なんだか地位のありそうな方からメールが来て,「よかったら来てね(超意訳)」と言われたので,こりゃ呼ばれてるうちが,と思って,「途上国の高齢化を見据えて」というコンファレンスに行ってきました.
前の職場で6月にADBIと共同で「東アジアの高齢化」というコンファレンスを開いていて,主な発表者の考え方はそのときに伺っていたので,ええまあそういうはなしですか,と,のほほんと聞いておりました.ディスカッションなど聞いてると,開発や福祉の人に比べて,財政の人たちは政府の予算制約を気にしすぎだなあとはおもいましたが(それが本業なんでしかたないですが).高齢化が進むと見込まれる途上国(たいがいが東アジアでしょうけど)における社会保障制度,とりわけ年金制度の設計を考えると,日本のような3階建て(基礎-所得比例-私的)に加えて,4階めとも言うべきインフォーマルな支援が必要で,という話もこのまえ聞いていたのでふむふむ,という感じですが,こりゃ同時に「国による皆保険あるいは生活保護の充実が成り立たないなかでの苦肉の策」というのは,なるほどなあ,でした.タイとかだとどうなんでしょうなあ.その際には日本における地域福祉の経験が役に立つかもしれないんですって.ほほー.
しかし少しく疑問だったのは次のようなことです.少子高齢化の話をするときには,その前段階で発生するベビーブーマによる労働力と資本の増加に起因する「人口ボーナス demographic dividend」をいかに利用するか,というのが問題となります.小額貯蓄の動員をいかにするか(日本だと郵便貯金でインフラ整備に振り向けたんでしょうか)などもこの論点になりましょう.その一環として,第一次産業における生産性の向上と,それに伴う余剰労働力の第2次,第3次産業への吸収が必要になる,と論じられることがあります.ところが,第2次産業への労働力の吸収は,しばしば都市化,農村からの住民移動をともなうため,先に述べたような「コミュニティによる社会保障」がほぼ不可避的に無理になるんじゃないかしら,という点です.つまりは,行政による社会保障がどうしてもある程度必要になっちゃうんではないかと.だから,たぶん,「コミュニティによる社会保障」ってのはやっぱりあんまり前面に出るべきものではないのかもしれないですし,また都市部における「地域」「コミュニティ」の形成というのも必要になるのかもしれません.それにはある程度の資金投入=増税が必要になったり.ま,選挙権を持つ高齢者の比率が高くなる中で増税が可能かどうかってのはまたそれはそれで興味深い論点ですけど(意外と重要なんじゃないかと思いますが).
というようなことを質問したかったですが,意図が通じたかどうか….答えを聞いてはっとわかったこともあるのでいいんですけど.
それとは全然関係ないんですが,フラッシュメモリが壊れて投稿原稿がなくなっちゃったり,いただいたPCをディスプレイにつないだらうんともすんとも言わない(「うん」とか「すん」とか言ったら怖いですが)……というか,なにもディスプレイに映らないとか,出かけたら携帯電話を忘れちゃってたとか,どうもここんとこいいことがないですなあ.はー.やっぱり研究者には向いてないなあ.