真が撮れてしまうではないか!! と思って密かに興奮し,ツ魔の「じゃあ頼めば?」という冷静な応援も得ていたのですが(呆れていただけらしい),オーロラがきれいなときは写真撮影隊のみなさんも御多忙で待ち行列もできていて,そのようななかに趣旨を説明して撮影していただくにはさすがに忍びなく,泣く泣く断念しました.残念(←まだ悔やんでいる).

ということで,オーロラビレッジさんの写真を拝借.
1230_1 1230_2 1230_3

今回は5段階評価でレベル5のオーロラでした.スタッフの皆さんも大興奮ですね.

書いている途中に,同じツアー(08年3月)に参加したとおぼしき他人様の旅行記発見.写真がきれいですね.カリブーとか食べればよかったかな.


Yellowknife (1)

2008-12-29 22:20:00 | Canada

「オーロラなんて見たがるのは日本人くらいだ.天気がよければエドモントンでも見られるよ」と受け入れ教授から言われてはいるのですが,カナダまで来たんだし日本人なんだし,ということで,日本からつ魔が来た機会を利用して,オーロラ(aurora, northern lights)を見物に出かけました.アルバータ州内でも産油地として有名なフォートマクマレイ(Fort McMurray)もオーロラを見ることのできる土地として知られるようになっているようですが,今回の行き先は本格的に(?),北部準州の1つ,ノースウェスト準州の州都,イエローナイフ(Yellowknife)です.準州(territory)は州(province)とは違うのかとかいう難しい問題はカナダで学位をとられた地方財政の先生に聞いていただくとして,イエローナイフは北緯62度,北極圏の南512kmに位置し,人口は約2万人の小さな都市です.州都でこの人口ですから,ノースウェスト準州の人口密度の低さは驚くばかりで,無人の永久凍土が広がる中にちらほらと先住民が住んでいるという状況のようです.イエローナイフはかつては金鉱の町でした(2004年に最後の金鉱が閉山)が,1991年に町の北300kmの地点でダイヤモンド鉱山が発見されてからは「クリスタルの町」として知られており,近くデビアス社が操業を開始するそうです.オーロラベルトの真下に位置し,晴天率が高いことからオーロラの町としても人気が高い,と「歩き方」に書いてました.ついでにWikipediaを見ていたら,「ラストクリスマス」で日本人への知名度が上がったんですって.ふーん.矢田亜希子ですかー.

さて.エドモントンからイエローナイフにはいくつか直行便も飛んでいるのですが,時間と費用について検討した結果,行きはカルガリー経由で行くことにしました.エドモントン国際空港では,キングストンに行くときにえらい待たされた記憶があるので早めに行ったのですが,こういうときに限ってちゃんと進めてくれました.26日には西部の雪と雨でバンクーバー発着の航空便が乱れに乱れたのですが,その影響も収まっていたようで,カルガリー空港の乗換えでばたばたしたのを除けば順調にイエローナイフに到着しました.

今回お世話になったのは,オーロラビレッジという業者さんで,あとから聞いたところによると社長さんはこちらの先住民の方らしいのですが,僕らが接したのは全員が日本人で,客もほとんどすべて日本人でした.すごい.英語要らないですねこりゃ.さて,イエローナイフ空港には午後2時ごろ着きましたが,すでに日は低く,寒波の影響で気温はマイナス40度になんなんというところでした.だいたい日の出が午後9時半,日の入りが午後3時半なので,ぼーっとしていると日没になっていました.知ってはいたけど,というところですね.空港から宿(B&B)に連れていってもらいました.今回の宿はEmbleton houseで,オーロラビレッジとも仲良しみたいです.オーロラ見物というのは夜のイベントなので,午後8時くらいに出発して午前1時か2時に帰ってくるので,B&Bだとなおさら理解ないとダメよねえ,と思います.このEmbleton houseのオーナー夫妻はえらい親日家でみょうな日本語を口走ったりする(お茶のことを「Kato」と言ったりはしません.)親切な人でした.部屋はbasementというやつで,オーロラ見物のスケジュールを考慮してか,朝ごはんは自由にということでした.晩ごはんは出ないので,とりあえずスーパーに出かけてみましたが,数ブロック歩くだけで寒さに耐えられなくなるところでした.こりゃ防寒着を貸してくれるわけです.

