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雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

感染を題材にした小説 (4) 「アウトブレイク・感染」 他

2020-04-22 09:34:53 | 読書案内

感染を題材にした小説 (4) 「アウトブレイク・感染」 他
  
(ハヤカワ文庫「アウトブレイク・感染」ロビン・クック著)
 今から30年以上も前に書かれた小説です。

 1日目 体調を崩す。寒気がして熱もある。診療所で注射をし気分はよくなった。
 2日目 体調は回復した。
 3日目 症状は急に悪化した。
      激しい頭痛、つづいて悪寒、発熱、吐き気、下痢が急にはじまった。

       アフリカ、ザイール 1976年九月七日
    ひと晩じゅう震え続けた。暗闇の中で何度か吐き、朝までに彼は
    すっかり衰弱し、脱水症状になった。ようやくの思いで荷物をま
           とめ、よろよろと病院へ向かい、構内へ入ったところで鮮血を吐き、
           病院の床へ倒れて失神した。(引用) 
  最初の発症から二か月後、この奇病は、
  数週間患者が発生していないところから、封じ込めに成功したと考えられた。

  話は十年後のカルフォニア、ロサンゼルスに飛ぶ。
   頭痛、高熱、吐血をへて最後は死にいたる。
  病名はエボラ出血熱。
  アフリカでしか流行しなかった伝染病が、
  なぜ、突然アメリカで発生したのか?
  医学サスペンス「アウトブレイク・感染」は新米女医の奮闘を通して
  アメリカ医学会の暗部を描き出す。


  (東京創元社文庫「汚染 イエローストーン完全封鎖」レス・スタンディフォード著 1994年初版) 現在絶版
 
イエローストーン国立公園について
   アイダホ、モンタナ、ワイオミングの三つの州にまたがる米国の公園で1872年に世界初の国立公園に指定され
   る。8,980㌔平方メートルの広大な場所にに間欠泉、温泉、地熱による観光スポットが散在する。

 夏の観光客で賑わうイエローストーン国立公園。
ある日、一台のタンクローリーが公園内で横転。
軍事用に極秘開発された病原菌が流失し、その猛威を振るい始める。
感染したものは全身から血を噴き出して死にいたる。
しかも、事故を知った開発元の企業は、公園を封鎖し、
誰ひとり生きて出さぬため殺し屋たちを送り出してきた。
退路を断たれた人々の運命は。
パニック小説+冒険小説。
国家機密を厳守するために、全員皆殺し作戦という隠ぺい工作を描く。 

 (「首都感染」高嶋哲夫著 講談社文庫 2013.11第一刷刊 書き下ろしとして2010単行本) 未読の本ですが、当ブログ①~④の本の中で一番新しい本です。
簡単に紹介します。

     中国でワールドカップの中止と謎の感染症発生が発表されてから、北京にいる
     外国人たちの帰国ラッシュが始まった。外国メディアによって北京空港に殺到
     する外国人の映像が放映された。前日、中国国営テレビが流したワールドカッ
     プ継続を求めるサポーターの熱狂とは全く違った光景だった。そこには恐怖が
     前面に出ている。(略)
     

     12時間後、WHOは正式に中国で新型インフルエンザが発生したことを伝えた。

     日本ではそれを受けて直ちに閣議が開かれ、、「新型インフルエンザ対策本部」
     の設置が決定された。
                                                                                                                 (第2章から要約引用)

  本書は、中国で流行したSARSから8年目に書かれた小説である。
  SARSは全世界で8000人ほどが罹患し、800人ほどの人が死亡したとと言われている、
  死亡率10%ほどの「新型肺炎」でした。実際この時の中国の対応は、国際的な面子を等を重視し、
  発表を遅らせ隠ぺいに走った経緯がありました。

  小説の内容に話を戻します。
   小説で登場する「新型インフルエンザ」は致死率60%という、猛毒性のある殺人ウイルスです。
   この猛毒ウイルスの侵入を防ぐために、「首都東京封鎖」を敢行する。

  「ウイルスから身を守る一番有効な方法は、感染者との接触を断つことです。感染者を収容し、
  すべての公共交通を止め、学校を閉鎖し、店を閉じ、集会を中止し、家に閉じこもっていることです」
                                      ー政府高官の発言ー
  「機動隊と自衛隊を使って東京を封鎖するなど、前代未聞の民主主義を否定する行為だ。
  戒厳令と同じじゃないか。戦前に逆戻りだ。わが党は徹底的に反対するぞ」
                                       -野党議員の発言-

 パニック小説というより、ウイルスが都市を襲った場合、政府はどう対応するのか、
国民は
どう反応するのかを細菌感染に対する資料を集め徹底的に検証したシュミレーション小説。
新型コロナウイルスが世界を席巻している今だからこそおすすめの一冊です。

 そのほかの細菌の脅威を扱うパニック小説の紹介。
  ① 『レッド・デス』マックス・マーロウ著
       太古の病原菌が現代によみがえり、地球規模のパニックを引き起こす。
  ② 『アンドロメダ病原体』マイクル・クライトン著
       大気圏外の細菌によって滅んだ街を描く。ベストセラーにもなり、お薦めです。
  ③ 映画『カサンドラ・クロス』
       軍の細菌兵器に感染した男の乗った列車内部で病原菌が猛威をふるう。軍の機密が絡んでくると
       内容が暗くなってくる。秘密漏洩、そして隠ぺい工作が描かれるからです。  

 人間社会を脅かすような感染症対策に求められるのは、徹底した危機管理です。
 その国のリーダーは迅速に施策を打ち出しすための必要なことは、
 国民との信頼関係に基づいた、勇気と英断だと思います。

 首相の新型コロナ対応について朝日新聞全国世論調査(電話) (4/21新聞に掲載)
 
  ① 「指導力発揮していない」57%
  ② 生活不安「感じる」58%
  ③ 緊急事態宣言後「外出自粛」76%
  ④ 緊急事態宣言を出すタイミングについて
     「遅すぎた」77%  「適切だ」18%

   調査とは別問題ですが、「里帰り出産お断り」のニュースは痛ましいですね。

  一向に営業自粛をしない業者(最初は要請のみで保障システムが施策されてなかったから)。
  都市封鎖を今日権力で施策するには、私権の問題が絡んできます。
  厳戒令は絶体に容認できません。
  東京都知事の「ただひたすら、お願いします」の姿勢に、都知事の苦しい胸の中が理解できます。

     このシリーズは、今回で終了します。

 (読書案内№151)        (2020.4.22記)




 


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感染を題材にした小説 (3) 首都消失

2020-04-19 10:33:28 | 読書案内

感染を題材にした小説 (3) 首都消失
 首都東京がブラックアウトされた……  小松左京著
               お詫びと訂正 4/16日アップした記事は下書きでした。
           改めて訂正し完成記事を公開しました。

   ブログタイトルは、「感染を題材にした小説」としてありますが、
  今回の「首都消失」は、ある事情により首都(東京)が完全に封鎖されたとき、
  (小説ではこれを「消失」と表現しています)
  どんな危機が訪れ、人々はどんな考えや行動をとるのかをテーマにした小説です。

