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雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

闇のかなたに原発が浮かぶ

2015-03-11 22:40:00 | 昨日の風 今日の風

帰れぬ町・大熊町 闇のかなたに原発が浮かぶ

  3月1日、常磐自動車道が全線開通した。

物流の流れが良くなり、復興に寄与する貢献度は大きいだろう。

この全線開通に一番期待しているのは、福島第一原発の廃炉・除染・汚染水処理に向けての作業をしている東京電力ではないか。

河北新報に次のようなニュースが写真付きで掲載され少し複雑な気持ちになった。

河北新報は「帰れぬまちに復興の光跡 福島・常磐道」というタイトルで、次のような小さな記事を写真入りで載せた。

『夕暮れ時、福島県富岡町の山間部から立ち入り規制が続く大熊町方面を望む。

暗い町内とは対照的に、廃炉作業が続く福島第一原発が明るく浮かび上がる。

手前を横に走る光跡は、1日に全線開通した常磐自動車道。糸のような白い線が、復興へ導く力強い灯りに見えた。』

 一日行われた式典で安倍首相は「(常磐道全線開通は)福島のさらなる復興の起爆剤になる」と述べ、内堀福島県知事は「被災地の未来を切り開く道だ」と、大きな期待を述べた。

 開通したのは富岡IC-浪江ICまでの14.3キロ。うち8.8キロは放射線量が高く、原則立ち入り禁止の帰還困難区域だ。

時速70キロでした時の被ばく量は0.2マイクロシーベルトで、胸部エックス線検査の約300分の1に当たると別の新聞は伝えている。

原発事故により南北に分断された原発周辺地域が高速道路で結ばれ、復興の加速が期待される。

全町避難を余儀なくされている大熊町の暗闇のむこうに、不夜城のように浮かぶ原発は、やはり不気味です。

             (2015.3.11記)        (昨日の風 今日の風№24)

  

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政務活動費(7) 醜態 (2)

2015-03-10 12:20:00 | 昨日の風 今日の風

政務活動費(7) 醜態(しゅうたい)(2)

加茂忍議員の場合(つづき)

 問題の旅行で、天草キリシタン館に立ち寄った際、400万に目の入館者として地元のTVや新聞のニュースになってしまい、馬脚があらわになりました。

 当日のことを天草キリシタン館の館長は「久しぶりに夫婦で旅行に来ましたとおっしゃってました」と証言する。しかも、職業は不動産業だと偽る。なぜ議員であることを隠さなければならなかったのか。

 加茂県議のいうように、観光資源、文化遺産の調査研究であるなら、なおさら県議であることを明示し、視察の意図を明らかにしなければならないのではないか。

 山岸一夫氏(加茂議員の元秘書)の証言

 視察旅行の後、加茂議員は次のように言っていたと暴露証言。

「今回の視察は本当に楽しかった。着いたその日にゴルフに接待してもらって、しかも、旅費は県から出ているし、日当までもらっているんだ」。

 あまりにも情けない、公僕としての欠片もない、こんな議員は許せない。しかも、年間600万円の政務活動費はそっくり妻に預けていた、というに至っては開いた口が塞がらない。

 さらなる疑惑は、インドネシアを「文化遺産保存調査の視察旅行」(政務活動費を利用した私的旅行の意味が色濃いと、私は思うのだが…)の際に購入した絵画16,000を政務活動費に計上し、これを指摘され、「間違った」として返還している。

 5期20年に渡る議員生活で、政務活動費の使い方が、私的流用に当たることを意に介さないような発言(紙面の関係で詳しく述べられませんが…、例えば出張先の選定について、「自分で行きたい見たいというのがあるわね、個人的に」など憤りを感じます。

 次に「切手大量購入についての疑惑」を述べます。

 購入額は原吉三県議・141万円、岩谷英雄県議・121万円、梶谷忠修議長66万円で、3人で328万円が政務活動費として計上しています。          (つづく) 2015.3.4

                         (昨日の風 今日の風№23)

