漢(おとこ)と呼ぶべき男

先日古い友人と会食してきました。

初めて会ったのはもう２０年近く前ですね
僕が新聞販売店に勤務していた時に
彼は専門学校に通う新聞奨学生という立場でした。

見た目は金パツの長髪で今風に言えば『ちゃら男』となるのでしょう
今も見た目はそれほど変わりませんが


ですがとても面倒見もよく、
２つ下の僕にもいろいろと世話を焼いてくれたりしていました。

バイクの面白さを教えてくれたのもこの人なので
もし出会ってなかったら、僕はバイク乗りになっていなかったかもしれません。

今ではお互いに東京在住で
僕も彼もあの時と変わらない夢を追っかけています。

音楽で身を立てるのはかなり難しいとは思いますが
自分のレーベルを立ち上げ、音楽制作集団のボスとして、
またいろんなお店やイベントのプロデューサーとして辣腕を振るっています。

しかし
駆け出しのころはそりゃあ大変だったようで
とある大失敗では何一つ自分のせいじゃないのに協賛企業に頭下げて回ったり
ある程度軌道に乗せてきたアイデアやお店を、オーナーがあっさり大手に売り渡してしまったり

ですが
頭は下げてもプライドは下げなかったんですよ
目際の小銭を拾うために大義を忘れたりはしなかったんですよ
とばっちりを食ったとしても
自分の身一つでトラブルが止まるなら安いもんと駆けずり回ったんですよ。

新聞配達時代のエピソードを一つ
当時の同僚にダメ人間がいました
こいつは給料もらうとすぐに使ってしまって、周囲の人間から借りまくり、
給料日に返済という生活を繰り返していました
なのに給料日などで大金を持つと気が大きくなって、
後輩のチンピラ連中を飲みにつれて行ったりしていました。
いつしかそいつのアパートはチンピラのたまり場になり、
家の鍵まで取り上げられてしまい、自宅に帰れない状態になってしまいました。

僕らは自業自得だろと突き放しました
実際、それまで何度も助けてやってきてるわけです。

なのに
何の進歩もなかったわけです。

正直なところ面倒くさいという気持ちもありましたし

ところがその相談を受けたこのＹ君
「ちょっと待っとけ」と一言だけ言い放ち
溜まり場になっているアパートに行き
チンピラ連中から鍵を取り返し
しかもそいつらに「お前らあんまりしょうもない事するなよ」と一喝。

都会とはいえほとんどスラム街みたいな土地ですし
中学生くらいのチンピラとはいえ人数も結構いたわけですよ

僕に協力を求めれば
一緒に行くなりできたのですが
僕のそのダメ人間に対する感情にも配慮して一人で行くことを決断したようです。

なんであんなバカのためにそんなことまでするんだか・・・と僕も含めた数人の仲間は半ばあきれてましたが、

本人は「今困ってるんなら仕方ないやろ」とケロッとしてます。

まぁその後もダメ人間には数限りなく困らされてきたんですが
見限るようなことは絶対にしませんでしたね。

生き方は下手だと思います。
今現在は金儲けも下手なのかもしれません。
ですが、
こんな人間には金を払っても会うことはできないと思います。

金より筋を通して、理より情を優先させる

僕の数少ない友人の一人は
そんな『漢』です

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