エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2007-12-14 |
生兵法の推定がうまくいかないので消化がてら(二つの意味で)書籍部に出かけてうろうろしていたところ,新刊コーナーに置いてある本の帯のあたりにどこかで見たような丸い顔がほほ笑んでいたのでつい衝動買い(?)しました.しげしげ見てみると見たことがあるのも道理で,あの大活躍中の駒澤大学の飯田センセイでした.しかも統計学の本ということで,相変わらずインチキっぽく経済統計を教えている身からするとなかなかに興味深いところです.
目次を見てみると記述統計の基礎から始まってVARにいたるかなり幅広な内容で,NHKブックスのあまり大きくも厚くもない規格にしてはえらいことになっているなあと思ったりします.書きなれている人は違うのかしらん.短い本ながら強調したい点が押さえてあるのはさすがだなあと思ったりします.なんでVARまで話を進めたのかはよく分かりませんが,少し難しいトピックとしてマイクロ計量を挙げると「やばい経済学」と比べられちゃうもんねえ,と思ったり.(マイクロ計量,という言葉が一回出てきたような気がしますが,あれはあれでよかったんだろうか,というのは疑問).ということで,最初の4章くらいは参考文献に挙げてもいいかなあという感じでした(←なぜかエラそうですね).
それはそれでよいんですが,117ページで母集団のことを「ユニバーサル」と言ってます.そうなんだあ,てなもんですが,ポピュレーション population のほうが普通じゃないかなあと思ったり.あと,123ページあたりで「サンプル数」という表現があるんですけど,これはデータ数か観測値数が正しいんじゃないかなあ.観測値のひとまとまりが分析の対象となる「サンプル」となるよねえ,とは近くにいるK先生もH先生もよくおっしゃってます.標本平均の分布を考えたりする時には「サンプル数」って言ってもおかしくないのかしらん.ついでに126ページで「区間推計,点推計」って書いてあるんですが,これは推定が正しい言い方じゃないかなあ,と思ってみていたら途中で区間推定に変わってました.なんのこっちゃ.あと,「推定値」と「推定量」とかね.
ところでこの本,誰がターゲットなのかなあ,と思ってふと,「統計の基礎知識があまりになくって」と嘆いていた国際関係論の先生の顔が浮かびました.そういう使い方ってことなのかしらん.
考える技術としての統計学―生活・ビジネス・投資に生かす (NHKブックス 1101) 価格:¥ 966(税込) 発売日:2007-12 |
リンク: 東大・京大・早大・慶大、大学院生交流で連携.
ということで,「他大学と協力した大学院教育改革が動き出す」んだそうです.学部での単位互換というのはときどき見かけますし,大学院生くらいになると専門領域の先生を求めて他大学院に聴講に行くなんてことはよくあったことですが,”国内留学”みたいに正式な交流となるとめずらしいし,なんだか素敵な大学が集まっててすばらしいんじゃないでしょうか.修士課程で1年間他大学院に行くってどうやねん,という感じもしないでもないですが,そこらへんは分野によって違うんでしょか.と思ったら,「スーパー連携大学院」という計画もあるんですね.ははあ.
大学院の定員を増やし過ぎて職のないポスドクが増えているというのは,「高学歴ワーキングプア」と呼ばれるほどのものですが,知識立国ニッポンを目指すんだかなんだかのためには必要なことで,同時に単線的なキャリアパス以外の認知を高めることが重要なんでしょうが,大学院自体のレベルを上げようと思ったら,やっぱりある程度は大学院生が集まってる必要があるんじゃないかなあと思ったりします.院生同士の交流というか切磋琢磨というか,そーゆーのがあったほうがいいと思うし.で,そのための大学院生交流計画だとおもうんですが,これって,そのうち大学院の合併とかのはなしになるんですかね~,と思ったら,「大九州大学」とか「大名古屋大学」とかの発想もあるんだそうで(via 大学プロデューサーズ・ノート).うーん,そうすると関東圏はみんな「大東京大学」になって,「大東京大学国立校」とか「大東京大学茗荷谷校」とか「大東京大学大岡山校」とかになっちゃうんでしょうか.いっしょになりゃいいってもんじゃないでしょうけど.ううむ.しかしまたなんで九州と名古屋?
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書) 価格:¥ 735(税込) 発売日:2007-10-16 |
ここのところまたまたStataくんのお世話になっているのですが,あまり縁のなかった推定方法を生兵法で使おうとしているので,一発コマンドを求めてネットを漂流したりしています(前途有望な大学院生は真似しないように).そんななかで見つけた便利コマンドの一つが outtexです.このコマンド,推定コマンドの後に実行すると,推定結果の表のtexソースを書いてくれるという優れ物で,オプション指定することで標準誤差(標準偏差とよく間違われるやつ)を係数推定値の下に置いてみたり,表の下部にサンプルサイズ(サンプル数とよく誤記されるやつ)やF値を出力してくれたり,小数点以下の桁数を指定できたりします.いくつかの推定結果をまとめて表にしてくれたりはしないみたいですが.いやー,探してみるものですなあ.adoファイルの置き方やfindit, whichなどのコマンドも知りませんでしたよあっはっは.