だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

Victory for common sense

2010-03-23 10:15:50 | 経済学
アメリカの医療保険改革法が成立しそうだそう(日経)で,単純に考えれば保険が利用可能でないよりは利用可能なほうが効用は増加するはずで,保険市場が情報の非対称性によって成立していないばあい(逆選択のケース)では強制保険は解決の一手段であることから,いいこっちゃないのかしらん,と思っていたのですが,どうにも僅差で可決のようで.まじまじと議論の経過を追ったわけではないので反対派の論拠がよく分からないのですが,とりあえず政府が大きくなることに対する直感的な(?)反発があるのではないかと思ったり.確かに,強制加入は必ずしも公的保険を意味しない(自動車の自賠責保険の例)ですし,今回のアメリカの医療保険改革も,公的医療保険を拡大する者ではなくて,加入条件を緩和したり,補助率を引き上げたりして,実質的な皆保険を目指す(不法移民とか残るみたいですが)というもののようです.

つらつら考えているのもなんなのでぐぐってみたら,こんなの発見.

ついにアメリカが「常識」の国にCHANGE 医療保険改革がついに(goo news
対立の焦点は概ね三つ。
(1) 政府は小さくあるべきだ、大きい政府反対。自分や自分の家族が病気になったらどうすべきか国が決めるなんて、そんなのは社会主義だ、ファシズムだ。
(2) 政府は小さくあるべきだ。財政赤字をこれ以上、悪化させるつもりか。
(3) 中絶に連邦予算を使うな。
中絶ですか.びっくり.正直なところ,思いもよりませんでした.一般に社会保険は所得再分配を伴う(それが社会保険ってものです)ものなので,すでに民間保険に加入しているひとにとっては公的保険が新たに導入されると保険料が引き上げられたりカバレッジが狭くなったりして損をすることになって(日本の大企業が健康保険の一元化に反対するのはここらへんが理由ではないでしょか),それがいやなのかしらん,個人主義ってやーねー(木久扇風に),と思ってのですが,中絶ですかー.うーむ.江戸時代には間引きが行われていた日本(ここ参照)とは違いますなあ,ってことでしょうか.ううむううむ.

ま,一方で病院株は値上がりした(日経)そうで,そんなもんかしらん,とも思ったり.公的保険の拡大は病院行動を変えますしねえ.

Acemoglu, Daron, Amy Finkelstein (2008) Input and technology choices in regulated industries: Evidence from the health care sector. Journal of Political Economy 116(5), 837-880. [U Chicago Press]
Finkelstein, Amy (2007) The aggregate effects of health insurance: Evidence from the introduction of Medicare. Quarterly Journal of Economics 122(1), 1-37. [MIT Press]


エアコンと偏差値

2010-03-17 12:43:14 | 経済学
朝日新聞千葉版(3.17)より.
エアコンを公費で整備せず、保護者らの負担での導入を認めている県立高校で、学力が低いとされる高校ほどエアコンが導入されていないことが、県立布佐高校の鳥塚義和教諭の調査で明らかになった。偏差値が下がるほど、保護者がエアコン設置費を負担する余裕が無く、親の格差が子どもの学習環境にも影響を与えているとみている。
公費で導入されていないということは私費なわけで,「リース代や光熱費として、月に560円~960円を負担」する必要があるそうです.この負担額が大きいと見るか小さいと見るかはたぶんに(保護者の)所得水準に影響されるでしょうし,授業料の滞納が起きているようなところでは,私費負担が見込めないので導入もされないでしょう.公費で整備されていない理由はよくわかりませんが,「エアコンは教育上必要なものか」について合意が得られていないのかもしれませんし,県の財政が逼迫しているせいかもしれません.基本的には「金を払えば快適な環境になる」という関係にあるので,県立高校の進学先選択の自由度が十分に大きいのなら,エアコン設置は高校の自由に任せて,生徒(あるいは保護者)に所得補助すればよい,という議論も成り立ちます.エアコンはないけど図書館はすごいよ,といった自由度が高校にあってもいいじゃん,という話.生徒の住所によって進学先が限定されるとしても,引越しの自由は否定されていないので,引っ越せばいいよね,とも考えられます(引越しの費用が高ければ話はまた別).

調査した鳥塚教諭は

「『困難校』では保護者の授業料の滞納なども多く、少額にも思えるエアコン代も払える状況にない。エコの観点だとエアコンは不要とも思うが、進学校では涼しい場所で勉強がはかどり、困難校では暑さで集中できない。親の格差が子どもの格差につながるという象徴的なもの」
とおっしゃってて,それはそうかもしれないですが,考えるとややこしい問題のような気がします.単に県内の温度差(天気的な意味で)を反映したものだったりしないのかしらん.

学生もたいへん.

