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雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

新潟県知事選 泉田知事立候補撤退(3) 番外編

2016-09-09 17:00:00 | 昨日の風 今日の風

新潟県知事選・泉田知事立候補撤退(3) 番外編
 地元紙・新潟日報との対立を立候補撤退の理由に上げているが、
メディアとの対立を理由に撤退を決めた事例は聞いたことがない。

 前回の(2)のブログでは、原発問題が根底にあるのではないかということを書いた。
泉田裕彦知事は、東電柏崎刈羽原発が立地する新潟県で、再稼働に慎重な姿勢を貫いてきた。

 そのことについて地元紙や産経新聞などは冷ややかに見ている部分がある。
産経新聞は9月2日付の「主張」の中で次のように述べている。

 泉田氏は東京電力福島第一原発事故を受け、県内の柏崎刈羽原発の再稼働に厳しい条件を付けてきた。原発の安全確保は当然だが、東電と建設的な話し合いをしないなど、その姿勢を疑問視する声は経済界から強く挙がっていた。
 県知事は、原発が立地する自治体の活性化を含め、県全体に視野を広げて多角的に行政運営する政務がある。

 言い分はよく理解できる。
しかし、原発問題や基地問題など利権がらみの巨大な資金が絡み、
経済や雇用問題が深くかかわる問題は、曖昧な姿勢で行政を進めようとすると、
必ず対立の論争になり、一歩譲歩すれば、外堀を埋められ、石垣を一つ外されなし崩しになってしまう。
 それを防ぐためには、揺らぎのない決意と信念が必要となる。

 ひとりの人間が、経済界や原子力ムラ等の大きな力に対抗するには限界がある。
 手を変え品を変えて切り崩しにかかり、見えない力が大きなストレスとなって首長を襲ってくる。
 挙句の果てに、4年に一度の選挙では、トップの首のすげ替えに総力を結集して挑んでくる。

 長い間の攻撃に耐え、意欲を持って政治を司ることには、限界がある。
 こうした環境に泉田氏が長い間さらされていたとしたら………。

 「東電福島第一原発事故の検証が先」との姿勢を続けていた泉田知事は、再稼働を止める「最期のとりで」と期待されていた。

 泉田氏が立候補を取りやめてしまえば、再稼働の論議がなされないのではないかという懸念がある。


 
(昨日の風 今日の風№45)

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新潟県知事選 泉田知事立候補撤退(2)

2016-09-07 17:00:00 | 昨日の風 今日の風

新潟県知事選・泉田知事立候補撤退(2)
  何があったのか
 新潟日報の報道ぶりが、自分の意に沿わないからといって、県政を司(つかさど)れないというのはおかしい。知事の発言には次のような文言もみられます。

 新潟県内で大きな影響力を有する新聞社が、県の説明は読者に伝えることはせず、一方当事者の主張に沿った報道のみがなされている状況です。また、東京電力の広告は、今年5回掲載されていますが、国の原子力防災会議でも問題が認識されている原子力防災については、例えば、県が指摘している現在の指針に従えば避難が必要になった時には、原発から半径5㌔~30㌔の緊急時防護措置準備区域内の住民40万人強を2時間で避難させなければならなくなる問題など県民の生命・健康を守ろうとするうえで重要な論点の報道はありません。………(略)
 以上のような状況にかんがみ、この秋の新潟県知事選挙からは撤退したいと思います。

 この文言に対して新潟日報は、編集局長名で反論を掲載しています。

 知事選から撤退する理由として本社の報道を挙げたことは、報道機関に対する圧力にも等しく、許しがたい行為。

 なんとも歯切れの悪い泥仕合の匂いがしてくる。
撤退の裏には、どうしても選挙事情が絡んでくる。
泉田知事は、今年2月にはいち早く出馬表明をしていたのに、この弱腰はどうしたことか。理解できない。
 東京電力福島第一原発事故を受け、県内の柏崎刈羽原発の再稼働に厳しい条件を付けた時の、揺るぎのない自信は何処に行ったのか。東電対泉田の対決構図では、経済界などの反発も強く挙がっていた。
 このあたりにも、撤退の理由が潜んでいるような気がします。
 
