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スウェーデンに見る税と社会保障 その6 付加価値税とまとめ(K)

2013-10-26 | 税と社会保障の一体改革
下線部を追加・修正しました。

今回は付加価値税です。

付加価値税に関する小冊子12版 2013年6月発行
(The VAT Brochure SKV 552B, edition 12. Issued in June 2013.)より

 一般税率は25パーセントです。
 下記の商品とサービスについては、税率は6または12パーセントです。

12%の付加価値税
 食品。(主に原材料。飲料水も含む。加工品は除く。)
 芸術家による芸術作品の販売
 ホテルや下宿事業の家の賃貸。
 レストランや調理サービス。(アルコール類を除く)

6%の付加価値税
 本、小冊子、単一のチラシを含むパンフレットなど作品。
 主題にかかわらず新聞や雑誌(例えば、ニュース雑誌や週刊誌のような)。
 子供のための絵本、描画本や塗り絵。
 楽譜や地図帳のような地図、壁マップや地形図など。
 タクシー、電車、国内線を含む旅客輸送(移動)。
 コンサートやサーカス、映画館、劇場、バレエやオペラの公演そしてそれと同様のものへの入場料。

付加価値税の免除
 商業活動目的を除く不動産の販売、譲渡、賃貸
 医療、社会的ケア、放送、芸術発表
 義務及び高等学校レベルと高等教育における教育。
 テレビ番組、生産および放送活動は、主に政府の補助金によって賄われている場合
 公的なスポーツへの入場料など

 背景に、文化的生活、移動、住宅、医療、教育、知る権利など、人間らしく生きることの保障が配慮されているのではないだろうか。


全体の感想としてのまとめ
 税収全体では、総額も所得税も消費税を含む付加価値税もスウェーデンの方がずっと高いことがわかりました。しかし、その中身は所得税では地方税の31.6%、実質は年金の掛け金分がそっくり税から引かれるなど、もっと低いものになっていました。高所得者はそれに国税の20%~25%が加わります。企業への法人税は22%と低いものの、労働者の賃金の31.42%の給与税という名の社会保障負担が企業によって支払われます。また、資本家へは株の配当や売買など資本への税も30%と日本よりも高くなっていました。
 消費税などの付加価値税も人間らしく生きることの保障の構造になっているようです。
 
 こうして集められた税は、GDPの45.8%にも及びます。約半分が公の管理の下に、つまり、国民の意見で使われ方が決められているということです。その結果、下のグラフのように日本の国・自治体の総支出額を上回る額が暮らし関連に使われているのです。福祉国家と言われるような国になっています。一人あたりのDGPも日本よりも高くなっています。


 OECD.Stat Extracts より作成

 以上で、今回のシリーズを終わります。
 スウェーデンは今、ギリシャ、スペイン、イタリアの経済危機や、緊縮政策への賛否などEUが大きな問題を抱え、参加国として影響があるかもしれません。リーマンショックの影響もあるかもしれません。今後、どの方向へ向かうのか、興味のあるところです。
 間違いの指摘も含めて、ご意見をお寄せください。ありがとうございました。(K) 
 
 

埼玉自治体問題研究所では11月8日午後6時より、下記の通りヨアキム・カウト氏の講演会を行います。ぜひ、ご参加ください。



カウト・ヨアキム JoskimKautto 氏

学歴
 2000年 ヴェクショー大学(社会心理学と社会福祉士プログラム)
 2005年 国際基督教大学、交換留学生
 (グループホーム職員のケアに関する日瑞比較研究)
 2005年 ヴェクショー大学卒業
 2013年 国連大学 『気候・エネルギー・ 食料安全保障』
職歴
 1998年 ベルリンの障害学校研修
 1999年 埼玉県植木研修生
 2005年 スウェーデン福祉研究所入社、(プロジェクトマネージャー)
 2008年 スウェーデンクオリティケア、所長
 2009年 Swedish Quality Care株式会社、代表取締役
 2013年 Bunne Japan株式会社、 代表取締役
スウェーデンでの経歴
 2年 パーソナルアシスタント
 6ヶ月 ケアマネージャー
 1ヶ月 アルコール中毒患者のための治療施設

 また、来年5月5日より8日間の日程で、デンマーク・スウェーデン「環境・エネルギーと税財政と福祉の旅」を予定しています。(10月4日のブログで掲載しました)現在参加者募集中です。

 


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