そんなマクラはどうでもよくて,「宇宙へ。」を見に行きました.この句点は要らないと思うのですが,そんなことはどうでもよろしい.この映画は,世界天文年・NASA設立50周年・人類による月面着陸40周年に合わせた形で公開されたBBCのドキュメンタリ映画で,NASAの未公開映像満載です.公開2日目までは500円というのも,宇宙産業では有名な石川島播磨……ではない,IHIがスポンサーとなったものです.IHIって「いひ」って読めますが,そのむかし旭化成が「イヒ!」というキャッチコピーでCMを流していたころ,「これは石川島播磨ではないか?」と思ったヒトも工学部や理学部にいたのではないかなあと思うと趣深いことでありますことよ.それはともかく,NASAのアーカイブ映像が満載というだけあって,60年代の開発競争から最近のスペースシャトルまで,そんなところでカメラ回してたのかよ,という映像が盛りだくさんで,おもしろかったです.月に行ったひとたちは,月面上でロケットを打ち上げて,月の上空(?)で周回軌道に乗っている司令船にドッキングして帰ってくるなんて知りませんでした.地球から打ち上げるときには30階建てのビルディングを飛ばすようなものでかなりのエネルギーを使うわけですけど,月面上だと意外とあっさり打ちあがるものなのですな.重力が小さいのと,重力圏から飛び出すわけじゃなくて司令船に届けばいいというあたりが原因なんでしょうが.月面上の打ち上げの様子を撮影するカメラが月面上に設置されているというのもまた準備のいいことで.
NASAの宇宙開発の歴史のなかでは,痛ましい事故も起きています.1967年のアポロ1号炎上事故,1986年のチャレンジャー事故,2003年のコロンビア事故.ロケットに乗り込んでいくクルーたちの希望と誇りに満ちた顔とその後の運命のあまりの対比には涙を禁じえません.また,その事後処理にあたる管制の方々の冷静な動き.いや,冷静なではなく,淡々とするべきことをしなければ耐えられない時間だったのかもしれません.これらの事件のあとも,予算の許すかぎり(!),NASAは,もちろんJAXAやCSAも,宇宙開発を続けます.映画のなかでもたびたび引用されるレーガン大統領の談話はこれらの事故とその後の開発への思いを適切に表しています.
And I want to say something to the schoolchildren of America who were watching the live coverage of the shuttle's takeoff. I know it is hard to understand, but sometimes painful things like this happen. It's all part of the process of exploration and discovery. It's all part of taking a chance and expanding man's horizons. The future doesn't belong to the fainthearted; it belongs to the brave. The Challenger crew was pulling us into the future, and we'll continue to follow them.
[中略]
The crew of the space shuttle Challenger honoured us by the manner in which they lived their lives. We will never forget them, nor the last time we saw them, this morning, as they prepared for the journey and waved goodbye and 'slipped the surly bonds of earth' to 'touch the face of God.'
かようなドキュメンタリなんですが,当然のように,対抗相手だったソ連の開発の様子などはほとんど出てこないです.最近のISSも出てこないです.Rocket Menの映画だからですね.
たまたま行った映画館では吹替え版しかなかったので吹替え版で見たんですけど,宮迫さんのナレーションはよかったです.ちょっとまえに沖縄でガレッジセールとアホやってたヒトとは思えない.そりゃそうだ.でもゴスペラーズは要らなかったかなー.科学者の希望と苦闘を愛だの恋だのとまぜっかえしちゃいかんと思うんですけどね.