 今回の泉田知事の弱腰はまるで別人のように思える。
反泉田の風が吹いている。
泉田知事よ、言いたいことがあれば選挙で主張し、県民の真意を問えばいい。
                             (2016.9.6記)      (おわり)

 

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新潟知事選・泉田知事立候補撤回

2016-09-06 17:00:00 | 昨日の風 今日の風

新潟知事選・泉田知事立候補撤回
  この撤退理由は理解できない
 10月16日に投開票される新潟県知事選へ4選を目指して立候補を表明していた泉田知事(53)が30日、立候補取りやめを表明した。突然の表明だ。
 理由は、地元紙・新潟日報の報道姿勢についてのトラブルを上げている。
その大要は次に述べるが、メディアとの対立を理由に政治家が立候補を撤回するのは理由にならない。

 政治家が意図したようにメディアが報道しないことは、この世界では珍しくない。誤解や揚げ足取りで苦い水を飲まされた政治家も沢山いる。こんなことを理由に、真意が伝わらいことを理由に撤退するという。

 政治家の言動としては軽率であり、身勝手と評価されても仕方のない行為だ。

 「この秋の新潟知事選からの撤退について」と題したA4版2枚の文書が県庁記者クラブに届いた。(8/30)
撤退の理由を「県内で大きな影響力を有する新聞社」が県の説明を読者に伝えようとせず、「このような環境のなかでは、十分に訴えをお届けすることは難しい」と新潟日報を批判し、出馬撤回の理由とした。

 問題となった新潟日報の報道とは、
新潟と極東ロシアを結び、物流の活性化を計る、「日本海横断航路構想」事業のトラブルに関わる記事だ。詳しい内容は省略するが、新潟日報の記事には「事実誤認」があるとして、適正な報道や記事の訂正を求める申し入れを計7回行った。

 知事側の具体的声明は次の通り。
 日本海横断航路に関する一連の新潟日報の報道は、憶測記事や事実に反する報道が続きました。再三の申し入れにもかかわらず、訂正や説明もなく、最近まで県から申し入れのあった事実も報道してもらえませんでした。また、読者からの説明を求める当初に対する回答を一両日でお返ししたにもかかわらず、県からの回答が現在に至っても掲載されません。
……県庁内においては、憶測記事や事実に反する記事への対応のため、通常業務に支障が出ていますし、職員の残業時間も大幅に増加しています。
 
  何度も繰り返しになりますが、一つの県を代表する現職の首長の撤退理由としては、なんだか釈然としません。              

                                                (つづく)                                                                    

 軽い気持ちで、知事の立候補撤退への疑問を述べたいと思い、書き始めた記事ですが、
一回完結にするには内容が重すぎます。一両日中に続きを掲載します。               
                                    (2016.9.5記)



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敗れてなお潔し(3)・猫ひろし男子マラソン 負けても明日があるぞ

2016-08-30 17:00:00 | 昨日の風 今日の風

 敗れてなお潔し(3)・猫ひろし男子マラソン 負けても明日があるぞ
  
 
  カンボジア代表の猫ひろし(滝崎邦明)が、
 念願のオリンピック男子マラソンに出場し、見事完走した。

 成績 2時間4555
 完走者140名中139位の成績だった。

 最下位争いの名勝負(?)
 ゴールまで1㌔を切った辺りで、追い上げて来たヨルダンの選手に追いつかれる。

自分が最下位だと思って走っていた猫は「こりゃ負けられにゃー」といったかどうかはわからないが、
歯を食いしばって加速する。

ヨルダンの選手も必死に猫に食らいついて離れない。

最後尾の二人のデットヒートは、ゴール地点の大型スクリーンにも映し出された。

一位の選手がゴールしてから37分。
スタンドは大歓声に包まれる。

猫がゴールする。
そのあと23秒遅れでヨルダン選手がゴールし、スタンドの観客を沸かせた。

 二人は抱き合って互いの健闘をたたえた。

 
 「東京五輪に向けて頑張りたい 」と、ランナー猫ひろしは39歳の小さな体に
 闘志を燃やす。

 メダルや成績にこだわるアスリートの中にあって、
 猫はしなやかに、サラリと世間のしがらみを捨ててみせる。


  皆が同じ方向を向いて、
 放たれたリチウム風船のように仲よく飛び立っていく世の中にあって、
 猫(滝崎邦明)のように個性的で、自分の思ったことに筋を通す生き方は
 素晴らしいと思います。