  (ハルキ文庫 1998年刊)

 (トクマノベルス 1985年刊)
 私が所持している本はリアルタイムで購入した徳間ノベル版ですが、35年も前に購入して経年劣化で黄ばんでしまった本です。表紙のデザインは後年発刊されたハルキ文庫の方がより小説の内容を伝えていると思います。第六回日本SF大賞

霧の朝
 濃霧が東京をはじめ、その周辺都市を覆うなか、早朝六時二十七分定刻、上り新幹線ひかり五四〇号は名古屋駅を定刻に発車する。東京本社で開かれる重役会議への報告の為、浅倉達也は東京に向かう。始発駅名古屋を発車した「ひかり五四〇号」桶狭間のあたりにさしかかる。

  あたりの霧は、ますます濃くなってきている。発車前には、まだプラットホームに
  薄く朝日がさしていたが、いまはあたり一面、灰白色のヴェールに閉ざされて、森
  も、岡も、人家も、うす墨色に朦朧と流れていくばかりだった。視界がどんどん悪
  くなってきているようだ。(引用)
 やがて、社内の電話が通話不能になっていること、
特に東京への通話はまったくつながらないと車内アナウンスが告げる。
ひかり五四〇号は速度を落としたまま、深い霧の中を進んで行く。
乗客が取得できる情報は、車内アナウンスのみ。
次のアナウンスで乗客の不安は、一層かきたてられる。

  新幹線はただいま小田原以東が停電で、コンピューターの制御系統も不調の模様でご
  ざいます。もっか状況を問い合わせておりますが、東京方面、電話回線が不通のため、
  連絡がとれておりません。通信の回復次第、今後の運行状況をお知らせいたしますが、
  この列車は、当浜松駅で、しばらく停車いたします……(引用)

ブラックアウト(首都封鎖)
 何の前触れもなく、いや、あれがブラックアウトの前触れだとすれば、
おびただしい濃霧が首都圏を中心に約30キロの範囲を覆っていたことだろうか。
厚い雲の層が首都圏をすっぽりと覆い、
雲と思われるものは高さ千メートルにもなる得体のしれない物体だ。
交通電波通信が途絶え、雲の中の情報はいっさい外部に流れてこない。
首都から脱出もできず、首都への侵入も拒む「雲」の正体は……。
孤立した首都に政治的機能やリーダーシップを望むことはできない。

封じ込められた家族はどうしているか。
友人は? 重役会議は?
異常気象か? 超常現象か?
封鎖は一時的な現象なのか?
国家中枢を失った日本の将来は……
様々な危惧をはらんだまま、雲は一層その厚みを増していく。

10日後、緊急全国知事会議が名古屋で開かれ、地方に残された政治家、財界人、学者、帰国した外交官などにより「臨時国政代行会議」が樹立された。
日が立つにつれ、国民の不安は動揺に変わる。

アメリカが「雲」の軍事利用を画策、
ソ連では日本の外交官が拘束され、
北方海域に大艦隊を送り込んできたソ連など、日本に対する外圧も強まっていく。
異常寒波が日本列島を襲う。
「雲」出現から4か月ほど経った3月末、「雲」の国際調査が行われ、
「雲」は単なる自然現象ではなく、
地球外の知的生命が何らかの意図をもって送り込んできた観測装置である可能性が高い、
という結論が発表される。
そして4月初め、「雲」は……

 一極集中の中で繰り広げられる「雲」の正体は、
 不明のまま物語は終焉を迎える。
 単なる「パニックSF小説」として読んでも面白いが、
 著者が描こうとした「雲」が象徴するものは一体何だったのか。
 国家間の緊張。国家の危機。不安。パニック。人間の心に宿る非日常の不条理の象徴なのか。
 国家がその機能を失ったとき、
 国家を構成する一人一人に課せられた責任と役割は、あまりにも重い。


作家 小松左京について
 この小説の終わりは唐突に訪れ、
 次回作が予想されましたが、読者はそれを見ることなく
 このたぐいまれなるスケールの大きな作家を失ってしまった。
 1931年1月生まれー2011年7月 (80歳没)

  昭和四十八年(一九七三年)の大ベストセラー「日本沈没」では、海に没する日本列島から、一億の日本人が苦闘のすえ避難を果たす。パニック小説ではあるが、未来への希望も力強く描かれていた。日本SFの草分けの一人であるが、同世代の仲間に人間へのシニカルな視点があったのに比べ、小松の物語には人間性への信頼が強く描かれていた。それは、「復活の日」「さよならジュピター」などにも貫かれている。

  東日本大震災からの復興を願い、「これから日本がどうなるのんか、もうちょっと長生きして、見てみたいいう気にいまなっとんのや」と記していたが、今年(2011年)七月二十六日、満八十歳で逝去した。
                                      (文芸春秋より引用)    
  NHKウエブニュース
     東京都 新たに201人感染確認 1日で最多 都内2794人に (4/17)
                                ▽大阪府は1075人 
                     ▽神奈川県は711人
                     ▽千葉県は632人
                     ▽埼玉県は590人
          国内感染確認 9861人 (クルーズ船除く) 新型コロナ (4/18) 
                  中国 武漢の死者数を大幅に訂正 (4/17)
                          死者の数を2500人余りから3869人へと大幅に訂正しました。
                          感染者の数も、これまでの5万8人から325人増えて、5万333人に訂正するとしています
                   一律10万円 住民基本台帳に記載の人 対象の方針 国籍不問 (4/18)
                           新型コロナウイルスの感染拡大を受けた10万円の一律給付について政府は、国籍を問わ 
                          ず、住民基本台帳に記載されているすべての人を対象にする方針で、原則、世帯主から申
                          請があった口座に家族分をまとめて振り込む方向で調整を進めています。
(読書案内№150)         (2020.4.18記)




 

 

 

 

 

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感染を題材にした小説 (2) 復活の日

2020-04-16 17:16:14 | 読書案内

感染を題材にした小説 (2)「復活の日」 小松左京著
              人類は滅亡するのか
    MM-88によって地球は汚染されていく。

( 写真文庫本は1975年角川文庫より刊行)
 手元の本は角川文庫の本で経年劣化でスレや黄ばみが激しい。
初版は1964(昭和39)年 書き下ろし 早川書房から刊行。
56年も前に書かれたSF小説だが、
一部書評は今日の新型コロナウイルスが蔓延する社会を予言する書ともてはやす。
この年東京オリンピックが開催された年だが、
三波春夫のオリンピック音頭がながれ、
アスリートとスポーツファンが世界中から東京に集まってきた。
お祭りムード一色に染まったこの時代だから、
書き下ろしとして上梓せざるを得なかったのだろう。
新聞、雑誌、週刊誌もお祭りムード漂う中「人類滅亡」の危機を描く小説を連載する勇気は、
オリンピックに水を差すようでできなかったのだろう。
 人気に火が付いたのは文庫本が出版された後の1975年以降だろう。
1980年には、つまり書き下ろし版が発行されてから16年後、
巨額の製作費をかけた映画がつくられたことを見ても理解できる。

