小春奈日和

赤ちゃんは、人間は、どのように言葉を獲得するの?
わが家の3女春奈と言葉の成長日記です。

398 天の事代主の謎

2015年06月08日 00時06分58秒 | 大国主の誕生
大国主の誕生398 ―天の事代主の謎―
 
 そもそも事代主という神名についても、松前健も井上辰夫もともに、事代主とは
固有名詞ではなく神託をくだす神、という意味だと捉えています。
 
 八重事代主の方は、『古事記』や「出雲国造神賀詞」に大国主の御子神とある
から明らかに国つ神です。
 もっとも大国主の御子神というのは後世に両神が結びつけられたものと考えられ
るわけですが、それでも八重事代主が天つ神であったなら結びつけられることも
なかったはずです。
 
 河俣神社(雲名梯神社)では「鴨八重事代主神」を、隣接する御所市の鴨都波
神社では「積羽八重事代主命」を祭祀していますが、鴨都波神社と同じ御所市に
鎮座する長柄神社でも事代主を祭祀しているといいます。
 実は長柄神社の祭神は下照比売なのですが、本来の祭神は高照姫命である
とも、事代主であるとも言われるのです。
 それというのも、長柄神社の祭祀氏族である長柄首は『新撰姓氏録』に、
 
 「天之八重事代主神の後なり」
 
と、記されているからなのですが、問題となるのは、ここでの事代主は、「天乃八重
事代主神」と、天つ神のような名であることなのです。
 さて、『新撰姓氏録』には、飛鳥直について、
 
 「天事代主命の後なり」
 
とあり、この天事代主命と天乃事代主神は同神と思われます。
 それで何が問題なのかと言うと、『新撰姓氏録』は、長柄首は「地祇」の項、つまり
国つ神の子孫の部に入れているのですが、飛鳥直については「天神」、つまり天つ神の
子孫の部に入れているのです。
 飛鳥直の記載部分だけを見ると、天事代主は天つ神ということになります。しかし、
同神とされる天乃事代主を祖にいただく長柄首は国つ神の子孫となっているのです。
 
 飛鳥直が祭祀するのが明日香村の飛鳥坐神社なのですが、ここにもひとつの問題が
あります。
 出雲国造神賀詞の中に、
 
 「オオナモチ(大国主)は、自分の和魂を、大物主くしみたまの命と名を添えて大和の
大三輪の神奈備に坐せ、子のアジスキタカヒコネの命の御魂を葛城の鴨の神奈備に
坐せ、コトシロヌシの命の御魂を宇奈堤に坐せ、カヤナルミの命の御魂を飛鳥の神奈備に
坐せ、自らは皇室の守り神とならんと、杵築の宮に静まった」
 
という一文がありますが、ここに登場する飛鳥の神奈備に比定されているのが飛鳥坐
神社です。
 飛鳥坐神社の祭神は、事代主神・高皇産霊神・飛鳥神奈備三日女神(賀夜奈流美乃
御魂)・大物主の4神です。
 出雲国造神賀詞の一文から推測すると、ここの事代主は国つ神の方の事代主という
ことになるのです。
 ただ、高皇産霊神(タカミムスヒ神)は天つ神ではあります。
 ですが高皇産霊神も祭祀されているのはどうしてなのでしょうか。

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