2010-03-16 09:54:08 | 生活
古本屋をうろうろしていたら目に留まったので買ってみました.
下流大学が日本を滅ぼす! (ベスト新書)三浦展. 2008.
下流大学が日本を滅ぼす! (ベスト新書)
価格:¥ 740(税込)
発売日:2008-08-09

一橋大学を御卒業なさって,「下流社会」で時のヒト(?)になった著者の話をレコーダーでとって文字にあげた感じの本で,えらくあっさり読めます.要するに大学が多すぎるんだけど大学の内部のヒト(研究者含む)はそれをいうと職がなくなっちゃうので言わないし,最近の学生はお客様気分だしモンスターペアレントみたいなのはいるし,4年間が無駄になっているところが多いんだから,あんなのつぶしちゃえ,という話.入試偏差値のそれほど高くない大学での逸話を知るためのお話だと思えばおもしろいんじゃないでしょうか.確かに「先生すごいっすねー」とか微妙に上から目線+お客さん目線で言われることは大学院ですらありますね(「すごいっすね」じゃなくてアンタがやるのよ分かってんの,と怒鳴ったらダメなんでしょうな).若い研究者には「そんなのを相手にしなくていいように業績を作らねば!」と圧力をかける効果もあっていいのかもしれないですけど,本っぽくないというか,居酒屋談義風というか(それを狙ったんでしょうが),がどうかしらんと思ったり.740円だったら買わないかなー.

就活のバカヤロー (光文社新書)石渡嶺司・大沢仁, 2008.
就活のバカヤロー (光文社新書)
価格:¥ 861(税込)
発売日:2008-11-14

就職活動を就活って略すのはいかがなものか,と思っていたら,ナントカ活があちこちにあふれててびっくりなのですが,本家(?)就活がどないになっちゃっているのか,という話.就職協定がなくなって以来,採用活動の実質的な早期化が進展していている関係上,大学院の修士課程だと入学して半年すると就職活動が始まり,いろいろと活動していると1年くらい過ぎてしまい,半年でやっつけの修論を書く,ということになっていて,そりゃまあ審査する気にもならんですわな,Dあげるから出てけ,ということになって,そういう学生を迎え入れる企業官公庁の側も迷惑な話ですな,学生も疲れてるし,という三方一両損,という話ではありません.でも,学生も大学も企業もだれも得してないよね,という囚人のジレンマ的というか強調の失敗的というか,そういうことになってますね,という本でした.会社勤めをしてから読むとおもしろいのですけど,これ,学生が読んで分かるのかしらん,というのはちょっと不安.おもしろいんですけどね.


引っ越し

2010-03-15 16:46:46 | 生活
朝から男たちが力強く働いている息遣いが身近に感じられる,と思ったら,階段を荷物を持って登ったり降りたりしているようすなのでした.耐震だか免震だかの工事がそこここで展開されていて,そういう工事をしている建物にはいられない都合上,一時的に場所を移っているひとたちがいて,そのひとたちの一部はいま僕のいる建物の上の階にいるのですが,工事が終わったので元の建物にお引っ越し,ということのようです.それとはべつに,いま僕のいる建物ではエレベータの改修だか付け替えだかの工事をしていて,エレベータを使えません.その結果,お引っ越しの荷物を男たちが階段を歩いて運ぶ,ということになってしまったようです.

しかし,エレベータ工事は1,2ヶ月で終わることだし,耐震工事が終わったからといって急いで戻らなければならないわけでもないし,どっちにしても日程を少し考えれば引っ越しにエレベータが使えなくなるのは不便だ,というのは分かりそうなものなのですが,どういうこっちゃ.春休み中に両方とも終わらせないといけない,とかいう話でもあったのかしらん.エレベータが使えようが使えまいが,引っ越せないわけじゃないからいいじゃないか,追加料金ならはらっちゃる,ってことですか.それもまたなんですな,なんと申し上げてよいやら.

エレベータ,といえば,宇宙エレベータですが,宇宙エレベータといえば,最近では学位の取消しですか(東京大学記者発表).「審査したのかよ」と思わないではないですが,研究者としての礼儀というかマナーというか,まあ普通はやらんわな,と思ってうかうかしていたらあらびっくり,というところなんでしょうなあ(おおや先生のコメントも参照のこと).


さんま

2010-03-12 11:25:00 | 生活
「代議士の誕生」でも有名な政治学者ジェラルド・カーティスの随想が積読されていたのを読みました.政治学は最近のぼくの趣味の近くにあるのと,ぼくがフィールドっぽいスタイルをとらないこともあって,あと,字が大くて行間が広かったのもあって(?),すいすいと興味深いものでした.日米交流に関係するところなどを除くと,保守的な日本のおじさんと書いたものかと思わないところもないわけではないですが,アメリカの政治学者の視点が随所に見られてよかったです.中選挙区制から小選挙区制への変化とか,政治学の領域ではよく言われることでしょか.成功していた日本の記憶が強い「第3世代」らしく,日本社会・政治への暖かいまなざしを感じることのできる本です.ところどころ厳しいけど.
最近の日本で気になるのは,自慢話をする人が増えたことである.謙虚どころか,アメリカ人顔負けに自分のことをほめる.お金の話を平気でする人が多くなった.(第4章,「失われた10年」は分水嶺,159ページ)
ぼくの苦手なタイプですなー.あっはっは.
政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年ジェラルド・カーティス.2008.
政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年
日経BP社
発売日:2008-04-10

おごおり

2010-03-04 11:14:02 | 経済学
おごおり,といえば山口県の山口市の南にあって新幹線の駅があった町だと思っていましたが,ぼんやりしているうちに新幹線の「小郡」駅は「新山口」駅に名をかえ,小郡町は山口市に合併されていました.5年も7年も前の話ですが.そのかわり(?),福岡県には小郡市があります.ややこしい.ややこしついでですが,福岡県には豊前市と上毛町があります.大分県か群馬県かと思いました.この「上毛」は「こうげ」と読むんですってさ.ううむ.