雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

能登半島地震 (5) 失われた命

2024-02-13 06:30:00 | ことばのちから

 能登半島地震(5) 失われた命
  仲良かった妻と子の思い出を
   輪島ビル倒壊 翌々日まで寄り添い続けた現場で
(朝日新聞2024.1.29)
 
(倒壊したビル・輪島塗「五島屋」)         (ビルの下敷きになった居酒屋「わじまんま」)

 倒壊した7階建ての五島屋に押しつぶされてしまった居酒屋「わじまんま」。
神奈川県川崎市から6年前に移り住んだ。
1、2階が居酒屋で3階が住居になっていたが、真横に倒れたビルの下になってしまった。
 夫のKさんと次男、次女は難を逃れ無事だったが、
妻のUさんと長女のYさんが押しつぶされた家の下敷きになってしまった。二人は瓦礫に挟まれ身動きができなかった。
 
 『引っ張っても動かない。近くにあったのこぎりで瓦礫を切り、ジャッキで持ち上げても駄目だった。妻Uさんの顔はすでにうっ血し、長女は「痛い、痛い」「のどが渇いた」と言っていた。Kさんは水を飲ませ続けたが、二人の反応は徐々に消えていった』(記事の引用)

 Kさんはその後も現場にとどまった。
冷たくなった二人の体が消防によって助け出される3日まで、よりそいつづけた。
どうしても見つけたい品がある。4月の誕生日に妻から贈られた腕時計だ。 

倒壊ビルに押し潰された家 妻からの誕生日プレゼント見つかる
                       (朝日新聞デジタル2月8日)
 居酒屋「わじまんま」は倒壊ビルの下敷きになったまま一カ月と数日が経過する、
 2024年2月7日、亡き妻U子さんに送られた誕生日プレゼントの腕時計を、
下敷きになった自宅兼店舗の瓦礫の中から見つけることができた。
「あったよ! 時計!」と叫ぶ夫のKさんのうれしそうな声が響き、
捜索隊員たちがその声を聴いて思わず笑顔で振り向いている写真に、
その場の雰囲気が一瞬なごむような瞬間をとらえた写真である。

「大人として、ちゃんと時間を守ってね」という言葉とともに贈られた誕生日のプレゼント。Kさんは「時間を守れなくて、妻に怒られてばかり。
それを楽しんでたのかもしれないけど」と懐かしむ。
いつもテレビの上に飾り、特別なときだけ身につけていた。
 Kさんは今、川崎市内に避難している(1月の末)。
地震の影響で電気を消して寝られず、次男と一緒に寝ているそうです。
「仲のよい家族だった。ビルが倒れてくるまでは……」あとは言葉にならない。


  「助けたかった」問い続ける母
     能登地震 やけど負った5歳が4日後に
                      (朝日新聞2024.2.5)
   
石川県志賀町で5歳の男児が亡くなった。
  正月で同じ町の祖父母宅で、落ちてきたやかんのお湯で火傷を負った。
  搬送された大学病院では、重症ではなく入院は不要と診断。家に帰ったFちゃん。
  だが、容態は急変した。
  お母さんは「助けられた命ではないか」と1カ月たった今、問いかけている。

   1月元旦、午後4時10分、震度7の地震が襲った。
  ストーブの上に置いていたやかんがひっくり返り、
  Fちゃんのお尻や両足の太もも、ふくらはぎにかかった。
  お母さんは我が子をかばいFちゃんに覆いかぶさり自身も左足をやけどした。
  断水のため、水で冷やすこともできなかったという。
   「痛い」を繰り返すFちゃん
   救急車で50㌔以上離れた大学病院に搬送されたが、
  「軽傷ではないが、重症でもないⅡ度の火傷。皮膚移植をするほどではない。皮膚移植をするほどではな
  い」と言われた。
             火傷は深さにより、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類され、それぞれ症状が異なる。
             皮膚農水子供や老人では損傷レベルは深くなる。浅い火傷は痛みなどの症状
             が強く、深くなるに従い痛みは少なくなっていきます。
                  (日本形成外科学会の「火傷」の項目から関連部分を抜き書きした)
    3日になり、Fちゃんは高熱にうなされ、41.2度の熱に襲われた。大学病院に電話すると、
   
「外来に来た人と同じく、だいぶ待ってもらわないといけない」といわれ、
   それでは高熱でつらいだろうから朝まで待つことにした。
   4日になった。
   午前の予約を初診の時とっていたので、病院へ。
   救急外来で診察室に入り、うつ伏せから仰向けに体位を変えたところ、
   Fちゃんの呼吸は止まっていた。
   集中治療室へ移されたFちゃんだったが、5日昼前5歳の短い命を閉じた。
   
    死因は「敗血症による心不全」と説明された。
   敗血症とは、細菌やウイルスによる感染症が原因になる。

    Fちゃんのお母さんは「何で亡くなったのかわからないし、入院できていたら違っていたかもしれな
   い」と考えている。
     大学病院は朝日新聞の取材に「経過を検証中であり、それ以上は答えられない」と言っている。

 


     能登半島地震から6週間 今もなお2万人余の厳しい避難生活続く
                   (NHK NEWS WEB 2024.02.12)

      石川県 死亡者 241人  行方不明11人
    また、能登地方を中心に ▽6万棟以上の住宅に被害が確認されているほか
            ▽3万4000戸以上で断水が続いていて
            被害の全容確認やインフラの復旧にはまだ時間がかかる見通し。
   避難生活を続けている人は、少なくとも2万3000人にのぼるとみられ
      ▽避難所で1万3000人余り
      ▽親戚の家などで6000人余り
      ▽自宅でおよそ4000人
      ▽車中泊で120人余りなど
  
【声・今日の言葉】
  黙っていることの危険性
   「力を持つ人に都合がよかったり、多くの人が心地よかったりする価値観は、
   美しい言葉で飾られ、大義名分が付き、『潮流』になってゆく。それが時に、
   誤った方向へ流れたり、異なる意見や物の味方を抑圧したりすることは歴史が証明しています。
   現実に私も今、黙っていることで、その潮流を作る一員になっているかもしれない。
     その危険性はいつも意識するようにしています」
        ※長田育恵(脚本家・劇作家)NHK連続テレビ小説「らんまん」の作者
              朝日新聞2024.1.5 脚本では何を大切にしていますかと言う問いに答えて

    会議でよくある話で「声の大きい意見」が採用されやすいという。うっかり反対の意思を表明
   すると、会議の終わった後で、つるし上げに会う。あるいは、うっかり意見を言おうものなら、
   「あな
たこの会に入って何年になるの」と、意見の内容に触れることなく無視されてしまう。
   「だから会議では発言しない。ただひたすら会議終了の時間を耐えて待つ」と言うことがよく聞かれ
   る。それは、大きな項に負けることを意味し、『潮流』に負けたということだ。結果的には、会議に参
   加しなかったと同じことになると長田氏は言い、だからこそ、潮流を作る一員にならないために、物事
   に同調する危険性を意識したいとインタビューに答えている。
    『沈黙は銀』というが、こういう場合これは間違いだ。

 

 

 


   

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  能登半島地震 (4) ボラン... | トップ |  能登半島地震 (6) 2次避難 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ことばのちから」カテゴリの最新記事