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ツアー参加者は30人弱だったので,ここで約10人ずつ3グループに分かれて3軒のお手伝いに向かいます.遠野を出発するときには6人ずつ5グループだったのですけど,これくらいの変化はよくあることだそうです.さて僕が担当したのは「駐車場の砂利まじりの泥を出して,泥を洗って砂利を元に戻す」というものでした.くだんの駐車場はぱっと見ると普通なのですが,たしかにただの土ではなくて,砂利に砂が混じっています.たぶん以前は砂利だけだったのでしょう.運ばれてきた泥には細菌がいるかもしれず衛生的ではないので,消石灰を撒いたりして消毒する必要があります.ということで,砂利まじりの泥を出すのですけど,駐車場なのですでに乾いて固まってしまっていて,スコップでおいそれと掘り出せるようなものではありませんでした.でもそこは人海戦術でがしがしと掘り,ざぶざぶと洗い,濯った水を流した側溝をかき出して泥を土のうに詰め,という作業を午前と午後で合わせて3時間ほど続けました.風がときどき強く吹いて,キツネの嫁入りな天候だったので3時間でおしまいでした.
作業をしていたら,向かいのおうちのおじいさんが見に来て「うちも頼んだんだけどなあ」とぼやいてました.なんてことない作業のようですが需要はあるようです.
作業が終わると同じルートを通って遠野に戻ります.途中で再び釜石市街地を通過するのですが,天候の影響で作業が早く終わったこともあって,運転手さんが気を利かせて(?),釜石港の先のほうまで連れていってくれました.窓からの見学では,道路はきれいになっていて(さすが自衛隊),いくつかの大きな建物の内部も片付いているのですが,そうではない地区は,たぶん道にあったものが動かされていることもあって,いろんなものが積み重なった状態のままでした.映像が有名になった,岸壁に乗り上げた船もそのままでした.釜石駅を過ぎ,新日鉄釜石の工場を左手に見て川を渡ると,街並みとしては普通の地方都市の風景が広がります.不思議な状況です.
遠野では「よねつの湯」という産廃処理場の余熱でお湯を沸かしているところでお風呂に入って県北のバスから茨城交通に乗り換え,遠野ふるさと村に戻って夕食をいただきます.このころには参加者の皆さんとも話ができるようになっていました.遠野といえば民話やかっぱのふるさとですが,特区でどぶろくを作っていることでも知られていますし,ビールに使うホップの生産でも有名です.なんでそこらへんを買い込んでみたりして.下にあるのは「遠野に行ってきました」という上閉伊酒造の純米酒.
遠野ふるさと村を午後8時半に出て,行きと同じく,前沢・国見・中郷のSAを通りつつ,東北道・磐越道・常磐道を乗り継いで水戸に戻ります.前沢SAで購入した南部せんべい(ピーナツ入り)がお気に入り.それはともかく,水戸には午前4時半ちょっと前,常磐線上りの始発に間に合うように戻ってきて,ツアーはおしまいです.
なお,茨城交通の添乗員さんの体験記はこちら(に載るはず).また,遠野ふるさと村のブログにも載っています.
水戸の夜は早いので,水戸駅でぼんやりしてからバスに乗ります.30人弱の参加でしたが,グループ参加は我々だけで,あとはみんな単身参加でした.趣味が合わないときまりが悪いツアーですしってことでしょうか.バスが走りだすと茨城交通からの差し入れということでボカリスエット500mlを1本とカップ麺を1ついただけます.いやいやそんなそんななのですけど….バスは,中郷SA,国見SA,前沢SAと休憩しつつ,常磐道・磐越道・東北道をつないで遠野に向かいます.ちなみにバスは普通の観光バスで,深夜遠距離バスの一部で導入されているゆったりバスではありません.ボランティア初めてというひとで,興奮で眠れなかった人は多かったみたいです.
遠野では遠野ふるさと村で朝食・着替え・バスの乗換えをします.数年前に早池峰山に行ったついでにふるさと村に行った記憶があったのですけど,ふるさと村で着替えをしたりするとは思いませんでした.また,簡単な説明があります.説明はほんとに簡単で,というのもこの時点では茨城交通の添乗員さんがいるばかりで,現地のコーディネータはここにはいないし,実際に何をやるかは着くまで分からないからです.ちなみに.ふるさと村の村長さん(支配人さん?)に早くもえらく感謝されます.なにもしてないのに.
ふるさと村到着が午前6時半くらい,出発が午前8時半くらいで,遠野から大槌まで,仙人峠道路・釜石市・三陸道(釜石両石IC~釜石北IC?)を通って1時間半くらいかかります.途中では自衛隊がテントを張っている運動場が見えたりします.釜石市内も,内陸のほうは家が崩れているわけでもなく,一見すると震災があったようには見えません.家の屋根瓦の壊れ具合は,郡山近辺のほうがひどいかもしれません.それだけに,津波が襲った地域の様子にはショックが大きいです.三陸道はリアス式海岸にトンネルを掘って直線的に進んでいるので,沢の部分(標高が低い部分)を通るたびに,それぞれの標高に応じて,災害の様子が目に入ります.住宅地に倒木や自動車がひっくり返ってきたり,窓が割れていたりするのは分かりやすい被害ですが,沿岸すぐそばにはなんにもない区域もあります.仙台東部道路の東側にも妙に見晴らしのよい地域が広がっていました.I先生が以前おっしゃってましたが,そのような区域が以前はどのような状態だったか知らない身としては,なんにもない(泥や倒木や船がありますが)区域の被害は逆に想像できません.大槌町もまた,沿岸部はみょうに見晴らしがよくなっています.
