まさか日経でオリエンテーリングが出てくるとは.土曜版だけど.まさかのみつまおやじと齋藤英津子さんの登場.
- どうにも頭が働かないのでネットサーフィンをしていたところ,むかしの林文夫先生の文章を発見.「国立大学民営化論」ですって.
- 1998年の文章だそうだから,これにそって国立大学の法人化が進み,運営費交付金が削減され,競争的資金の代表格である科研費が増え,間接経費が増やされ,特任なんとかの職名がついた任期付き研究者が増え,テニュアがとれる年齢がどんどん上がってきたわけです.まさか林先生がみずから制度設計をなさったわけではないでしょうが,さすがに制度の思想に大きく影響したんでしょうか.身近なところでも基盤Aクラスの研究費を取ると結果の公表に重点が置かれるようになって,誰が読むんかいなという感じの一般向け研究書がとりあえず多く発刊されるようになりました.でおまあ,アウトリーチの観点からは経済学なんてなんにもやってないほうだと思いますが.
- 間接経費は,林先生の言うところの「(基礎研究に対する)助成金の何割かが大学への収入」になっているとは正確には言えなくて,あるていど使途が限られているそうなんですが,それでも,学術研究助成課長が認めているように「基盤的経費が減っているという現実はそのままとらえて、それで大学の現状としては、それをある意味、間接経費で補っているという実態」があります.なお,研究費部会の議事録は意外とおもしろいですよ.
- 当然の帰結として,科研費があまり取れない大学は金銭的に苦労しているようで,研究というものの性格上,研究費のない大学は研究費を取りにくいということになっていて,research universityは順調に絞りこまれているのではないかと,個人的にはうすうす疑っています.地方大学はその地方の技術の拠点だったりするわけですが.研究費をとれればいいかというとそこには多くの書類作成がついてまわります.科研費は国民の血税から出されているので,公正な審査が求められる関係上,さまざまな書類が要求され,またその報告書の作成もあります.理科系はけっこう手の込んだ発表資料を作ってきます.大型科研になると中間審査・評価もあります.若手研究者の育成,一般への啓蒙のためのシンポジウムや出張授業等のアウトリーチ活動も理工系・生物系では活発です.税金使うのだから当然のことですけど.
- 理工系・生物系だと,文科科研以外にも厚労科研等の各種競争的資金や,企業等との共同研究も盛んなようで,そこにも同様の書類が発生します.比較的そこらへんの手間や使途の限定がなさそうなのが寄付というやつですが,それもOBが豊かだったり,よほどの篤志家がいないとなあというところでしょうか.日本は賃金分布が平等なので,どんっと寄付するような金持ちはあんまりいないのではないでしょうか.うっかりすると教職員も寄付を求められちゃったりしますが.あ,寄付といえば,Warrの中立命題が成り立てば,大学への補助金が減れば,ある程度は自発的寄付で補われるはずなんですがねえ.寄付文化の問題だけじゃないような気もしますが,よしんばそうであったとすると,大学に一番寄付してくれそうなのは大学の卒業生なので,寄付が少ないと文句をいうのは自分の教育のおかげだということになってしまって,うっかりしたことは言えません.
- まあいずれにしても,年間数百万円くらいしか使わない社会科学系の(もちろん心理などの実験系では話が違いますが)人たちには,あんまり実感のない話でありますねえ.私学には人社系が多いのはなかなか示唆的です.
- この前,博物館関係の人と話をしていたら,「生活保護なんかでいろいろお金がいるときに.博物館にお金をくださいとはなかなか言えないですねえ」と言ってました.ううむ.
- 僕にとっての最初の上司の訃報に接した.53歳.
- 僕は大学を出てい最初に就職した会社を2年で辞め,大学院に進んだ.本人にそこまでの意図があったかどうかは今となっては知る術もないが,「学士で政策を分析しているようなのはダメだ」という言葉にえらく納得して僕は進学を決めたので,その意味ではずいぶん僕の人生に影響を与えた人だ.進学や転職にあたってもいろいろな人に影響はされているけれども,このときの進学ほど僕のキャリアを変えたものはないし,このときほど一人の人に影響されたこともない.
- ほかにもいろいろなところで影響を受けたと気づかされる.一部で好評を博していると聞いている「ネコでもわかるStata入門」は,この上司が会社で作っていた「サルでもわかるTSP」のパクリだ.「計量経済学のための行列入門」もそうだ.内容こそ異なるものの,比べてみればあちこちに似ている部分がある.
