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詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

高橋睦郎『つい昨日のこと』(68)

2018-09-14 09:34:44 | 高橋睦郎「つい昨日のこと」
68 ギリシア病三

アテネから飛んだローマは ギリシアのつづき
そのあとのパリも ロンドンも ニューヨークも
ホンコンさえも コスモポリスという名のギリシア

 「ギリシア」と「コスモポリス」と言いなおされている。パリ、ロンドン、ニューヨーク、ホンコンは「コスモポリス」であるがゆえにギリシア。
 これは「定義」としては正しいのかもしれないが、詩は「正しさ」とは関係ないところにある。
 それぞれの都市の、どこがコスモポリスなのか。高橋の「定義」がわからない。「定義」になっていない。ことばが動いていない。
 だから「コスモポリス」と書いていたはずなのに、次の行は大きく違ってくる。

帰り着いた故国を囲む海さえ エーゲ海の延長

 コスモポリスだからギリシアと言っていたはずなのに、突然、海に変わる。「エーゲ海」が出てきて、「故国の海」をギリシアにする。
 こんなことを書くくらいなら、東京の坂さえアテネの坂のように入り組んでいる。ビルの影からソクラテスが若者を従えて下りてくる、とでも書けばいいのに、と思う。
 目も耳も、足も動いていない。

ひとたびギリシア病に取り憑かれたら 諦めろ
死んで骨になっても 癒えることはない

 と書かれても納得がいかない。



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