 一人ぐらいは、違った方向へ飛んでいく人間がいても悪くはない。
                              (2016.8.29記) 

 

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敗れてなお潔し・陸上女子5000㍍予選

2016-08-26 17:00:00 | 昨日の風 今日の風

敗れてなお潔(いさぎよ)し リオ・オリンピック
             陸上女子5000㍍予選

 勝者のメダルを抱え、美酒に酔い満面の笑みを浮かべるメダリストたち。
 だが、勝者の裏には多くの敗者が涙を呑んで去って行く。
 映像にもとらえられることなく、インタビューもなくひっそりと場外に消えていく。
 たった一人の勝者の裏に、数えきれないほどの敗者が存在する。

 スポーツの歴史も常に、勝者の記録によって書き換えられる。

 敗者はいつも、無念の涙を流す。

 スタートラインは同じだ。
 勝者の栄光を目指して、
 孤独なアスリートの努力がまた始まる。

  さて、敗れて潔しの話です。 
 それは、女子5000㍍予選2組で起こりました。
 
レース中、集団の中でニュージーランドの選手(ニッキ・ハンブリン)が転倒した。
 後ろを走っていたアメリカの選手(アビー・ダゴスティノ)も巻き込まれて転倒。
 先に立ち上がったのはダゴスティノだった。
 
 ダゴスティノは先に転倒したハンブリンを見捨てなかった。
 ハンブリンを助け起こし、こう言ったという。
 「これはオリンピックだからゴールしなきゃ」(外電)
 「立って立って。完走しなきゃ」(朝日)

 ちょっとニアンスは違うが、ダゴスティノの言った言葉の直訳だと思われる。
 「立って立って。完走しなきゃ」の方が臨場感が伝わってくる。
 「オリンピックだからゴールしなきゃ」は、
 オリンピックの意味を読者に解りやすく伝えるための意訳だと思える。

 
二人は互いに支え合いながらレースを続ける二人。
今度は、励まし声をかけたダゴスティノが足の痛みで、トラックに倒れる。
ハンブリンが励まし、互いにもつれるようにトラックを走る。

 完走した二人。
 結果は16人中15位と16位だった。

 互いの抱擁が、どんな言葉よりも重い意味を持っている。

「助けたのは本能。私が助けたというより私の中の神様が助けた感じ。一瞬の事だったけど、
世界中で共感を呼ぶなんて」。
 ダゴスティノの言葉がさわやかに世界を駆け巡った。

金色に輝くメダルよりも、輝きを放ち、かけがえのない貴重な行為は、
彼女たちにとって生涯の宝物になるだろう。
    
  「 敗れてなお潔し」である。



  
 

 

 

 

 

  

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正社員転換・待遇改善プラン(厚労省)

2016-02-13 08:00:00 | 昨日の風 今日の風

正社員転換・待遇改善プラン(厚労省)

 社会の動き

 「フリーター」という言葉が公に認知されたのは、1991年の広辞苑第4版に掲載されてからか。

それから25年が経過した現在、この言葉も死語になってしまった。

当初この言葉の内包する意味は「何となくかっこいい」、「自由である」などの意味を含んでおり、

テレビや新聞などのメディアに頻繁に登場した。

「俺はフリーターだ」と誇らしげに言う若者も増えていった。

だが、内実は「アルバイト」であり、正社員の道に歩み損ねた人たちが多かったため、今では死語になった。

 

 「ニート」という言葉も流行った。

これは、玄田有史(東京大学教授)の「ニート フリーターでもなく失業者でもなく」という著書(共著)が

2004年に発行された時初めて使用された用語である。

働かない若年層が社会問題化するなかで、生まれた言葉であるが、

それは単に「失業者」という暗いイメージではなく、

社会への違和感ゆえに労働する意志、教育を受けようとする意志を持とうとしない若年層を指していたが、

この言葉も現実と乖離し、言葉だけが独り歩きをしたために死語となった。

 

 現際の状況と政策

 「フリーター」も「ニート」も死語とはなったが、社会状況が好転したわけではない。

むしろ、閉塞感を伴い、状況は悪化し深刻化している。

非正規労働者は増加し、経済格差は広がり、貧困は親から子へ継承され、教育の格差にまで及んでいる。

物が安いということが、消費者にとって良いことか?