- 新入社員研修が終わって着任したあと,チームリーダーだった彼のところに挨拶に行ったら,座ったまま片手をひらひらと振って,「わかってるからあっち行け」とばかりに返された.最初に書いたレポートは(たぶん読まれたうえで)なかったことにされ,書き直して出したら「こりゃダメだよ」といってそのまま返された.3回目に出したものは真っ赤になって返ってきた.ことあるたびに,仕事に関係ない話でも,「東大出のくせにこんなことも分からないのか」と言われた.それでも「N村総研に比べれば緩いもんだ」と言っていた.そのくせ,緩いのは業績評価もだったし,気分転換に籍の近くまで来て,ジャイアンツと研究とあれやこれやの話をすることがしばしばあった.経歴も当時としてはやや変則的だったし,妙なおじさんだった.初めて大学に着任したあとに会いに行ったら,「あの大学の先生は何でも知ってるけど,君でもなれるのか」と言われた.なれなかったところを見ると,意外に当を得ていたようだ.
- ゼミのやり方が自分の入っていたゼミのやり方に強く影響されるように,いまの僕の論文指導のスタイルはこの上司に似ているように思う.会社人にとって,最初の職場の影響は一般的に強いものなのかもしれないけど.
- ふと数えてみると,僕が入社したときの彼の年齢くらいに僕はなっている.もうそんなになっちゃったのか.あの時の彼の知識や業績やその他もろもろに,とてもかなわない.
- 彼が証券や金融・経営財務の分析を主にするようになって,最近は全然会っていなかった.職場が引越ししていたのも知らなかったくらいだ.もうゲストスピーカーも頼めない.もっと,話をしたかった.
- 来年度の出講通知というのが来たので見てみたら,春学期は8コマ,秋学期は6コマ担当することになってました.どこの私学だ(うちは私学です).
- 8コマと言っても分担開講もあるし,研究会や演習もあるので,見た目ほど大変じゃない気もします.私立文系の担当コマ数なんてこんなものではないかしらん.
- よう考えたら,春学期には非常勤も2個あったような気が.
- 教育は国の礎ですからがんばらないと.米百俵の精神ということで(←久しぶりに見た)
- 女性の仕事:科学研究の分野で構造的な性差別がまだ横行しているのはなぜなのか(本文はこちら)
- Natureってこんなこともとりあげるんですか.
- 国の審議会では女性比率を国際的水準とされる30%にあげようとしていて(それがいいことか悪いことかはさておき),全体の平均を取ると達成されてはいるようです(男女共同参画局資料).
- とはいえ,たとえば文部科学省の学術調査官名簿を見ると,名前から見ると,人文系・生物系(医学系・農学系のこと)では女性もいらっしゃるようですが,理工系には一人もいらっしゃらないようです.そういや,東大経済にも女性はいらっしゃらないようですね(任期付き教員を除く).
- It’s a long list. It’s time to get started. What are you waiting for? って.東進ハイスクールかと思った.
- あれよあれよというまに2月が終わっておりました.定期試験や入試やその他もろもろばたばたしているうちに,です.
- 2月はこっそりアメリカに1週間ちょっと出張に行ってました.ワシントンDC,アーバイン,サンフランシスコという,まるで国際的に活躍しているかのような旅程でした.仕事ですけど.ワシントンDCではホテルと仕事先の往復だけで,スミソニアンはおろか,ホワイトハウスも見ないという禁欲的な過ごし方でした.そのわりに大学院時代の後輩のBさんに会っておもしろかったりしましたが.この一件など,書こうと思ってたんですがいやはやもう.
- いやしかし,こういう立場になってから「上の人はわかってない」と思う日が来るとは.それも学内行政的なことじゃなくて学問的なことで.
- 成田寄席で春風亭一之輔を見に行って,鰻を食べて帰ってきたとかいう楽しいこともないこともなかったのですがそれももう前の話.しまった.
- どうにも肩と目が痛くて,野球をする元気もないです.すみませんM先生.
- といっていたら,学部ゼミの1次募集(A日程)がありました.松竹梅でいうと梅クラスのゼミなのですがいちおう筆記試験とかやってみました.需要関数がなにからなにへの関数かわかってないひとがけっこういて驚きです.同じ試験をいまの3年生にやったらたぶん惨憺たる結果になりそうなので怖くてできません.でも,なにが分かっているか(知っているか)を把握したうえでなにやるか決めないと,学生さんのためにもなりませんしね(←いいこと言った).そうはいっても何人か落としたんですが.B日程に期待.
- NHKスペシャルの震災ビッグデータ,いろいろ衝撃的でした.さすがに工学部のやることはわかりませんねえ.経済学者がたぶん一人も関与してないのはがっかりというかやっぱりというか(もしいたらごめんなさい).GIS使って,国勢調査なんかのメッシュデータとか,工業・商業基本調査の住所データとか,アメダスデータとか,いろいろ組み合わせてやってる空間計量系のかたもいるのですけど,関係してらっしゃらないんでしょうか.ぼくもデータいじくるひとなんですが,いまの力ではああいうのはちょっと無理.悔しい.