 

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政務活動費(6) 醜態 (1)

2015-03-08 16:30:00 | 昨日の風 今日の風

政務活動費(6) 醜態(しゅうたい)(1)

 いささか古いニュースになってしまい申し訳ありませんが、

どうしてもこのことには触れておかなければならないことなのでご理解ください。

 2014.8市民オンブズマンが調査対象とした兵庫県議は次の4人です(特定の個人の誹謗中傷を目的としないので、通常匿名扱いにするのですが、あまりにも内容がお粗末であり、メディアに上げられた県議なので、実名で述べます)。

梶谷忠修議長、 加茂忍、岩谷英雄、原吉三の自民党県議だ。

兵庫県議88人全部を調べて4人が調査対象になったわけではありません。

情報開示の求めに応じて提出した議員が9人。

そして、なんとそのうちの4人が収支報告書に不自然な支出があり、調査対象になったということです。

残り79人はどうしたのでしょう。

 加茂忍議員の場合(当選5回議長経験あり)

 2013、妻と3泊4日の旅行し、調査研究費と称し約58,000を計上。

報告書の添付がないので、「視察」の内容と成果は不明。個人的な旅行ではないか?という質問に、

「僕は狭心症の手術をやっていまして、個人的な仕事は全部家内について行ってもらっているんです。一応診断書の用意もあります」

  個人的な仕事って何だろう。だとすれば、政務活動費に計上するのは変でしょう。公務活動費を利用していて、それはないでしょう。

そして、狭心症の手術をした人が、本人のサイトでは、自転車で何10㌔も走ったとか、健康をアピールしていたが、今回の騒動後、削除されたようです。

旅行の目的は?と言う問いにも、「埋もれていく観光資源というのか、文化遺産というのか、人が振り返らない文化遺産というのか、そういうのが目的」。答えになっていませんね。取って付けたような答え。これでは納得できません。

(前回までサブタイトルに連番をつけていましたが、今回から通し番号に改めました)    
                (つづく)  (昨日の風 今日の風№22)  
2015.3.3(記)

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政務活動費 「第二の報酬」(3)

2015-03-06 21:59:37 | 昨日の風 今日の風

政務活動費 「第二の報酬」(3)

 鳥取県の取り組み

 平成11年度に自己申告制や宿泊代や移動経費で認めていた定額清算制を廃止し、領収書、クレジットカード明細、ガソリン給油伝票など、支出を証明する資料の添付を必須にした。

 結果、政務活動費を返還する割合が26%と全国で最も高くなった。

ちなみに、全都道府県の返還率は10%にみたない。

議員一人当たり360万円を支給する茨城県は全都道府県議会で唯一返還額がゼロだった。

「余らせると議員活動がおろそかだとみられかねないから使い切る」。

悪習の上に胡坐をかいた「使い切り体質」であり、無責任この上ない。

議員への「第二の報酬」と言われても仕方がない。

 茨城県の例

  I茨城県議の場合年度末の三月、デジタルカメラ、カーナビ、パソコン等次々に購入(使用でも使うとして半額は自己負担)。

明らかに、100%使い切りのための年度末駆け込み購入ではないか。

政務活動費はもともと「第二の報酬ではないか」など批判が強く、不適切な支出が後を絶たない。

 携帯電話など公私の区別、政治家個人の活動との境界など、不透明さがつきまとう。

愛知県では出席しない会合の経費請求など不正受給で県議二人が昨年、辞職に追い込まれた。(毎日新聞7/6社説抜粋)

神戸新聞の野々村元議員の政務活動費に関わる一連の報道から、全都道府県地方議会の政務活動費の在り方について、議論が高まった。

 不正受給・不適切受給は数え上げればきりがない。

地方議会全体に対する不信の目が、政治家自身への不信の目ならぬよう襟を正してほしい。
  (昨日の風 今日の風№21)                        
(つづく) 2014.9.5(記)

