『SROⅣ 黒い羊』 富樫倫太郎

2012年01月02日 13時28分42秒 | 読書
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。



「SROに届いた初の協力要請は、県警ではなく法務省からの人探し。自らの家族四人を殺害して医療少年院に収容されていた青年が退院後、行方不明になったという。一方、「警視庁のダーティハリー」こと針谷太一のもとにジャーナリストが現れ、過去の事件について取材に応じろと“脅し”をかけてきた。文庫書き下ろし・シリーズ第四弾。」(BOOKデータベースより)


SROシリーズの続編です。
SROとは警視庁広域捜査専任特別調査室の通称です。

さてさて、前回作SROⅢは大量殺人鬼、シリアルキラーである近藤房子を追い詰めはしたものの取り逃したところからはじまります。
まあ、前回作のネタばれになってしまいますけど、仕方ないですよね。

とはいえ、今回作はまた別のお話。
でも、設定は引き継いでいるから主な登場人物は同じです。前回から引きずっていることも今回のお話に影を落としてくるので、興味がある方は必ず1作目から読んでくださいね。

行方不明になった青年こと太刀川遼一。
太刀川は家族4人を皆殺しにし、全員をそれぞれ寝袋に入れて警察に見つかるまで一緒にいたという猟奇的殺人者。マスコミにはクリサリス・マーダー事件(蛹(さなぎ)殺人事件)と呼ばれていた。
太刀川はその後医療少年院に7年間ほど収容されたのち、北海道富良野の民宿で住み込みの従業員として働いていたが、ある学生のサイクリンググループが出発して以降行方が分からない。
また、そのサイクリンググループの一人、元橋康平はグループと分かれ、一人自転車で東京に向かう途中に連絡が取れなくなってしまった。
SROは法務省の依頼の元、太刀川の“捜査”ではなく、“捜索”を始めることとなったが・・・。

という物語です。

ダーティーハリーこと針谷太一のもとに現れたジャーナリストは、今回作というより次回作への布石みないな感じですね。第4作である黒い羊のメインストーリーには関わってきていません。

個人的には今回作で終わりなのかなぁって思いながら読んでいたから、近藤房子がでてこなくて(細かく言えばちょっと出てきます)残念でしたが、まだ続きが読めるってことで反面うれしかったりする次第です。w
その点、思ったより期待外れでもないし。今回作でも十分楽しめる内容だと思うけどね。
犯行の内容は「遼一の独白」でほとんどわかるんだけど、SROと太刀川のやり取りが少なくてちょっと残念かな。
追い詰められた犯人とSROとの対決シーンをもっと楽しみたかったから、ちょっと残念。解決はあっさり。

でも次回作に期待です。次はいつ発売になるのかな?未定みたいですが、発売されたらまた紹介すると思います。

★★★☆☆

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