「あの」権丈先生が医師不足問題についてお書きになっていらっしゃるというので,探してみました.これとこれみたいです.医師不足の背景についての指摘はもっともだとは思うのですが,その効果の大きさはどうなのか,というのが気になるところです.医療「過誤」によるリスクや仕事のハードさの点で勤務医より開業医のほうが望ましいとしても,開業医には開業医なりのリスク(患者が来ないとか)があるはずだし,慰留されることもあるかもしれず,勤務医に高給が払われるかもしれず(補償賃金仮説)…という可能性はあるわけですし.もちろん,他の要因から切り離して計測できない(identifyできない)可能性は高いですけど.医療関係の事件がおきた地域では勤務医が辞めやすいとか,そういう実証してみたらどうでしょうか.(→興味のあるかた,ワタクシ,last authorでけっこうですよ)
ついでに見つけたようなものですが,「公的年金における世代間格差をどう考えるか:世代間格差論議の学説史的考察」(PDF)と題されたこの小文,ううん,というところです.たとえば最後のあたり.
日本の公的年金論議が他国と比べて奇妙かつ自虐的な形になってしまったのは、日本経済新聞社、阪大財政学グループ、一橋年金研究グループの精力的かつ秀でた活躍に原因があったのではないかという作業仮説を立てることができそうなのである(中略)。もっとも、この仮説と、日本経済新聞が、今でも公的年金の世代間格差を読者に強く問題視させる記事を書きつづけていることの間に、なんらかの因果関係があるのかどうかは、わたくしには分からない。ゆえに、みなさんで考えてほしい
ですって.うひひ.「世代間格差」を「輸入」した研究者が旺盛な活動家であったために,世代間格差の議論が広まっている,というのが仮説なのですが,ではなぜ日本経済新聞がそれに乗っかったのか,その種の議論が持続しているのはなぜか,というのは興味深いところです.なんでなんでしょうね.「分かりやすいから」というのも見逃せないとは思うんですけど.あと,世代間対立というのが,年金に限らずなんとなく雰囲気としてあった,というのはどうでしょうか?
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