君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十話

2016-09-01 02:23:19 | 『君がいる幸せ』 limitato etemita編二章
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。 
 <用語>
惑星ノア 人類の首都星
惑星メサイア ミュウの星 ノアに近い位置にある
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 軍部解体中
<人物>
ジョミー ノアの前副首相 ジュピターという宇宙の軍を動かせる権限を持っていた
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任していたが…ニュクス事件後行方不明中
ソルジャー・トォニィ ジョミーの後を継ぎミュウの長となる。ニュクス事件による政変でノアの議会を掌握する。現在、ジョミーのジュピターの権限を預かっている。
ソルジャーズのブルー 人類が作ったブルーのクローン(タイプブルー)
シルジャーズのジョミー 本当はジョミーのクローンではなく実子(タイプイエロー)
ヴィー キースの部下 ミュウ部隊の隊長 ニュクス事件で仕事を失う
セドル 惑星ニュクス生れのクローン 商売に長けているキースとジョミーに近づく
アガレス・ベリアル 悪徳商人 セドルの上司 大戦中に彼の親とジョミーが会っている

※オリジナルキャラを追加しました


   『君がいる幸せ』 限りある永遠(limitato etemita)編二章二十話
 

惑星メサイア キース・アニアンの幽閉されている施設

「…お前はトォニィには強がるんだな…」
 と、映像のキースがジョミーに言った。
「それが…悪いか?」
 僕はキースを睨み返した。
「映像のくせに、憎まれ口なんて、本人と確認するまでも無さそうだね」
「そうだな」
 キースは小さく眉を上げた。
「俺もお前の前では、自分を作っていたのかもしれん」
「それは…当然だと思う」
 映像のキースではなく、眠るキースに話しかけるように僕はベッドの横に立った。
「僕は馬鹿だな。君をこんな風にしてしまった。恐がって浅はかで、どうしようもない。どこかに閉じ込めてしまえば良かったのかもしれないな」
 生きていれば、また利用される。そういう事か?
「嘘を言うな」
 顔上げると、キースが僕を睨んでいた。僕は彼の目の前まで行って、手を伸ばした。捕まえようとしても捕まらない映像。キースは僕の手をとる事は無かった。
 僕はキースの映像に触れて力を加える。薄く淡いオレンジの光。
「ねぇ。キース。じゃあ、本当の事を全て教えてくれない?」
「……」
「答えられないのは、トォニィが制限をかけているから…か。トォニィは僕がここに来る事を見越していた。そして、連れ出したりはしない事も…ね」
 僕は、キースのベッドを見下ろすトォニィを視た。
「……」
「キース。トォニィに伝えて欲しい。君はアガレス・ベリアルを知っているよね?彼に世界は渡ったよ」
「アガレス・ベリアル」
「ニュクスの、そして、ソヌスの権力者。あいつが全ての黒幕なんだろ?そして、キース、君は彼を知り…僕を疑った」
「ジョミー」
「きっかけはキースで。番狂わせは、セドルってとこだろうか」
「……」
「だけど、僕は、君やセドルやアガレスの事よりも、ブルーを救いたい。だから、僕の中にある情報はトォニィに託す」
 ジョミーが触れていた部分が青い色に変わり、小さな六角の水晶に変わる。それをキースのベッドの傍らに置いて、手を横に祓う。その手に分断されたキースのホログラムは消える。
「このままでは…僕は…誰も救えないんだな…」
 目の前にあるカプセルのようなベッドに眠り続けるキース。
「これは、僕の独り言だ。聞いてくれる?キース。大戦から、10年以上が過ぎて、大きな諍いもなくミュウは受け入れられた。そこはキースの影響が大きかったと思う。人類は拠り所を無くし、君をその代わりとした。でも、君はその状態に奢る事も無く懸命にやってきた」
 時間が経ったからか、キースのホログラムが再び現れる。
「全く、良いタイミングだ」
 キースに向かい、僕は再び手を差し出した。 
「僕がメサイアとノアの救ったとの情報を流したのは君、ノア政府だろ?あの頃の僕はマザーしか見ていなかった。ブルーの願った蒼い地球を取り戻せるなら何でもしようとそれしか、考えていなかった」
 キースがジョミーの手を取る。
「僕が君を好きだなんて、僕らは何を勘違いしたんだろうか?僕は蒼い地球を自分の力で取り戻したと思った。もう何もかもが最高の状態で、君まで僕の物だと思い。気が付かなかった。小さな綻びに…」
「ジョミー」
「お前は誰だ。僕はどこで間違えた?」
「俺は…」
 言い出したキースの姿が揺れて消える。
「ソルジャーズのブルーが君の記憶を壊した。あの時からか?wソルジャーズを君たちに渡した時か?東の海賊はどうしてキースを殺そうとした?何故、君は死を選んだ?答えろ。キース・アニアン。この全てに答えられるか?」
 眠るキース。
「まさか、君が一人では無かったなんて…思いもしなかった。ここに要るお前はどっちなんだ…。だけど、君をそんな風にしてしまったのは、僕なんだね。でも、キース。僕は行くよ」
 部屋を出て、ドアが閉まる。
 ジョミーは歩きだし、部屋の中のモニターに目を向ける。そこには、ベッドの中で、こちらに向かって手のひらを向けるキースの姿があった。と、同時に声が聞こえる。
「大丈夫だ」と。
 声が聞こえたと思ったのは、多分、錯覚だろう。
「キース・アニアン…」
 建物の外に出ると、トォニィの親衛隊が待っていた。僕は彼らの指示に従った。
 その後。僕は惑星メサイアから、ノアへ向かい、未開の宙域へと飛び立った。


  宇宙を行く船  ※(二章十一話)の続きです。


「僕は密航者ですよね?」
 ソルジャーズのジョミーが言う。
「ジョミー。どうします?」
「ヴィーは僕に言わず、僕も知っていてヴィーに言わなかった。だから、もうそれは密航じゃないね」
「ブルーには僕が会います。会わせてくれるって約束だった…」
「すまない。メサイアを出る時も、ノアを出る時も探していた。トォニィの所から出られないのかと思っていた」
「シドが助けてくれました。でも、その代わりにシドはあれを受け取りました」
「あれって?」
 ヴィーが怪訝そうに聞いた。
「最近、トォニィがミュウに付けさせている黒いチョーカー。これです」
 ソルジャーズのジョミーが襟を開けて見せた。
「やはり、君も付けていたか」
「ジョミーも?」
「僕は見えないように消しているんだ。僕はニュクスで倒れてすぐにだったよ」
 ジョミーが首に触るとそれが浮かび上がった。
「これは、どういう物なんです?」
「拘束具に近いかな。ある一定以上に能力を使うと爆発する。ジュピターのブレスの技術を使ったものだろう」
「ええ?」
 ヴィーが驚くのも無理はない。
「ソルジャー・トォニィがつけさせたって?そんなを物…」
 ソルジャーズのジョミーは答えなかった。
「多分、アガレスの指示だ」
 安心させるようにジョミーが言う。
「誰も何も信じられなくなったとか…でしょ?」
「今は、これは忘れよう」
「……」
「ラ、ラジャー」
 船は西へと向かい進んだ。



  続く






※シナリオの書き方で書きそうでした。^^;
 お待たせしました。
 八月中には、と思っていましたが、九月になっていまいました。;;






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