プロローグ
 原子力潜水艦ネーレイド号の潜望鏡がするすると上がる。
 東京湾口の浦賀水道。
 三浦半島の東端の観音崎に向けて2000㍉望遠がとらえた映像が、
 17インチの画面いっぱいに俯瞰された。
 驚愕の光景が出現した。やはり……

 家々の戸や窓はほとんどとざされ、ところどころ、うつろな暗い口を
 ポッカリあけている。電柱に、色あせた質屋の看板が見える。街路に
 は、舗装のこわれた所から草がはえ、赤錆のスクラップと化した自動
 車が、塀や電柱にぶつかったり、道路の真ん中にのりすてられたりし
 ていた。無人の、あれはてた街の上に、春の陽のみがいたずらに明る
 く、あたたかく、さんさんと湯のようにふりそそいでいる。草ぼうぼ
 うの庭や空地には、春の花が咲きみだれ、四辻の一角に、真っ赤にさ
 びた小さな三輪車が、そのままにおきさられているのを見つけて、吉
 住は思わず胸をしめつけられた。そのかたわらに、白っぽいぼろぎれ
 のようなものが地面にへばりついてた。眼をこらすと、それはぼろぼ
 ろの服をまとった白骨だった。

 無人と化した風景を作者・小松左京は延々と続ける。
 で……。人類社会の終わりを告げるような描写なので続きを引用します。

 気がついてみると、いたる所に白骨がちらばっていた。玄関わきにく
 ずおれ、溝に半分はまり、辻におりかさなり、あるものは二階の窓か
   ら
首のおちた上半身をのり出して……風雨にさらされ、くわえさる動物
 た
ちもなく、犬猫もまた白骨死体となっていた。二年半前は、この古く
   活気に満ちた港街の、にぎやかだった何万という人々は、今は春の陽の
  中に白く光る、動かぬ白骨となって、声もなく横たわっている。チラリ
  と黄色の小さなものが動く。白骨に蝶がたわむれている。

 原子力潜水艦ネーレイド号の潜望鏡が静かに閉じられ、
八万五千キロさきの南極の基地に向かって波の下の潜航を開始する。
目に見えぬ恐怖が人々を急速な勢いで覆いはじめ、世界のメディアは地球の危機を訴え、研究者は自分たちの研究の手の届かぬところで起き始めた異変に手をこまねいて傍観するのみだった。全地球を飛び交った情報の電波も衰え、やがて最後の電波が途絶えたとき、世界は沈黙の暗闇に覆われた。天よりおそいかかる閃光と白熱と火の柱による核戦争が起こした滅亡の道ではない。

 なぜ、こんなことになってしまったのか?
 どうして?
 起こってしまったあとで、その原因を知ったところで何になろう?
 ほろびたものは、もはやかえってこない。

 作者の懊悩は続く。

三十数億の人間と、五千年の歴史と、
最近百年の目覚ましい発展を遂げた巨大な世界は1960年代の末突如としておわりを告げた。
たった一つ忌まわしい災厄から奇跡的に救われた地を除いて。
酷寒と荒れ狂う吹雪と、永遠の氷で閉ざされた過酷な世界・白い大陸に閉じ込められた、
わずか一万人そこそこの人々に託された人類復活の希望が託される。


 細菌兵器「MM-88」
生物化学兵器として開発されたMM-88が盗まれた。
カプセルに詰め込まれた猛毒のMM-88は小型飛行機に積まれ、
敵国に輸送される途中、吹雪きの大アルプスで墜落。
黒焦げの乗員と部品や胴体の破片が発見される。
……春になり雪解けが始まると、奇妙な死亡事故が報告され始めた。

 MM-88
  摂氏マイナス十度前後で、増殖しはじめる。
  マイナス三度を超えると、増殖率は100倍以上になり、
  零度を超えるときちがいじみた増殖を開始する。
  摂氏五度で、猛烈な毒性を持ち、
  増殖率はマイナス十度の時の約二十億倍になる。
  動物実験の結果。
  感染後五時間でハツカネズミの98%が死滅、
  一番早いものは感染後二時間で死んだ。

 得体のしれない死亡例が、
各国から報告され人類滅亡の序章の幕が静かに、
上がり始める。

 唯一生き残ったのは、南極大陸に滞在していた各国の観測隊員1万人と原子力潜水艦「ネーレイド号」等の乗組員たちだ。
人々は国家の壁を越えて「南極連邦委員会」を結成。
力を合わせて食料や子孫の問題など乗り越え、
世界が再び復活する日にに向けて活動を開始する。
 

  新型コロナウイルス 最新ニュース 
世界の感染者数198万人余 死者12万人超 (朝日4/16) 
日本の感染者数8722人 死者178人(クルーズ船を除く) (4/16)
東京・新たに127人の感染者 (4/15)
東芝・国内全拠点休業 (4/15)
「対策しなければ最悪40万人が死亡」と厚労省専門家チーム(4/15)
               (表記のないものはNHKウェブニース)

  新型コロナウイルス 最新ニュース (NHKニュース ウエブ)
  〇 「緊急事態宣言」全国に拡大。
    さらに、これまでの宣言の対象の7都府県に北海道、茨城県、石川県、岐阜県、
               愛知
県、京都府の6つの道府県を加えたあわせて13都道府県について、特に重点的に感染拡大防止の取り組み
    を 進めていく必要があるとして、「特定警戒都道府県」と位置づけました。(4/17)


  〇 東京都 新に201人感染確認 1日で最多 都内2794人に(4/17)

  〇 10万円一律給付 自己申告に基づいて行われる見通し 麻生財務相(4/17) 

     全国の感染確認 16日は574人 計9200人超に(クルーズ船除く)(4/17)

 (読書案内№149)   (202004.16記)

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感染を題材にした小説 (1) ペスト

2020-04-11 07:34:29 | 読書案内

ウイルス感染を題材にした小説(1) ペスト
(新潮文庫 昭和44年発刊 令和2年3月87刷  著者カミュ ) 
 70年以上も前に書かれたカミュの『異邦人』と並ぶ代表作である。
 194〇年、アルジェリアの海岸に位置する小さな町オランで事件(ペスト)は発生した。
 なんの取り得もないない小さな港町オラン。
  四月十六日の朝、医師ベルナール・リウーは、診療室から出かけようとして、
 階段口の真ん中で一匹の死んだネズミにつまずいた。……同じ日の夕方、ベル
 ナール・リウーは、アパートの玄関に立って、自分のところへ上がっていく前
 に部屋の鍵を捜していたが、そのとき、廊下の暗い奥から、足もとのよろよろ
 して、毛のぬれた、大きな鼠が現れるのを見た。鼠は立ち止まり、ちょっと体
 の平均をとろうとする様子だったが、急に医師のほうへ駆け出し、また立ち止
 まり、小さな泣き声をたてながらきりきり舞いをし、最後に半ば開いた唇から
 血を吐いて倒れた。

