だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

「いわて三陸復興食堂」代官山店

2011-07-30 23:56:00 | 生活
あの飯田泰之先生が絡んでいらっしゃるという「いわて三陸復興食堂」の代官山でのイベントが7月30日・31日に開催されます(案内はこちらこちら).

プロジェクト自体にはぜんぜん関係してないのですが,行ってきました.

110730hukkoshokudo

ナスのカレーと短角牛とビールがうまかったです.代官山の雰囲気と微妙に合ってるような合ってないようなところがまたすてきで.で,懸案だったクルマの引き渡しもしてきました.古着を積んで盛岡まで帰るそうです.たいへん.東北大陸は意外と遠いのでがんばってほしいです.しかし,こういう伝手をがんばって探さないと,中古車の寄付もなかなかできないですね.

まあしかし飯田さんにはお元気なことで.ゼミ生も大活躍ですな.


JSTAR

2011-07-29 22:44:00 | 経済学
RIETIで「高齢者パネルデータから学んだものは何か:くらしと健康の向上のために」というシンポジウムがあったので行ってきました.JSTARという,「高齢者の経済面、社会面、および健康面に関する多様な情報が含まれているだけではなく、先進各国ですでに実施されている、Health and Retirement Study (HRS, USA)、Survey of Health, Aging and Retirement in Europe (SHARE, continental Europe)、English Longitudinal Study of Aging (ELSA, Britain)といった調査との比較可能性を、最大限維持するように設計されて」いる,RIETI,一橋大,東京大の共同実施している調査の中間報告のような宣伝のようなイベントでした.日本に(利用可能な)家計パネルデータがほとんどない,というのは10年くらい前にはいろいろ指摘されていたところなのですが,その後,家計研や慶応などが作り始めており,JSTARは国際比較可能で,高齢者にターゲットを絞っているところに特色があります.日本も公的統計がルクセンブルグスタディに参加してない(らしい)などデータ整備が遅れているのですが,JSTARで追いつこうとしているのかしらん,というところです.

データがないよなあとか思っている間に,HRSの仲間たちの調査は学際的に拡大を続けているようで,一般の健康に関する質問のほか,血液調査が入ったり,公的年金や介護,課税についての行政データとの統合が図られている国も多いようです.その点,JSTARでは国民健康保険や介護保険のレセプト(かな?診療報酬の請求文書)との統合は本人の承諾があれば可能なようですが,課税データとの統合はまず不可能なようです.主税局が国税マイクロデータを使えない国で,国会の事務局が統計の二次利用の範囲外になる(理由は,研究教育機関でも行政機関でもないから,だそうです.事務局は立法機関の一部です)ような国で,個人情報保護に熱心なあまりに年金の納付記録まで照合してこなかった国ですから,国税庁から個人データを(もちろん匿名化して)引き出すのはしばらくは無理としても,市町村なら意外と出すんじゃないかと思ったのですけど,そうでもないようです.というか,個人情報というなら健康保険や介護保険のほうが「知られたくない」情報が多いような気がするんですけど,そうでもないんでしょうか.利用価値からいえば課税データのほうが,たしかに,漏洩したときのダメージはでかいです.しかし,市町村のもつ課税データがあれば,所得(住民税)だけではなくて資産(固定資産税やクルマ関係税)の情報も得られるので,家計行動を分析するためには貴重なデータになります.Evidence-based policyとか言われるご時世らしいので,匿名化の技術の進展と,データの学術利用がもっと進めばいいのに,と思ったり.データが利用されて「学術的に興味深い結果が得られた」というだけなら利用される側の納得は得られないでしょうし,提供されたデータを分析できる能力を持ったひとがいないと話は進まないわけですけど.ま,分析する人には事欠かなくなってきてるようですね,K大学のU先生とか,あとKさんとかTさんとかNさんとか(なぜか全部伏せ字.他意はありません).ぼくはいいや.


価格か,量か

2011-07-28 23:13:00 | 授業ネタ
台風が来て以来ちょっと猛暑も収まっているようですが,やはり節電の夏となりそうで,もともと省エネをがんばっていた国なのにすごいですなあ,と思っているところです.大口需要家は15%減が義務,小口需要家・家庭も15%減が努力目標になっていて,大口需要家は違反すると1時間100万円ですか.えらいことですな.さて,震災直後の計画停電以来,経済学者とよばれるひとたちは電力消費の抑制のために電力料金の値上げ・課税を主張していて,一律削減なんて効率的ではない,電力の実質的な価格引き上げが話題にも上がらないのは経済学的な考え方が欠如している証拠で,市場メカニズムが根付いていない証しで,だから日本は社会主義国家とか言われちゃうんだばかげている,みたいな感じです(ばかげている,まで言っているかどうかは知りません.雰囲気ってことで).経済学部に籍を置く小心者としては,エライ先生たちが揃いも揃ってそうおっしゃるんだったらそうなのかしらん,たしかに外部性のはなしをするときにはピグー税を教えるもんなあ,でもなあ,と思っておりました.