必ずしもそうではなく、物価の安さが、時間給や労働者の給料を圧迫してしまう例を私たちは幾度も見てきている。

 

 厚労省が策定した「正社員転換・待遇改善プラン」は、

派遣や契約社員など非正規労働者の正社員化を促すものとして注目したい。

非正規で働く人の割合を2016年度以降の5年間で約半分にすることを目指す。

こうしたプランを推進する企業に助成金を出すことも検討している。

 

 正社員との賃金格差も大きく、

正社員の月額は31万7千円だが、非正規は20万円で定期昇給もなく、

50代にいたれば約2倍の差になる(厚労省調べ)。

プランでは「賃金格差を縮める」との目標を立てたが、

格差をどのくらい是正するかという数値目標までは踏み込まなかった点が残念だ。

                   (昨日の風 今日の風№39)                 (2016.2.12記)

コメント (2)
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廃棄カツ横流し 激化する格安弁当

2016-02-10 08:00:00 | 昨日の風 今日の風

廃棄カツ横流し 激化する格安弁当 (昨日の風 今日の風№38)

 カレーチェーン店が廃棄した冷凍ビーフカツが横に流しされた。

 委託料を受け取り廃棄するはずだった産業廃棄物処理業者「ダイコー」(愛知県稲沢市)は、

この0円のカツを製麺業者「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)に1枚33円で売った。

さらに卸業者の三社が転売、愛知県津島市のスーパーで店頭販売された時には約80円になっていた。

 

 各卸業者は「廃棄物とは知らなかった」と証言している。

果たして本当か?

まるで悪いのは「ダイコー」であり「みのりフーズ」であるという構図が みえてくる。

その「みのりフーズ」の経営者の証言。

「ダイコーからは帳簿を残さず、箱の詰め替え」を指示され、

中身のビーフカツを壱番屋の箱からみのりの名前の入った箱に詰め替えられ、

産業廃棄物は食品として店頭に並ぶことになる。

 

 「みのりフーズ」から買い付けた二次卸業者は、

「大手チェーン店の過剰在庫が格安で出まわることはよくあり不思議に思わなかった」。

つまり、メーカーの名前を隠して裏の流通経路をたどって流れる商品は珍しくない。

 

 在庫処分の商品の多くは、デスカウントショップなどに回され、アウトレット商品と明示して販売される。

メーカーによっては、自社ブランドに傷がつくことを嫌い、市場に流さない場合も珍しくない。

その場合、産業廃棄物として処分される。

寄付物件として老人施設や児童施設などに送られる場合もある。

この場合の商品は、立派に商品として成り立つ食品であることが鉄則。

 

 産業廃棄物として依頼されたビーフカツは約4万枚。

「ダイコー」はその大半を「みのりフーズ」に横流しした。

そのうち約1万枚が弁当店に横流しされた。

 

 格安弁当業界の競争も熾烈な戦いが続く。

300円を切る弁当の原価は、「40~45%以内という」。

つまり、一個当たり120円程度でご飯+付け合わせ+容器代などを差し引くとメインのおかずは

「60~70円」になってくる。

だから、賞味期限が近い、形が整っていない、在庫処分などの訳あり商品も仕入れなければならない。

 

 今回の横流し事件も、まさにこうした業界の事情の中で起きた不祥事なのだろう。

「卸に出どころは聞かないのが暗黙のルール」ということだが、

職業倫理に外れるようなことは絶対にしてはいけない。

 

(2016.02.09記)

 

