リンク: 元東大教授の蒲島氏、熊本県知事に当選確実.(Nikkei Net)
ここの記事を書こうと思ってうろうろしてて有名なY先生のとこから知ったんですが,あの林文夫先生が日銀人事について物申しているんだそうです.こちら.うは.
日銀総裁人事については,なんだかよく分からん理由でいたずらに話が混乱してて,その原因はほとんど民主党にあるんじゃないかと感じてて,なんだかなーもうと思ってたんですが,林文夫先生もついに腹に据えかねたと見えます.うほー.いやまあなにが驚いたって,あのひとが政策決定会合の議事録や,日銀の社説まで読んでたってことなんですけどね.総裁-副総裁については,黒田・ADB総裁,植田・東京大教授を御推薦ということで,なるほどー,と思っていたら,民主党の変な人が「財務官経験者の黒田・渡辺(博史)氏ならいい」とか言ってて,ええと誰か告げ口したのかこの話,という感じ.
林先生の言うことはなるほどなー,なんですが,そんなに財務省が嫌いか,という印象も受けたり.中央銀行総裁というのは高度に技術的なことに関係するので,政治屋と渡り合うことに時間を使ってきた人なんてね,ということでしょうし,博士号や英語も必要なんでしょうけど.でもなー.いま総裁になろうかなんていう人が若かったころには経済学博士号なんて求められてなかったんだろうし,いまでもたいして重宝されてないし,中央銀行や中央官庁と民間金融機関や大学との人材移動も多くないし,ほんとのシンクタンクなんか存在しないし,という状況であんまり言ってもなあ,と思ったりもします.ううむ.
ところで,BOE総裁のMervyn A. Kingですけど,彼は学位はとってなかったという話を聞いたような気が.Webでちゃちゃっと検索したところではPh.D.とは見つからないんですけど.イギリス人ならときどきいる(Keenとか)のですが,どうなのかなー.いやまあいいんですけど.
各大学のCOEが共催して本郷で開かれたマイクロ計量経済学のフロンティアというコンファレンスに行ってきました.発表者の方々はどなたの名前も知らんかったんですが,それはこちらの不勉強というもので,EconometricaとかQJEとかそういう錚々たるジャーナルにどんどこ発表されてる方々で,ああそうなんですかへい.
いろいろあって1日目だけ出たんですが,1本目のテーマは親子の学歴の相関について.親の学歴が高ければ子供の学歴が高いというのはよく観察される事実なんですが,そのメカニズムは何か,という話で,このトピック自体はマイクロ計量的にはいろいろやられてきてるんだそうですが,データとやり方が違うと結果が違うということになっているので,それはいったいなんでかしら,という論文でした.データはスウェーデンの国勢調査のランダムサンプルで,識別の方法を3つくらい試してみるとやっぱり結果が少しずつ違うので,データの問題じゃなくて手法の問題だったのよね,という話ではなかったかと.双子や養子のサンプルをとってもサンプルサイズが数千のオーダーであるってのはなかなかにすげーな,というところです.いや手法もすごいんだけどさ.
2本目は地域開発の話.公共経済・都市経済系の話で個人的には俄然盛り上がったんですが,これもなんだか細かいメッシュデータを使ってて,地区別(たぶん日本で言うと市のなかの町単位くらい)の就業率や失業率に差が出ましたかね,というのをやってました.手法としてはreweightingしたうえでのscore matchingじゃないかと思うんですが(←わかってない),頑健性のチェックとか言って擬似的なデータを作ってみたりしてて,なにがなんだか.あ,地域開発といっても,構造改革特区とか経済特区とかそういうレベルの話じゃなくて,ある区域(地域というより区域といったほうがいいくらい狭い)のひとたちに特別な福祉手当を上げたり,賃金補助を上げたりするという制度で,その制度からして日本ではなかなか分かりにくいのではないかと思ったり.Empowment Zoneって言うんですって.あ,この実証でおもしろかったのは,このプログラムの適用を受ける地域というのは,各州(だったかな?)から申請して選ばれるんですが,どこが申請してどこが通ったか,で,そのすべての地域の状況はどうか,というデータが整備されてるってことですね.日本の構造改革特区でも似たようなデータはあると思うんだけどなー.
えーというわけで,分かったような分からんような(←分かってない)コンファレンスでしたが,英語だったので分からなかったのか英語なのか経済学なのかが分からない,計量経済学的に言えば「識別できない」ということでした.あーあ.
だれか知り合いがいるかなーと思ったら,尊敬する開発のSわだ先生に「きみ,このトピック関係あるんだっけ?」と真顔で聞かれてすごいショックでした.ううう.あと,学内では会わないY先生やK先生にあったり,有名人のY先生や,名前だけは聞いたことのある阪大のS先生(小さかった!)も見かけました.名札ってえらいね.
全然はなしは変わるのですが,武蔵野線でぼけーっと中づりを見ていたら「東大卒の人生格差!」というのが目に入って,こういうのってAERAしかないんですが,ああそうかなあと思ったり.クラスメートのなかには富士通の人事部で嫌気がさして転職して新書書いてぼろもうけ(?)というひともいるらしいし,課長さんや補佐さんや書記官さんやいろいろであるなあとは思うんですけど,それって記事になるようなものなのかしらん.うーん.と思っていたら,あの楠城華子も気になっていたようで.ほほお.多様性があるってことは格差があるってことじゃないかしらん,と思わないではないんですが,ええまあいいですそんなことは.