だからちがうんだってば.

ブログ人から引っ越しました

農業金融 or 農村金融

2006-11-16 15:00:00 | 生活

農業金融というと,農家の借り入れの話になるわけですが,そういう方面の資料を見ていると,制度資金と農協プロパー資金があって,制度資金には財投からの農林公庫資金や都道府県が出す財政資金である農業改良資金や制度的な利子補給や信用保証がつく農業近代化資金があって,農協プロパー資金のほかにも,だんだん体力が回復してきたもののうまい貸出先が見つからない地銀や信組,さらには都銀が行っている民間融資があって……という話になってそれはそれでいいんですが,今のところよく分かってないのが,こういう農家への融資が,農林省などが行っている公共事業の一つである農村のインフラ整備(生産基盤整備に限らない)の地元負担分とどう関係してんのか,というあたりです.農林公庫資金の融資の用途には「農地取得」というのがはいってるんですが,これが土地改良事業と密接に絡んでいるのか,つまり,土地改良事業に代表されるような公共事業の実施が決まると,(農協なんかが)「じゃあ地元負担分については制度資金で借りてくださいねー」とかいってとりまとめをしてくれてんのかどうか,ってな話はあんまり出てこないのですよね.ううむ.ひょっとして,あまりに当たり前な話なのでわざわざ書いてないんでしょうか.それとも僕の探し方が悪いのかな?むむむ.

農業金融といえば,最近は農業経済の本や雑誌を見ることもあるのですが,「農業経済研究」という査読付き日本語学術雑誌があるのですが,この英文タイトルが「Journal of Rural Economics」とかっていうのですよ.そうなのか.で,これの最近の号に「農業廃れて農経太る」という論文があるのですが,えーっとなんというか,農経だけに向けられた批判ではないように読めるのですよね.ううむ.

というわけで,神門先生の『食と農』がサントリー学芸賞をお受けになられるそうで,めでたい限りです.ご本人の感想?も興味深いです.コチラ

日本の食と農 危機の本質 日本の食と農 危機の本質
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2006-06-24

佐藤さん

2006-11-13 21:10:09 | 生活

福島県の佐藤栄佐久前知事が贈収賄の話で辞任して,知事選挙をやったと思ったら当選したのは佐藤雄平さん.「佐藤さんが辞めて佐藤さんが就任するのか.よくわかんないなあ」とテレビを見ていたら,これを伝える福島のアナウンサさんも佐藤さん.あれか,佐藤継信・忠信兄弟以来,福島には佐藤さんが多いのか?

と思ったら,ほんとに多いらしい.むむむ.藤原家の影響か.


WHO事務局長

2006-11-12 09:11:26 | 生活

WHO(世界保健機関)の事務局長という職に,日本人の尾身茂さんを擁立する動きというのがあったらしいのですが,このたび,選挙で香港人の陳馮富珍さんという方に決まったそうです(WHO 次期事務局長に陳氏 国連機関トップ初の中国人).この方,「香港の保健当局のトップを務め、新型肺炎(SARS)などの問題に対応」とか「(WHOで)鳥インフルエンザやSARS対策の陣頭指揮」という経歴の持ち主らしいんですが,ええっと,中国・香港あたりでのSARSとか鳥フルの対策って「そりゃどうなのか」というものもあったんじゃないかという報道だったんじゃないかと思うんですが,そこらへんどうなんでしょうか.事務局長だけで仕事するわけじゃないとは思いますけど.

Link:
WHO事務局長選挙に日本の甘さを見たね、私は。
上海に居座る黄菊&世界を不幸にするWHOトップの誕生。


どうも最近

2006-11-11 10:01:00 | 生活

仕事の進み方が遅いです.環境の変化にまだ適応できてないってことなんでしょうか.まさか.

着々と研究を進められてるM先生とか,S州大学のS先生とか,A学院大のI先生とか,えーっとそれからもちろん同じ職場の先生方とか,すげーなー.

そのわりにえらくしんどいんですけど.どういうことや.


農林中金と農林公庫

2006-11-10 09:57:00 | 生活

恥ずかしながらちょっと前まで区別がついていなかった農林中金農林公庫なんですが,片や大正時代から存在したいちおうは民間の金融機関,片や高度成長期前期に設立された公的な政策金融機関ということで,ここのところちょこっとずつ調べてます.調べてるといってもこちらは金融論は全然わからないので,B/Sをみたりとかするわけじゃありませんが.いずれの機関も高度成長期の工業の発展の裏で農業金融で大活躍し,最近は見直しが叫ばれているという共通点(?)があります.いまのところの理解では,農林中金は個別の農家への融資を担う農協の上位(?)機関,農林公庫は農村のインフラ整備のための財政投融資機関という棲み分けになってます(たぶん).

