西脇順三郎の一行(54)
「芸者」と「けずね(毛脛)」の取り合わせが、異質なものの出会いとして面白い。同時に、ここには「音」の面白さもある。
「か」つし「か」、「げ」いしゃ、「が」、「け」ずね--「か行」の変化。それに濁音「げ」いしゃ、け「ず」ね、「だ」しての交錯。冒頭の「かつしか」が乾いた音、有声音なのだけれど「有声」をあまり感じさせない。それに対して濁音は豊かな「有声音」であるのも面白い。私は、濁音の豊かさを「濁」という「意味」とはうらはらに美しいと感じる。
「最終講義」
かつしかの芸者がけずねを出して (66ページ)
「芸者」と「けずね(毛脛)」の取り合わせが、異質なものの出会いとして面白い。同時に、ここには「音」の面白さもある。
「か」つし「か」、「げ」いしゃ、「が」、「け」ずね--「か行」の変化。それに濁音「げ」いしゃ、け「ず」ね、「だ」しての交錯。冒頭の「かつしか」が乾いた音、有声音なのだけれど「有声」をあまり感じさせない。それに対して濁音は豊かな「有声音」であるのも面白い。私は、濁音の豊かさを「濁」という「意味」とはうらはらに美しいと感じる。