『楽園 上・下』 宮部みゆき

2011年09月01日 22時05分11秒 | 宮部みゆき
宮部みゆきは1年以上ぶりですね。



「未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子、等が“超能力”を有していたのか、真実を知りたい、というのだ。かくして滋子の眼前に、16年前の少女殺人事件の光景が立ち現れた。」(上)

「16年前、土井崎夫妻はなぜ娘を手に賭けねばならなかったのか。等はなぜその光景を、絵に残したのか? 滋子は二組の親子の愛と憎、鎮魂の情をたぐっていく。その果てにたどり着いた、驚愕の結末。それは人が求めた「楽園」だったのだろうか――。進化し続ける作家、宮部みゆきの最高到達点がここにある!」(下)(ともに文芸春秋より)


上巻を読んだときは、

「等はサイコメトラーなの!?そうじゃないの!?はっきりしてよー!!」

って感じで、なんか煮え切らないような感じで終わりました

でもこういった小説って、

「サイコメトラーでした。ちゃんちゃん」とは絶対に行かないじゃん。
意外性も何もないし。いや、むしろなさ過ぎて意外かも。w


そんなこの小説は、主人公の滋子と、超能力を持っていたと思われるが12歳で事故死した等の母親である敏子、16年前に殺した娘を家の下に埋めて16年間親子3人で暮らした土井崎家を中心に進んでいきます。

最初は等の超能力に疑いをもっていた滋子だが、調べれば調べるほどその能力に確信をもっていく。
調べているうちに発覚した土井崎家の事件。後半はほぼ土井崎家のことがメインです。

上下に巻に分かれた作品だからなかなか概要を書くのは難しいけど、そんな感じ。

上巻はわかりやすいというか、とっつきやすい内容ですが、下巻になるとどんどん細かい描写が入ってきます。
だんだんつらくなってきますが、ここは物語を深く掘り進めるために必要でしょうか。

この本で書きたかったのは、たんに誰がどのように殺したかといったミステリではなくて、なんで親が子に手を挙げなければならなかったのか、親の責任とは何か、そういった現代社会の問題に正面から向き合っていった作品じゃないかと思います。

結論は読んだ人それぞれが感じ取ったことでいいと思う。
簡単なことじゃないけどね


★★★☆☆

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