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こんなことは絶対に許せない・所持品検査

2015-12-17 11:33:40 | 昨日の風 今日の風

 こんなことは絶対に許せない

   相模原市の児童相談所 少女8人を裸にし所持品検査

  各メディアが伝えるところは、おおむね次の通りです。

 相模原市の児童相談所は、

8月に女性職員が一時保護していた8~15歳の少女を全裸にして所持品検査をしていたと発表した。

所内にある意見箱に投入する用紙が一枚無くなったため少女8人を風呂場の脱衣所に連れていき、

バスタオルで体を隠しながらも全裸にして検査をした。

男子児童も男性職員の手によって、同様に検査をされた。

その結果、用紙は発見できなかった。

当日夜(後日という報道もある)、「裸にされて嫌だった」という少女の告白で、事件が明るみに出た。

 

 報道各社とも同じような報道であり、取材努力の跡が見えない。

 

 毎日新聞だけが事件の詳細を伝えている。

 

 なぜたった一枚の用紙が紛失したことがそんなに重大なことなのか。毎日新聞の記事を引用しよう

 

児相には複雑な事情を抱える子供のプライバシー保護の徹底が求められ、お互いの氏名を明かすことや連絡先を交換することが制限されている。

 同相談所では以前、一時保護中の少女が別の少女の携帯電話番号やツイッターのアカウントなどを記入した紙を下着の中に隠していた問題が発生したことがあった。

 そのため、普段から学習時間以外は子供たちにメモ用紙や筆記用具を渡さないようにしていた。職員は意見箱の用紙が「個人情報のやりとりに使われた可能性もある」として所持品検査をしたという

児相には複雑な事情を抱える子供のプライバシー保護の徹底が求められ、お互いの氏名を明かすことや連絡先を交換することが制限されている。

 同相談所では以前、一時保護中の少女が別の少女の携帯電話番号やツイッターのアカウントなどを記入した紙を下着の中に隠していた問題が発生したことがあった。

 そのため、普段から学習時間以外は子供たちにメモ用紙や筆記用具を渡さないようにしていた。職員は意見箱の用紙が「個人情報のやりとりに使われた可能性もある」として所持品検査をしたという

 

 「プライバシーの保護のために、児童間の情報交換を禁じる」ということだが、

子どもたちの人権を守らなければいけない機関が「プライバシー保護」の大義名分を振りかざして、

最も守らなければいけない児童の「人権」を侵してしまう行為は許されない。

 

なぜこのようなことが起こるのだろう。

 

 

 職員の姿勢には、児童を支える優しい姿勢が見えない。

児童を内面から支え、さまざまな理由から親と隔離され、

生活しなければならない児童たちの「辛い思い」を受け止める思いやりの心が欠落している。

保護された児童を上から目線で見ていないだろうか。

規則にのっとり、保護した児童を親元に返すのか、

児童養護施設に措置するのかということが、

優先するような児童相談所の体質があるとすれば、言語道断です。

 

 

 「検査は不適切で職員に人権意識がなかった」と、佐藤暁部長は謝罪している。

 

全裸にした20代の女性職員よ、

あなた方が犯した行為は、職業上の倫理綱領に反する重大な行為なのです。

検査については上司にあたる50代の女性副主幹の了解を得ていたということですが、

部下の逸脱した行為をどうして防ぐことができなかったのか、深く反省していただきたい。

 

 その上で、このような体質を持つ児相の立て直しを真剣に考えてほしい。

 

 

 児童たちは、家庭という本来守ってくれるべき温かい場所を離れ、

先行きの見通しのない児相の「一時保護制度」に身をゆだねるほか、方法を知らないのです。

彼らは、何よりも優しさと暖かい心をあなた方に臨んでいるのです。

 

(昨日の風 今日の風 №37)             (2015.12.17記)

 

 

 

 

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教育の機会均等 北欧フィンランドの教育

2015-12-16 13:00:00 | 昨日の風 今日の風

 教育の機会均等 北欧フィンランド゛の教育

  •  面積は日本よりやや小さめ。  面 積     フィンランド 約33万㎢   日本 約37万㎢
  •                 人 口            約543万人      約1億2688万人   

                  人口密度            16人/1㎢      337人/1㎢

             ※ フィンランドの人口は、北海道の人口にほぼ近い。人口密度は日本の約1/21。

  教育水準:

