『絶望ノート』 歌野晶午

2013年05月25日 21時32分21秒 | 読書
ジャケ写は見つかりませんでした。。。

「中2の太刀川照音は、いじめられる苦しみを「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねた。彼はある日、頭部大の石を見つけ、それを「神」とし、自らの血を捧げ、いじめグループの中心人物・是永の死を祈る。結果、是永は忽然と死んだ。が、いじめは収まらない。次々、神に級友の殺人を依頼した。警察は照音本人と両親を取り調べたが、殺しは続いた。」(BOOKデータベースより)

主人公の太刀川照音(たちかわしょおん)、通称タチションは学校でいじめられる苦しみを日記に書いていた。
その日記には大小さまざまな大きさで「絶望」と書いてあり、それを「絶望ノート」と呼ぶことにする。
絶望ノートには是永をはじめとするいじめグループにいじめられる日々のことを赤裸々に書き連ねてあるのだった。

タチションはある日、校庭である石を見つける。
その石は顔のような形をしており、タチションはそれが神の表れではないかと考え始める。
タチションはそれを「オイネプギプト様」と名付け、日々それに祈り続けるようになる。
そうすると、ある日にはいじめグループの一人が夜中に何者かに押され階段から落ちてけがをしたり、いじめグループの筆頭だった是永に至っては学校の屋上から誤って転落し死に至った。

オイネプギプト様の力は本当なのか。
それに悩み始めるタチション、そしてそのノートを偶然にも発見してしまった母親の取った対応とは・・・。


はい、この作品のメインストーリーはタチションの日記です。
日記の形式によって物語は進んでいきます。
普通の小説の地の文とは違って、日記だからそれは完全なる著者(ここではタチション)の主観であり、それが事実かどうかは読者の判断にゆだねられるわけです。

そして、上ではオイネプギプト様とか書きましたけど、いってみればこんな小説で「実は本当に神の裁きでした。ちゃんちゃん」じゃ、読者は怒り心頭で本を捨て去ることでしょう。
決して神の仕業じゃないです。
本当に神がやったんじゃないか!?と考える人はひねくれ者か純粋な人だけじゃないでしょうか。w
だれが殺したのか??
たとえば是永の転落死で考えられる犯人といえばタチション、母、父、教師、同級生、または本当に自殺だった。
タチションは自分の犯行を他の人の犯行に見せかけるために偽の日記を書いていたかもしれない。
両親はいじめられている子どもの復讐のためにいじめっ子を殺したかもしれない。
いろいろ読者としても推理が楽しめるわけですよね。

こういった謎の解決は母や父などの章が解決してくれます。

いろいろ読者を楽しませてくれます。


★★★☆☆

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