ちょっと前になりますが,RIETIのサイトで私淑するあの川口大司先生が「一律15%削減でも構わない」という文章を 載せておられて,やっぱりそうだよなあ,と思いました.やっぱりと思うくらいなら最初から言えばいいのにと反省はしております.はい.さて,川口さんのポイントはわりかし簡単で,「電力料金を上げるのもいいけどいくら上げていいかよくわかっていない.失敗したときのコストは大規模停電という形で大きく発生するから,直接に量を規制してもよい」というものです.総量を規制するなら排出権取引みたいに電力取引を事業者間(電力会社との間で,ではなく)で行えばいいじゃんと議論は続きます.

たしかに,外部性の例としてよく持ち出される公害規制や環境のはなしをするときにも,もし限界費用か限界便益の情報が不確かで,量を制限することに重点が置かれるのであれば,不確実なピグー税を用いるより直接的な量的規制のほうが事前の(期待値ベースでみた)社会的な費用は小さくなる,という議論をすることがあります.ぼくも学部のゼミでこんな話を聞いた気がしますし,Leachの公共経済学の教科書にも載っていたような.

排出権取引のような仕組み(共同制限使用スキーム)はすでに導入されていて,METIはさすがになかなかやるな,と思います.ついでにいえば「違反すると1時間100万円」というのも(2段階の)従量税みたいなものなんだから,価格メカニズムと言えないこともないですね(禁止的に高いだけで).もし共同制限使用スキームが利用されているとすれば(オムロンはビジネスとして参入するみたいです.これ),参加した事業者間で金銭のやり取りが行われていれば(直接的にではないかも),その情報から価格弾力性も求めることができて,来年以降の制度設計に資するかもしれません.

RIETIのサイトでMETIを褒めているのもなあ,というのも思ったり思わなかったり.ええ,川口さんはそういう方ではないですけど.


六魂祭に行ってきました

2011-07-18 19:49:00 | 生活
仙台市で開かれた六魂祭に行ってきました.六魂祭は「東北6県を代表する祭りの数々が仙台の地に集い、復興への狼煙をあげます」という趣旨で,青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、仙台七夕まつり、福島わらじまつりのさわりを見せてしまおう,というイベントでした.16日土曜日と17日日曜日の2日間開催され,1日5万人,2日で10万人の人出を予想していたところ,1日目で13万人以上の人出があり(河北新報),定禅寺通りでのパレードでは青森のねぶたと秋田竿燈まつりが中止になってしまっていました.という事情をうすうす知りつつ,日曜日の午後のパレードを見に行きました.

予想通りに大混雑で,最寄りの勾当台公園駅の入り口はいくつか封鎖されていました.パレードは定禅寺通を晩翠通までだったので,裏道を通って晩翠通りのほうへ移動したのですが,この裏道もえらく混雑していていました.土曜日に比べると,定禅寺通の使い方を変えたようで,パレードも遠目に見られないこともないのですが,いかんせん人が多すぎてもう何が何だか,でした.主催者発表で36万人の人出だったそうで(河北新報),見込みが甘かったといえばそうなんでしょうが,初めてのイベントですししょうがないかしらん,と思います.祭りを小出しにすることでみんなが「本番」を観に行くことになるといいですねえ.

「穴場」だったのは,パレードの復路でした.パレードは勾当台公園から定禅寺通りを進むのですが,進んでいった行列は帰って来なければならず,帰ってくる方はパレードに含まれていなかったので,公式なパレードが終わってから同じルートをぞろぞろと帰ってくるのをしげしげと眺めることができました.もちろん,踊っているわけではないのですが,ねぶたも身近で見ることができて,ちょっとオトクだったかも.また,パレードのときには人ごみで分からなかったのですが,パレードには各地のミスなんとかさんが参加していたらしく,帰り道に彼女らをついじろじろ見てしまいました.ミスさんさとかミスピーチとか.

暑さでぐったりしてしまったので賣茶翁で雪茶(かき氷)を食べて帰りました.かき氷おいしかったです.


経済学の教え方

2011-07-15 01:12:40 | 生活
Faculty Development(略称FD)は,大学教員の教育能力を高める組織的取り組みのことを指すんだそうですが,その一環として若手教員による「私が工夫していること」の発表会がありました.うちの職場にしてはめずらしくなかなか気の利いた企画です(←えらそうですな).発表者は,信者もつくという噂のTKさんと,着任間もないTYさん.お二人ともいろいろ工夫されていて刺激になりました.簡単にまとめると,時間や紙などの資源をけちってはいけないということと,初期条件は無視できない,という,極めて経済学的には妥当なはなしでした,で終わらせるのもなんなのでもう少し.

