だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

「地方財政論入門」

2009-03-31 15:41:24 | 経済学

20099784883841332 佐藤主光先生が『地方財政論入門』という教科書を上梓されました.ミクロ経済理論の応用としての地方財政理論(fiscal federalismでしょか)の教科書で,これまでの日本語の地方財政の本とはえらく異なり,なかなか素敵な構成になっています.経済学分野の地方財政の教科書はこういうのが標準的になっていくべきでしょうねー.

しかし,超多忙なこの方,いつのまに.


みんなA+

2009-03-23 13:24:17 | Canada

大学教員の第一義的な仕事は授業をすることですが、Maclean's を見ていたら "In this class everyone gets A+" (3月23日号, pp.36-37)という記事がありました。「こんな素晴らしい授業をしているので学生の理解度もびっくりするくらい高いのだ」という記事かと思って見てみましたがちがいました。はなしはオタワ大学の物理学教授Denis Rancourtについてです。この教授、業績も多くある研究者なのですが大学教授の例に漏れずちょっとした変人のようです。教育熱心な彼は、「成績をつけないほうが学生はよく学ぶ」という考えに基づき、2008年度の2つの授業の成績評価を「pass-fail」で行うことにしましたが、認められなかったために、履修者全員に「A+」の評価を与えることにしました。大学側はこれも認めず、教授の入構を禁止し、指導されていた大学院生には指導教官の変更を求めることにしました。

Rancourt教授を支持する意見としては、成績評価のありかたも教育手法の一つでかあって、学問の自由の一環を構成するものであるので、成績評価の方法を理由にfull tenured professorに対してこのような処分を行うことは認められない、というものです。反対意見は「それはそういう自由の問題ではない。奨学金申請などにも関わる」としています。「pass-fail」のみの評価方法はStanford, Yale, Berkeleyなどのロースクールで導入されているほか、Alverno Collegeという大学ではgradeを止めているようです。

「成績をつけないほうが学生がよく学ぶ」ということ自体はいろいろ検討されている教育学上のトピックではあるようですが、そんなもんなのかしらねー、さしあたって僕の担当した授業ではそうはいかんだろうなー、と思う一方で、大学まで来て「テストにどこが出ますか」ということばかり気にさせてしまうのも望ましいことではないよなあとも感じます。だからといって4段階や5段階評価を通常の講義形式の授業で導入するのはつらいよなあというところでしょか。ま、授業の出席率が低いのがどうしよう、とかいってるようでは問題になりませんな。


「先生」

2009-03-18 08:10:27 | 生活
夜の街には先生と社長しかいないなんてことを申しますが,「先生と呼ばれるほどの馬鹿じゃなし」という言葉もあるくらいなので,日本語によくある「敬意の全くない敬語表現」と思っていたほうが精神衛生上よろしいのではないかとおもいます.もっとも,「先生」の字の如く,「先ず生きている」というひとも少なからずいるようであります.もちろん,先生とお呼びするに相応しい先生方も数多くいらっしゃるわけでありまして,まさに先達はあらまほしきことかな,といったところでございます.大学院でお世話になった,いまでもお世話になりっぱなしの諸先生方はまさにかような方々でいらっしゃるわけですが,コースワークでお世話になった某先生からえらく丁寧なメールが届きました.この先生,日本を代表する経済学者のお一人なのですが,分野が違うことから博士課程以降はほとんどご縁がないかたでいらっしゃいまして,はていったいどうしたことか,と考え込んでいたところです.

ヨーロッパ逃亡中のO先生の差し金じゃないかなこりゃ.


High -23, Low -36

2009-03-10 22:50:00 | Canada

ようよう南国から帰ってきたと思ったら今週前半は寒さが復活したようで、最高気温がマイナス20度というステキな世界が展開しています。風も強いので体感気温はマイナス30度を下回る勢いです。ニュースを見ていたらマイナス40度とか言ってるんですが、Weather networkではそんなことはないです。ま、おなじエドモントンでも現在の気温は中心部でマイナス22度、空港近辺ではマイナス30度と差があるくらいなんで、なにがなんだかわかんないです。しかしユーコンより寒いってのは何なんでしょう…なんですが、基本的に東隣のサスカチュワン州のほうが寒かったりします。なにがなんだか。