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エボラ出血熱 (6) ー消えた陸自派遣ー

2015-03-02 12:20:00 | 昨日の風 今日の風

 エボラ出血熱(6) ―消えた陸自派遣―

 このニュースは2/18付朝日新聞の夕刊で報じられた。防衛省幹部の話として掲載。

 陸自の輸送部隊が現地(シエラレオネ)で医師や物資の輸送を担うほか、海上自衛隊の輸送艦と補給艦も西アフリカ沖に展開して陸自隊員の拠点とする計画で、派遣隊員は、400人規模となる見通し。

  政府のエボラ出血熱対策ではこれまでに防御服50万着の供与を国連で発表、最初の2万着は民間機がこれを輸送した。

 昨年12月自衛隊機も輸送等に参加し、医療関係者が使う防御服関連物資を西アフリカ・ガーナに運んだ。国際緊急援助法に基づくエボラ出血熱対応で自衛隊が初めて海外派遣された例だ。            

 今回の陸自派遣検討については、防衛省は防御服等を提供するだけでは貢献が足りないと、自衛隊員が現地に入り、医師や物資の輸送あたり、援助活動の内容をより充実したものにし、現地の実情に合った支援の展開を想定、派遣の検討に入った。

 英連邦加盟国であるシエラレオネに対し、英国はこれまで軍部隊を派遣して、感染対策に尽力してきた。その英国が一時撤収することになり、不在期間の部隊派遣を各国に要請したのを受けて、冒頭の陸自派遣計画の検討となった。だがその7日後の23日、陸自派遣の見送りを発表した。

 安倍政権が進める「積極的平和主義」の理念にかない、自衛隊の実績づくりにもなる。しかし、部隊派遣には艦船で約50日かかり、緊急の派遣には時間がなさすぎる。加えて、西アフリカで猛威を振るったエボラ熱も、大幅に減少している。一時2800人の兵士を派遣していた米国も4月末までに、約100人を残し撤収する方針を公表している。

 隊員の感染リスクがあるなか、「他国が撤退する中でなぜ行くのか」という慎重論もあり、陸自派遣の計画は、たった7日間で幻の計画になってしまった。

 艦船配備の日数も、米英の派遣部隊撤収のことも全て派遣検討以前にわかっていたことではないか。国家の安全を担う防衛省の計画にしては、お粗末すぎるのではないか。陸自派遣など毛頭する気もないのに、国際社会に向けてのパホーマンスではなかったのか。憤りを覚える。

                                             2015.3.1                             (昨日の風 今日の風№20)

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表現の自由 2 (メディアの在り方)

2015-02-05 12:00:00 | 昨日の風 今日の風

表現の自由2 (メディアの在り方)

 憶測が飛び交い、ワイドショーは息を吹き返し、視聴率競争に勝ち抜くために、

あの手この手でゲストを確保し、専属契約を結ぶ。

 泥沼のような報道合戦に、他局に負けない特色を出そうと、焦っている制作側の姿が推測できる。

オーバーヒート気味の報道合戦は、事件とは全く関係のない当事者のプライベートまで暴き立ててしまう。

家族や親族にまでカメラは迫っていく。

「表現の自由」「知る権利」に名を借りた暴挙である。

 

ISIL関連の事件は、身代金要求→人質交換→見せしめのための人質殺害→報復措置としての死刑執行。

「テロに屈する」事は許されないが、そのために尊い命が失われてしまったことに、

私たちは、忸怩(じくじ)たる思いで、果たしてこれで良かったのかと唇をかみしめる。

 もっと違った解決の糸口はなかったのかと、

人間性のかけらも持っていないISILの残虐行為に、今更ながら唖然とし、怒りを覚えるのである。

                                (昨日の風 今日の風№19)

           

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表現の自由 (イスラム国のテロに対抗する)

2015-01-30 15:30:00 | 昨日の風 今日の風

表現の自由 (イスラム国のテロに対抗する)