具体的な方法はさておくにしても,お二人に共通していたのは初期条件への対処です.ここでいう初期条件というのは,授業が始まる時点,つまり学期初めの時点で,学生がなにを知っていてなにに興味があるかという点です.大学教育なんだから(しかもけっこういいとこなんだから),学生は教えられるであろうトピックに強い関心を持ち,それを受け入れるに十分な基礎知識・学力を持っているはずで,そのために入試をしているんじゃないか,と言われればそのとおりではあるんですが,その条件が満たされていれば「文系の学生は遊んでばっかり」とかいう評判は立たないはずでして.

たとえば,高校社会(地歴・公民)と比較的連続性の強い経済史のばあい,たいがいの大学では世界史・日本史・地理のどれか1つだけを受験科目にしている(選択制にしている)関係上,世界史・地理を選択して入学した学生には日本経済史の基礎知識があんまりない,ということになります.ミクロ・マクロといった基礎科目のばあい,大学入試で政経や公民を選ぶ学生は少数派ですから,どういう現象を対象とするのか,から説明する必要があります.ぼくの場合は大学入試で日本史・世界史の2科目を選択したので(そういう大学もあります),政経や公民は高校1年か2年以来みとらん,という状況でした.また,経済学部を選ぶ学生が「経済学をやりたい!」と思っている比率はかなり低いです.たぶん,医学部や薬学部に比べるとかなり低いでしょうし,工学部や理学部よりも低いと思います.法学部よりも低そうなので(法には資格試験がある)ひょっとして一番低いのかしらん(統計はないですが).あんまり興味がないことの知識が身に入らないのは道理で,しかも経済学で扱うような経済現象は,高校でたての若者,とくに(入試向けの)勉強や部活をがんばってきた若者にはピンと来ない,さらに大学デビューもある,となると,教える側にとっての初期条件はかなりキツイということになります.1年生や2年生に,日本の失業率やGDPや公債残高を聞いてもほとんど答は返ってきません(初任給を聞くと意外とちゃんと答えます).

となると,意外と教えやすいのはミクロのゲーム理論ということになってて,「ミク戦」はそういう発想で書かれたんじゃなかったでしたっけ.興味がないことの知識が身に入らないのの裏側には,興味があることは勝手に勉強するという現象があるわけなので,ほっといても教科書や参考書を読んだり質問に来たりする少数の変人以外のマジョリティの学生を動員するためには,DVD見せたり一般向けの本を読ませたりしつつうまいこと好奇心を刺激せねばならず,ついでに言葉と式とグラフで説明ができるように説明しないといけないとなると,こりゃまた準備が大変ですね,とまあそういう話.大学の教員には学部時代から興味を持って勉強しているひとが多い(ぼくは違います)ので,ここらへんの事情がどうなのかしらねー,と思ったり思わなかったり.

てなことを考えると,ミクロ4単位・マクロ4単位(4単位は,週2コマ半期もしくは通年週1コマ)で,応用分野の授業を取らせるのはけっこうきついんじゃないでしょか.「2年のミクロでやったでしょ? わかんない? 復習しといて!」は,じつはけっこう要求水準が高いのでは.日本経済論とか世界経済論とか経済学入門とか(与太話ではないやつ)そういったたぐいの授業を1年生でもっと取らせて,ミクロ・マクロはそれぞれ6~8単位(最近の流れから言うと,マクロは少なくてもいいかも),これらを取ってなければ応用的な授業はとらせない(並行履修は認めない),できないやつにはシビアに容赦なくFを出す,とかしないと,なにがなんだか分からないままご卒業,ということになりゃせんか,と思いました.ミクロ・マクロの授業時間数が増えれば,具体例としてちょっとずつ応用の話(労働や産業組織や環境や貿易や財政やそういうはなし)を入れる余地も増えていいんじゃないかしら.あー,経済史や地理や制度のほうはよくわかりません.人的な手当ての仕方も知りません(授業負担が少ないほうがいい授業が増えそうですし)ので実現可能性はわかんないです.いまのうちの大学はそれでもけっこううまく組んであるように思います.はい.

まあでもこういう議論でさえ,上位校の話なんだよねー,と言われちゃうかもしれません.教育の経済学とならんで経済学の教育は,欧米ではひとつの分野だそうで学術誌もあるそうですけど,日本ではどうなんでしょうか.


