秋雨
雨に濡れた萩の花が
散っている
たわわに実った紫式部の実が
重そうにしな垂れている
いま、ほんのわずか
黄色いツワブキの花が
しずくを払うように
風に揺れた
秋雨は晩秋の庭に
ひと時のやすらぎと
寂寥の時間を降り注いで
暮れていく景色に
今日の終わりを伝えている
萩くぐる秋雨傘を傾けて ……富安風生
芭蕉翁の句を集めてみました
『この道や 行くひとなしに 秋の暮れ』
ただひたすら、わびさびを追い求めて行脚した俳聖芭蕉の孤独が、
秋の淋しさにダブっています。
芭蕉の孤独な後ろ姿が浮かんできます。