 宿主の鼠に憑りついたペスト菌が人間の前に現れた最初の一日はこうして始まる。
前兆はあった。鼠の死は、医師に不快感を与えた者のこれがペストの流行の前兆であり、
まさか小さなオランの街が封鎖され、人々が不安と恐怖の渦に巻き込まれようとは、
誰にも予測できない。
 この小説はある種の群像劇です。
ペストと闘う強靭な意志と自己犠牲を持った医師がいるわけでもない。
閉塞感に囚われた町の人の多種多様な考え方は、
当然ペストに関しても深刻に対処する人、不安におののき疑心暗鬼に囚われる人、
楽観視する人等々、様々な登場人物の言行が静かに綴られています。
 最近、新聞やネット等でこの小説「ペスト」が話題になっているようです。
しかし、この小説はパンデミックス(感染症が世界的規模で同時に流行する)
パニック小説とは異なり、
小さな港町・オランで起きたペストの流行を淡々と語る。
小説の根底に流れる、「不条理(人間存在の)絶望的状況」をカミュは淡々と描いている。
得体のしれないペストという不条理の現象の中で、
教条主義(ペストという感染症の蔓延する状況や現実の不安や恐怖をある特定の原理や原則に当てはめようとする融通の利かない教えや態度)的な経験主義に陥ってしまうある種の人々を登場させている。

「誰でもでもめいめい自分のうちにペストをもっているんだ」
小説の終盤、謎のような言葉を登場人物のひとりがつぶやきます。
ペストとという疫病が持っている、「おぞましい、悪意に満ちた病原菌」を心の奥に
人間は持っているのだ。ということなのだろうか。
 解説の中で訳者の宮崎嶺雄は次のように表現しています。
 
 ペストの害毒はあらゆる種類の人生の悪の象徴として感じとることができる。
死や病や苦痛など、人生の根源的な不条理をそれに置き換えてみることもできれ
ば、人間内部の悪徳や弱さや、あるいは貧苦、戦争、全体主義などの政治悪の象
徴をそこに見いだすこともできよう……

 なんだか、自分で記事を書きながら、いったい何を書いているのか理論の混迷が見られ、
カミュの「ペスト」を取り上げたのは失敗だったのではないかと後悔しています。

小説の最後は以下のように結ばれている。
 ペストとの闘いに勝利し街には再び平安とやすらぎぎ訪れようとしている。
 しかし、最初に登場した医師リウーは、彼自身の心の不安を次のように述懐して幕を閉じる。

 ペスト菌は死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や下
 着類の中に眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや
 反故(ほご)のなかに、辛抱強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人
 間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、ど
 こかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろうことを。(宮崎嶺雄 訳)


 そして現在、カミュが「ペスト」の中で70数年前に予言
 したように新型コロナウイルスは世界を席巻し、パンデ
 ミックスの恐怖や不安を現実のものにしている。

 安部首相にも、小池都知事の顔にも日に日に疲労の色が濃く表れています。
 政治が国民を助けるのではない、政治の力を借りて私たちがこの病原菌と
 決然と戦う強い意志が今望まれているのだ。

 (読書案内№148)         (2020.4.10記)

 

 
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読書案内「動機」 横山秀夫著

2020-01-24 10:27:11 | 読書案内

読書案内「動機」横山秀夫著 文春文庫
 
 作者・横山秀夫について
      1991年…「ルパンの消息」(サントリーミステリー大賞)
      1998年…「陰の季節」  (松本清張賞)
      2000年…「動機」    (日本推理作家協会賞・短編部門)
      2002年…「第三の時効」 (山本周五郎賞)
      2005年…「臨場」    (本格ミステリー大賞)
      2016年…「64」     (英国推理作家協会賞)
        『別冊文芸春秋に2004年ー2006年にわたり、連載されたが、
        改稿を重ね2009年に発売を予定したが、
        納得がいかず全面改稿の上書き下ろしとして2012年10月に刊行された。
        手直しを加えた上で2009年に出版されることが決定するが、
        ただ書き終えただけの作品でしかなく、
        このままでは読者からお金を貰える作品たりえないと思い、
        出版を中止するという苦渋の決断をした。
        担当編集者は絶句していたという。
        再び『64』の改稿作業に入ったが、
        今度は突然、記憶障害に襲われ、前日に書いた原稿の内容が思い出せなかったり、
        主人公の名前さえ思い出せなくなってしまった。
        廃業という文字を頭に浮かべながら、
        どうしたらよいか分からず、庭仕事をし、
        いいアイディアや文章が思い浮かぶと書斎に駆け戻り、
        1、2行書き、また庭へ戻るという繰り返しだった。
        次第に筆が進むようになり、小手先の手直しをやめて全面改稿を重ねた』
                               (以上、ウィキペディアより引用)
           
    
        「64」。
        たった4日間で終わり、時代は平成へと受け継がれていく。
        そのたった4日の間に起った少女誘拐事件がテーマになり、
        単行本647ページ、四百字詰原稿用紙1451枚
の大作。
        リアル・タイムで読んだが、ストーリーのち密さに圧倒され、
        いまだに「読書案内」に乗せられな
かった一冊です。
        (たくさんある、エピソードのうちのどれを省いてしまっても、
        よい案内ができないような気がしました)

        
        「ノースライト」。
        「64」以来6年ぶりの新作長編。
        この長編も著者入魂の一作として評価したい。
        「ノースライト」。北向きの窓から差し込む光、という意味深なタイトル。
        ミステリーだが、殺人事件があるわけではなく、暴力が描かれているわけでもない。
        だから、警察も探偵も登場しない。
         北から差し込む光に向かって、たった一脚忘れ去られたように置き去りにされた椅子は
         伝説の建築家・タウト(実在した建築家)が制作した椅子なのか。
        椅子を残したまま行方が分からなくなってしまった依頼主に何があったのか。
        ミステリーに込められた、建築家という職業小説、家族小説、建築業界小説等々、
        いくつもの顔を持つ小説。縦糸と横糸に込められた素材に、読者は魅了されること必至。

「動機」もまた、練りに練られた警察ミステリーだ。
事件の始まりはこうだ。

警察
署内で一括保管されている、30冊の警察手帳が紛失した。
警務部提案で警察手帳一括管理を試験的に導入した矢先の紛失事件だ。
一体、誰が…。内部犯行か、それとも外部犯行なのか?