ことほどさような寒さではあるのですが、建物はセントラルヒーティングが完備されているので、室内では半袖とかTシャツ一枚でうろうろしているひとがけっこういらっしゃいます。ぴちょんくんによる「エアコンの冷える仕組み」ここ経由)とかみていると、セントラルヒーティングってのはエアコンの中にいるようなもんなのかしらん、とおもいますねー。


Replication in economics

2009-03-09 22:18:00 | 経済学

American Economic Reviewがアメリカ経済学会の機関誌であるのと同様に,カナダ経済学会も機関誌としてCanadian Journal of Economicsを発行しています.カナダの連邦の公用語は英語フランス語の2ヶ国語なので,要旨が2ヶ国語併記になっています.

それはそれとして,ふらふらとサイトを見ていたら経済学における追試(scientific replication)についての論文が出ていました.ちょっと前のですけど.最近の経済学の学術雑誌ではときどき,実証論文の使用データおよび統計解析のコードが公開されることがあります(計量経済学分野では典型かも).おかげで利用制限のある家計個票データなんぞ使った日には投稿すらできないということもあったりします.そういうことを要求されると,なんてこったい,

I was really angry about this new requirement, as I felt it increased the cost of doing empirical relative to theoretical work at a time when, in my view, too much useless theory was already being published. Why not impose a similar tax on theorists, for example, require submission of all the scribbled notes that led up to the work, or at least every last detail of proofs? [p.722]

という気もしますが,科学的検証に追試は不可欠なものなので致し方のないものです.そのわりに実際に追試が行われることは多くないようです.なんでかしら,どうしたらいいのかしら,というのがこの論文のテーマなんですが,いちいちにやにやしてしまうところのある論文なので,お暇な方はどうぞ.例えばこんな感じ.

One might argue that many of the publications in second-level general journals and in many specialized journals too are essentially scientific replications (on similar data sets for a different country or different data sets for the same country) of a publication in a major general journal. [p.730]

あー.それさえできないなんて.

Hamermesh, Daniel S. 2007. Viewpoint: Replication in economics. Canadian Journal of Economics/Revue canadienne d'économique 40(3), 715 - 733. [Wiley InterScience] , DOI: 10.1111/j.1365-2966.2007.00428.x


UBC (3)

2009-03-07 15:12:00 | Canada

移動日なのでバンクーバー市内をうろうろして日本人の多さにびっくりしてから空港に来たのですが,予約していた飛行機がキャンセルになっていて,自動チェックインの手続きを始めてみると「振り替えました」とかいってすでに離陸したフライトが表示されるのでおおいにあせってカウンタに向かい,次のフライトをお願いしたところがキャンセル待ち(standby)となってしまいました.言われたとおりにゲートに行って聞いてみたら,おばちゃんが不機嫌そうに「席はないと思うよ」というので一気に心象を悪くしたのですが,ないものはしょうがないので空港で5時間以上待たねばならなくなって非常にがっかりしております.バンクーバー国際空港は無料の無線LANが飛んでいるので,ネットで遊べるのが幸いですが,いやしかしどないやねん.

[15:25] と思っていたら,バンクーバー空港付近は雪のような雨のような感じ(freezing rainですか)です.いやな予感が.

[16:25] 雨はやんで飛行機はon timeで飛びそうな感じ.ゲートが遠くてびっくりしましたが,新しいゲートからは遠くに雪を抱いた山並みが青空に映えて美しいです.エドモントンは平地の真ん中にあるのでこういう景色がないのですよねー.周りは製油所に囲まれてるし.


UBC (2)

2009-03-06 22:04:00 | Canada

UBCでM先生と話をしてきました.どこの大学も同じらしいのですけども,UBCもビジネススクールは金持ちでビルの上のほうに教員用のラウンジがあったりして素敵なところでした.UofAもたぶんそうなんだろうなあとおもったり.

ということで,Capilano吊り橋に連れてってもらいました.吊り橋だけなら祖谷のかずら橋のほうがよほど趣深いのですが,この吊り橋はわたったところにくるっとアトラクションが組んであって,それがなかなかおもしろいです.高い入場料を取るだけのことはあります.渓谷沿いに針葉樹の立派なのがたくさん植わっているのですけども,木のあいだにつり橋を渡して空中散歩ができるようになっていて,これが楽しいです.急斜面の針葉樹のAの林を上から眺めるというのもなかなかない体験で,ちびっこも大喜び.


