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朝鮮半島の戦争と平和-休戦協定から61周年を迎えて

2014年07月28日 | 三千里コラム

「集団的自衛権行使糾弾、韓米日・軍事同盟反対」の集会(7.27,ソウル日本大使館前)



 61年前の1953年7月27日、3年以上に及んだ朝鮮戦争の休戦協定が締結されました。戦争の完全終結を意味する「終戦」ではなく、その一時停止にすぎない「休戦」として処理されたわけです。そのために朝鮮半島は現在も「東北アジアの火薬庫」と呼ばれ、軍事緊張の極めて高い地域となっています。

7月27日、ソウルでは『平和と統一を開く人たち』(常任代表ムン・ギュヒョン神父)が中心となって、曹渓寺(チョゲサ)境内の公演会場で「平和協定の実現を求めるマダン」を開催しています。 以下に、同日付『統一ニュース』の記事を要訳して紹介します。(JHK) 


「平和協定を求めるマダン」は2008年に始まり、今年で7回目を迎えました。今年は「戦争を終わらせ! 平和に生き!統一へ向かう!」というテーマを掲げ、500人余りが参加しています。

参加者たちは「朝鮮半島の非核化と平和協定の締結には、米朝交渉·南北対話·6カ国協議の再開が不可欠」とし、「平和と統一に進む必須関門といえる‘平和協定の締結運動’に、より多くの市民が主体として立ち上がること」を訴えました。
また、朝鮮半島の未来は「朴槿恵政府が追求する吸収統一ではなく、南北の合意による平和統一にある」と強調する決議文を採択しています。

行事を終えた参加者たちは近くの駐韓日本大使館前通りへと移動し、「朝鮮半島と東北アジアの平和を脅かす日本の集団的自衛権行使を糾弾し、韓米日·三角軍事同盟に反対する抗議集会」を開催しました。

抗議集会で注目されたのは、現在も進行中のパレスチナ・ガザ自治区に対するイスラエルの無差別攻撃に対し、厳しい批難が相次いだことです。

この日、ムン・ギュヒョン常任代表は開会のあいさつでパレスチナの惨状を告発し、「イスラエルの野蛮な犯罪を支持するアメリカの論理は、この朝鮮半島にもそのまま適用される。アメリカは背後操縦者として、住民の反対を押し切り済州(チェジュ)島のカンジョン村に海軍基地の建設を強行している主犯だ。それだけでなく、“日本の自衛隊は米軍を守るために派兵される”との口実で、日本の参戦と朝鮮半島再侵略への道を先頭に立って牽引している」と主張しました。

また、「朴槿恵政府は“北朝鮮との信頼構築”を強調してきたが、それは口先だけで、実際には“北朝鮮への不信拡散”で一貫している」とし、「執権勢力にとって平和と統一は、常に権力維持の手段に過ぎなかった」と現政権を鋭く批判しています。

ムン・ギュヒョン神父は続いて「2008年にこの運動を始めてから平和への市民的な関心が高まり、‘平和だけが生きる道’という認識と連帯への気運が高まっている。‘平和の胞子’がもっとたくさん飛び広がって、平和と統一の花畑で咲くように」祈りました。

ムン神父はさらに「人類の歴史を振り返ってみると、最も暗くて野蛮な時期にこそ最も人間的で道徳的な運動が広がり、そして慈悲と平和を実践する人々が登場した。私たち一人一人が‘平和の胞子’となって、‘戦争を終わらせ! 平和に生き! 統一へ向かう!’意志を持ち、より一層活発な活動をしよう」とアピールしました。

集会には、両親と手をつないでやって来た子供たちや、中高生・大学生、そして全羅南道の順天(スンチョン)市や京畿道の仁川(インチョン)市など各地の市民が参加しています。会場には「韓米日·三角軍事同盟阻止!東北アジアに平和協力体を!吸収統一反対、合意統一実現!朝鮮半島の平和協定締結!」と書かれた大きな垂れ幕がかかっていました。


〈参考補足〉

 7月23日、ジュネーブの第21回国連人権理事会で、「イスラエルのガザ地区に対する無差別軍事攻撃の即時中断と、人権侵害の調査委員会構成を求める決議案」が採択された(賛成29、反対1、棄権17)。賛成国は、中国・ロシア・ベトナム・インド・フィリピン・インドネシア・ブラジル・メキシコ・サウジアラビア・パキスタンなど。唯一の反対国は、言うまでもなくアメリカ。

そして棄権国に、日本と韓国が含まれている(他にイギリス・ドイツ・フランス・イタリアなど)。これらの諸国は日ごろから普遍的人権の擁護を強調しているのだが、どういうわけか、これほどの非人道的な無差別殺戮(毎日約100人の犠牲者)を前にして、明確な意思表示を回避している。

韓国は今、国連安保理の非常任理事国であり、国連人権委員会の理事国でもある。今回の票決に先立ち、韓国政府の代表は「耐え難い苦痛を受けている無辜のパレスチナ住民被害者に対し、深い遺憾の意を表す」とコメントしている。ところが、その直後には棄権票を投じたのだ。アメリカの顔色をうかがう厚顔無恥な二枚舌外交は、必ずや第三世界の民衆から容赦ない報いを受けるだろう。