前代未聞の不祥事だ。
県警本部警務課企画調査官、階級は警視。44歳の貝瀬は、
親子二代の警察官人生を歩んでいる。
さりげなく展開される冒頭部分の貝瀬の人物紹介であるが、
親と子の深い絆が終章で明かされる。
(紛失事件とは直接の関係はないが、冒頭の親子のシーンは、読者の泣き所をつかんで、
さわやかな読後感を演出する仕掛けになっている)

内部犯行だとすれば、貝瀬は手帳保管庫の鍵の管理責任者に疑いの目を向ける。
だが、管理責任者の老警官は、退職を目前に控える真面目一徹で礼儀にうるさい警官だ。
警察手帳を盗む動機が何もない。
窮地に立たされる貝瀬警視。
 この一件を記者発表するのか。県警の信用失墜は甚だしい。
 残された時間は2日間。それまでに紛失した手帳が発見されなければ記者発表。
 紛失を隠ぺいするにはあまりに重大な不祥事だ。
 タイムリミットの近づくなか、貝瀬の焦燥は続く……

  30冊の警察手帳を危険を冒して奪う、「動機」は?
 作者は表題にした「動機」にも、工夫のスパイスをまぶしている。
   父と子の絆の描き方にも一工夫あり、ほっと安堵する結末が用意されている。
 「動機」のテーマではないが、エピソードとして語られる「父と子の絆」がとてもしゃれている。

 冒頭から終章まで読者を捉えて離さない、
 職業人としての誇りを示した好短編だ。
 本作品は事実上の出世作であり、
 日本推理作家協会賞を受賞している。
   (読書案内№147)      (2020.01.23記)

 

 

 

 

        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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読書案内 「闇の歯車」 藤沢周平著

2019-12-20 12:41:36 | 読書案内

読書案内「闇の歯車」藤沢周平著
      講談社文庫版 1996年8月刊 第31刷
  


「鬼平犯科帳」や「雲切仁左衛門」などの盗賊が活躍する小説やドラマでは、犯行の時は深夜、
人びとがぐっすりと眠る時間帯と相場が決まっている。
だが、「闇の歯車」の押し込み強盗の刻(とき)は違っていた。

「逢魔が刻」が、決行の時間だ。
頭領(とうりょう)に従うのはそれぞれに事情を抱えたあぶれ者4人。
年齢も職業もバラバラだ。
つまり、頭領によって声を掛けられた寄せ集めの素人集団だ。


 「逢魔が刻」。江戸の夜は早い。現代と異なり灯りのないこの時代、陽が落ちると間もなく、
 闇の帳が降り、提灯なしでは歩けないほど闇が深くなる。陽が落ちて闇が下りてくる少し前、
 黄昏時。ほんのわずかな時間だ。家路へ急ぐ人、店じまいの支度にとりかかる店。
 「逢魔が刻」……やがて闇が訪れる。穏やかでない時が流れ、あやしげな物の怪の足音がたそがれ
 (誰そ彼)の 向こうから聞こえて来るような、江戸っ子の心を不安する。
 押し込みが決行され、頭領と4人の男たちの歯車が噛み合い、きしみながら闇の中へと回転してい
 く

 佐之助 …… 博打で身を崩し、闇の裏稼業に手を染め、正業に就かずその日暮らしをしている。
        佐助の女房・きえは「今に怖ろしいことになるのではないか」と佐助との将来に不安を覚え姿を
                 消してしまう。今はひょんなことから源助の女房・おくみと暮らすようになる。
        酒亭「おかめ」は、一日の終わりの安らぎのひと時である。
        先の見えない暮らしに佐助は押し込みの一味に加わることになるが、
        その矢先今度はおくみが姿を消してしまう。
      
 伊黒清十郎……浪人。3年前、人の妻である静江と三春藩城下を出奔する。
         そのときすでに静江は労咳(ろうがい)にかかり、症状は日々重くなっていく。
         追っ手を逃れ、穴に隠れひそむようにして暮らしている。
         静江の薬代に追われ、人目を忍ぶ逃亡生活に疲れた伊黒のひと時の安らぎは
         酒亭「おかめ」で一杯飲むことだった。

 弥十 ……  建具職人だったが、今は年を取り娘夫婦の世話になっている厄介者だ。
         若いころ博打の上の喧嘩で人を刺し、三十年も江戸払いになっていたが、
         五年前に帰ってきた。
         家に弥十の居場所はなく、酒亭「おかめ」にひと時の安堵を求めて飲みに来る。

 仙太郎 …… 大店の若旦那。情婦・おきぬは、
       「あたしは別れないよ。別れるなんて言ったら、あんたを殺してやるから」……。
        危険な女の一面を見せられ、許嫁のいる仙太郎は、おきぬに別れ話を言えずに、
        二人の女の間で苦しんでいる。賭場にも借金があり、
        酒亭「おかめ」が唯一気の休まる場所だった。

 伊兵衛 …… 十三年前、喧嘩で人を殺し島送りになるが、五年前に江戸に帰ってくる。
       商家の旦那ふうだが、実は闇家業の押し込みの頭領。
       酒亭「おかめ」の常連たち四人を言葉巧みに誘い、押し込みを計画する。

     五人が五人とも、人に語れないような過去を持つ男たちがそろった。
   頭領の伊兵衛以外は押し込みについては素人だ。
   もう一つの共通点は、彼がすでに過去の人生において、「逢魔が刻」を経験しているということだ。
   それが人殺しだったり、駆け落ちだったり、博打狂いだったりするが、
   いずれにしろ彼らが、これまで底辺の人生を生きてきたことに間違いはない。

   「逢魔が刻」の時が訪れ、五人の男たちは押し込みを決行した。
   見事、700両を奪うことに成功したのだが、 たった一つの思いがけない偶然が重なり、
   この押し込みはほころび始め、意外な結末を迎える。

   長寿社会を迎え、100年人生も珍しくなくなった現代。
   長い人生行路の中には、一つや二つ辛いことや、行くべき道を誤ってしまう時がある。
   「予期せぬ出来事」だったり、「取り返しのつかないこと」に巻き込まれることがある。
   「朝、元気に出勤した人が、物言わぬ遺体となって帰ってきた」、という話を聞く。
   魔がさした。などと言われるが、「逢魔が刻」に立たされたなどとも言う。

   さて、押し込みに成功した五人の男たちの人生は、どのように変わったのだろうか。
   二度の「逢魔が刻」に遭遇した男たちに三度目の「逢魔が刻」が訪れる。
   再び「闇の歯車」が軋みを立てて回り始め、男たちの運命が狂い始める。

   藤沢周平が描く、時代小説ミステリーだが、
   謎解きが主体ではなく、
   男たちの生きざまを「逢魔が刻」という視点でとらえた秀作です。

    (2019.12.20記)    (つれづれに…心もよう№98)

 

 

 

        

         

 

                 



 

 


 

 
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読書案内「断碑」(短編)松本清張著

2019-11-23 21:32:49 | 読書案内

 読書案内「断碑」(短編) 松本清張著
  報われない人生を「反骨」と「執念」で生き抜いた男がいた。

  人生とは、「思い通り」にいかないものだ。
  むしろ、思い通りに行かないことのほうが多く、
  時にあきらめ、ときに目標を変えて、
  人生行路を歩んでいく。
  決してよどみに沈んだ病葉のように、
  朽ち果て、一生を暗い水底で終わってしまうわけではない。

  たくさんの思い通りにいかないことがあっても、
  それ以上に楽しいこともあったのに違いない。
  入試 卒業 就職 結婚 子供の誕生…
  親離れと子離れ。
  年を経て、穏やかになるのか、頑固になるのか
  人の一生は、
  その人が生きた境遇や親から受け継いだ「血」によっても違ってくるのだろう。

  短編小説「断碑」のなかで松本清張が描いた考古学研究者・木村卓治は考古学の
才」に恵まれ、

  非凡な見解を持っていたが、学歴がないゆえに学会から冷遇され続けた卓治は、考古学会という
  閉鎖社会に孤高の戦いを挑み続け、その才能を認められることなく鎌倉市極楽寺の仮寓で結核により、
  34歳の生涯を閉じる。