さて,午後8時過ぎにオーロラ見物ツアーのお迎えのバスが来て,市内から30分ほどのところにある,オーロラビレッジが所有する(?)オーロラ鑑賞などの施設に移動します(これです).Google mapで探したんですけどよくわかりませんでした.ま,私有地ですし.移動はオレンジ色のスクールバスなんですけど,着いてみたらこのバスが4台くらいあって,日本人ばかり総勢100人くらいがうろうろしていました.すごいね.着いたあとは最初に施設の案内を受けてからは0時20分の再集合までは自由時間です.オーロラが出れば外で眺めるし,出ていなければティーピー()と呼ばれるテントみたいなもののなかでじっとしているか,食堂に行って夜食をもらうか(この日はバッファローのスープだったかな),どうにも天気が悪ければイベントが企画されるのでそれを見るか(凍ったバナナで釘を打つとか),といったところです.われわれは小さな宿に泊まっていたからかどうか,小さなティーピーに案内されました,数人はいれば満員といったところで,ソファーに毛皮がどーんと敷いてあります.薪ストーブがおいてあるのですが,このティーピー,キャンパス地で周りを囲っただけのシロモノなので,あったかくてほっとするというほどではありません.でもお湯が沸いていてココアやコーヒーが楽しめるのでなかなかよくできてはいます.

行くまでぜんぜん気にしていなかったのですが,オーロラを撮影しようとする人はけっこういるみたいでした.ぼくもデジカメを持っていたのでひょっとして写るんじゃないかと思って夜景モードで撮ろうとしてみましたが無理でした.あと,寒いので電池が切れやすいのと,戸外からティーピー内に持ち込んだときに固まって(結露して?)エラーが出るのには注意が必要でした.もらったパンフレットに「撮影方法」がいろいろ書いてあったのはこのためなのねー.で,この日のオーロラですが,オーロラビレッジの速報によると,オーロラレベルは5段階の3だったそうです.ふーむ.

ということで,オーロラビレッジさんの写真を拝借.

写真だとえらく緑色に見えますが,肉眼だとそんなに緑がかってないです.もっとぼんやりしてますし,下のほうの森とかは真っ暗でほとんどみえないです.ぼやーっとしててきれいというか不思議なものでした.あと,ずーっと出ているというものでもなく,ときどきふらーっと出ては消えたり,うすぼんやりのこったりします.

(おまけ)「お茶のことを「Kato」と言ったり」は,尊敬するヤマグチ先輩にその昔教えてもらったジョークです.英語でお茶の話になるたびに思い出します.

 

Season of Giving

2008-12-25 13:15:00 | Canada

北から寒波が降りてきて,カナダの東海岸・西海岸では大雪で,バンクーバー国際空港は使える滑走路が限られるだかなんだかで短距離・中距離の運航が中止になったりしているWhite Christmasを迎えております.中部に位置するエドモントンは雪は少ないのですが,最高気温がマイナス20度くらいの日々が続いているので降った雪が溶けないです.しかし,雪のせいで欠航が相次ぐなんて,だいじょうぶなのかバンクーバー(←だから誰に言ってる).

さて,客員研究員というのはほっとかれるといたく寂しい立場なのですが,見るに見かねたのかどうか,クリスマスディナーというのに2件もお呼ばれしました.ひとつは地方財政のM教授のおうちので,後で聞いたところによるとおもに留学生をターゲットにした年中行事になっているんだそうです(地元民は期末試験が終わると実家に帰ってしまうから).大学院生とその関係者,教授の身内など合わせて20人ばかりのディナーでした.いくらカナダの一般的な家が広いからといって20人も入れば大騒ぎです.べつにこれといったイベントがあるわけではなくて,ごはんを食べておしゃべりしておわりなのですが,20人からの食事や飲み物をいろいろと大量に,終わりには「余ったから持ってかえって」とタッパーに入れて配るくらい用意して,如才なく会話して,というのは大変なことじゃないかと心配になるくらいでした.おしゃべりというのが苦手なんですが,心温まるイベントで堪能しました(会話についていけないのは考慮しない).教授のお孫さんの女の子もかわいらしくうろうろしてましたが,ああいうので鍛えられるんでしょうか.もうひとつは,受け入れのD教授のおうちので,こちらは6人ていどのちいさなものなんですが,七面鳥の丸焼きやらなんやらがこれまたけっこうな量で用意されていて,あまつさえ終わりにはお土産(料理を分けてくれたもの)をいただいて感謝することしきり,というものでした.

