『代替医療のトリック』を読み終わりました.あいかわらずちょっと前の本ですけど.鍼・ホメオパシー・カイロプラクティック・ハーブ療法を例に挙げつつ,これらを含む代替補完医療の有効性の検討結果を紹介する本です.概して代替医療には否定的な結果が得られているとされていますが,この本は代替医療の評価そのものよりも,根拠に基づく医療(EBM: Evidence based medicine)の解説となっているような気がします.また,これらの代替医療が展開してきた歴史の紹介もおもしろいです.イギリスの読者(チャールズ皇太子)を念頭に置いているようで,日本人としては漢方はどうなんだ,というところなのですけど,漢方は付録にある中国伝統医療に含まれているようで,「さらに要検討」となっています.でもしかしなんですね,EBMという用語が確立したのは90年代も後半なんですね.
昨年度になぜか市販の漢方薬の経済的評価を手伝わされた身からすると,治験を経ないで使われている漢方薬もやっぱり「通常医療」的な検討を経ないといけないのであろうなあと思います.北里大学なんかですすんでいるようですけど.
代替医療の側のひともけっこう気にしてるのでしょうか.というリンクを発見.なるほどねえ.
サイモン・シン.エツァート・エルンスト.青木薫訳.2010. 代替医療のトリック 新潮社. 発売日:2010-01 |