  木村卓治にはモデルがいた。
  当時の原始社会には既に貧富の差と階級が存在していた」という説を唱えた在野の考古学者・森本六爾(ろくじ)が
  モデルであるが、学歴も人脈もないため、学界から冷遇され続ける。
  清張は「断碑」のなかで次のように述べている。
  当時の考古学者は誰も木村卓治のいうことなど相手にする者はなかった。
  ……黙殺と冷嘲が学界の返事であった」と。

  森本六爾(ろくじ)

  若くして苦労をし、学歴社会の中で無念の人生を歩まざるを得なかった清張は自分の人生を
  森本六爾(木村卓治)の人生に重ね合わせて表現したのだろう。

  清張が描いた木村卓治は考古学上の恩人に対しても、学問上の理論は一切の妥協を認めず、
  対立する相手を糾弾し、歯に衣着せず攻撃した。
  そうした常軌を逸したような行動に、
  彼はますます考古学学会から疎んじられ孤立していく。

  今日では常識になっている、
  弥生式時代が農耕社会であり、一種の階級・支配社会の芽生えた時代であることを主張しても
  当時の考古学学会はこれを黙殺した。

  清張の描く木村卓治は清張自身の人生を反映し、いささか誇張された部分はあるが、
  大きく外れることはない。

  学歴のなかった木村卓治(森本六爾)にとって、
  学会とか学閥などといわれる閉鎖社会への戦いを挑まざるを得なかった彼の立場を思えば、
  仕方のない生き方だったのかもしれない。

  最後に鳥飼かおる氏の森本六爾に関する一文を紹介します。
 
  

   
  森本は、押しが強く周囲を慮る気持ちに欠けた性格が災いしたことから、
  自ら敵を作ってしまい、自身のよりどころだった考古学界に受け入れられる
  ことな
く、32歳の若さで亡くなることになってしまった。
  森本は言うまでもなく、考古学
に限らず、多くの「学者」に与えられる博士
  号などの学位、大学や博物館の中に自身
の研究室・チームを持つこと、学会
  で華やかに顕彰されることなどといった「結果」は何も残してはいない。


 松本清張の「断碑」の最期の二行は次のように記されている。

 
 昭和11年1月22日に息を引いた。シズエ(妻)死から二カ月後のことであった。三十四歳。
 遺品は埃を被ったマジョリカ焼きの茶碗と菊版4冊分の切り抜きがあっただけだ。

 あまりにも寂しい孤高の研究者・森本六爾の最期である。
 (文中妻の名前をシズエとしているがこれは清張の創作によるもので、実名はミツギ)

清張は森本六爾の最期を「孤高の死」として表現することによって、
才能があるにもかかわらず、
学歴がなくいずれの学閥にも属することのできなかった六爾の孤独な人生を描きたかったのだろう。
そしてそこに六爾の生涯と清張自身の人生の重なり合う部分に思いを馳せていたのではないかと思う。

 しかし、森本六爾がすっかり学会や世間から葬り去られたわけではない。
彼の生地である奈良県桜井市には六爾夫妻
を讃える大きな石碑が立っている(写真)。


 

 市のホームページは六爾夫妻を次のように紹介している。

 旧「大泉」バス停の南に碑がある。

森本六爾は考古学の鬼才と称され、「考古学研究」を発刊。内助の功もあり、次々と新説を発表。
唐古遺跡や航空考古学など、彼の研究が没後に的中し、我が国考古学界の先覚者とたたえられている。
 松本清張の作品「断碑」は森本六爾をモデルにしたものです。
20歳から32歳の没年まで、10冊の単行本と160余篇の論文があり、
「日本農耕文化の起源」や「日本原始農業新論」は不朽の名著です。


顕彰碑裏面

日本考古学の鬼才、森本六爾君は明治三十六年三月二日この地に生まる
独学にて考古学の研究に没頭し若年にして前人未到の「日本原始農業」を著し天下にその説を問う
しかるに研究その緒につきしのみにて昭和十一年一月二十二日逝く、享年三十二才
ミツギ夫人は福岡県の生れ、昭和三年結婚内助のほまれ極めて高かりしも夫君に先立ち同十年十一月十一日永眠、享年三十二才

共に若くして考古学に殉ず、まことに惜しみてもなほ余りあり
ゆかりの地、唐古池の発掘調査は昭和十一年十二月に始まり君の予見適中したるも相共にその成果を見ることなし
嗚呼(ああ)二粒の 籾 もし 成長し、結実しあらば 今日 考古学会の盛況を 思ひ 君の早世を悼むと共に 偉大なる功績を顕彰せむと この碑を建立す

奈良県立畝傍中学校同窓、奈良教育大学名誉教授、堀井甚一郎 撰書櫻井民大学 文学散歩の会 建立 昭和五十六年三月吉日


(市のホームページ及び顕彰碑裏面でも森本六爾の没年齢を32歳としているが、明治36年生まれで昭和11年没が正しいとすれば、六爾は34歳でなくなったことになり、32歳は誤りと思われる。)

 
  
在野に埋もれた森本六爾を木村卓治としてよみがえらせ、「断碑」という短編に表した清張の功績も大きいですね。

清張が「風雪断碑」を改題し「断碑」として
発表したのが1954(昭和29)年
 顕彰碑の建てられたのが1981(昭和56年)。

清張が「断碑」を発表してから実に27年の歳月が流れています。
この「断碑」の存在なしに、顕彰碑の存在を語ることはできないのではないかと私は思います。

          「断碑」とは、「割れて欠けた石碑」という意味ですが、世間に顧みられることなく風雪に埋もれていく
                 森本六爾の功績をイメージしているようです。

           書籍情報:清張の短編集 或る「小倉日記」伝所収 新潮文庫・傑作短編集(1) 平成14年12月 第62刷

 

          

    (2019.11.23記)   (読書案内№145)




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読書案内「OPA! オーパ!」 開高健著 ② 巨獣の集団墓地のようにみえた

2019-09-23 14:55:39 | 読書案内

  読書案内「OPA!  オーパ!」開高健著 
       ② 巨獣の集団墓地のようにみえた

   
 ジャングルを野焼きしている光景を目撃した。
 道路のためか、畑をつくるためか、
 おそらく大半は牧場をつくるために、
 ジャングルが火で剥がされたか、
 剥がされつつあるさなか、いずれかの光景を見た。
 燃えつきたか、燃えつつあるかだった。
 燃えつきたところでは黒焦げになってたったり、
 たおれたりしている無数の木の散乱が巨獣の集団墓地のように見えた。
 燃えつつあるところではその巨獣たちが黄昏のなかで足を踏み鳴らしつつ
 声もなく叫喚しあっているようにみえた。 
       

                第5章 「河を渡って木立の中へ」 より

 (朝日新聞2019.9.15付)
  この光景を、「森の中に直径50㍍ほどの『黒い穴』が開いたようだった」と、記事は、自然破壊の状況を伝える。乾季には落雷などによる森林火災もあるが、「焼畑農業」による森林破壊もある。農地を広げ、牧場を作り、金の採掘のために開発を続ける。自然の回復力を大幅に上回る。これは、開発ではなく、破壊だ。