日本にも毎週のゼミのあとに学生に付き合って居酒屋代を出してあげる独身貴族みたいな先生もいるわけですが,家族を巻き込んでこのホームパーティっつうのはなかなか難しいであるねー,と思います.文化の違いと言ってしまえばそこまでなんですけどね.わけわからん院生を相手におしゃべりするなんて,なかなかできる芸当じゃない…と思ったのですがそうでもないんですかどうなんですか.

いずれにしても,「クリスマス・キャロル」に見られるように,カナダではクリスマスはただの祝日ではないようです(「ただの」祝日というのが語義矛盾だったりしますが.).日本でもやってる救世軍の社会鍋はがんばってますし,フリーペーパーの「クリスマスの過ごし方」という記事にも「寄付や奉仕はよい」とあるし,CBCはCool to be kindという特集を組むし,ま,そういう季節だということです.ううむ.CBCといえば,「カンダハールのクリスマス」という兵士からのメッセージもありました.

ということで,そんなクリスマスシーズンに雪のせいで飛行機が飛んでなかったりするわけですが,「今度,アフガニスタンに派兵されるので,クリスマス休暇で両親に会いに行こうと思ってるんだけど,欠航だなんて…」と歯を食いしばっていた若者の姿には泣けました.ほんとに.


カナダ人は分かってない.

2008-12-15 23:47:00 | Canada

この週末から週半ばにかけて北のほうから寒気団がやってきており,中部カナダはえらく気温が下がっております.最高気温がマイナス20度くらいで,体感気温でマイナス40度くらいなので注意しましょー,とのことです.マニトバはもっと寒いみたいです.再来年に冬季オリンピックが開かれるバンクーバーはそれほどでもないようで,「あんなあったかいところで冬のオリンピックなんてどうなの?」とか思ってます.うそです.寒いのが苦手なひとはバンクーバーがよいでしょう(←誰に言ってる).

さて.Metroと並んで(?)よく見かけるフリーペーパーに24 Hoursがあります.地元の記事についてはMetroと同じ内容のことも多いのですが,月曜日の24 Hoursのカナダ欄がなかなか興味深くて.

見出しは "Canadians don't get it: Survey" でして,カナダ人相手に行った政治制度についてのアンケートの結果がひどい,という記事です.次のような質問があったそうです.

  1. カナダの元首(head of state)は誰でしょう:(a) 女王(The Queen), (b) カナダ総督(The Governor General), (c) 首相(The prime minister)
  2. カナダの政体を最もよく表現しているのはどれでしょう:(a) 立憲君主制(A constitutional monarchy), (b) 議会共和制(A representative republic), (c) 共同議会(? A co-operative assembly)
  3. まるばつ:首相はカナダ国民によって直接選挙されている
  4. まるばつ:選挙のあと(Soon after an election),そのときの政府が下院の多数による支持を得ていないときは,カナダ総督は,野党が政権を構成できるときには,新たな選挙を求める首相の要求を拒否できる.

正解は,(a) (a) ばつ まる,です.ひっかけといえばひっかけっぽいような気もしますが,でも自分の国のことですしね.カナダ人の正解率は,1問目が24%,2問目が59%,3問目が49%,4問目が90%,ということで,さすがに最近話題になった規則については正解率が高いです.

日本については……と思って軽くぐぐってみたらなんだかややこしそうな話になるのでやめときます.この前,地方財政の授業で日本の説明をしたときには,「日本はカナダと同じ立憲君主制で二院制で議院内閣制なのよ」と言っちゃったんですけど,まあいいか.いいのか.