 イスラム過激派組織「イスラム国」の日本人人質事件は、身代金要求から人質の交換要求へと流動的だ。

しかも、対日本だけの問題だけでなく、ヨルダン国まで巻き込み、緊迫した状態が続いている。

 ISIL(イスラム国・イラクとレバントのイスラム国という英語の頭文字を取った。レバントとは地中海の東部沿岸地方)はサジダ・リシャウィ死刑囚と後藤さんの交換を要求しているが、ヨルダンは、「ヨルダン人パイロットとの交換で、死刑囚を交換する用意がある。パイロットの存命の証拠を求めているが、(ISILからは回答がない)」としている。

 それぞれの国の立場を主張し、後藤さん、死刑囚、ヨルダン人パイロットの解放をめぐって、日本、ヨルダン、ISILの関係の緊張状態が続いている。(日本時間午前11時事件の進展は見えない)。

 

 「人命を最優先に考える」でも「テロには断じて屈しない」

でも「ISILは理屈や人道主義が通る国ではない」。

 この事件が明るみに出てから、メディアは格好の材料が出てきたとばかりに、

 獲物を捕らえるハンターのように、ワイドショーは手を変え品を変えてその道の識者、専門家等々を登場させ、無責任な憶測や思い込みでテレビ画面を飾ってみせる。挙句の果てにミーハー的な人まで登場させて画面に花を添える。

 「表現の自由」という観点からは、どんなことを言っても許される、とこれは大変な思い違いである。

爆笑問題の太田光はテレビ番組「サンデージャポン」で、こうした報道の在り方として「黙ることが必要なときもあるんじゃないか」と警鐘を鳴らしている。

 明治学院教授で作家の高橋源一郎氏は、「表現の自由」を叫ぶ前にという題で、朝日新聞29日の論壇で次のように述べている。

 『テロにどう対処するのか、政府や国家、「国民」と名指しされたわたしたちは、こんな時どうすべきなのか。

わたしにも「意見」はある。だが、書く気にはなれない。もっと別のことが頭をよぎる。

 動画を見た。

オレンジの「拘束衣」を着せられ、跪(ひざまず)かされ、自分の死について語る男の声をすぐ横で聞かされながら、

ふたりは何を考えていたのだろうか。その思いが始めにある。「意見」はその後だ』

   つまり、高橋氏は人間の根源的な「優しさ」の無いところで安易に「意見」いうべきではない。

太田光氏の発言も案外こんなところに真意があるのかもしれない。

 メディアに要請されたにわか識者や専門家・学者が、責任を伴わない「意見」を言い放ち、ミーハー的な花まで添えてのメディアの在り方に太田氏は警鐘を鳴らしたのかもしれない。 

 相手に対する「優しさ」や「思いやり」の欠けたところでの「意見」は言うべきではない。

 「表現の自由」の権利をはき違えてはいけない。「沈黙」し「黙って成り行きを見守る」ことも、表現の自由であることを忘れてはならない。

 その上で、適宜有効な「意見」を表明したい。

               (昨日の風 今日の風№18)

 

 

 

 

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エボラ出血熱 (6) ー感染者2万人超すー

2015-01-17 22:10:00 | 昨日の風 今日の風

エボラ出血熱(6) ー感染者2万人超す―

 世界保健機関(WHO)1月7日発表によると、エボラ出血感染者は9か国で2万747人、 死者は8235人に上る。

ちなみに、12/26の同機関発表では感染者1万9695人、死者7708人となっており、感染者の増加をくい止めることはできないようです。

 特に、西アフリカ参加国での被害が著しい。

 リベリア(死者3496人)、シエラレオネ(同2943人)、ギニア(1781人)になり、また、同機関によれば1月4日時点で医療従事者838人が感染し、495人が死亡したと伝えている。59%という高い死亡率です。

 赤道ギニアでは17日からサッカー・アフリカ選手権が開催され、大会は予選を勝ち抜いた15か国と開催国の16チームで争われ、エボラ出血熱が流行したギニアやマリも出場する。