UCI (3), UBC (1)

2009-03-05 22:54:00 | Canada

バンクーバーのUBCに滞在中のM先生と打ち合わせのためにロサンゼルスからバンクーバーへ移動です.カナダ-アメリカも国際線になるので,出国手続きが必要です.エドモントンからの出国のときには,アメリカの国境管理の出張所みたいなのがエドモントン国際空港にあって,指紋を採られたり写真を撮られたりしたものです.どこでどう間違えたかLAXでやたらと時間が余ってしまったのはなんでなんでしょう.LAX-YVRはAir Canadaだったのですが,斜め前のおにいさんは離陸直前まで(滑走が始まっても!)Blackberryをいじり続けるし,となりのおばちゃんはタッチパネルをばたばたたたいてうるさいし,ななめうしろのおかーさんは子供がうるさいのに映画に夢中だし,なんだかいらいらを募らせつつ3時間弱のフライトを耐えました.

まあでも,YVRまでM先生ご夫妻が迎えにいらしてくださって,スタンレーパークをぐるっと回って素敵なシーフードレストランに連れてってくださったのでよかったよかった,でした.すばらしい.


UCI (2)

2009-03-04 23:42:00 | Canada

このミニコンファレンスも第5回となるらしいのですが,僕は初参加なので「おお久しぶりですな今年もよろしく」てなことになるわけもなく,しみじみと発表を聞くだけでございました.都市経済や公共経済や公共選択や交通経済などの数本の論文が発表されたのですが,わかったようなわからんような.提供するサービスと消費されるサービスが異なるというのは交通経済に特徴的なんでしょうかね,おもしろいですね.

夜は「あめりかーん」な感じのレストランでBBQ料理を堪能しました.あのJan B先生のお隣だったのですが何を話してよいものかよく分からないあいだに特に盛り上がらず終了.むー.


UCI (1)

2009-03-03 23:18:00 | Canada

UC Irvineでミニコンファレンスがあるので出かけてきました.カリフォルニア州立大学アーバイン校はアーバインという町にあって(当たり前ですか),ロサンゼルスから車で南に1時間ほど行ったところにあります.かのOrange countyに空港があってそれが最寄りらしいのですが,遠くから行くときにはロサンゼルス国際空港(LAX)に飛んでそこからシャトルバスのほうが便利そうなのでそちらで行くことにしました.エドモントンからは直行便も飛んでいるのですが朝が早いので,バンクーバー経由で行こうと思っていたところ,時間に迷っているうちにバンクーバー経由の便はAir Canadaのサイトの候補から消えてしまったので,同じくスターアライアンスに加盟しているUnited Airlinesで,UAのハブ空港であるDenver経由で行くことにしました.エドモントンは朝こそ曇っていたものの,10時ごろから軽く吹雪模様でありました.チェックインしていたら,荷物を預けるのだったら別料金をもらうからね,と言われてちょっと驚愕.しかも15ドルも.荷物自体は大きくないのですが,剃刀とかボディーソープとか入れてきてしまったので泣く泣く預けることにします.航空運賃以外にいろいろ取られちゃうので最近は油断なりませんね.

デンバー空港での乗り換えが時刻表の上でも50分しかないのでやや焦ったものの,乗り継ぎはうまくいきました……と思っていたら,ロサンゼルスで預け手荷物を受け取ろうとしたら"delayed"になってました.どきどきの初体験でまた泣きそうになりますが,空港のおねいさんに助けられて,ホテルに送ってもらうように手配します.いつ届くかわかったもんじゃないや,と思ってましたが,意外とその日の深夜には届いていたようです(受け取ったのは翌朝).

LAXからシャトルバスに乗って,指定されたやたらと豪華なホテルに行って荷物のありかなど思案していたところ,共著者の方から連絡が来たので打ち合わせに出かけます.カナダから飛んでくるとカリフォルニアはまさに南国で,ヤシの木や梅(?)の花をみるとびっくりします.道路もやたら広いし.どうなってんでしょうね(どうにもなってない).