日本の農業金融でこの2機関…というか,農協と農林公庫というべきかもしれませんが…が果たした役割は大きいらしいのですが,農林省の政策とこれらの機関と地方自治体の関係がこりゃまたさっぱりいまだに分からず.この前の出張で,農協と自治体は仲がいいらしいということはよく分かったんですけどね.ってか「制度資金」ってのはなんなんだ.農協からの融資に公的な利子補給がついてたりするんですよねえ.

農協といえば,あの住専処理のときの6850億円の話があったりするわけですが,農工間所得格差の是正を目指した基本法農政は,農家の兼業化という当初想定しなかった経路によって達成され,農協は組合員間の融資という協同組合としての性格を失っていくとともに,兼業農家の金融機関として高利回りを要求され(定期預金など),非農融資に走っていかざるを得なかった,という文脈で理解される話なんだそうですよ(合ってんのか?).まあそれにしても金融機関としてちゃんと資源を揃えとけ,とは当時の大蔵省の言い分なんでしょうけど.さて,農家の兼業化が進んだ理由……つまり,工業部門にも労働力を提供した農家が土地を手放さずに農家も続けた理由……は,技術進歩による農業の省力化(とくに米作)のみならず,土地収用時の転売利益を見込んだ土地の保蔵,それを支えた農地税制や農業委員会の存在,というものにも求められるんだそうですよ.もちろん,水利を通じた集落のつながりの必要性,なんてのもあるそうですが.ははあ.で,こういう仕組みが維持された背後には,与党の立場を確立していた自民党との結びつきというのがあるんだそうですが,意外に1950年以前では農業は迫害されてたりする(安い食料の供給が優先された)というから話はよくわからなくなっちゃうわけですな.どうまとめたものかね.

しかし,勧業銀行ってのは,設立(明治30,1897年)当初は農業のための特殊銀行だったんですなあ.知らんかったですよ.いまとなっては「みずほ」ですからねえ.


イベント盛りだくさん

2006-11-08 09:31:00 | 生活

今学期の水曜日というのはなかなかにイベント盛りだくさんの曜日ではあるのですが,今日は,1限・2限と授業して(授業はきらいじゃない),午後は会議(1時半~4時45分),会議(5時~6時半)に出席して(発言するわけじゃない),西国分寺の鳥芳に飲みに行ってきました.そうそう,ランチはI先生とYくんとややかみ合わない話をしながら和食を食べました.ううむ.

うちの職場の会議は「ほかの会議と比べると短いんじゃないでしょうか.マトモなひとが多そうだし」という評判があるらしい(標本1)のですが,いや意外とそうでもないんじゃないかと思ったり思わなかったり.しかしマクロの先生はいつも素敵なコメントをなさるので好きです.はい.

鳥芳で一緒に飲んだのは,一時帰国中のDJくんと,人情に篤いDwくん,前日に引越し葉書をくれたので存在を思い出したKさんというメンバーで,大学時代に同じ競技をしていた仲間なんですが,揃いも揃って,同じ競技をしていた他大の人と結婚したという共通点があったりします.ええまあだからどうしたというところなんですが.DJくんはいったん企業に勤めてから大学院に戻り,けっこういい大学の助手だかなんだかのポストを蹴ってPDで在外研究中という生真面目な好青年です.彼みたいなひとは教育面で正の外部性を持つんじゃないかと思うんですが,大学につきもののよくわかんない仕事に惑わせるのも悪いような気がしたりもします.企業で研究開発に専念してもらったほうが世のため人のためかもしれません.しかし,「大学の自治」というのと「教授が研究教育以外の行政を担う」というのは必要十分条件でもなんでもないと思うんですが,そこらへんはどうなんでしょうね.Dwくんは大学時代から人情に篤いことで知られた人物でしたが,いまだに人情は健在(人情が「健在」というのかどうかしりませんが).「人情がほしいところだ」と違う文脈で言われてて軽く反発していたところなので,彼のような普通の人情に接することができるとほっとするところです.Kさんは,今思えば変な人ばかりだったクラブ女性陣のなかではまあマトモなほうで,いまは専業主婦でひまちゃんなんだそうです.学士号までもってるのにもったいない.ま,いずれにしても,彼らのような素敵な人種を見ていると,最近のぐだぐだな生活を反省せずにはいられません.反省したから直るわけでもなく,大学は社会適応力のない人を収容する施設なのかもしれませんが.


黒田残留!

2006-11-07 10:13:07 | 生活

黒田残留ですよ.よかったよかった.「そんな僕をここまでの投手に育ててくれたのはカープ。そのチームを相手に僕が目一杯ボールを投げる自信が正直なかった。」ですって.いいじゃないですか.エエ話やなあ.やっぱりねえ,内発的動機付けが重要ですよね.給料みたいな金銭的インセンティブで労働供給行動は決まらないんですよきっと(あれ?).

