君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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「限りある永遠」番外 『カイふたたび』 決戦前夜

2015-02-25 02:03:11 | 地球へ…完全番外編「snub cube」
※↓↓のは、2013年の休筆中。
今の「限りある永遠」を書き出した頃に書いたものです。
ジョミーはニュクス事件の前に、こんな事を考えていたのだなぁ。って感じ。
次回からの二章のジョミーは少しだけ印象が変わっていますので、UPさせてみました。
カイは真城のオリジナル「海を見たかい」の主人公ですが、そこを無視して、
二人の関係は会ったことがあるくらいでおk。^^;
※すみません。セリフだけの構成です。


   番外 『カイふたたび』決戦前夜
 
  ※時間場所などは不明ですが、二人ともが戦いの前です。

「人を殺したいと思いました」
 と、カイが言った。
「仲間の為、でしょ?」
 真剣な眼差しでジョミーは聞き返した。
「あなたは運命を信じていますか?」
「巡り会うその理を運命だと言うなら運命を感じる時もある。だが、出会ったその先まで運命だとは思わない」
「でも」
「そこに逃げないで」
「でも…」
「さっきのは、君が誰かを殺したいと思うって言葉じゃないよね?」
「……」
 カイは答えない代わりに、ジョミーを睨み、
「心が読めるなら、読めばいいじゃないですか!」
 と、言った。
「小さな子供が泣いてるだけだから…」
 ため息とともにジョミーが答える。
「…子供…」
 カイの目の色が変わる。
「まって、読めと言ったのは君だ。そこを怒らないで。僕に八つ当たりしても別にかまわないけど…」
 ジョミーは突き放すように言った。
「八つ当たり…?」
「君は殺せない。そうする必要はないと思うよ」
「でも、あいつは僕を、僕らを狙ってくる。だから」
「確かに君の力は他の人より強い。だけど、その力を使って人は守れない。仲間の力を信じて皆で護りを固めてゆくしかない」
「皆で」
「そう、個々の力を信じ、頼ればいい」
「俺が信じてないとでも言うのか…」
「いや、違うよ。皆の力でないと護りきれないだけだ」
「…助けてなんて言えない。今までも十分危険だったのに、もうこれ以上巻き込めない」
「今君が自分だけで戦うと決めて、仲間に手を出さないで欲しいと願っても仲間は動くだろう?君が彼らを大事に思うように彼らも君を思っているのだから」
「…だったら…俺はどうすれば…」
「君は君のするべき事を、君が出来る全ての事をしなければならない。それが力を持ってしまった者の運命」
「運命?」
「ああ」
「運命なんて、違うって、さっきあなたは言った」
「そうさ。今の君はそこに流されていい」
「…!」
「良いんだよ。まだ始まったばかりなんだから、そこに逃げても。でも、いつかそれを自分の手でつかみ、選ぶ時がくる。そこからが本当のはじまりなんだから」
「いつか…」
「そう、いつか。時がきたら君は自分で選ぶんだ。そしてそれが未来を創る」
「でも、俺が選んだ道が間違ってたら?」
「間違っていてもいいじゃないか。やりなおせばいい」
「だけど…」
「だから、今はまだ迷っているなら動くなって事」
「…でも…」
「…僕もね。同じなんだ。愛するものを守る為なら何をしてもいいなら、それはどんなに楽だろう。だけどそれは結果的には世界を壊す事となるんだ」
「世界を…」
「でも、僕は壊してもいいと思っているんだ。僕は…ね」
「…ジョミー…」
「だけど、今はまだその時じゃない…」
「……」
「敵だと言われていたミュウが同じ人類だとわかって十年以上。そこにまた新たな事実を突きつけるのはまだ早い。だけど、僕が知りたいものがそこにあり、今、追求しなければ失われるかもしれないなら…」
「俺はまだ何も知りたくない…」
「そうだね…」
「何もかもが思い通りにいかなくて、歯がゆくて。苦しくて潰れてしまいそうなんです」
「誰もみな、思い通りにいかない事の方が多いと思うよ…」
「俺は何を無くし、何を護り、何を得て、どうしてゆくのだろう」
「カイ。僕はね、人が好きなんだ。何物にも代えがたいほどに…」
「俺もです。今となっては…なにもかもが…」
「…カイ…」
「泣かないで…下さい」
「違うよ。泣いているのは君じゃないのか?」
 カイはジョミーを見返し笑った。
「俺はいつかきっと」
「そう、いつか。今の僕では無理かもしれないけど、いつか」
「この輪廻を超えた先で、いつかきっと」
「いつか、僕たちは夢を実現させると信じている」



   終








☆次回、二章突入です。
 さまざまな思惑が重なり、より過激になってゆく予定です。
 頑張ります。^-^v




 


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