 各国の選手団には医師が同行していると朝日新聞は伝えるが、会場で感染が広がった場合、現在の態勢では対応しきれないと、現地病院関係者は不安をあらわにしているそうです。
                           (昨日の風 今日の風№17)

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英知の矢

2015-01-04 22:10:51 | 昨日の風 今日の風

英知の矢

  深遠な道理をさとりうるすぐれた才知……広辞苑より

 不安な社会的事象がたくさん起きている。

 例えば、阪神神戸大震災、雲仙普賢岳土砂災害、広島土砂災害、3.11東日本大震災の大津波と追い打ちをかけるように発生した福島第一原発事故による放射能被害、御岳山噴火等々枚挙にいとまがない。

 こうしたことが起きるたびに、「絆」、「人の心の温かさ・優しさ」などが報道され、

 私たちは「私も何かしなければ」、「微力な私にできることは」などと考える。

 考えてそれを実践する人、考えてはみたけれど結果として何もしなかった人、何もできなかった人。

時間だけが確実に流れていき、風化と忘却の中で、私たちは自分自身の日常の中に埋没していってしまう。

 

  何かが起きるたびに、動揺し、不安におびえ、感動し、人の温かさにほろりとする。

 人間っていいなぁ そして人間って弱い生き物なんだと思う。

 

 小さな幸せや家族の幸せを願うのは、人としてごく普通の欲求です。

しかし、これだけで終わってしまったのでは、ちょっと残念です。

 

 先人が築いてきた知恵や文化を私たちは大切に受け継ぎ、次の世代に受け継いできました。

過去の過ちは反省し、同じ過ちを繰り返さない努力を続けてきました。

 

 政治のなりいきも、経済の流れも、私たちにとっては決して他人事ではなく、

私たち一人一人にも小さな責任がかかっている。

                                 

このことをしっかりと自覚したい。

 

 少しでも生きやすい世の中を実現するために、私たちの先人は努力を重ねてきました。

こうした先人の築いてきた歴史や文化を受け継ぎ、

次の世代へ引き継いでいく責任を私たちは担っている。

 

 一人一人に託された英知の矢を放ち、

次の世代へバトンタッチしていく責任を私たちは忘れてはいけない。

             (昨日の風 今日の風№16)

 

 

 


 

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「天声人語」で今年も終わる 『英知の矢』

2015-01-01 00:00:07 | 昨日の風 今日の風

「天声人語」で今年も終わる

   「英知の矢」を磨け

『  (……略)エボラ出血熱のウイルスは、アフリカの密林深くでコウモリを自然宿主としていたらしい。活動域を広げた人間と遭遇し、恐ろしい疫病として登場してきたという。病原体は1976年に発見された。

 大流行による死者は8千人に近づきつつある。米誌タイムは年末恒例の「今年の人」に、西アフリカで治療などに当たる「エボラと闘う人々」を選んだ。世界から駆けつけた専門家や地元のスタッフたちだ。

 だが、世界共通の脅威はエボラに限らない。新型のインフルエンザなど未知のウイルス。異常気象をもたらす温暖化。資源の枯渇。あれやこれや、熟れた文明と繁栄を謳歌する人間は、未来に向けて賢さを試されている。(……略)

 その人間同士にも、貧と富、幸と不幸の著しい格差がある。地上に蔓延するこの「怪物」は、人心をむしばみ、世界をゆがめ、テロや紛争を呼ぶ。火薬は要らない。さまざまな共通の困難を退治する「英知の矢」を磨きたいと思う。』

  格差社会が蔓延し、経済社会の根底に流れる弱肉強食の考え方が広がっていけば、誰もが持っている幸せを求める夢や希望が少しづつ遠ざかって行ってしまう。「英知の矢」は私たち一人一人が、細くて微力だけれども、将来に向かって放たなければならない希望の矢でなければならないと思います。

              除夜の鐘を聞きながら……今年もあと数分で終わる静かな夜。

 (昨日の風 今日の風№15)

  

 

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