ええまあいろいろ大変なんですって.いやいや.
IMFのMichael Keenが来日しているついでに(?)セミナーがあったのでいってみました.テーマ自体は夏のIIPFで聞いたはずのものなのですが,時間が長くて(たぶん分かりやすい英語でしゃべってくれたので),「ほほぉう,そういう話だったのか」とあらためて話のすじを追うことができました.キプロスでは何を聞いてたんだ,っちゅう話なんですがね.
ええっと,話としては,途上国や移行経済でよく使われている付加価値税に対してさまざまな批判があるというのに反論してみましょう,という感じです.日本の消費税では逆進性が問題になりがちですが,ここでは「逆進性というのは売上税でも問題になるのでVATに限った話ではない」としてあんまり触れていません.むしろ,(1)税収の漏れ(fraud),(2)money machineとしての役割,(3)informal sectorを促進する効果,について考えてるということになっています.money machineというのは税収を上げやすいということを指してるんですが,じゃあそれでいいじゃないか,と思ったり思わなかったり.しかし,中間財が出てきたり輸出入が出てきたりインフォーマルセクタが出てきたりするととたんにわかんなくなっちゃいますねえ.ううむ.
いずれにしても,相手(?)が途上国や移行経済なので,理想的な付加価値税を考えるだけではどうしても不十分だということで,結論部ではトルストイが引用されています.
Tolstoy has it that all happy families are alike, but every unhappy family is unhappy after its own fashion. Much the same is true of the VAT. If it functions as it should, any VAT is simply a tax on final consumption, to which all our simple textbook models in principel apply. But a less than perfectly functioning VAT is an analytical mess, with particularities of production relationships and compliance behavior immediately becoming key. And it is imperfectly functioning VATs that we observe in practice.
Keen, Michael. 2006. VAT Attacks! Second best perspectives on the value added tax. Presidential Address at the 62nd Congress of the International Institute of Public Finance. [PDF]
バッテリーが完全放電していたままほおってあったのを,ついにディーラーさんにもって行きました.JAFさんにとりあえずエンジンを起動してもらって,どきどきしながら運転して持っていったのですが,あんまり国内に多くない外国産車を譲り受けたものだったので,おもったより費用がかかりそうです.ううむ.
NHKの「日本の,これから」シリーズ(?)で,医療を取り扱っていたので前半だけ見てみました.現下の医療の問題は,医療費の問題よりも医療資源の偏在や(おそらくは)実質的な不足にあるのではないかとおもうので,医療費の削減のためにこれ以上医療資源の投入を減らすというのは,現在利用可能な医療技術を利用できるようにするという観点からはまたいかがなものかしら,と思っているのですが,やはり最初のほうでは診療科や地域による医療資源の偏りや,勤務医のハードワークぶりが紹介されていました.「勤務医が疲れたので開業します」とカミングアウト(?)したお医者さんがいたのにはちょっと驚きましたね.
医療に限った話ではないですが,どうも,日本では公的に供給されているサービスに対する評価が不当に低いような気がします.「払った税に見合うサービスが提供されてない」てなことが言われることもありますが,だいたいが価格付けができない財がほとんど(所得再分配含む)なのですから,なにがどうなのかさっぱりわかりません.
まあそうはいっても,「現場の医師がこういってるんだから間違いないんだ!」とか激昂してたお医者さんがいたのにはげんなりしました.なんだか有名人らしいんですが,現場で話が分かるんだったらそんなに簡単なことはないですよねえ.
なんつーか,医療は必需財の代表のように見られることもありますが,ことマクロの時系列的に見てみれば,国際的な実証分析では医療は奢侈財の性格を否定できないんですよねー.
リンク: Peace 2006.
朝から地方財政のセッションに行ってみました.最初のスロットは現役の官僚さんで,話の内容自体は大変参考になるものでありましたけれども,えーっとまあなんというか,話を聞いてもらえなさそうな感じで,高級官僚っていうかなんていうか….午後のセッションはなんだかうってかわって人が少なかったような気がするんですがどうなんでしょうか.
夜は大正駅の近くの沖縄料理屋で泡盛を堪能しました.くっだらないことで盛り上がっちゃいましたねえ.あっはっは.
近畿大学で財政学会があったので朝から出かけていきました.午前中のセッションはなんだかデータ作るのが大変そうだなあと思っておりました.そういうところで推定方法についてごしゃごしゃ言ったらいかんですよね.午後のセッションの最初に討論者が当たっていたので,討論用の発表資料にちょっと仕込みをしといたのですが,使う機会がなくて残念でした.論文自体はなんていうか,手続き的になってないなあと思ったり思わなかったり.
パネルディスカッションは「格差と財政」というテーマで,その方面では有名なT先生とO先生,財政からJ先生とうちの師匠ということで,楽しみにしていきました.しかしなんですね,授業では後ろのほうに学生が集まって座っていると「前に座んなさい」と思うわりに,自分が聞くときには後ろに座っちゃうもんですねえ.さて,内容ですけど,最近また話題になりつつある格差の話題で,生活保護や初等教育は執行の問題も地方財政改革に絡んでいてさぞかし盛り上がるのではないのであろうかと思っていたですが,なんだか知りませんがちゃんと時間通りに終わってしまって残念でした.T先生もO先生もI先生もそれぞれに広がる論点をお話になったと思うんですけどねー.どうなんですかねー.個人的には,移動可能性や移動のための費用の存在とその解決についてお話してほしかったなあと.
終わった後は鶴橋で焼肉ということで,I先生とT先生もいらっしゃって,いろいろ盛り上がりました.そうですか,滝川クリステルに会ったことがあるなんて.いいなあ.焼肉のあとはK先生に連れられて道頓堀をうろうろしてラーメンを食べて帰りました.さすがに阪大にいらした方は……ですね.
新学期が始まるということは授業が始まるということであるわけですが,今日も今日とて1限から.朝早くだというのにけっこう学生・院生さんがいらっしゃってましたが,あのテンションの低さと反応のなさは朝のせいか僕のせいか,それとも校風のなせる業なのか? 院生のころTAをやってた授業で,いつも冷静なFH先生が学生のあまりの反応のなさに呆れて苦笑いをしているのを見たことがありますが,心境はわからんでもない……こともない. しかし一番前の席でにやにやしながら受講されるというのは,まるでT先生の授業を受けていたときのS先生を見るようだ,とか書いちゃうとよくないんだろうなあ.
ということで,初めて黒板にちゃんと(?)板書するスタイルで授業やってみてるんですが,あれって意外にしんどいですね.後半になると字が乱れるのが自分で分かるし.えらく汗かいちゃったですよ.授業が終わるとチョークまみれになるという噂のN先生の事情もちょっと分かりました.いやでもまあ,こんなに熱心にやってるわけじゃないですが.
で,これを改めて読んでみると,それはそれでなるほどなあとは思うんですが,「世の中にはわからないことがたくさんあるんだ」ということや,その事実に対するタフネスは大切なんですが,さすがに学部上級や院初級の「講義」では,わからなくなったときに使えるべき道具をわかりやすく伝えることに重点が置かれるかなあと思ったり.じたばたしてるとなんとかなるとはいうものの,じたばたする方法が分かってないとなんともなんないんじゃないかなあ.うーむ.
「standing on the shoulders of giants」ともいうしなあ,で思い出したんですが,Google scholarの標語(?)はいつのまに日本語に?