近い満月

2008-12-13 15:27:59 | Canada
テレビを見ていたら満月の映像がひょこっとでてきて,「ひょっとして北極圏では太陽が沈まないのと同じように満月が沈まないというのがあるのか?」とかおもったのですが,ぜんぜん違いました.あっはっは.今日の満月はこの15年で最も大きく最も明るいんだそうです(CBC).軌道の関係なんでしょうが,普段の月よりも30%明るく,14%大きいんだそうです(ナショジオ).ふーん.地球に近づくタイミングと満月のタイミングが一致するのは珍しいんですか.ふーん.

テレビで流れていた満月の映像は北部準州のイエローナイフのもので,エドモントンはovercastで月はぜんぜん見えません.しかし,イエローナイフって,「月が大きいからみてみようか」といって外に出るにしては寒すぎるんじゃないかと思うんですがどうなんでしょうね.


Canned packageもよしわるし.

2008-12-13 07:52:35 | 経済学

思いついてパネル分析の本を読んでいるのですが,計量分析ソフトのStataくんは本になっているようなことならパッケージで提供しているので,コマンドライン一行でできることが多いです.なんですが

時系列方向にサンプルが小さい(少ない,ではない)ばあい(都道府県くらいでこれに当てはまるのかどうかよくわからんですが),局外母数の発散を避けるという意味でも,階差をとるのが常道で,動学パネルの場合には,説明変数に被説明変数の階差のラグが登場してこれが内生変数となるので操作変数として過去値をもってきて一般化積率法というのがよく使われます(なんだそうですよ).Arellano-Bondの推定法というやつなんですが,このややこしい手続きもStataくんではパッケージになっているので,xtabondというコマンド一つで推定出来ちゃいます.まあ便利.Stataくんは,一般的な一般化積率法のコマンドを持っていないのですが,推定式が線形なら,ivregress gmmというコマンドがあります.さて,このivregress gmmコマンドを使って,xtabondコマンドの結果が再現できるでしょうか,というと,これがうまくいかないんですねー.まー,推定結果を出す(で論文を書く)だけなら,よくできたほうを使ってひょひょい,てなものなんですけど,まあせっかくなので.

Stataが説明のために公開しているデータファイルを使ってみるとこうなります.被説明変数 n に対して,その1期ラグと w, k, ysを説明変数とし,その過去値を操作変数とするばあい(だとおもう)ですが

webuse abdata
xtabond n w k ys , lags(1) maxldep(1)
ivregress gmm d.n (ld.n = l2.n) d.(w k ys)

Stataをお持ちの方(最近のバージョンじゃないと対応してないかもしれませんが),やってみましょー(計量経済の専門家を除く).ぜんぜん違う結果になります.まー,使われる直交条件が条件が違うので当たり前っちゃ当たり前ですけどねー.操作変数(直交条件)の数からして違うですし.さーてどうしたものか.

しかし.知らないあいだにStataくんがラグや階差の演算子に対応していたほうにびっくりっつうのはまずいですかそうですか.

Bond, Stephen R. 2002. Dynamic panel data models: a guide to micro data methods and practice. Portuguese Economic Journal 1(2), 141-162.
Roodman, David. 2006. How to Do xtabond2: An Introduction to "Difference" and "System" GMM in Stata. Center for Global Development Working Paper 103 [pdf]


不況と増税と地方分権

2008-12-12 13:42:47 | 経済学
現在の野党第1党自由党の暫定党首がIgnatieff氏に交代し,来月の予算編成へ向けてどうなることやらというところのようですが,それはそれとして,この不況のなか,エドモントン市は固定資産税の増税(7.3%)を決めました.経常予算に計上されるほか,歩道・道路・街灯の修繕などに使われることになっています.市長は反対していますが,アルバータ州内の他の自治体と比べてもそんなに高くないということで議会を通過しました.