 (OPA! オーパ! より 高村 昇撮影)

  40数年前アマゾンを訪れ、開高健に同行したカメラマン・高橋昇はアマゾンの自然破壊をフイルムに焼き付け、開高健は「巨獣の集団墓地」と書き、アマゾンの危機を訴えた。
 しかし、アマゾンの自然危機状況は40数年前よりも、さらに悪化しているようだ。
 今年1月から8月までの焼失面積は、九州より広くすでに昨年1年分を超えているという。
 密林を切り開き、倒した樹々は密売され、放火で開かれた「巨獣の集団墓場」は、牧場と化していく。
 持続可能でない開発はやがて自滅への道をたどっていく。
 これは最早一国の問題ではなく、
 「地球温暖化」という危機的状況と捉え、
 国際的な支援が必要な時期が到来していることを物語っている。
 

 さて、再び「オーパ!」に戻ろう。
 開高健は、焼け野原となった森林をみて「巨獣の集団墓地」と表現した。
 「広大な面積が火と、焔と、煙にみたされ、誰一人として監視する人もない」ことに驚き、こうした違法な開発が、「自然に対して過剰なのか、調和なのか、(略)災厄の前兆としての業火なのか」、それとも生きるための浄火なのか、私、開高健はわからないと、アマゾンを旅する彼は、異邦人として立場を堅持する。

 だが、確かなことは、「とらえようのない不安と憂鬱」に浸された。と、読者に問題を投げかける。

 自然破壊を繰り返す。
「業火」なのか、生きていくための「浄火」なのか。
 アマゾンに生きる彼らにとって、二者択一を迫るような単純な問題ではない。
 まして、部外者の異邦人が結論を急ぐべきではないと開高健は言っているのだと思う。

 大真面目でアマゾンの問題を書いたかと思えば、一転して二メートルもあるオオミミズの薀蓄(うんちく)話に花を咲かせ、二〇〇メートルもある巨大アナコンダ(水棲の大蛇)をやっけるのに、機関銃の弾丸五〇〇発を消費したというような与太(ホラ)話などを披露して読者を飽きさせない。

 少年の心に火をつける。
「ÔPA!  オーパ!」は、少年の心を持った男たちにとっては、釣りはやらなくても
必読の写真と紀行文の楽しめる本だ。


    ブックデーター: ①で紹介したように集英社版豪華装丁初版本は2800円だが、
             同じ出版社から文庫本も出ている。
            今年は開高健没後30年。来年は生誕90年だ。
            開高健を改めて読むのもいいですね。
            「開高健のパリ」(2000円) 「
青い月曜日」(860円) 
            「オーパ、オーパ!!」は続編としてアラスカ編、モンゴル編など数編がある。
            「ベトナム戦記」「輝ける闇」などがお薦めです。
            

      (2019.9.23記)                                   (読書案内№144)

 

 

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読書案内「オーバ!」 開高 健 ① 大アマゾン川の釣りに挑む

2019-09-19 06:00:00 | 読書案内

 読書案内「オーパ!」 文・開高健 写真・高橋昇
  中年オヤジの開高健が少年の心をもって大アマゾン川の釣りに挑む 
 集英社 1978(昭和53)年12月 第4版刊。大型のしっかりした作りの本だ。41年前の発刊なのに定価も2800円と安い本ではないのに、初版から1か月足らずで4版発行だから、その人気のほどが想像できる。現在は集英社文庫にもなっているのでお勧めの一冊です。この本の魅力はどこにあるのか。              

 
   OPAオーパ!
   
   何事であれ、ブラジルでは驚いたり、感嘆したりするとき、
   「オーパ!」という。

   わめき声、笑い声、叫び声のひしめくさなかで古風な銅鑼がガンガンと鳴り、
   「蛍の光」をマイクから流しつつ、われらが白塗り三〇〇〇トンの「ロボ・ダル
   マダ」号は埠頭をギシギシと身ぶるいして静かに離れ、沖へ向かった。
                      
                       ※ 第一章 神の小さな土地 冒頭


  「ロボ・ダルマダ」号とは、「無敵艦隊のオオカミ」という意味だ。
  カトリック国のブラジルでは船の名前に、
  「聖者」とか「聖女」「聖地」の名前を付けるそうなのだが、
  なかには「ヴィクトリア・レジア」(オオオニハス)とかいう名前もある。

  開高健おじさんの乗った船は
 「無敵艦隊のオオカミ」という勇ましい冒険者にふさわしい名前を付け
  
(もっともマラリアなどとひねくれた名前を付けた船もある)、
 出航の銅鑼をガンガン鳴らし「蛍の光」を流して、
 アマゾンの奥深く目指して、未知のたびに向けて舵を切る。

  なんとにぎやかで、血沸き肉躍る旅の初めの描写ではないか。
  ピラーニァ(と現地では発音するらしい)がひしめき合うところで釣り上げた魚は
  次のような哀れな姿になり、人間が食することなどできない。

   

  ピラーニァについては次のような記述もあり、
 アマゾンの計り知れない未知の姿をイメージすることができる。
 

 かねてから予感したとおり、ものの5分もたたないうちにイワシはピラーニァに齧(かじ)られてボロボロになる。つけかえるとまた5分もしないうちにボロボロになる。あたりいちめんどこまでいってもピラーニァばかりで、まるで剃刀のギッシリとつまったなかをイワシをころがしてあるいているようなものである。それでも白くゆらめく炎暑の中をかれこれ一時間か一時間半、何度イワシをつけかえてもおなじことである。

 
 
 こうした話が数多く語られ、読者は紙面の文字を追いながら、大アマゾンの未知なる世界の冒険に引きずり込まれていく。しゃれた話があり、思わずニンマリするような下ネタ話も旅の清涼剤として随所で語られる。何しろ男だけのアマゾン紀行なのだ。下ネタ話はメンバーの緊張を解きほぐす清涼剤なのだ。右岸にも左岸にも陸地は見えない。ただただ広く長い河が未踏の密林や湿地帯をうねり、「無敵艦隊のオオカミ」号は抱えきれない期待を担って、凪のように、鏡のように滑らかなアマゾンを目的地に向かって進んでいく。
 

 本の中で紹介される話は気楽に読める話だが、実は開高健の用意周到な準備のたまものなのだ。
 単に思い付きで書いた話ではなく、自然描写や魚の生態などについても、さりげなく描写されている
 が、その裏には作者の周到な準備と人を飽きさせない文章の才能がある。
  

 例えばピラルク(現地ではピラルクー)という魚について、次のような完璧な描写がある。
 アマゾン本流とその支流に生息し、非常に成長の早い魚だ。最大は身長が五メートルになり、体重は二〇〇キロに達する。全世界の淡水魚中、最大の魚だとされている。頭は胴にくらべて小さいが鎧のように硬くて皺がより、上から見るとちょっとワニに似ている。胴全体をこれまた鎧のような硬い鱗が蔽っている。この鱗の白い部分で漁師はピラルクーを刺す銛を磨き、大工は家具を磨き、美容師は女の爪を磨く。
  


 完璧なピラリクーの紹介でであり、読者はこの魚のイメージをたちどころに描くことができる。だが、描写はこれで終わらない。この後、原稿用紙約四枚に渡りピラルクーの薀蓄(うんちく)がが語られ、
下ネタ話に発展し、最後はこの魚の人気に「絶滅」してしまうのではないかと心配する。完璧な文章表現である。
 

 
  一時間、幸せになりたかったら
  酒を飲みなさい

 
  三日間、幸せになりたかったら
  結婚しなさい

  八日間、幸せになりたかったら
  豚を殺して食べなさい

  永遠に、幸せになりたかったら
  釣りを覚えなさい

         中国古諺?
 

