Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

即興茶会

2011-06-09 08:48:32 | クラシック
オーディオや趣味が共通する友人と電話でデッカのコーナー型
スピーカーのことなど話していたら、急に日向薬師までやって
来ることが決まった。曇り空から夏の陽射しになって動き易い
せいもあるのだろう。午後から夕暮れまでの即興茶会になった。

一人はコーヒーとパスタを手土産に寄進してくれて、もう一人
の近在に住む知人は、いつもながらの美味なケーキを心配りし
てくれた。パイ生地に包まれたスポンジは酸味も爽快なレモン
味、上段を被うクリームのボリウムにLDLコレステロール増
加への戦慄がよぎるが、健康よりも美味が大切とおいしく戴く。
これらの手土産を肴に雑談の中心はデッカのコーナースピーカ
ーに及ぶ。

友人がこのデッカスピーカーをイメージして選んできたCDが
とても良質な花を添えてくれたことに後で気づいた。
シュワルツコップのリヒャルト・シュトラウスの晩期歌曲集、
サン・サーンスのクラリネットソナタ、バルバラやポルトガル
の現代ファドなど普段自分が聴く機会もないソースはこの友人
の持ち味らしいディレッタンティズムの面目躍如である。

西洋音楽への嗜好は若い頃に入り浸っていたクラシック喫茶
で培養されたバロック、ロマン派ばかりで後期ロマン派、現代
音楽は無知の食わず嫌いを通してきた。
デッカのスピーカーを聴いていて思った。このスピーカーの
領分は西洋の室内楽、歌曲だろう。音像と音場の塩梅がとても
いい。小さな16センチユニットをカバーするほどよい低音は
箱の下へ排出する曲折に富んだロードを辿ることで、ちょうど
よい放射量感を獲得しているみたいだ。
それにしても辛気くさい印象を持っていたリヒャルト・シュト
ラウスがこんなにメロディアスな叙情を有していたとは!
もっと音楽は音楽神の精髄を有するスピーーカーやアンプで聴く
ものだと覚醒する即興茶会となった。



DECCAコーナースピーカーを聴く

2011-06-06 13:50:26 | クラシック
英国の1960年頃作られた摩訶不思議なアンティークスピーカー
を、友人の都合で日向薬師の居間カフェで鳴らすことになった。
マホガニー材で作ったチョコレート色が古色蒼然とした趣きだ。
ペアのそれぞれは丈が1メートル強、横幅は40数センチ、厚さは
最大で29センチ、部屋の角に置いて効果が発揮される箱である。
こんな薄汚れた箱を居間にセットしたら、気の強い好戦的な妻でも
いようものならすぐ排撃?されると予想して思わず失笑する。
このスピーカーの面白さは、表裏が逆なこと、16センチ程度の小
ユニットが見えて、端子や樹脂製のロゴマークが貼った側が裏になる。
表はただののっぺらぼうで、木製の衝立にしか見えないのがミソだ。
間に合わせの管球式フィッシャーアンプにビクター製CDプレーヤー
を繋いで音だしを試してみる。

このスピーカーも伝説で聴くボイドという人物が開発した曰くの逸品
らしい。表裏を逆さにしたアイデア勝負のスピーカーではなく、小さな
口径のユニットは箱内部に張り巡らされたロードを辿ってきて、壁面
への放射時に美味しい音のポイントを結実させるような仕掛けになって
いる。先日、東逗子にある知人のオーディオスペースで同じ英国製に
なるロジャースのBBC放送局の調整室で使っていたというアルテック
604Eっぽい銀箱タイプの素晴らしさに衝撃を受けたばかりである。
あちらは英国の業務用アンプでCDプレーヤーもオランダフィリップス
のLHH2000と全てに我が家との格差は歴然である。

カエル達の闇夜の合唱をバックにいつもの「無伴奏チェロ組曲」No6
のだいすきな「アルマンド」「クーラント」あたりを何回もハシゴする。
ハンガリーのチェロ奏者チャバ・オンツアイ、鈴木秀美、イッサリアス
、ロストロボビッチと愛聴奏者には事欠くこともないソースだ。

東逗子の精緻且つ凛々しい音力には負けるが、こちらのデッカコーナー型は鳥肌が立つような音楽神の近在感を醸すことで負けていないと思った。