エドモントンの道路事情には文句のあるひともいるようで,市内の交通システム(市電とバス.とくにバスの本数)には不平も多いようです.この寒い土地で,バスを半時間も待つというのはさすがにどうかということですが.とはいえ,アルバータ州は産油州でエドモントンも景気がそれほど悪化していないのかもしれないですが,国全体としては不況になってカナダ連銀がびっくりするような利下げをするような状況で,資産税とはいえ増税とはちょと驚きです.市長の反対にもかかわらず議会を通過というのも興味深いところで.州内部の補助金のしくみはよく知らないんですが,地方分権っつうのはこういうことなのねー,と思います.ま,都市整備に使われることが明らかだから支持されやすいというところはあるんでしょうが,日本だとまず考えられんよなー.


国会休会

2008-12-10 14:26:58 | Canada

12月に入り,カナダ中部も順調に冬とクリスマスシーズンに突入していますが,カナダ連邦議会はなかなかunusualな事態に突入しています.ぼくの理解しているところだと,

(9月)ハーパー首相率いる与党保守党が少数与党から脱却すべく総選挙に打って出る

(10月)総選挙:金融危機の影響もあってか,与党保守党は少数与党のまま.野党第1党の自由党もたいして議席を伸ばせなかったため,ディオン党首は責任を取って次の総裁選に立候補しないことを表明.同じく野党の新民主党・ケベック連合は議席を維持するも,緑の党は議席ゼロ.

与党保守党のハーパー党首は引き続き首相として政権を担い,経済対策など発表.

野党の自由党,新民主党,ケベック連合は経済対策を不十分と批判(政党助成金の問題もあるらしい)

(12月1日)自由党・新民主党が連立政権の樹立で合意.ケベック連合も暗黙の支持を表明し,3党合意が成立.(日本経済新聞

与党保守党党首のハーパー首相激怒.

12月8日に,内閣の経済対策発表に対して内閣不信任案が議会に提出されることが決定.提出されれば3党合意により可決される見込み.

この段階で,カナダ総督のジャン女史が議会を解散するのか,首相を任命するのか,の判断に注目が集まる.

(12月4日)ハーパー首相,ジャン総督との会談ののち,1月下旬までの議会休会を決定(首相の支持を得て総督が決定,のほうが法律的には正しいらしい)(東京新聞

野党自由党のディオン党首激怒.

連立政権になれば首相になるはずだったディオン党首の指導力に疑問が呈される.

(12月9日)野党第1党の自由党党首選挙の立候補者が次々脱落.次期党首はイグナティエフ氏になる見込み.

自由党のディオン党首は1月の議会再開前の早期の党首交代の見込み

ということで,カナダ政治制度がわかってない日本人としては疑問に事欠かない状況です.どうなってるんだ.野党の自由党・新民主党(とケベック連合)が連立するんだったらなんで総選挙のすぐあとに連立しなかったんだ.内閣不信任案を出して可決して内閣総辞職なり総選挙なりになるんだったらなんでとっととやらんのだ.カナダの儀礼上の国家元首はエリザベス2世でその代理人でジャン総督がいるのはいいけど,この総督,議会を招集・休会させる実質的な権限を一部持ってるのか(持ってるんだけど).2ヶ月近く議会を閉じて,1月下旬に予算案など発表するらしいけど,そこで不信任案出されたら内閣総辞職か総選挙になることに変わりはないんじゃないのか.ディオン党首は総選挙の結果の引責で党首を辞めることが決まってるのに3党合意とか重要な意思決定に活躍してていいのか.でもって,議会休会で一休みになったところでやっぱり辞めさせられるってそりゃちょっとどうなんだ.ってか,首相はどうやって決まってたんだ.

アルバータ州は,1つを除いてすべての選挙区で保守党が勝った土地柄で,ハーパー首相もカルガリー選出(カルガリー大学の経済学修士号をお持ちです)なので,3党連合には反対が多いようです.ま,どちらの側も「民主的な手続きから言うとうちが正しいよね」と言っているので,どっちか一色というわけでもないです.ハーパー首相は「分離主義者」のケベック連合はけしからん,と英語でおっしゃってますが(フランス語ではそんなに言ってないらしい),連立が成立しちゃったらしょうがないよねー,と,細川政権や自社さ政権の成立があった国のひととしては思います.不信任になったらまた総選挙するわけにはいかんのじゃないかしらん.