期末試験

2011-07-13 16:28:32 | 生活
いまの非常勤先は節電対策で授業が終わってしまい,ついでに期末試験もやってしまったので,採点してみました.授業そのまんまだし簡単だったかなー,と思ったのですけど,平均点は約60点.期末試験のときは普段の倍くらいの人数が来ていたことを考えると,いい感じに収まったのではないかと思います.勉強した人には簡単だったってことかもしれません.むふふ.試験問題を作るのが下手なのでまぐれっぽいですけど.

むらこしん

2011-07-12 14:31:02 | 生活
知らない人にはまったく興味のない話ではあるんでしょうけど,うちの職場にあのむらこしんがくるらしい(これ).テーマは防災対策だそうです.逃げるときの素早い地図の読み方とか,不整地の走り方とか教えてくれるんだろうか.まさか.
最新読図ワークブック―クイズ形式で楽しみながらナビゲーション力がアップ!村越真.2007.
最新読図ワークブック―クイズ形式で楽しみながらナビゲーション力がアップ!
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2007-08-01

それとはぜんぜん関係ないのですけど,こっそり生活していても大学のアドレスに知らない学生さんからメールが来ることはときどきあって,その多くは学期の初めに来る,聴講してもいいですか,という質問なのですけど,もうひとつ年に数通来るのが,学生団体の活動へのご協力のお願い,というものです.オリエンテーリングクラブのなんとか(たとえばこういうのとか)だったら,いそいそと返事をするところなのですが,海外インターンシップがどうとか,政策提案がどうとか,が来ると,「むむー」と思います.その内容はそのときどきなのでどうでもいいっちゃどうでもいいんですが,メールの書き出しが気になります.たとえばこんな感じ.

[大学名]  教授  [氏名] 様
おはようございます。
突然のメールで失礼いたします。私、 [団体名] の [大学名] [学部名] の [氏名] と申します。
我々 [団体名] は (以下略)
1点目.ワタシ,教授じゃないし……って前にも書いた気がするのでもういいや.2点目.「私,」ってなんだ.なぜ「私は」と書かないんでしょか.日本語の助詞は名詞などの文中での位置づけを明確にする役割を果たすので,書き言葉では助詞は省かないほうがいいと思いますが,この「は」を略すことでなにか得るものがあるんでしょか.この「私,XXXなんです」という書き出しは,聴講してもいいですかメールにも見られる現象なので,ひょっとして学生さんたちとしてはデフォルトなのかもしれません.この主語はなくてもいいのに,わざわざ書いて不思議がらせてくれなくてもいいのになあ,と思う今日この頃です.

特例公債法案とミネソタ

2011-07-11 13:47:00 | 授業ネタ
特例公債法案の行方が心配されているところですが,アメリカはミネソタ州では民主党の州知事と,共和党の議会の意見が合わず,予算が成立しなかったためにいくつかの政府機関が閉鎖されるという事態が起きていました(cnn.co.jp).州知事は富裕層への課税強化と歳出削減を訴え,議会は課税に反対してもめていたようです(The economist, "Shutdown in Minnesota").州知事は増税2にたいして歳出削減1の割合の予算を最初は組もうとしたのですが,議会の反対に会ってこの比率を逆にし,さらに妥協点を探ったものの間に合わず,ということでした. 政府機関が閉鎖されるといっても,緊急事態・災害対応機関、警察、裁判所、刑務所等は通常営業で,State-run museums, parks and highway rest-stops have been closed; the issuing of tax refunds, driving licences and grants for social work has been suspended and 22,000 state employees have been put on leave without pay. (The Economist) というわけで,美術館博物館やパーキングエリア,税還付,運転免許,補助金申請等が停止しました.パーキングエリアくらいならいいか,と思わないでもないのですが,法律で義務付けられている運転手の休息がとれなくなったり,あるいは公務員相手の商売にも影響するのでそんなに小さな問題ではないようです.

政府機関が閉鎖なんて!と思ったのですが,ミネソタでは2005年にも9日間の閉鎖があったようで,思ったよりちょくちょくあることなのかもしれません(ミネソタは2回目,と書いてますが).税金を払わないと政府機関が止まるよ,というのは分かりやすい話ではあります.さすがアメリカ.

日本の特例公債法案も,成立しなければ10月中に執行停止もあるかもしれず(産経),交付税を通じて地方自治体へも影響が懸念されるんだそうです(NHK).アタマのよい財務官僚がいることですから,短期証券とかなんとか使えば執行停止は止めることができるのかもしれませんが(夕張の例もあるし.その場合には公債特例法案成立までの場つなぎか,次年度予算の規模縮小にならないといけません),信頼性のある脅しをしようとして実際にいくつか執行停止にしちゃったりしないかと心配です.交付金や補助金を停止して,本体業務はそのまま,というのはありがちな気がしますが,そうすると運営費交付金や,科学研究費補助金がカットされちゃったりするのかしらん.はてさて.