 

 「釣り」は面白い、釣り師・開高健が二度にわたり紹介している諺だ。出典不明といいながら、二度も紹介する釣師であるが、この「OPA!オーバ!」は、たんなる釣りキチの話ではない。
釣りの話が主体になるが、アマゾンの冒険譚であり、釣り賛歌、自然賛歌であり、文明の波がひしひしと押し寄せるアマゾンの未開の地を舞台に広がる
 自然崩壊に警鐘を鳴らす書でもある。
 単なる紀行文学に終わらせないところが、芥川賞作家の開高健であり、伊達に受賞したのではないことをその文章が示しているし、全体の流れもとても良く、再読者が多いのもうなずける。
 是非、読んでほしい本の一冊だ。
                                       (つづく)
     (2019.9.18記)                                        (読書案内№143)

  

 

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読書案内「僕たちはいらない人間ですか?」 伊東幸弘著 ③

2019-08-25 06:00:00 | 読書案内

読書案内「僕たちはいらない人間ですか?」 伊東幸弘著 ③
   救われた言葉もある

  
    人の不幸を聞き流し
     笑うこの身はろくでなし

   ひとでなしよりまだいいが 
       こんな男に誰がした

              「ネリカンブルース」歌・藤圭子

 「こんな男に誰がした」と世間の冷たい風にさらされながら、世を拗(す)ねる。

 大人になり切れない不良少年の青い果実のような未成熟さが漂っている。

 このフレーズはどこかで聞いたことがある。

 そうだ、菊池章子が唄って一世を風靡(び)した「星の流れに」だ。

 星の流れに 身を占って
 どこをねぐらの 今日の宿
 荒む心で いるのじゃないが
 泣けて涙も 枯れ果てた
 こんな女に 誰がした

 戦後の荒廃した世の中で、生きるために街娼に身を落とした女性の諦めや恨みを、
(す)ねて表現しているところが「ネリカンブルース」に似ている。
余談になるが、『星の流れに』は、青江三奈、石川さゆり、高橋真梨子、ちあきなおみ、
八代亜紀、美空ひばり、美輪明宏など名の売れたな歌手によってカヴァーされた。
これらの歌手たちの「星の流れ」は成熟した大人の感情表現になっている。

偶然にも19歳の藤圭子が唄う「星の流れに」は「恨み節」として素晴らしいと思う。

まさに、「恨み節」=「怨歌」であり、これを詠わせたら藤圭子の右に出る者はいない。

 さて、本題に戻りましょう。
このシリーズ①と②では、悲しい手紙や辛い独白を紹介してきました。
今回は少年たちの「嬉しかった思い」を紹介します。 

   
  「さあ、帰るか」
  ケンカで警察に呼び出された時、
  いっしょに行って、
  夜遅くまで待っていてくれた先生が、
  まるで何ごともなかったかのように言った一言
                     (19歳) 
  バカヤロウ、
  なぜオレがオマエのために一生懸命で、
  オマエはちがうんだ。
                 (15歳)

 二例とも先生の言葉を選んでみた。
②で紹介したように、少年たちにとって、学校の先生は身近な存在だけに
敵愾心をむき出す対象になりかねない。
それは、少年たちが親に対して反抗心をむき出しにすることとどこかでつながるものがある。

 喧嘩で警察に呼び出された少年の両親は警察にも行かなかったそうです。
その時、同行してくれた先生。
親には見切りをつけられたが、先生はオレを見捨てなかった。
少年を叱責することもなく、優しい言葉をかけることもしない。

「さあ、帰るか」
なんと言う優しい言葉なのか。
少年の閉ざされた心の奥にするりと入り込んでしまい、
きっと少年に立ち直るきっかけを作った言葉になったに違いない。

 次の言葉も単純明快で、余計な言葉を排除した慈愛に満ちた言葉だ。
心を閉ざした者と話をするときには、
美辞麗句で飾った言葉では、閉ざされた扉は開かない。
単純明快、本音で語る言葉が人の心を開く。
飾らない言葉の裏に、人を動かす原動力が潜んでいる。

「バカヤロウ」という言葉が、
時によってはこんなに近親感を持つ言葉として響いてくる。
「自分のことに真剣に取り組めよ」と、
先生と生徒いう垣根を超えた響きがここに存在する。


 踏み外そうと思って踏み外した道ではない。
だが、戻ろうとしても、一向に光が見えない。


 迷い路だ。


 垣根の向こうから、「お出でお出で」と手を差しのべても
この垣根を乗り越えられないから、背中を向け、拗(す)ねてしまう。
先生も普通の人。
掛けた言葉が、棘を含んだ言葉で帰ってくれば自制心が揺らぐ時だってある。
垣根を取り払うということは、簡単なようでなかなか難しい。
だから時々、言ってはならない言葉を言って、
開いた傷口に塩を刷り込む様なことをしてしまう。

 お前学校に何しに来てんだ。
 給食をだべるだけなら、
 外でくえ。
          (17歳)

 封印された心を開くには、
 やさしい行動に裏打ちされた、単純な言葉や行動が必要だ。
  卒業式
  一緒に泣いた先生、
  僕も先生が好きでした。
          (14歳)

  私が退学してからでも年賀状をくれた先生、
  ありがとう。
  やっぱり、
  学校に行っておけばよかった。
          (18歳)

          初版は19年も前に書かれた本だが、今読んでも少年や少女たちの
   心の有り様がよくわかる本だ。
   法務省「犯罪白書」によれば少年による一般刑法犯は1980年代前半をピークに
   減少傾向にあるが、
   刑法犯ではないが問題行動、いじめ、ひきこもり、青少年の自殺など、
   彼らを取り巻く環境は混迷し、決していい環境ではないことを記してこのシリーズ
   を終了します。


   著者・伊藤幸弘について
    青少年育成コーデネーター。
    高校中退後、一万五千人を擁する暴走族「相州連合」の二代目総長となる。
    その異色の経験を生かして非行青少年の更生の手助けを行う。
    国会からも青少年問題特別委員会の参考人として招れ、
    教育文化に大きな衝撃を与えた。
    □ 青少年非行防止ネットワーク 理事長  □ 愛知県高浜市青少年育成指導員など歴任。

      (読書案内№142)                  (2019.8.9記)

 

 

 

 

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