来シーズンも最終戦のような応援を続けてもらって、ファンの方々と力を合わせて頑張りたいと思います。

あたり,感じさせるものがありますなあ.

リンク: 「黒田選手残留記者会見!」(広島東洋カープ).


阪大+一橋+日経新聞=?

2006-11-06 13:51:22 | 生活

「あの」権丈先生が医師不足問題についてお書きになっていらっしゃるというので,探してみました.これこれみたいです.医師不足の背景についての指摘はもっともだとは思うのですが,その効果の大きさはどうなのか,というのが気になるところです.医療「過誤」によるリスクや仕事のハードさの点で勤務医より開業医のほうが望ましいとしても,開業医には開業医なりのリスク(患者が来ないとか)があるはずだし,慰留されることもあるかもしれず,勤務医に高給が払われるかもしれず(補償賃金仮説)…という可能性はあるわけですし.もちろん,他の要因から切り離して計測できない(identifyできない)可能性は高いですけど.医療関係の事件がおきた地域では勤務医が辞めやすいとか,そういう実証してみたらどうでしょうか.(→興味のあるかた,ワタクシ,last authorでけっこうですよ)

ついでに見つけたようなものですが,「公的年金における世代間格差をどう考えるか:世代間格差論議の学説史的考察」(PDF)と題されたこの小文,ううん,というところです.たとえば最後のあたり.

日本の公的年金論議が他国と比べて奇妙かつ自虐的な形になってしまったのは、日本経済新聞社、阪大財政学グループ、一橋年金研究グループの精力的かつ秀でた活躍に原因があったのではないかという作業仮説を立てることができそうなのである(中略)。もっとも、この仮説と、日本経済新聞が、今でも公的年金の世代間格差を読者に強く問題視させる記事を書きつづけていることの間に、なんらかの因果関係があるのかどうかは、わたくしには分からない。ゆえに、みなさんで考えてほしい

ですって.うひひ.「世代間格差」を「輸入」した研究者が旺盛な活動家であったために,世代間格差の議論が広まっている,というのが仮説なのですが,ではなぜ日本経済新聞がそれに乗っかったのか,その種の議論が持続しているのはなぜか,というのは興味深いところです.なんでなんでしょうね.「分かりやすいから」というのも見逃せないとは思うんですけど.あと,世代間対立というのが,年金に限らずなんとなく雰囲気としてあった,というのはどうでしょうか?


Saving Capitalism from the Capitalists

2006-11-05 21:16:00 | 生活

ちょっとまえからちょっとずつ読んでいた「セイヴィング キャピタリズム」をやっと読み終わりました.RajanZingalesというシカゴの人たちによって書かれたこの本は,基本的には市場経済に信頼をおきつつ,ただし市場経済はのほほんとそこに存在するものではなく,彼らの言うところの「既得権者」によって簡単にゆがめられうることを,歴史的・制度的側面からも説得的に述べた本です.彼らの主張は

市場に対抗して身構えている政治勢力が存在するとすれば、市場志向的な政府は、それらの勢力を弱める可能性のある政策をどうやって実施できるだろうか。…(中略)…具体的には、効率的ではあるが、過度に集中していない生産的資産の所有を実現し、労働者に変化に対応できる柔軟性を植え付け、極端な困難が生じた場合に役立つセーフティネットを提供し、規制手段が過度に抑制的になることを予防する外部との競争を促す政策を提案した。(p.434)

といったあたりに集約されるとおもいます. 興味深いのは,彼らが競争の敗者へのセーフティネットへの提供を,そうしなければ彼らが反市場運動の政治的な支持者に回ってしまうという理由によって,正当化している点です.セーフティネットはしばしば社会厚生関数やなんやによって正当化されてきたところですが,たしかになあ,と思います.最近の日本の議論を見てても.さて.

経済学者が市場を支える制度に再び注意を払い始めたのは、ごく最近のことである。…(中略)…あまりにも多くの経済学者が,いかにして市場が生成されるのか,市場はいかに繁栄するものなのか,そしてどのようにして市場は消滅するかといった問いを発することなく,完全競争のエレガントな理論モデルと戯れている.(p.439)

とのことですので,やはり今後は政治的側面との融合や,制度的・歴史的な視角からの検討が大いに行われるのでありましょうなあ.やっぱり制度かー.

ってか,この共訳者のひとり,昔会ったことがあるような.

Rajan, Raghuram G. and Luigi Zingales. 2004. Saving Capitalism from the Capitalists: Unleashing The Power of Financial Markets to Create Wealth and Spread Opportunity. Princeton University Press.