国際学力比較調査(PISA): 世界の15歳児童を対象に学力(学習到達度)を測定 フィラ ンドは安定的に上位を占めている。2004年の「数学リテラシ―(知識の活用能力)」、「読解リテラシー」、「科学リテラシー」、「問題解決能力」など総合で1位。

  子どもが生まれると:

国からベビー服や布団、哺乳瓶や絵本などのセットが届き、17歳までの子ども全員に月1万3千円が支給される。大学はすべて国立で、通学手段、給食、教科書、学用品等すべて無償で提供される。

 「できる子を伸ばすよりも学習に困難を抱かえた子に手厚い指導をする」。競走するよりも学ぶことの意味を理解させることに重点を置いている。にもかかわらず、授業時間数は先進30か国の中では最も少ない。

 全ての子どもがわかるまでを基本に、学習に困難を生じている子供に対しては、特別支援教育によるケアが実施される。格差をなくし、どこでもいつでも学べる学校にして、学級内では学力差に応じて個別指導ができるようにし、その結果、国全体の学力差を最も小さくしながら国際的に学力を最も高くしている。

 一学級は24人以下の少人数で、実際には20人以下の学級が多い。

 なんともうらやましい、教育環境である。学力低下はゆとり教育にある、とか授業時間が少ないなどと、議論になるような日本の教育事情とは雲泥の差がある。教育委員会やPTAのご機嫌を取り、事なかれ主義に陥ってしまう校長(そうでない校長もいるが)。激務を抱え帰宅時間も遅い我が国の教師。一人一人の教師の努力は理解できるが、ゆとりのない教師に導かれる子どもたちは不幸だ。

  高福祉・高負担を支える公共の精神を育む教育方針。教員の社会的地位、信頼の高さは、教職を最も優秀な人がつく職業にしている。全ての教師を大学院で養成し修士号取得を要請している国は、ヨーロッパの中でもフィンランドのみである。

  教師の勤務時間は少なく、ほとんど授業時間のみなので、日本のように部活等授業時間以外に拘束される時間がないから、授業に多くの準備時間をさける。

 教育の衰退や不平等は、国家の未来を暗くする。低所得の家庭の子どもが、経済的理由で進学を断念しなければならない(現在の奨学金制度は問題が多く、教育の機会均等という観点からすれば改善の余地がある。)現実は何とか改め、新しい制度を作ることが肝要だ。成績重点主義の教育も方向の転換が必要だ。競争社会の入り口で、学習に落ちこぼれ、挫折感を味わう子どもたちが、やがてドロップアウトしていくのは、教育の責任と認識すべきではないか。

    出典:「学力世界一フィンランドの秘密」 「 2012年PISA 」「 競走が子どもの学力と幸せを奪う」

                              昨日の風 今日の風(№36)   (2015.12.14記)

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教育格差 教育には機会均等の原則が適用されない

2015-12-14 15:00:00 | 昨日の風 今日の風

 教育格差と大学授業料

 富の分配 集められた富、蓄積された富は再分配され、貨幣経済は成立しています。

      だが、再分配が偏ってしまうと富の格差が生まれ、正常な社会を維持することができない。

      わかりやすく言えば、所得格差が大きくなればなるほど、社会には不満が充満し、

      やがて、所得格差は教育格差に転じ、貧困の連鎖へと進んでいく。

       このような現象をピケティ氏は次のように述べている。

       世代から世代へと悪循環が転回し、

      特定のところに蓄積された富もまた同じ世代から世代へと循環していく、と。

       貧乏人はいつまでも貧乏で、金持ちは次の世代にも富を継承していける。

 所得格差と教育格差

      4年制大学の進学率について見てみよう。

        親の年収:1千万円を超える家庭の進学率…………62%

             400万円以下の家庭の進学率…………31%

      にもかかわらず、国立大学の授業料が16年後には年93万円まで値上がりするかもしれないという

      試算が発表された。低所得者の子どもはますます教育の機会を奪われてしまう。

       教育の格差は、未来を担う子供たちの才能の目を摘むことになり

       国家的損失につながることになる。

       経済優先の社会の維持よりも、

      人材の育成に力を入れない国家はやがて衰退していく

          (次回は、北欧フィンランドの教育事情についてアップします)

                         昨日の風 今日の風(№35)

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