まだなんにも始まってませんがこのエントリ,続きます.
似たようなことを考える人はいるもので,たとえば江戸川区議の木村さんも「愛車を手放す前にできそうな被災者支援」という記事を書いていますが,書いてから1ヶ月して1台(被災地への自家用車寄付が1台、実現しました!),という状況のようです.
現地の状況を推察すれば,軽自動車かハイブリッドカーの燃費のいいやつでオートマで,というのが求められそうなところ,どうなのかねえ,と思ったり.運転して持って行くんですけどね,どうなんでしょうね.ツテ・アイデアなどあったらぜひお知らせください.
さかな市場からまた海岸線へ出たところに酒屋さんがあります.在庫は流されたようですが,一ノ蔵大和伝などを売っていました(買ったのは梅酒ですけど).また45号線を南下すると左手に五大堂があるので行ってみました.海に突き出た島の上にあるお堂なのですが,石灯籠が崩れたくらいでとくに被害はないようでした.瓦も落ちていないようでして,古くから残っているものはさすがに違うんでしょか.
さらに少し南下すると右手に松華堂というお菓子やさんがあります.通りに面してせんべいを焼いているのがおいしそうでしたが,2階に喫茶があるので上がってみました.おしゃれな和カフェってやつですか.上がったところでカステラを焼いていたのでセットでいただきました.このカステラ,甘すぎずふわふわで非常においしいです.カステラというと甘くてちょっとべたべたしていて,端っこのカラメルが焦げたカリカリがおいしいとも思うのですが,ここのふわふわカステラはまた違った系統のおいしさです.うむ.
松華堂を出て南下してちょっと行くと右手に尾張屋という土産物屋があります.ちょっとおしゃれな雑貨屋的な感じのあった店のようですが,いまは端っこで置物などをおいています.ここのちびっ子は某報道番組に取り上げられたしっかりした男の子で,流されなかったこけしなどを売っています.
尾張屋から南下すると瑞巌寺の参道の入口があります.瑞巌寺は平成の大修理の最中で本堂は拝観できないのですが,そのかわり庫裏と大書院,陽徳院御霊屋を見ることができます.陽徳院は伊達政宗公の正室で,えっとつまり,後藤久美子と桜田淳子ですね.この御霊屋は復元されていて,漆や金箔でぴかぴかです.でも野ざらしなんですがいいんでしょうか.瑞巌寺から松島海岸駅へ抜ける道をちょっと左折すると,菓匠三全と阿部蒲鉾店があります.この店舗,ふつうに営業しているのです(手焼き蒲鉾イベントは中止しています)が,見た目はたいへんそうです.それはそれとしても萩の月は安定しておいしいですな.由来はどうか知りませんが(白鳥師匠の説も参照のこと.YouTube).
それはそれとして,仙台に出かけたもののひまだったので,『ドリトル先生航海記』を読んでしまいました.少年向けの冒険小説だとおもってなめてかかると意外とおもしろくてびっくり.「これはしたり!」ですか.『航海記』は『アフリカ行き』に続く第2作目で,スタビンズ君が実体験を書いた最初の本ということになっています.動物語の話せる医者の出てくる子ども向けファンタジーといってしまえばそうなのかもしれませんが,ドリトル先生の振る舞い,スタビンズ君への対応など,顧みて学ぶことも多いように思います.ドリトル先生は,雨の中でスタビンズ君にぶつかって登場しますが,そのときの台詞の一つもすてきだとおもいます.ぶつかったトミーが謝ったのに対してドリトル先生の返事.
"It was just as much my fault as it was yours, you know,"ところで,最初のほうにでてくる「もうせん」というのはどういう意味なんでしょうか.「以前に」くらいの意味だとは思いますけど,辞書には乗ってないような.
きみのあやまちであったとすれば,わしのあやまちでもあった.
授業15回を守った上で夏休み期間を動かさないことにすれば,土曜に授業をしなければならないのは道理で,個人的には授業15回は確保したほうがいいと思うので,夏休みを動かさないんならしょうがないだろうと思っています(夏休みを動かしてもいいとも思いますが).土曜に授業をすると,教務課や学生課や図書館や生協までがそれに対応しないといけないのかどうかが問題になるわけで,土曜日は普通は休日となっているところから休日出勤扱いになるのかしら,というのも気になる人にとっては気になるようです.大学全体が休みではないことにして,学生とは直接接触しない総務系の部署もぜーんぶ出勤させて,そのかわり8月のどこかでみんなでおやすみ,というのがすっきりしているとはおもうのですが,それはそれとしても,出勤する事務職員さんたちには休日手当くらいださんとな,とは思います.学事日程を考えるときにはそれくらいは考えるはずで,教育は大学の存在意義の1つですからそのためにこの程度の不規則な出勤は仕方ないと思います.
だらだらとこんなことを書いているのは,どうもそう考えていない人が世の中にはいるらしいからで,復旧にともなって連休返上で工場をフル稼働させているところもあるというのにどうなのかしらん,と思います.ま,私は私,芥子は芥子,縁もゆかりもないものを,ですかねえ.